夢千夜 1000dreams

漱石「夢十夜」へ挑戦する

194夜

2005-08-04 19:19:21 | Weblog
奈良。東大寺の境内。私は古い日本に触れるために、ここに一人でやってきた。ここに一人で立っていると、千年の歴史が私の体の中にしみ込む。私はふと気づく。塔の向こうからやってくるのは私の家族だ。父母、祖母祖父、弟。初めは故郷から遠い土地で家族と再会するうれしさがあった。次第に私だけ家族旅行から仲間はずれにされた疎外感がやってきた。それからせっかく一人で歴史に浸る機会を台無しにされた怒りがやってきた。私はその三つの感情のいずれを私の主たる感情としたらいいのか、悩む。

193夜

2005-08-04 09:34:53 | Weblog
両側に茶色の土の壁。下に透明な水。私は腹ばいになって水の上を滑る。前方に土の壁がある。行き止まりだ。私は急ブレーキをかけられない。頭から壁に突っ込む。私は土の中を進む。土の中なのに私の体は空中と同じようにさくさく進む。軽いお菓子の中を進んでいるようだ。土を掻き分ける感覚は、私の全身を刺激して快感でさえある。