夢千夜 1000dreams

漱石「夢十夜」へ挑戦する

1214夜

2016-07-17 16:18:49 | Weblog
私の前に砂場がある。砂場は寂しそうに私に話しかけてくる。私は砂場に引き込まれる。私は砂場に友人以上の結びつきを感じる。私は雨の日も風の日も、病気で熱があっても、砂場に通ってきた。私はもう砂場から生涯離れることはできない。

1213夜

2016-07-05 08:02:40 | Weblog
額に小さいいぼができている。直径二ミリくらいか。指で触っていると、どんどん大きくなる。数分で直径二十センチほどになる。鏡で見ると、目や鼻がついている。私のもう一つの顔である。話しかけると返事もする。自分の声なのだろうが、外側から耳で聞くと他人の声のような感じがする。重くはない。やや視界が遮られるだけだ。私は孤独なので一人親友ができたような気がして、うれしくもある。

1212夜

2016-07-04 08:07:11 | Weblog
妻は仕事のために六時半に家を出る。私は仕事が午後からなので妻を送ったあと再び布団に入る。数時間たったのだろうか、妻が帰ってくる音がする。目覚めて布団から出ると、妻は今日は午前休にして一度帰ってきたと言う。こんなことも前にあったから私は喜んで妻を迎える。しかし、と私は思う。ひょっとしたら、これは夢の中なのではないか。しかし、この覚醒感、そして部屋の中の様子も普段とまったく変わりがない。これが夢の中であるはずはないとも思う。しかし、夢なのか現実なのか、私は確かめたくてたまらなくなる。そうするには、いつものようにベランダから宙に飛びだすしかない。そこで、また私は思う。私は今までこれとまったく同じ夢を何度見ただろうか。数十回、あるいは百回以上かもしれない。今回は、夢なのか、夢でないのか、確かめないでこのままにしておこうと思いなおす。妻は普段通り家事など始めている。