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Feelin' Groovy 11

I have MY books.

大事なこと②

2005-02-28 | 村上春樹
   「(前略)でもくりかえすようだけれど、僕には僕の人生があるし、
    好きなものもあれば嫌いなものもある。仕方ないじゃないか」
   「でも人を傷つけるわ」と妹は言った。
   「どうして努力しようとしないの?どうしてものごとの良い面を
    見ようとしないの?どうして少くとも我慢しようとしないの?
    どうして成長しないの?」
   「成長してる」と僕は少し気持を傷つけられて言った。
   「我慢もしてるし、ものごとの良い面だって見ている。
    君と同じところを見てないだけの話だ
                      (『ファミリー・アフェア』村上春樹著)


皆が同じところを見ているわけではない、ということを知っていれば
多少のことは我慢できそうである。
願わくは、いろんなところを見る努力をしたい。

昨日見てしまったもの②

2005-02-26 | その他
昨日の出勤中
道を横切ろうとしているおばさんを発見したために
車の運転で「歩行者の妨害」が交通6悪の1つだというし
信号がないけれど一時停止すると
犬を連れて頭をさげながら渡って行った。

渡りきったところで犬は
水溜りを跳ぶように勢いよく跳ね上がっていた。
これまた見事なウッキウッキぶりだった。

前回の犬より、跳ね上がり方が尋常じゃなかった。

そなたは一体何がうれしいのか。
はたまた絶対に踏みたくないものを直前に気づいて慌てて跳び越えたのか。

いつもの如く、車の中から確認できる範囲は限られていて
想像だけが広がるばかりである。



誤記憶について

2005-02-20 | 
「言葉の通り、誤った記憶、ということです。つまり、実際には体験しなかったことを、
 さも体験したかのように記憶しているわけですね。見たことのないものを見たと
記憶している、会ってない人と会ったことを記憶している、習ったことのない架空
の国の言語を、ペラペラとまくしたてることができる」

そして「記憶のほとんどが、次々に生み出される誤記憶で構成されている」患者も
いるという。「覚えていることのほとんどが、実際になかったこと」なのだ。
それを聞いた主人公は次のように言っている。

「それじゃあ、その人というのは、この現実とは全く無関係に、別世界に存在している
 ということじゃないですか。それってつまり、その人はこの現実の中には存在して
 いないというのと同じじゃないですか」
                        (「」部は『シナプスの入江』清水義範著) 



私たちにも経験のある「既視感(デジャ・ヴュ)も、誤記憶の一種」だそうだ。
これは少しショックだった。
「既視感(デジャ・ヴュ)」はかなり具体的に記憶しているのにこれが「誤記憶」
だったならば、それと同レベルで普通に記憶していることも誤記憶ではないか
と疑ってしまう。
今まで生きてきたという証明は記憶によって裏づけられているとすると
先回「存在について」に書いたように、他人が自分の存在を証明してくれたとしても
その他人が実は誤記憶で作られた存在だったならば何の証明にもならないのだ。

作者によるあとがきに「読んだ人がふと自分の存在に不安を感じてくれれば嬉しい」
とあるが、その意図は成功していると思った。

誤記憶をつかさどる脳を解明すれば、マトリックスの世界も現実となるね。



Maybe

2005-02-13 | 音楽
『誕生』は、たまたま家にシングルがあったので聴き流していると、
C/Wの『Maybe』の歌詞が気になってしまった。


   Maybe 夢見れば Maybe 人生は
   Maybe つらい思いが多くなるけれど
   Maybe 夢見ずに Maybe いられない
   Maybe もしかしたら

この「Maybe」という言葉は、そもそも曲のタイトルであるし
サビの歌詞をリズミカルに仕上げている張本人(その繰り返しにより
CFのイメージソングとしては効果有)であるからして
この曲の重要な言葉であるが
歌詞を冷静に読むと明らかに「Maybe」は不要である。
「もしかしたら」ではなく「絶対に」だから。

だがこの曲は私の18歳時代を支えた曲。
敢えて「Maybe」を挿入した意味を考えた。

直接受け止めるにはつらい現実がある。
そこで「Maybe」という言葉を文の始めに付けて思い直すと
その現実がある程度緩和される。
また下記の歌詞のように自分に言い聞かせる時にも利用できる。
分かっているけど知らないフリをする時に使える言葉なのだ。

   なんでもないわ私は大丈夫 なんでもないわ私は傷つかない
                 (『Maybe』の歌詞の一部)

強いフリをして生きていかなければならない私たちには絶好の言葉だな。
ん~そう考えるとやはりハズせない言葉だった。

それにしても・・・↓

   文章を書くことは楽しい作業でもある。生きることの困難さに比べ、
   それに意味をつけるのはあまりにも簡単だからだ。
    (中略)
   それが落とし穴だと気づいたのは、不幸なことにずっと後だった。
                   (『風の歌を聴け』村上春樹著)
   
『Maybe』の歌詞全体の確認はこちらへ

誕生

2005-02-12 | その他
一昨日、姉の子が産まれた。
義兄のお母さんが赤ちゃんを抱いて
「みんな待ってたんだよ」と言われた瞬間
中島みゆきの『誕生』の歌詞の一部を思い出した。

   Remember 生まれた時だれでも言われた筈
   耳をすまして思い出して最初に聞いた Welcome

歌を聴いていた当時は頭で理解した内容だったけれど、
今日はひしひしと実感した。
この子はみんなに産まれてきたことを歓迎されていると。

2度目のサビの続きはこうである。

   Remember けれどもしも思い出せないなら
   私いつでもあなたに言う 
             生まれてくれて Welcome

私は今日のことをいつまでも覚えていて、
必要な際は話してあげようと思った。

『誕生』の歌詞全体の確認はこちらへ