1973年の①のつづき
『1973年のピンボール』村上春樹著 講談社より
ある日、何かが僕たちの心を捉える。なんでもいい、些細なことだ。
(中略)二日か三日ばかり、その何かは僕たちの心を彷徨い、
そしてもとの場所に戻っていく。・・・・・・暗闇。
「彼女(ピンボール)と僕の会話」
なんだか不思議ね、何もかもが本当に起こったことじゃないみたい。
いや、本当に起こったことさ。ただ消えてしまったんだ。
辛い?
いや、と僕は首を振った。無から生じたものがもとの場所に戻った、
それだけのことさ。
「双子を見送る僕と双子の会話」
「何処に行く?」と僕は訊ねた。
「もとのところよ。」
「帰るだけ。」
初めてこの本を読んだのは5年ほど前で、
私は主人公の僕や鼠とちょうど同じ歳だった。
だからなのか、上の引用部の文字通りの状況に共感した。
興味を持って買い集めたものに、いつか興味を失う。
新しく仲良くなった人とは、いつか会わなくなる。
でもその通り過ぎていったものや人は始めはなかったものだから、
結局元に戻っただけだよね~って思った。
だけどね。
今読み返すと、違う印象を持つ。
この本は決して喪失感だけを表現しているのではない。
③へつづく
『1973年のピンボール』村上春樹著 講談社より
ある日、何かが僕たちの心を捉える。なんでもいい、些細なことだ。
(中略)二日か三日ばかり、その何かは僕たちの心を彷徨い、
そしてもとの場所に戻っていく。・・・・・・暗闇。
「彼女(ピンボール)と僕の会話」
なんだか不思議ね、何もかもが本当に起こったことじゃないみたい。
いや、本当に起こったことさ。ただ消えてしまったんだ。
辛い?
いや、と僕は首を振った。無から生じたものがもとの場所に戻った、
それだけのことさ。
「双子を見送る僕と双子の会話」
「何処に行く?」と僕は訊ねた。
「もとのところよ。」
「帰るだけ。」
初めてこの本を読んだのは5年ほど前で、
私は主人公の僕や鼠とちょうど同じ歳だった。
だからなのか、上の引用部の文字通りの状況に共感した。
興味を持って買い集めたものに、いつか興味を失う。
新しく仲良くなった人とは、いつか会わなくなる。
でもその通り過ぎていったものや人は始めはなかったものだから、
結局元に戻っただけだよね~って思った。
だけどね。
今読み返すと、違う印象を持つ。
この本は決して喪失感だけを表現しているのではない。
③へつづく