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プーチン大統領演説、ロシアの現状と世界

2023年02月25日 | 情報
ご無沙汰しております。
先日、今年のロシア大統領の恒例の演説が行われたようです。少し長いですが、全文を、ここに掲載させて頂きます。

この情報は、以下のサイトの内容を転載したものです。一部、編集(短いカッコ部分、句読点等)させて頂いております。原文は、元のサイトをご参照ください。

https://sputniknews.jp/20230222/15052321.html


(ここから)

【全文】プーチン大統領 議会で年次教書演説
     2023年2月22日, 16:20 (更新: 2023年2月22日, 22:03)


こんにちは!

尊敬する連邦議会の上下院の議員の皆さん!
尊敬するロシア国民の皆さん!

今日、私は、我が国にとって困難な(我々はこのことをよく知っている)この時代に、世界において、抜本的かつ不可逆的な変化が起き、我が国と我が国民の未来を決定づける、重要な、歴史的に最も重要な出来事が起き、その巨大な責任を我々一人ひとりが負っている時期に、演説を行う。

1年前、我々の歴史的な土地(ドンバス)に住む人々を守るため、我が国の安全を保障するため、そして、2014年のクーデター(西側に言うマイダン革命)後に、ウクライナで生まれたネオナチ体制による脅威を取り除くため、特殊軍事作戦実施の決定が下された。

そして、我々は、一歩ずつ、慎重に、そして一貫して、我々の前にある課題を解決していく。
ドンバスは、2014年から戦い、自分たちの土地に住み母国語で話す権利を主張し、封鎖と、止まない砲撃、ウクライナ政府からの露骨な憎しみという条件の下でも、降伏せず、ロシアが助けに来てくれるのを信じて待った。

一方、あなた方もよくご存じのように、我々は、この問題を平和的手段で解決するために、本当にできる限りのことを行い、このきわめて困難な紛争を、平和的に解決するため、忍耐強く協議を行った。

しかし、我々の(西側諸国との関係の)背後では、まったく別のシナリオが用意されていた。
今、我々は、西側の指導者たちが、ドンバスの平和を目指すとした約束が、(単なる)口実であり、残酷な嘘であったことを理解した。

彼らは、時間を引き延ばし、形式主義を取り、政治的な殺害や、気に入らない者に対するウクライナ政権の迫害、信(仰心のある)者たちに対する侮辱的行為に目をつぶり、ドンバスにおける、ウクライナのネオナチのテロ行為を、ますます強く奨励した。
民族主義者の(取り仕切るアゾフ)大隊の将校らは、西側の軍事アカデミーや(軍の)学校で訓練を受け、武器も供給された。

特に強調したいことは、特殊軍事作戦の開始以前から、キエフと西側諸国との間では、防空システム、戦闘機、その他の重装備の、ウクライナへの供給交渉が行われていたことだ。キエフ政権が核兵器を獲得しようと奮闘していたではないか。これを彼らは公言していたではないか。

米国とNATOは、我が国と(ウクライナと)の国境付近に、自国の軍事基地と秘密の生物学(的兵器の)研究所を急速に展開していた。彼らは、将来の軍事行為の演出をマスターし、自分たちに従属させ、自分たちの手で奴隷化したウクライナの政権に、大戦争に向けた準備をさせていた。

そして今、彼らは、それを公然と、あからさまに、恥じることなく認めているではないか。ミンスク合意も「ノルマンディー形式」も、外交的なショーで、はったりだと言って、まるで、自分たちの背信行為を誇り、楽しんでいるかのようだ。ドンバスが燃え、血が流され、ロシアが誠実に(私はこれを強調したい)平和的解決に邁進していた時に、彼らは、人々の命を弄んでいたことが明らかになった。

この、気色の悪い、ごまかしの方法は、これまでにも幾度も試されてきた。ユーゴスラビア、イラク、リビア、シリアを破壊した時も、同じく、彼らは恥知らずで二重人格的に振舞った。この恥辱を、彼らが洗い落とすことは決してないだろう。名誉、信頼、良識という概念は彼らにはない。

