ただおの不定期日記

主に映画の感想など。たまに違う話題も書くかもしれません。

ほかげ 監督舞台挨拶

2024-02-05 12:02:18 | 映画

地元映画館に塚本晋也監督が舞台挨拶に来られるということで上映も含め見に行きました。

戦後の混乱期、半焼けになった居酒屋で商売している趣里さん演じる女と、森山未來演じる復員兵、店に居着いてしまう子供がメインで登場人物も少なく小さな作りではありますが、戦争の悲惨さ、その傷跡を感じさせる素晴らしい映画でした。

もともと「野火」の後に、「闇市企画」として大きな規模の映画を構想されていたのが、コロナもあり実現できず、それならいっそ小さくしようと作られたそうです。

冒頭、音の演出がつけられていて、「野火」を思い出しつつも、見ていくにつれ、これは想像力を使わないといけない映画なのだなとわかってきました。登場人物だれもが戦争を影を引きずっていますが、直接的な描写はいっさいなく、観客は脳内で想像するしかないのですが、十分悲惨さを突きつけられます。それを表現する役者さんもさすがです。

この大人二人と子供一人という設定や話の内容もどれもが効果的で流石は塚本監督と思いました。観客とのQ&Aでもいろいろ資料にあたったりそれを元に考えたりと緻密に組み立てられていることを感じました。

私は見ていて、この大人二人の背中が妙に印象に残りました。それは子供が配されていたからこそかもしれません。考えてみれば、やはり子供は大人の背中を見るものだろうし、子供は大人二人の目撃者役でもあるわけです。彼がそこから何を受け取ったのかはわからないけど、最後の子供行動に感動させられるのは、やはり希望を見たいと思ってしまうからだろうと思うのですね。

ラストもある映画を思い出させて秀逸と思いました。

作りは小さくても、こちらに渡されるものはけして小さくない映画でした。