マグロ船に乗ってた さとちゃん

なんか、すがすがしい朝だった、ここにきてどのくらいの時間がたったのか

それすら忘れている

今日もやることがないね、

小さな音でNHKが流れているいつもの番組だ　誰も見ていない

いや、音声だけはみんな聞いているので　急に話題になるときがある、

再放送が多い

これ見たな、

今日も暑そうだね、

怠そうな会話があいさつ代わりのように交わされる

部屋にはいられないよ、扇風機は役に立たないな、

そんなわけで　自然に涼を求めて唯一エアコンの入っている待合室に

集まってくる

此処は情報収集にはいい場所で　やることのないゲスト（沈没者）常時暇を持て余している

このゲストハウスも日本人専用で　きれいとは言えないが居心地は良かった

その為か　年齢の言ったゲストが目立つ　25歳くらいから60歳代まで様々だ

その中に　さとちゃんはいた　

今日もいつもの椅子に座ってテレビを流している（見ていないが目が向いている）

おはよう、

おう、おはよう、

さとちゃん、今日は？

なし、

そうか、俺は出かけるよ、

どこに？

あそこ、

またか、金あるな、

ひな壇見ないとね、もう10日ばかりお暇してるしさ、

この時間？まだ早いだろ、

まだ行かないよ、今日は昼過ぎにいこうかと、

何、早すぎてだれもいないだろ、

いや、それがね、

ほら　案内役の男いるだろ、

アテンダントか？

早々　それそれ、仲良くなってさ、奴俺が行くと必ず来るんだよ、

流暢な日本語でさあ、いらっしゃい、今日は誰、指名か？てね、

いつものことだろ、

そう、ところがね、コーラをおごって世間話をしてたらさ、

今日はまだ少ないからね？　あなた、来たの早すぎるよ、

時間が早すぎたか、

そう、早すぎるね

じゃ、午後５時ころかな？いいのは、

いや、まだ早い　あなたは好きだね、

じゃ、、また来るか？

そうね、また来るね、

向かいをみてくるよ、

同じよ、まだ来てないよ、

じゃ、

待て待て、ちょっと待って、

なんだよ、

見せてあげる、特別だよ、来て、

急に立ち上がると、ほらほら早くと招かれた

黙ってついていくとひな壇の横に小さな扉がある　彼はそのドアを開け中に入り

私に手招きをした

ハイハイ、早く来て

怪しい　これは怪しい　と思ったが怖いとは感じなかった、

なんだ？　興味が先になる

 中に入ると数人のスタッフが目を向けた、思わず、愛想笑い・・・、

ゆったりというのか、まったりというのか鏡に向かって自分を見ている、

化粧をするにはまだ時間が早いのか？

これ、楽屋？

狭い通路を、彼女たちの背中を見ながら奥に入っていく、

どうしても目が激しく左右に動く、意識しても止まらない

口紅、おしろい、香水の匂いが鼻につく、結構年齢がいっている娘が多い気がした

これが、夜になると蝶に変わるのか（心の中でつぶやく）

昨日は客が取れなかっったのかな、この時間に出勤してるようでは、

ドンドン中に入っていく、が誰もいない、好奇心が沸き起こるがここまだでだった

ね、まだ来てないでしょう、

そうだね　

俺はレア・未使用品、美品も多数品揃えだから、限定品や入手困難なものも見つかるかも。

掘り出し物探そうと考えてもいたことが、甘いことだと知らされる

いかんせん・・・・少ない

いいかい？

良いよ、

楽屋を出た、じゃ、また来るは、となり見てくる、

店を出た、

 

そんなことがあってさ、今日も楽屋が見られるかと思ってね、

時々若い子がいる、ビューティーなね、と奴が別れ際に行ってたから

この次は、良い娘紹介するよ、

よろしくね

そう言い残して店を出た、

ムーーとした暑さが身体を包む　大通理は車が渋滞している　向かいの店は通りの

真向にある　通りを横切ればすすぐだが車が渋滞している横をバイク（モーターサイ）が

右　左とくるくると走り抜けてきて危険だ

廻り道になるが、歩道橋を渡ることにする　この暑さで異常に高い（２階くらい）階段を

歩くの難儀だった

大汗をかきながら隣の店に行ったが状況は変わらなかった、

今日はソイカーボーイにするか？

 

そんなことがあってさ、

そう、いいね、金がないからな、俺　無理だ、

まだ行くのは早いな、

飯は？まだなの？

まだだよ、

たまにはさ、魚が食いたいよね、生の刺身なんかいいね、

此処じゃ無理だろ、

ですね、

昔ね・・・・・・・俺、

マグロ船に乗ってたんだよね、辛かったな、

マグロってなのマグロ、刺身になる奴、

そう、２３歳のころ悪さしてさ、怖いやつに責められてね、逃げ場がなくて

相談した相手が、

海外に逃げない？金になって、逃げられて、時間も