ID物語

書きなぐりSF小説

第36話。雨の日に。2. 雨のトースター号

2011-01-23 | Weblog
 (地上に出る。しとしとの雨。結構降ってる。レイとマグネが付いてきた。なぜこの2機かの理由は不明。)

レイ。誰も傘差さないのね。

芦屋。普段は差す。今は警備の調査だ。

清水。誰か来た。

マグネ。土本だ。

 (土本がやってきた。手に入れたばかりの制服を着て。)

清水。やっぱり似合ってる。

土本。ありがと。着心地もいい。カツラがあるのに、何のためのヘルメットとかと思ったけど、こんな時に使うんだ。

芦屋。制服はどうだ?。雨でも平気か。

土本。うん。いいプレゼント。多分、波しぶきも平気。よくできている。

羽鳥。制服の予算はどこから出てるんだ。

清水。基地の維持費用から。だから、貸し出し。

 (地下基地のための機材置き場は縮小し、今は整備場の一角に収まっている。そのかわり、滑走路と駐車場の工事が開始されている。見回りのために作られた、仮設の通路を歩いている。むき出しの土で、雨にぬれて滑りやすい。)

羽鳥。靴までよくできている。単なる衣裳じゃないな。

芦屋。もともと、戦闘用だろう?。

清水。アニメのだけど。

羽鳥。悪乗り。

清水。デザインしたのは、悪乗りするので、有名な部署よ。

羽鳥。必死で調べたんだ。

芦屋。そんな感じだ。

羽鳥。トースター号は使えるのかな。

芦屋。試してみよう。

 (駐車場に行く。トースター号は幌がかかっていた。)

芦屋。さすがに大手メーカー。中は濡れてない。

羽鳥。だが、濡れずに入るのは不可能だぞ。

土本。こんな日に役立たずじゃ、話にならない。使ってみよう。

芦屋。キーを取ってくる。

 (モグ班の技術者が一人付いてきた。乗り心地を観察するためだ。雨合羽を着ている。レイは空中サーフボードで、上空からお付き合い。
 幌を取る。ドアのないオープンカーだ。乗り越えて入る。運転席には羽鳥が陣取る。)

羽鳥。シートは頑丈なビニール製。でも、床に水がたまる。

土本。水陸両用車じゃなかったの?。

芦屋。オフロード性能はあったはずだ。

羽鳥。場内を走ってみる。

 (起伏のある未整備地。サスペンション等はよくできている。難なく凸凹を乗り越える。)

羽鳥。こりゃいいや。

土本。普通の走行は。

羽鳥。レジャー用じゃないってか。

土本。何か作業するとき、どうするのよ。

 (停車して、全員降りる。その間に、雨が入る。床に水がたまる。)

羽鳥。杓がいる。スポンジも。

土本。買い出しに行こうよ。

 (国道に出て、カー用品店に行く。必要そうな機材を買う。基地に向かう。)

土本。雨の日はあまり快適ではない。

羽鳥。あくまでレジャー用だな。

清水。それは困ります。作戦で使えないと。

土本。もちょっと経験してみるか。海に入るぞ。

 (東京湾だから、それほど波は立ってないけど、普通に揺れる。)

土本。幌を取るぞ。

羽鳥。何か作業を考えてだな。

土本。もちろん。

 (雨は入ってくる。この程度の波でも、しぶき程度は入る。床が水浸しになり、スポンジで吸い取って、杓ですくいだす。)

土本。改良した方がいい。

芦屋。これじゃ、使えない。

羽鳥。作戦に使うつもりだったのか?。

清水。当然よ。

技術1。船舶に詳しいところと相談してみます。

 (モグ班は、トースター2号の設計に入った。1号は晴天時のオフロード性能がよいので、ラインナップには残すことになった。)