6月10日は、「時の記念日」だそうです。時間というものは、人間のいとなみとは、
まったく関係なく存在しているのでしょうか。
村上春樹短編集を読んでいます。そのなかに、「イエスタデイ」という作品が
あります。田園調布育ちで、関西弁をはなす男と、芦屋育ちで東京弁をはなす男との
交流の物語です。芦屋育ちの彼は、カローラに乗っているらしいので、たしか、万博へ
いったころ、「となりの車が小さく見えます。」というCMがながれていたので、そこそこ
前の話かと思われます。関西弁をはなす男が「イエスタデイ」を関西弁にして歌っていた
ところからはじまるのですが、やはり、おもしろい物語です。
今、私は、「イエスタデイ」を聞くと「アルツハイマー」を思ってしまいます。
昨日まで、あんなにうまくいっていたのに、今日は、わたしの記憶から突然、どこかへ
消えてしまう。何もわたしに告げずに、消えてしまった、わたしの記憶は、どこへ行って
しまったのだろう。もし、神様が存在するのなら消えていくわたしの記憶にせめて
長い糸をつけておいてください。
そして、自分の力で引き戻してみたい。
何十年もかかって蓄積した私のデータを返してほしい。
そんなことを思う時の記念日です。