何世紀にもわたって、植民地支配、独裁、覇権主義を続ける間に、彼らは、何でも許されることに慣れ、世界中を無視するようになった。しかも、彼らは、自国民までも同じように、堂々と軽蔑して扱うことがわかった。自国民も、シニカルに騙し、平和を模索し国連安保理のドンバスについての決議を順守している、などと作り話をして、だまし続けた。実際、西側のエリートは、原則を完全に欠いた嘘の象徴と化してしまった。

我々は、今日の世界においては、自分たちの利益だけでなく、いわゆる文明国とそれ以外の人々、という区分は存在すべきではなく、いかなる排他性も、攻撃的排他性であれば、なおさら、断固として拒否する誠実なパートナーシップが必要であるという立場を堅持する。

我々は、オープンかつ誠実に、西側諸国との建設的な対話を行う構えだった。欧州も世界全体も、全ての国家にとって不可分の、平等な安全保障システムを必要としている、と主張しつづけ、この構想を、ともに話し合い、その実現に向けて作業するよう、長年にわたってパートナーらに提案してきた。だが、我々が受け取ってきた反応は、不明瞭であるか、または偽善的なものだった。これは言葉として受け取ってきた反応だが、具体的な行動もあった。それが、ロシアとの国境へのNATOの拡大、欧州とアジアでのミサイル防衛の新たな拠点の創設、つまり(軍備という)「傘」を使って(国々を)ロシアから遮断すること、そして軍部隊の展開である。

しかも、これはロシアの国境付近だけにとどまらない。

ここで強調したいことがある。実際、誰もがよく知っていることだが、米国ほど多くの軍事基地を、自国の外に持っている国はない。その数は数百に及ぶ。何百もの米軍基地が、世界中に、地球のあらゆる場所に点在していることは、地図を見れば、すぐわかる。

米国が、中距離・短距離ミサイル条約をはじめとする世界の平和を支える基本的な軍事協定を一方的に破棄したのを全世界が目撃した。米国が、そうしたからには、必ず理由がある。何の理由もない行動を米国がとることはない。

そして、2021年12月、我々は、ついに、米国とNATOに対し、正式に安全保障条約の草案を送った。だが、我々にとって最も重要な原則的な立場は、すべて、事実上、真っ向から拒否された。このとき、彼らが、(ロシアに対する)攻撃的な計画を(ウクライナの領土において)実行に移すゴーサインを出し、それを止めるつもりはないことが最終的に明らかになった。

脅威は、日に日に増していた。入ってくる情報から、2022年2月までに、ドンバスで再び流血の懲罰的な行動を起こす準備が万端に整えられていることは疑いようがなかった。キエフ政権は、2014年の時点で、すでに、ドンバスに、大砲、戦車、飛行機を投入していたではないか。
ドネツクに、またドネツクだけでなく他の都市にも空爆が行われた時の様子を、我々は皆よく覚えている。2015年にも、彼らは、再びドンバスへの直接攻撃を試み、しかも、封鎖、砲撃、民間人に対するテロを続けた。こうした全ては、国連安全保障理事会が採択した決議や関連文書に完全に反している。にもかかわらず、(西側指導者たちの)皆が、何も起きていないふりをしていた。

繰り返したい。戦争を始めたのは彼らだ。我々は、それを止めるために武力を行使し、今後もこれを行使する。

ドネツク、ドンバス、ルガンスクへの新たな攻撃を計画した者らは、次の目的がクリミアとセヴァストポリへの攻撃であることを明確に理解していた。そして、我々も、それを知っていたし理解していた。ところが、今、その遠大な計画を、キエフも公然と語っている。我々が、すでによく知っていたことを彼らは明らかにした。

我々が守っているのは人命であり、自分たちの生家だ。だが、西側の目的は無限の権力である。西側は、キエフ政権を幇助し武装させるために、すでに、1500億ドル(20兆2460億円)以上を費やした。比較のために引用すると、経済協力開発機構(OECD)のデータでは、2020-2021年に、世界の最貧国支援にG7諸国が割り当てた額は、約600億ドル(8兆983億円)である。実に分かりやすいではないか。戦争のためには1500億ドル出すが、いつも面倒をみているはずの最貧国には600億ドルで、しかも、金をもらう側には、よく知られた服従条件がつけられる。

