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上五島住民新聞ブログ版

みんなで町政と自分たちの町を考えるインターネットスペース。新上五島町より発信。

お知らせです

2005年11月12日 | *特集*高レベル放射性廃棄物処理場問題
これを機会に「核」「原子力」「放射能」「放射性廃棄物」などに興味を持たれ、もっと知りたいという方も多いのではないかと思います。町内のイベントをご紹介します。

映画上映
「アンゼラスの鐘」
11月13日(日曜日)石油備蓄記念会館にて 午後3時から/午後6時からの2回上映
長崎被曝60周年祈念作品のアニメーション映画です。入場無料。

核問題学習会
「原子力政策と核拡散を考える」(仮題)
11月15日(火曜日)石油備蓄記念会館2階大会議室にて 午後7時から午後9時
市民団体原子力資料情報室より西尾獏さんを講師に招いて原子力と核について学ぼうという会です。
主催:長崎県平和運動センター 095-823-7281
入場無料

以前コメントでも誰かがおっしゃっていたように、確かにこれを機会に私達も日本の原子力政策、使用済み核燃料の再処理、プルサーマル計画、高レベル放射性廃棄物などこれまであまり身近に感じなかった言葉についても、できるだけ理解を深める必要があると思います。今後も関連のイベントがあれば又お知らせしていきたいと思います。小規模でも「こんなイベントがある」という方、情報を提供していただけれ場幸いです。

町長からの回答

2005年09月12日 | *特集*高レベル放射性廃棄物処理場問題
9月9日に井上町長から回答がありました。気になる部分はありますが、町が手を挙げない限り進みませんから、とりあえず歯止めになる回答文書だと思います。今後議会に対して働きかけをやっていく予定です。




     
   高レベル放射性廃棄物処分場に係わる要望書に対する回答について

                        新上五島町長  井上俊昭

 初秋の候 貴職にはますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
 平素より、本町の平和で安全な町づくりにご尽力を賜り、深く感謝申し上げます。
 さて、平成17年8月24日付けでご提出いただきました要望書につきまして、次のとおり回答します。
 高レベル放射性廃棄物処分場を、本町の将来に向けた有力な選択肢の一つとして勉強し、そのための理解活動を行っているグループが存在していることは承知しています。
 しかしながら、私はこれを誘致運動としては捉えていません。
 エネルギー資源が有限であることと地球温暖化を憂い、国が進める原子力の平和利用に不可欠な処分場の安全性と環境保全性について検討し、それが上五島の自然を破壊することになるのか、ならないのか、また上五島の将来に資するか否か、を正しく理解するために勉強している活動を理解しております。
 町民が将来について様々な視点で勉強し、その可能性を模索すること自体は、住民自治の観点から意味のあることで、町長である私が現段階でそのような活動を批判したり、あるいは否定したりするのは不適切であると考えます。町民の幸福を実現するため町民の意思を尊重することは、私に課せられた重い付託であります。
 一方、本庁の恵まれた自然を最大限に活用しながら、第一次産業と観光産業の振興を図り、活性化につなげたいというのが私自身の選挙公約であり、これを基本とした町づくりに邁進したいという理念に今も変わりはありません。
 それゆえに、貴職が懸念しておられます「高レベル放射性廃棄物処分場」の受け入れについて、私、自ら手を上げるつもりはありません。このことは、これまでマスコミや町づくり懇談会でも一貫して説明してきたとおりであります。
 このことを付記して、要望書に対する回答といたします。

町長宛要望書提出

2005年08月26日 | *特集*高レベル放射性廃棄物処理場問題
一昨日の24日、町長宛に、処分場誘致をしないように要望書を提出しました。最初は最終目的である「放射性廃棄物ならびに原子力関連物質の持込を拒否する条例」の制定を求める陳情書を出す予定でしたが、いきなり条例制定は返って町長を困らせることになるかもしれないとの配慮から要望書に変えました。
 町長は「一次産業と健康で新しい島作りをしようと思っているので、処分場は相容れない」と明言してくれました。文書での回答も了承され、来るのを楽しみにしているところです。とはいえ、この文書だけでは拘束力はさほどありません。後顧の憂いを断つためにも、条例制定はやっておかなければならないと思います。そのためには住民、特に受け入れに賛意を表している人たちとの話し合いは不可欠と考えています。
 要望書を記載しておきます。
 


