うろんな本屋の日常

本と本屋とその周辺

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スローリーディング②

2006-08-29 06:28:17 | 
前回のスローリーディングはウラ☆ゲツブログ(@月曜社)で触発されて書いたのだけれど、今回も同じく、おなじ記事に出ている、平野啓一郎さんの本について。

平野啓一郎「本の読み方」PHP新書

芥川賞作家でもある平野さんはいまどき珍しい骨太な小説を書く人だけど、その人が本の読み方を書いた。といってもこの本は全然難しくない。
曰く、いろんな本を薦める本は出ているけれども、本の読み方をきちんと教える本はない。多く読書がつまらないというのは、本当の本の読み方を知らないからだという。
最近は雑誌にしろ単行本にしろ、もちろんブログでも本を薦める媒体は非常に多い。しかし本の読み方は「速読」以外に多くない。というかない。
しかし、平野さんは「量から質の読書」への転換をすすめる。

「『オレは本を何百冊読んだ!』と言っても、『で?』と笑われるのがオチだ。しかし、『オレはあの本のあの一節にムチャクチャ感動した!』と言うのは。単純にカッコイイし、その人の人間性について、多くを伝えてくれるだろう」(P35)

まったくもって同感と言うしかない。
それでは「質の読書」とはどういうものか。もちろん、こうしないといけないと言う方法(こうしないとイケナイというのはやはり読書の自由を狭める)はなくて、一例が示されている。これがとても参考になる。ただ、音読はだめである。理解するよりも音読する方に気がむいて、うまく音読したらOKとなってしまうからだそうだ。さらに読み返しが出来ない。黙読で、ゆっくり、味わって読む。線を引きながらでもいいし、疲れたら休憩する。そうやって、一冊の本を味わう。

本を多く読むと分かるのは段々とこういう読み方になっていくということだ。ときどき、この本だけは分かりたい。理解したいと思うことがあって、そのときは意図的にゆっくり読むし、気になって読み返す。線を引く。ページの耳をおる。そう言う読書をした本はとにかく心に残る。人にも勧められる。
そう、人に勧めるのって難しい。あ、これ面白いよ。っていっても誰も読んでくれない。自分の面白かった部分(全体ではなくて)を話すと、反応がよい。職業柄そう言う機会があるのは、読書力(あ、齋藤孝)を鍛えるのに役立っている。

そう思って、先日読んでいたく心に残ったカズオ・イシグロ「わたしを離さないで」(早川書房)を読んだ。そしてびっくりした。こんなにすばらしい小説だったのかと。文体は抑制されていて、驚きの展開を見せるのだが、最初読んで分からなかった緻密なプロットが至るところに隠されていて、この本が話題になる理由が分かったし、この本をもっと理解したいという欲望に駆られた。ということで、この本のことを後日書きます。自分の中でまだ十分に消化できていません。
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3 コメント

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Unknown (まんぼうちゃん)
2006-09-01 07:01:42
スローリーディングはなかなか難しそうですね。読みたい本はたくさんある(しかも本棚に買ったまま放置してる)のに、1冊のほんをじっくり腰をすえて読むというのはなかなか。まだまだ人生先は長いと割り切って本棚に溜まるのも気にせずにじっくり読んでいければいいですが。

ちなみに僕は遅読ですが、スローリーディングとはマッタク関係ないですね。ただ、遅いだけ・・・。
Unknown (carpcco)
2006-09-02 01:39:38
平野啓一郎「本の読み方」PHP新書



ちょうどこれ買う人見ました!

私も量から質へ転換しようかなぁ。

っていうほど読んでないけど…。



いろんなこと知りたくていろんな本読みたいんですけど、どこから手をつけていいか分からず。。



このブログの管理人さんが羨ましいです。悔しいけど(笑)
本の選び方 (gravity-rainbow)
2006-09-02 09:01:27
>carpccoさん

まあ、悩ましいところですね。

何から読むかなんてのはあんまり考えない方がいいと思います。基準もありません。入門書から読むのはばからしいし、かといっていきなり難しいのからいくのも。小説は特に。読書遍歴(なにを読んできたか)というのはある程度その人を体現します。

スローリーディングは網羅的な読書には否定的ですが、自ずとそうなってくると思います。

ただ堅いことを言わずに、まず1冊手を付けて、その1冊の本で完結するのではなくて、その本から次の本に繋げていく、そういう読書を僕はしてきました。

思いっきり悩んでください。

「いろんなことが知りたい」、すばらしいじゃないですか。

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