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by hamarie_february

雲のタネ

2007-09-16 10:09:14 | 学問・社会

いやー、昨日は根堀り葉堀りしてきましたよ!

「IPCCレポートを根堀り葉堀り読む会」に参加してきました。たいへん有意義でした!

気象庁によって日本語に訳された「IPCC第4次評価報告書第1作業部会報告書」の「政策者決定者向け要約」(Summary for Policymakers:SPM)を読み込んでいくわけですが。

IPCC第4次評価報告書第1作業部会報告書政策者決定者向け要約@気象庁

10時半から始まり、15時半に終了の予定が、結局17時まで延長。にもかかわらず、読了したのは5ページ半ばまで、つまり、「気候変化の人為起源及び自然起源の駆動要因」というセクションのみでした。

[第一回]SPM日本語訳:セクション一覧と関連用語(PDFファイル)

スローペースの謗りは否めませんが、各々の脱線話も面白いし、スタートはこんなものかなと思います。

それに、これ、安易に構えていたのでは読めないです。もちろん日本語なので音読できるわけですが、詳細に内容を検討するにつれ、自分がまったく読めていないことがよくわかります。特に文系のワタシにとって、この会は非常に有意義だと再確認。

当該セクションの概略文をコピペ。

大気中における温室効果ガスとエーロゾルの量の変化や、太陽放射や地表面特性の変化は、気候システムのエネルギーバランスを変化させる。これらの変化は放射強制力として表現され、人為起源及び自然起源の要素が地球の気候に引き起こす、広範な温暖化あるいは寒冷化の影響を比較するために用いられる。第3次評価報告書以降の、温室効果ガス、太陽活動、地表面特性及びエーロゾルのいくつかの特性に関する新しい観測と関連するモデリングが、放射強制力の量的な推定の改善につながった。

あはは~

というわけで、ワタシにとって新しい知見というのは、お恥ずかしいぐらいキリなくあるわけです。

(地球の)エネルギーバランスと放射強制力の話や、終了間際に盛り上がった「エネルギー問題」の雑談についても、いずれエントリーしたいのですが、本日は、昨夜観たTV番組に衝撃を受けて、雲の話を。

はい。昨夜いつものようにTVをつけました。すると、『スーパーストームの真実』というドラマがNHKで始まっていました。これはかなり衝撃の内容でした(証言コメント風に

「雲のバラマキ」でしたっけ?チラ観していて、実は途中で寝てしまい用語を忘れましたが(ひと晩寝ると忘れ去る脳)、「雲のタネ」をばら撒き、人工的に雲を発生させることによって、巨大嵐の進路を変えるというストーリーでした。以前から「気象操作という技術」は実際に検討されていると聞いたことがあります。それは阪神・淡路大震災に絡むゴシップネタのようなものでしたが。

ところが、このドラマ。昨日の「読む会」で出てきた(ワタシにとっての)新しい知見と、見事にガッチャンコとリンクしました。

コピペしたSPMの概略文の最初のほうに「エーロゾル」というのが出てきます。皆さん、何だかわかりますか。こういうときにインターネットは便利ですな。

浮遊粉塵@フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

黄砂・エーロゾル@気象庁

用語集(エーロゾル)@作成元不明

いまいちわかりませんでしたが

ちなみに、英語ではAerosolsと綴ります。語彙集(グロッサリー)を訳した際に、これを「エアゾール」と訳したために、実はワタシの中ではクェッションマークが山盛りでした

エアゾールの歴史@作成元不明

「エーロゾル(あるいはエアロゾル)」と「エアゾール」は全く違うようですね。というか微細な粒子を発生されるというだけで、この機能を「エアゾール」と名づけたわけでしょうな。

で、環境・気象関連で、近年になり重要視されてきたこの現象を説明する場合、日本語訳を同じにすると紛らわしいため「エーロゾル(あるいはエアロゾル)」にしたというのが真相?憶測ですが。

と余談でしたが、つまりエーロゾルは何かと簡単に一言で言えば、「雲の凝固核になるもの」だそうです。SPM(5ページ)によると、「主に硫酸塩、有機炭素、黒色炭素、硝酸塩とちり」で、「雲の寿命と降水に影響を与える」とのこと。そして、直接的にせよ間接的にせよ、これは地球温暖化ではなく、「寒冷効果」を生み出すと理解されているようです。言い換えると、マイナスの放射強制力を持つということ(図-SPM2)

うーん。うーん。うーん。うーん。←悩んでる

これは一瞬、温暖化阻止に役立ちそうですねぃ。太陽からの入射を遮る「日傘効果」という言い方もあるそうですから。

しかし、そもそも地球には「エネルギーバランス」という神のシステムがあるので、やっぱりこんな人為な、しかも「日傘」などということでは無理でしょうねぇ。むしろ、太陽光の遮りという現象は、自然エネルギーである太陽エネルギーの恩恵をも失くしてしまうことに繋がらないとも限りません。余談ですが、これは、激論になった「エネルギー問題」とも関わってくる話のような気がしてきました。

基本的に、人間・動植物の環境にとっては、エーロゾル(人為起源)は排除すべきものと言えるのではないでしょうか。

追加:雲のできる仕組み@松江地方気象台ウェブページ

んで、昨夜のTVドラマ『スーパーストームの真実』に戻ります。もちろん、これはアメリカ国土に莫大な被害をもたらすハリケーンの阻止ということがテーマなのですが、「雲のタネ」として何が使われていたのか。

本日(9月16日)の深夜、ドキュメンタリーパートが放送されるようなので、じっくり観てみようと思います。

国際共同制作ドラマ・スーパーストーム(全3回)@NHK 

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
雲のタネ (チャオ)
2007-09-29 07:50:12
衝撃を受けました。
雲がふわふわした夢ではなく破壊の雨を降らせている!
生きているのが息苦しい感じがしてきました。
いいのでしょうか、エネルギーバランスはもう崩れすぎなのではないでしょうか。
返信する
雲は不確実要因 (hamarie_february)
2007-09-29 21:06:28
チャオさん、はじめまして。
コメントありがとうございます。

地球の気候を予測する際に、雲は最大の不確実要因だそうです。

温暖化という観点からは、雲あるいはそのタネであるエーロゾル(人為起源)は、寒冷効果を生むそうなのですが(普通に考えても納得ですね)、おっしゃるように、副作用というか別の形での影響が多くありそうです。

「スーパーストーム」はご覧になりましたか。1回目の作戦で撒かれたのは、たしか「ヨウ化銀」で、2回目の作戦で撒かれたのは「炭素」だったようです。ドラマはフィクションでしょうから、どこまでが現実の技術として可能な話なのか気になります。

ワタシは寝てしまったためにドキュメンタリーパートが観れてないので、もしご覧になっていたら教えてください。
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人工降雨実験 (H口)
2007-09-30 23:11:24
スーパーストーム、、、おもしろかったですね(笑) いや、笑えないネタですが。

ちなみに日本の人工降雨実験は我がパートナーが少し絡んでいます。もちろん、純粋なメカニズム研究+少雨対策研究です。今度、サイエンスカフェででも話してもらいましょうか。
まぁ、彼は中心人物ではないので、もっとふさわしい人を。
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日本でもやってるんですね (hamarie_february)
2007-10-02 17:49:48
H口さん、コメントありがとうございます。
驚きました。日本でもやってるのですね。
ぜひぜひサイエンスカフェでやってください。
「中心人物」でもいいですが、
H口さんのパートナーさんもぜひ!
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