新上五島町長  井上 俊昭 殿
                           平成17年8月24日
              高レベル放射性廃棄物処分場拒否 上五島住民の会
                        代表  山野 眞一   印
                        連絡先  町内若松郷334
                            ℡ 46-2887

              要     望     書


 ご承知のように、町の一部の地域・団体により放射性廃棄物処分場の誘致運動が展開されています。新聞報道などによれば、すでに二度の六ヶ所村見学旅行が、原子力環境整備機構の費用で実施され、議員の中にも参加された方がいるとお聞きしています。この動きに、町民の中で不安を持つ人が少なからずいます。私たちはそうした声を受け止める場が必要と判断し、8月21日、「高レベル放射性廃棄物処分場拒否 上五島住民の会」(略称(処分場拒否 住民の会)を結成しました。

 高レベル放射性廃棄物の危険性については多言を要しないと思います。数万年にわたり強い毒性を維持するごみを、いかなる理由があってもこの島に受け入れることはできません。それは
  1)子子孫孫まで取り返しのつかない負の遺産を残す
  2)この島のかけがえのない財産である海を売り渡すことに他ならない
  3)豊かな自然と人情の島、という五島のイメージを根幹から破壊する
  4)町民の島に対する誇りや自信を奪ってしまう
  5)被爆県・長崎にとって、核兵器に容易に転換できるプルトニウムを取り出した後    の廃棄物の処分地になることは自滅行為に他ならない
などを挙げれば十分でしょう。にもかかわらず町民の中に受け入れを検討する一部の人がいるのは理解できません。
  ご承知のように処分場立地については三段階のステップを踏みますが、その前段に候補地として名乗りをあげること(応募)から出発します。長崎新聞で報じられた通り、公募開始から2年余のいまもまだ応募した市町村はありません。名乗りを上げること自体が、当然にも誘致の意志ありと判断され、イメージを損なうと判断されるからです。新上五島町におきましても、間違っても応募されることがないように要望する次第です。
 井上町長は町づくり懇談会の席で、受入れの意思がないことを明言されていると伝え聞いています。私たちにも心強い限りです。ぜひその意思を広く町民にお伝えいただき、また推進している方々にも説得いただき、私たちの不安を取り除いていただくことを切に願います。
 なお、本要望書に関して、町長の意思を明文化した返書を賜りますよう、お願い致します。

高レベル放射性廃棄物処分場拒否 上五島住民の会(略称 処分場拒否 住民の会)発足のお知らせ

2005年08月23日 | *特集*高レベル放射性廃棄物処理場問題
8月21日、青方のアクアブルー研修室で、高レベル放射性廃棄物処分場誘致反対の町民が集い、表記の団体を結成しました。町民の中に絶対反対の意志を持つ人が多いにもかかわらず、これを受け止める場や機会がなかったといえますが、遅まきながら出発できたというところです。以下、当日配布したレジュメを記載しておきます。

  高 レ ベ ル 放 射 性 廃 棄 物 処 分 場 拒 否 に 向 け て

                                    歌野敬

■誘致の動きの経緯
・フィクサー、宮健三氏(東大名誉教授・NPO法人「日本の将来を考える会」会長)の 存在。このNPO(以下IOJ)は定款の中に「原発の関する啓蒙教育」を明瞭に謳っ ている。2500会員中、奈良尾地区に400人。
・町のNPO「じまんの島 五島ネットワーク」(以下五島ネット)との連携。このNP Oは18理事中12人が土木建築関係。活動内容にIOJとの交流事業促進を謳う。

