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Feelin' Groovy 11

I have MY books.

1973年の②

2004-11-06 | 村上春樹
1973年の①のつづき


『1973年のピンボール』村上春樹著 講談社より


     ある日、何かが僕たちの心を捉える。なんでもいい、些細なことだ。
     (中略)二日か三日ばかり、その何かは僕たちの心を彷徨い、
     そしてもとの場所に戻っていく。・・・・・・暗闇。


 「彼女(ピンボール)と僕の会話」

     なんだか不思議ね、何もかもが本当に起こったことじゃないみたい。
     いや、本当に起こったことさ。ただ消えてしまったんだ。
     辛い?
     いや、と僕は首を振った。無から生じたものがもとの場所に戻った、
     それだけのことさ。


 「双子を見送る僕と双子の会話」

     「何処に行く?」と僕は訊ねた。
     「もとのところよ。」
     「帰るだけ。」


初めてこの本を読んだのは5年ほど前で、
私は主人公の僕や鼠とちょうど同じ歳だった。

だからなのか、上の引用部の文字通りの状況に共感した。

興味を持って買い集めたものに、いつか興味を失う。
新しく仲良くなった人とは、いつか会わなくなる。
でもその通り過ぎていったものや人は始めはなかったものだから、
結局元に戻っただけだよね~って思った。
  
だけどね。

今読み返すと、違う印象を持つ。
この本は決して喪失感だけを表現しているのではない。

③へつづく




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