ソファの上でうたた寝していると、Run Run Run and Run! というアメリカンフットボール中継のアナウンサーの絶叫が響く。ランニングバックがボールを抱えて走っている姿が目に浮かぶ。すると、ソファが突然走り出し、三階の窓を突き破って空中に飛び出る。そのままどこまで飛び続けるのだろうか。快適な飛行なので気分が良くなり、私は再び眠りに入った。
中規模の普通の高校である。校舎の全体に茶色の蔦がからまっている。ほぼ全体を覆っているので、蔦の全長は想像を絶するほどである。実は、その蔦はジェットコースターのレールである。生徒は、一人乗りのコースターに乗って走る。スタートからゴールまで一時間もかかる。この高校に自殺者や精神疾患が多く出たときに発案されたもので、これに乗ると悩みも吹っ飛び、以来一人の自殺者も精神疾患も表れていない。