・宮氏が絡んだイベント(もっと他にもあるはず)
@1992年「核融合炉夏期セミナー」奈良尾で開催。町民挙げての歓迎会。
@今年1月、町の中学生12名を東大での体験学習に2泊3日で招待(日本の将来を~主 催)。「エネルギー利用における原子力発電の役割」「医療放射線」「核融合」などを 3時間かけて講義。講師には東大関係者も含まれるものの、電力中央研究所とか原発P R専用講師を起用。
@6月上旬、五島ネットの会員17人が2泊3日の日程で六ヶ所村視察旅行。末には住民 など10人ほどでの第二陣。いずれも原子力発電環境整備機構(以下原環機構)の費用 負担。
@先頃8月6日には奈良尾で「科学祭」と称するイベントを開催。実態は地層処分のPR。@このほか、小規模の集まりでの説明ミーティングをかなり行っている模様。奈良尾地区 民の間に「処分場は安全」という認識が広まっている。

■町民、行政などの反応
・町民……基本的には鈍い。「できるはずはない」という楽観的感覚が働いている(奈良     尾地区を除く)
・知事……誘致の動き報道直後に反対意思表明。県のホームページに詳細記載。
・町長……公式には反対。地区懇談会では? 役場内では?
・議員……議員アンケートを実施。川口正康、前川良行、中山正和、祝部大喜、川口昭一     小田敏彦各議員反対。下原謙二議員は一応反対。受取拒否(浜田俊哉議員)、     無記名返送1。その他17議員は回答なし
・漁協……不明。賛成派もいるとの情報
・漁業士会……反対表明の方向で調整中
・婦人会……働きかけているが、腰が重そう

※奈良尾ではすでに処分場候補地として「須崎」の名前が挙がっている。単なる憶測の域を出ない可能性が高いとしても、五島ネットの誘致策動は見過ごすことができない段階にありそう。これを背景に町長が候補地の名乗りを上げる危険性はありうる(立候補に知事などの権限は及ばない)。早急な対抗が必須。
■反対運動の方向性
・会の結成
 反対の意思は持っていても、表現方法が分からない人が多い。その意思を受け止める住 民組織を立ち上げること
    ・会の名称案 「核のごみ拒否! 上五島住民の会」(各種団体・個人の連合組     織)
    ・代表を置く必要があるか
    ・事務局は必要(当面、改革会議・歌野が務めます)
    ・地域責任者の設置(連絡網のために旧町単位程度で)
・町長・議長への陳情書提出
    ・別紙私案参照(資料1)
    ・陳情者は? いつ?
(町長・議長の反応次第にもよるが)
・放射性廃棄物持ち込みならびに原子力関連施設の立地拒否条例制定運動へ
   ・別紙屋久町の条例参照(資料2)。ちなみに、九州(とくに鹿児島)の離島はど    こも狙われているが、標的にされそうになる段階で、いずこも条例を制定し食い    止めている。まるでモグラ叩きの様相
   ・旧5町は平成7~12年にかけて「非核宣言」を議決している
   ・議案提出は3人以上(いま反対表明している議員を説得)
   ・反対の態度を鮮明にしていない議員の個別説得(否決されれば藪蛇だから絶対に    可決しなければならない)。できれば議員ごとに説得に当たる担当を決めておき    たいところ
・署名運動は必要か?(議員の絶対多数派獲得=18名が目安=が見通せなかったら実施 に移す必要がある)

