Blog Action Day用のエントリーです。ゴアさんやIPCCさんがタイミング良く(笑)ノーベル平和賞を受賞したりして、その関連にしようかと思ったのですが、時間がないので、簡単に。すんません
1993年に制定された日本の環境基本法は、「環境保全」「環境への付加の少ない社会発展」「地球環境保全のための国際協調」を定めています。
そこで気になっていたニュースから、ご紹介。長くて申しわけないです。
ブラウン管TV:地デジ移行で需要急減…リサイクル危機@毎日jp
使用済みブラウン管テレビのリサイクルが危機に陥っている。液晶やプラズマの台頭でブラウン管の需要が急減し、頼みの中国への輸出も難航している。地上デジタル放送への移行でテレビの「脱ブラウン管」が進む中、このままでは行き場を失いかねない状況になっている。【江口一】
「とにかく中国が受け入れるよう、お願いするしかない」。電気硝子(がらす)工業会の勝田忠男専務は現状を説明する。ブラウン管テレビは01年4月施行の家電リサイクル法により、総重量の55%以上を再商品化する義務がある。重量の約6割はブラウン管で、その再利用が必須だ。細かく砕いて「精製カレット」にし、それを原料に再びブラウン管を作る方法がとられてきた。
問題はブラウン管テレビの需要が国内で激減していること。家電製品協会によると、00年は国内で出荷されたテレビ(約1000万台)すべてがブラウン管だったが、05年には半数以上が液晶、プラズマになり、10年にはブラウン管の出荷がゼロになる見通し。日本電気硝子、旭硝子のブラウン管メーカー2社は昨年までに国内製造から撤退し、国内でのリサイクルは不可能になった。
その後は両社のタイやマレーシアの工場にリサイクルを委託していたが、旭硝子は今年6月、タイでの生産を中止。「日本電気硝子のマレーシアや韓国の工場で何とか処理している」(勝田さん)という。だが、地デジに完全移行する11年にはブラウン管の処理量が現在の4倍以上の年間約27万トンになるとの予測もある。
打開策として家電メーカーが目をつけたのが中国への輸出。中国では11年でも約2000万台のブラウン管テレビの生産が見込まれる。しかし、中国側のリサイクル設備が整っていないことや世界的にブラウン管離れが進み始めたこともあり、同工業会などが昨秋から進めている中国側との輸出交渉は難航している。
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一方、ブラウン管以外へのリサイクルには、ブラウン管が有害な鉛を約25%も含むことが大きな障害になっている。
産業技術総合研究所の依田智・主任研究員(超臨界流体工学)らは、約280度、100気圧の超臨界アルコール中でブラウン管のガラスを処理し、鉛を分離して無害化する手法を開発した。しかし、処理速度が極端に遅く、「費用や投入エネルギーは恐ろしくて試算できない」(依田さん)ため、実用化できない。
鉛を含んだままのリサイクルも、板、瓶、蛍光灯、食器、レンズ、セメントなどで検討したが、いずれも「不可」。住宅の断熱材用ガラス繊維や廃バッテリーを再利用する際の原料などの用途は見つかったが、05年度に必要なリサイクル量の約6分の1だった。
環境省の西村淳・リサイクル推進室長は「ブラウン管の処理が困難になっていることは認識しているが、再利用しやすい製品を作るのがメーカーの義務でもある。国境を越えた再利用制度の構築や技術開発の努力をしてほしい」と話している。
毎日新聞 2007年10月9日 12時36分 (最終更新時間 10月9日 13時08分)
うーん、地デジに移行するって話と並行して対策やら技術開発やらが進められてこなかったんですかね?何で今頃?という気がするんですが?リサイクル推進室長の言ってる意味も全くわからないんですが?
もちろん、廃棄物の減量化は、良好な生活環境の維持と経済の持続的な発展にとって重要な課題で、よく知られるように「廃棄物の発生を抑制(リデュース)すること、使用済み製品の再利用(リユース)を図ること、排出された廃棄物に対して、極力、再商品化等(リサイクル)を推進すること」の3R原則がありますが、なかでももっとも重要な原則は「リデュース」だというのはわかります。
つまり、リサイクル推進室長さんの「再利用しやすい製品をつくるのがメーカーの義務でもある」というのは、そういうことですな。
理念法として制定された「循環型社会形成推進基本法」が掲げるように、循環システムには生産者が最も大きな責任を持つのが当然。例えばOECD(経済協力開発機構)が提唱するERP(拡大生産者責任)は、メーカーの廃棄物処理の責任を明確にしています。
核のゴミに代表されるように、こういった廃棄物の多くは「外部不経済」的に地方・農村部に押しつけられてきています。
「とにかく中国が受けいれるようお願いするしかない」って、電気ガラス工業会のおエライさんが言うてますが、どういうことですか!?
あー、日本の環境基本法は、「地球環境保全のための国際協調」を定めてますからねぇ...なんでやねんっ!
「国境を越えた再利用制度の構築」って、ただの国外への問題丸投げじゃないですか(呆)
こんな地デジなら、TV無しで生きてやりますっ
衝撃的な情報ありがとうございました!
ウェブを見せてもらいましたが、地デジ購入を検討されているのですか?
新しい技術の導入で引き起こされる廃棄物問題がいずれ重大な環境問題になるかもしれないですね。
ゴアやIPCCのノーベル平和賞受賞や、北極の氷の話など、全地球的な話題ばかりが華やかしいのは、「目くらまし」じゃないのかとひねくれ者としては勘繰ってしまいましたので、あえて取り上げました。
こういった気づきを与えてくれるジャーナリズムの記事には感謝です。
地デジのよさばかりを強調したサイエンスカフェ(!?)もあったようですが,私はもっと地デジのあり方そのものを問い直すカフェがあってもいいと思いますがねえ.それがたとえサイエンスカフェと呼べないといわれても.
おとついは「ガリレオ」を観てしまったし、国会中継も最近クセになってます...いやぁ観れないのはツライなぁ。
でも!基本的には正義の人(笑)なので、これが解決されない限り、地デジには移行しないかもしれません!
家電量販店のリサイクル法違反も多く発覚してますが、こういった端々の話よりも、国内で規制された物質を、未だ規制されていない海外へ流すというシステムが温存されていることの方が問題だと思います。
薬害なんていうのは、ほぼその構図じゃないかと思っているのですが、どうでしょうか。