夢千夜 1000dreams

漱石「夢十夜」へ挑戦する

1312夜

2018-04-23 17:44:15 | Weblog
日本で最も有名なアイドルグループの中心メンバーの一人と、手錠デスマッチというものをやらなければならないはめになった。私は老年ではあるが、男だし体も彼女よりは大きいので負けることはない。二人が向き合うと私は彼女のあまりの可愛さにクラクラとするが、ここはデスマッチなので非情になろうと努力する。レフェリーが私の右手と彼女の左手を手錠で結び合わせる。二人とも右利きなので私は大きなハンディを背負うことになる。私は相手を軽く見ていた。この人生、ほとんどのことを右手で行ってきた私は左手で相手をなぐろうとしてもほとんど相手にパンチが届かない。第一力が入らないし、自由に動かすこともできない。それに対し彼女はパンチを確実に私の顔面に当ててくる。軽いパンチだが重なると大きなダメージになる。数分で私は戦意喪失気味になり、レフェリーに私のあまりの不利を訴えかけるが、まったく聞いてくれない。私がほとんど半殺し状態になるまで、この戦いは続くらしい。

1311夜

2018-04-20 10:53:51 | Weblog
この駅は上のホームと下のホームが二階建てになっていて階段でつながっているが、上のホームについた電車から下のホームにいる電車に乗り換えるまでの時間が八秒しかない。ダイヤ編成の都合で、どうしてもそうしなければならないようだ。私はそのときどうしても乗り換えなければならない用事があったので、電車が上のホームにつくかなり前からドアの前で待機していたのだが、待機しているのは私以外にも数十人いるので殺気立っている。ホームにつく。数十人が一斉に階段に向かってダッシュする。私は裸足にサンダルをはいていたが、途中で片一方のサンダルが飛んだ。が、サンダルよりも用事に間に合うことの方が重要だ。裸足で駆ける。荒れたホームをこする足の裏が痛いが必死で駆け下りる。下のホームにいる電車のドアが閉まる寸前でかろうじて飛び乗った。私以外の人はいつもこの駅を利用しているらしく八秒の乗り換えにも平然としている。私だけが死にそうにぜーぜー喉を鳴らして皆に哀れまれた。