以上ですが、反対の意志がある方の参加をお待ちします。ぜひご一報ください。

廃棄物処理場、子供たちにPR

2005年08月07日 | *特集*高レベル放射性廃棄物処理場問題
月6日土曜日、奈良尾の花火大会にあわせて「科学祭り」というイベントが開かれました。町の放送でも盛んに宣伝していましたからご存知の方もおおいと思います。しかしその一見何気ない子供向けのイベントにはとんでもない大人の思惑が隠されていたのです。
私達も8月4日付の「朝日新聞」を見て驚きました。そこには地元NPOのコメントとして[「民主的手法で町民の意識を高めたい」と8月6日に島の子供を対照にした「科学祭り」を企画。原子力関係機関の協力を受け、放射性廃棄物処分の仕組みを示す模型を出展するなど、「核の平和利用」をPRする]とはっきり書かれているではありませんか。完全な誘致活動です。
そのような目的の活動を放置しておいてはいけないと、とりあえず身近な人たちに声をかけて来場者にビラ(といっても準備する暇はなく、改革会議レポート準備号ですが)を配ってきました。会場となった奈良尾体育館横には写真のような処分場のモデルを展示するためだけに作られた専用トレーラーが据えられ、それが科学祭りのメインブースでありました。(ほかのブースとは比べ物にならない設備です)
地元テレビ局KTNも取材に来ており、誘致活動の中心人物である宮健三氏がインタビューに答え、子供たちには子供向けの廃棄物処理パンフレットが配られる・・・完璧です。

巧妙に仕組まれたワナ
廃棄物処理場の安全性についてここで議論をするつもりはありません。
仮に「絶対安全」だとしても、この島にそれを持ち込んだ時点で「ごとう」はおしまいだからです。なぜおしまいかという話はこちらを見ていただくこととしてこの8月6日のイベントの問題点をあげます。
1)初めにも書きましたが、これは子供のための科学まつりと称した露骨な誘致活動・廃棄物処理施設のPRであり、それが地元主催のイベントに便乗している
2)誘致活動が「財政危機」のなかで「町おこし」の仮面をかぶり、公ではなく一部の人の間でかなり強力に推し進められている。
3)その露骨な誘致活動に島の人が無関心。誰も反発していない。
これは大きな問題です。「そんなこと知らなかった」といっている間に取り返しのつかない事態になるかもしれません。客観的に見てみましょう。
例えば長崎市に住む人がテレビでこの映像を見てどう思うでしょうか。ナガサキの日でこそなかれ、8月6日というこの日に、地元主催の祭りの中心に放射性廃棄物処分の仕組みを宣伝するブースを据え、地元の人はそれをなんの抵抗もなく放置している。町長は反対姿勢を明確にせず言を左右にして取材も拒否、かたや誘致派の中心人物がにこやかにその模型を説明している・・・「もしかして島全体が誘致に積極的なのか」そう誤解されても仕方がないのではないか・・・一見のどかなイベント、でも少し考えてみるとぞっとする光景でした。
誘致派が活発に活動しているなかで黙っていることは「黙認」と取られる危険性があります。そして問題はこの島だけではなく五島全体、長崎県全体の問題でもあります。当事者達が傍観していてはどうにもなりません。
なるべく早めに、一人一人が、反対の意思表示を!
何からはじめたらいいかわからないという方は連絡を下さい。
goto_kaikaku@mail.goo.ne.jp
改革会議は反対の立場を取ることはもちろん、誘致に反対する運動を全面的に支援します。
一人でも多くの人に情報を広めてください。

高レベル放射能廃棄物処理施設誘致問題

2005年07月15日 | *特集*高レベル放射性廃棄物処理場問題
島を売り渡す計画に反対運動を!
――高レベル放射性廃棄物最終処分場誘致問題

■死の灰の缶詰
 原子力発電所から出るさまざまな有害廃棄物(ごみ)の中で、もっとも放射能汚染度が高いごみの処分場を、あろうことかこの島に誘致・建設する動きが表面化しました。以前から風聞として伝えられていましたが、さる7月6日の長崎新聞で、すでに視察団と称するあご足付きの「飲ませ食わせ」見学・ご招待ツアーが二度にわたって実施され、誘致活動の本格化を報じました。行き先は青森県下北半島の六ヶ所村。戦後の開拓村でその生産性の低さから財界・政界・土地転がしの不動産屋どもの開発幻想に翻弄されてきた村です。詳述は別の機会にしますが、揉みくちゃにされたあげく、行き場を失った核のごみを処理する再処理施設・高レベル廃棄物の「仮」貯蔵場など4点セットの核燃料サイクル施設建設地として「死刑宣告」を受けた悲劇の村でもあります。
 高レベル放射性廃棄物というのは、ひとつは燃料棒燃え滓など原発から出る廃棄物、もうひとつは再処理してプルトニウムの一部を取り出した後に残る猛毒のごみ。これをガラスで固めて放射能を封じ込め(ガラス固化体)、地層深くに埋設しようというもの。この固化体、消火器ボンベのような形をしたキャニスターと呼ばれ、高熱・猛毒で強い放射能を放ち、1メートル以内に近付いただけで致死線量を浴びます。「死の灰の缶詰」といわれる所以です。したがって貯蔵といっても作業はすべてロボットが行うとか、数百度の熱を帯びているので冷却が不可欠とか、扱いが実に厄介。
 しかも、この毒性は何万年にわたって持続する(!)。いろんな放射性物質が含まれていますが、例えばプルトニウム239なら毒性が半分になる(半減期)まででも2万4千百年!! 六か所村の低レベル貯蔵施設で、数年経っただけでも装置不備や劣化で放射能漏れが発生しているのに、毒性は比較にならない高レベルのものを数万年間もどうやって管理できるというのでしょうか。

