『デュポンシステムの分析の入口』
デュポンシステムとは、米大手化学メーカーのデュポン社が開発した
経営管理指標の体系です。
デュポンシステムは決して新しいものではありませんが、その考え方は今も十分に通用します。
今回はデュポンシステムの分析の入口を紹介します。
デュポンシステムは、経営管理指標の代表格として自己資本利益率(ROE)を
設定しています。
自己資本利益率(ROE)は
・ROE=(税引後)利益/自己資本
で算出されます。
更に、ROEを総資本利益率(ROA)と財務レバレッジに分解します。
・総資本利益率(ROA)=利益/総資本
・財務レバレッジ =総資本/自己資本
・ROE =利益/総資本(ROA)×総資本/自己資本(財務レバレッジ)
財務レバレッジは自己資本比率の逆数です。
自己資本(株主資本)に対する総資本の倍率を指します。
理論的には負債比率を高める事により、財務レバレッジ効果からROEは向上します。
ただ極端な負債の増加に対しては、支払利息が増え赤字転落や債務不履行になる
可能性もあります。
従って、財務レバレッジ効果を高めることと債務リスクを考え合わせ、
最適資本構成を探ることが必要です。
財務レバレッジは、経理財務部門の成果が問われる指標です。
一方、総資本利益率(ROA)は事業部門の成果を分析する指標と考えます。
クロス分析の考え方のテンプレートを使って考えてみます。
・X軸 :財務レバレッジ
・Y軸 :総資本利益率(ROA)
・円の面積 :自己資本利益率(ROE)
・分析単位 :会社単位、SBU、カンパニー
以下に、象限ごとの解説及び戦略を詳しく説明していきます。
【第1象限】
この象限で円の面積の自己資本利益率(ROE)が大きくなれば、理想的です。
自己資本の範囲で十分な利益を獲得しているからです。
ROEが小さい場合は財務レバレッジ効果を高めて収益率に寄与する投資が必要に
なります。
【第2象限】
この象限は必ず自己資本利益率(ROE)が大きくなります。
ただ、あまりにポジションが右よりに位置しますと負債比率が高いことからの経営
リスクが発生します。
しかし、ROEの高さから財務レバレッジの低位コントロールの対応が十分可能です。
【第3象限】
財務レバレッジ効果が、利益に結びついてないケースです。
緊急に負債比率を低める対策が必要です。
【第4象限】
創業期に良くあるパターンですが、負債リスクに過剰に反応しすぎて
投資に慎重になりすぎた結果、利益の拡大が望めないという
低位縮小傾向のケースと言えます。
的確な市場分析を経た計画的かつ、タイムリーな投資判断が必要です。
今後利益の拡大が望めない事業分野であれば、事業転換を進めるべきです。
以上