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読書日記-「リベラルとは何か」 田中拓道 著

2022年11月19日 | 読書

私のブログで、政治向きの話をする際に、自分のスタンスをリベラルと定めた方が、結論に結びつけやすいことに、最近気付いた。

リベラルは、個人の自由を最大限に認め、政府による制限を最少にしたい立場。
最大限の自由を得て、個人個人が自由に自らの幸福を追求することで、経済は活性化し、結果として、社会全体の利益にもなるとの信念を抱く立場。
一方、保守主義は・・・と書きかけて、自粛。
この本には、リベラルに対抗する立場として、保守主義を配置し、一応定義も書いてあったのだけど、自分と異なる立場の人を勝手に定義するのは、どうしても偏見が入ってしまい、失礼な文章になってしまう。

この後、「保守主義とは何か」を買うかどうか迷っているのだが、自分と近いリベラルを定義する本を読むのにこんなに苦戦したのだから、「保守主義とは何か」なんて転げ回って否定したくなる苦しい読書になるのが目に見えている。

まあ、自分の立場と言い訳は、これくらいにして、本を紹介しましょう。

この本は、まずアメリカとヨーロッパを中心に、フランス革命以降の、リベラル思想の発生から、各時代の主要なリベラル思想家を紹介し、各時代の課題と、それに対し、リベラルはどう答えを出して来たかを紹介します。
19世紀、20世紀の政治思想家をほとんど知らず、非常に勉強になりました。
また、私が疑いもせず常識だと思っていたことが、一つ一つ時代の課題を解決する中で、丁寧な議論を重ねて、生まれてきたことが理解できて、面白かったです。

特に後半、最近岸田総理が否定したことで話題となった新自由主義について、かなりの枚数を割いており、新自由主義は、思想の流れとしては、保守主義に属するのですが、リベラルの弱体化の主因として、詳しく考察されています。

私がついつい小泉元首相に投票してしまいましたが、これがその後の格差社会に結び付いてしまったかと、未だに後悔しております。
当時は護送船団方式の廃止とか、公共事業の民営化とか、リベラルの望む政策を先取りする形で、その改革は当時のリベラル層にも多いに受けるものでした。

結局、リベラルはその役割を終え、時代の表舞台から去る古い思想なのかという私の疑問には結論を与えることなく、日本の保守vsリベラルの対立を最終章で記述しますが、これを読んで思ったのは、日本のリベラルはリベラルでなく、保守は保守でなく、みんな原理原則を無視した、ご都合主義的政策を打ち出しているだけ。
安倍首相が「リベラルよりもリベラルな政策」と胸を張ったエピソードがありますが、本来リベラル政党が実施すべき政策を保守代表の自民党が率先して実施しており、逆にリベラル政党は、リベラルとして本来突き詰めるべき政策を追いかけず、与党批判のみに終始している。
これは日本でリベラルが嫌われるわけだと納得しました。

私も勉強不足でしたが、日本中のリベラルがもっとしっかり読んで理解すべき、教科書的名著だと思います。



最後に一曲。中島みゆきの「シーサイドコーポラス」をXXkurageさんのカバーでどうぞ。




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