■受入れは狂気の沙汰
 さて、この危険極まりない施設をこの島に誘致しようというのです。信じ難いことに視察ツアーに参加した人たちを筆頭に、受け入れに積極的な町民がいる。「日本の将来(あした)を考える会」なるNPO法人(東京)の本町支部がいまのところ中心になっているようですが、このNPO法人の理事長が宮健三氏で奈良尾町出身。東大名誉教授の肩書きで露骨な原発PRマンとして方々で活躍している、業界では知られた人。法人のホームページによるとはっきりと定款に原発の啓蒙活動が掲げられており、電力会社などから団体に資金が出ているに違いないと思われます。この島の人がその口車に安易に乗ったのだとすれば、こんな不様なことはないと思います。
 受け入れたい人の論理は容易に想像できます。町は財政難、地元にめぼしい産業もなく将来は悲観的、危険施設を受け入れれば助成金・交付金・税金など法外な金が落ちる、建設となれば工事を含めかなりの雇用も生まれそう……土建屋なら泣いて喜ぶでしょうし、議員の中にも受け入れない手はないとうそぶく人もいるもよう。唾棄すべき御仁たちです。
 この島の基幹産業は漁業。これは将来にわたって変わらないでしょう。2003年度の数字ですが、この島の漁獲高は54億円、水産加工品や同じ海からの恵みものとして最近急激に伸びている塩業を加えると100億円に近くなるのではないでしょうか。漁業従事者も2523人。加工部門は統計はありませんので分かりませんが、決して少なくないはずです。

■島の「販売価格」
 危険施設は間違いなくこの財産を直撃します。この島の魚は間違いなく絶品ですが、それ以上に五島という地名のイメージが島外の消費者に絶対的な好印象を与えているのも間違いないところです。「五島の綺麗な海の魚がおいしくないはずがない」というように。私(歌野)は五島塩の会の販売担当としての経験からも、「五島」の塩だから売れているという実感を何度も味わってきました。塩業自由化以降、雨後の筍のように全国各地で自然塩産地が生まれ、激しい競争・値下げ合戦が繰り広げられる中、塩の会の塩は極めて安定した実績を維持しています。これはもちろん品質の良さもさりながら、五島の清澄な海の塩というイメージが寄与していることは疑いありません。
 でも猛毒の核のごみを地層に埋め、溶出して海に放射能が流れ込む危険が大きいこの危険施設ができればそのイメージは一変します。六か所村の農業が核燃料サイクル施設の建設で風評被害を含め農業がダメージを受けたように、この島の漁業並びに海の関連産業は息の根を止められることになるでしょう。私たちが「六ヶ所村」と聞いて「危険な場所」とすぐに思い浮かべるように、五島もそうなるのです。余談ながら先日福江に向かう船の中で、関西からの旅行客と思しき婦人が自宅に携帯電話をかけておられ、船から見た五島の海の清らかさと風景の素晴らしさを感きわまったように話されていました。大村藩からの脱出を企図したかつてもキリシタンにとって五島がパライゾ(天国)だったように、あるいは大航海時代にこの国が「ジバング」(黄金の島)と呼ばれたように、五島は豊かな自然と人情を保つ「宝の島」なのです。これを売り渡そうというのだから正気の沙汰ではない。
 金に目が眩んでいるに違いない誘致賛成者は、本当にその宝がみえないようです。原発問題に関する市民センターである原子力情報資料室からの情報では、仮に受け入れを表明するとして、文献調査段階で2、1億円、概要調査地区に選定されれば年間20億円(最大で7年間70億円)、建設受け入れなら総額で数百円規模の交付金が出るとのこと。2万余年で数百億円かと半畳を入れたくなりますが、この程度の「飴」がそれほどおいしいのでしょうか。子子孫孫の代まで人間の命と自然を危険に晒す施設、島に住む誇りや自信を奪ってしまう施設、その見返りの「島の販売価格」は決して数字に表されるものではありません。冗談ではない!!

