歌う

総持寺祖院。

山門の屋根にイソヒヨドリがとまり、澄んだ歌声を響かせていた。



門前町の総持寺祖院を再び訪ねた。
よく晴れた境内は初夏の装い。
雲水さんたちが草むしりをしていた。

前回の参拝から6週間。
境内ではまた少し復旧が進んでいる。
応急修理された回廊が法堂から伸びて、放光堂、伝燈院などの拝観ができるようになっていた。

山門の脇には小さなパネル展示があって、地震直後の総持寺の大変な様子が写真で紹介されていた。
写真はいま、総持寺祖院のウェブサイトでも見ることができるようになっている。

これまで、総持寺の被害は、ほとんど伝えられなかった。
被害に遭った、たくさんの人々への配慮もあっただろう。
風評被害への懸念もあっただろう。

それが、やっと、地震直後の惨状を、自らの手で、言葉で、紹介できるところまできたのだ、と私は考えている。



瓦を寄進してきた。
瓦には「復興祈願」と書いた。