■原発宣伝マンにだまされないために
「重要な国家プロジェクトであることを町民に伝え、自分たちの町がどうあるべきか議論を深めたい」と地元NPO法人のコメントを新聞は伝えていました。完全に原発宣伝マンの論理です。重要な国家プロジェクトに協力する栄誉、そして町が発展する最良の機会、というわけです。民が安全・安心な暮らしを営めるよう努力するのが国の義務、そのために民は税金を払いまつりごとを付託しているのです。国のために命を地域を危険に晒す必要などさらさらない。発想が逆転しています。
 ここで宣伝マンなら言い募るでしょう。「国のためというけれど、原発の恩恵を皆さんも受けているのだから、ごみ処理についても一端の責任はある」と。おっしゃる通りです。トイレなきマンションと批判されるように、廃棄物処理の方策を確立しないままに原発を作り動かしてきた。その責任は原発推進者が負うべきですが、現に処理しなければどうしようもないほど溜まってしまっている以上、そしてもともと絶対的に安定している原子核を強引に破壊してエネルギーを得るという、神をも恐れぬ技術ゆえに絶対安全な処理は不可能である以上、リスクを承知でどこかが処理施設建設を引き受けなければならないのは事実でしょう。でもそれが五島だとは思わない。相応の責任論の範囲でいえばもっとも恩恵を受けているのは大都市、とりわけ東京でしょうから、まずは東京都の離島辺りを検討すべきでしょう。地震の危険とすぐにも反論が出れば、地震の危険なぞこの国ならどこも同じだと答えるまで。それに地震以外に放射能漏洩の危険は限りなくあるわけですから、地盤条件だけが問題とはならないと反論しておきます。
 その上で、廃棄物問題の本質的な解決策は脱原発しかありません。北欧デンマークやオランダの例を俟つまでもなく、脱原発はすでに実行段階に入っています。風力や地熱、バイオマスなどは高い能力の発電システムとして技術確立がなされている。加えて近年とみに開発のピッチがかかった燃料電池は、おそらくこの10年以内に大胆にエネルギー事情を変えると想定されています。そうした近年の条件変化を見据えて、不安定ながら一時保管の形で分散管理するほうが責任負担の見地からもまだましでしょう。
 いずれにしろ、五島にこの施設を誘致する理由は全く見当たらない。金に目が眩むという理由以外には。島を売る、末代にわたり島を売りつくす覚悟がなければ、とても受け入れられるものではありません。

■反対の意思表示を! 署名活動を始めましょう。
 さて「日本の将来を考える」のブログをみると、島の3つのNPO組織を束ねて誘致促進の会を作ったようです。金にあかせずツアー招待などの誘致運動をやるでしょうから、反対する側は草の根の運動を展開するしかありません。
 とりあえず反対の意思を持つ方、改革会議までご一報下さい。誘致反対の署名活動を開始したいと思います。一定の署名を集めた段階で町長・議会に候補地として名乗りを上げないよう申し入れをします。引き続き署名活動を続け、誘致派の出方をみながら有効な対応をしていきましょう。
 誘致を検討している方々にも、言いたいことがあれば反論してください。