それでは、貧困撲滅、持続可能な開発、エコロジーについての話はどうなったのか? 全て、どこに消えたのか? こうした一方で、戦争に注ぎ込まれる資金の流れは細らない。他国の混乱やクーデターを助長するための資金も、また、世界中で惜しみなく注がれている。

先日のミュンヘン会議では、ロシアに対する非難が延々と続いた。これは、いわゆる西側諸国が過去数十年にわたって行ってきたことを万人が忘れるための会議だったという印象を受ける。だが、瓶から魔物を外に出し、地域全体を混沌に陥れたのは西側諸国ではないか。

米国の専門家らの試算では、戦争の結果(この数字は我々が算出したのではなく米国人自身が出した点に注意を促したい)2001年以降、米国が始めた戦争による死者数は、約90万人、そして3800万人以上が難民となった。米国は、今、こうした全てを人類の記憶から消し去り、何事もなかったかのように振舞っている。だが、世界で、これを忘れた人は誰もいないし忘れ去られることもない。

人的犠牲や悲劇を顧慮する人は(西側エリート層には)誰もいない。なぜなら、何兆ドルという(利権の)大金が動いているからだ。この先も万人から盗み続けることができる。民主主義と自由を装い、本質的には、ネオリベラル主義的、全体主義的な価値観を流布しようとしている。国や民族全体にレッテルを貼り、その指導者を公然と侮辱し、自国内の反対意見を弾圧する。(他国を敵に見立てる)イメージを作り上げることで(自国の政治家の収賄などの)汚職スキャンダルや(これら全てがスクリーンに映し出されているわけではない。この全てを我々は見ているが)経済的、社会的、民族間の問題や矛盾の拡大から、人々の関心を逸らす。

1930年代、ドイツでナチスが権力を握るための道を開いたのは、事実上、西側諸国だった。そして、今の時代には、西側は、ウクライナを「反ロシア」に仕立て始めた。このプロジェクトは、実際には目新しいものではない。少しでも歴史に明るい人は、このプロジェクトのルーツが、すでに19世紀にあったことをよく知っている。それは、オーストリア・ハンガリー帝国、ポーランドなどの国々で育まれていたが、目的は1つ。現在、ウクライナと呼ばれる歴史的な領域を、我々の国から奪うことだ。新しいことは何もない。全てが繰り返しだ。

欧米は、2014年のクーデターを支援することで、今日までの、このプロジェクトの実施を強行した。クーデターは血なまぐさく、国家(の主権)に反し、憲法に反していたにもかかわらず、まるで何もなかったかのように、そうせねばならなかったかのように受け止められ、どれだけの金が投じられたのかまで報道された。その思想的基盤に、ロシア嫌悪症と極めて攻撃的な民族主義が投入された。

先日、ウクライナ軍の旅団のひとつに(口にするのも恥ずかしいことだが、いや、これは我々には恥ずべきことだが、彼らにとってはそうではない)ヒトラーの師団と同じ「エーデルワイス」の名が与えられた。エーデルワイス師団は(ヒトラー時代には)ユーゴスラビア、イタリア、チェコスロバキア、ギリシャの、パルチザンに対する懲罰作戦に加わり、ユダヤ人の国外追放、戦争捕虜の処刑を行った。

ウクライナの軍と国家警備隊に、特に人気が高いのは、第2SS装甲師団「ダス・ライ」、第3SS装甲師団 トーテンコップ(髑髏師団)、第14SS武装擲弾兵師団「ガリーツィエン」など、ナチスの親衛隊のシェブロン(軍章)だ。こうした師団の手は肘まで血に染まっている。

ウクライナの装甲車には、ナチスドイツの時のドイツ国防軍の記章が描かれている。
ネオナチは、自分たちが誰の後継者であるかということを隠そうとしていない。驚いたことに、西側諸国の権力者は、誰も、このことに気づかない。なぜか? それは、彼らにとっては、どうでもいいからだ。我々との戦い、ロシアとの戦いにおいて誰に賭けるかはどうでもいい。主な目的は、我々と戦わせること、我々の国と戦わせることだから、どんな人間を利用してもいい。事実、そうであることを我々は見てきたではないか。テロリスト、ネオナチ、はげ頭の悪魔でさえ(神よ、許したまえ)自分たちの言いなりになり、ロシアに対する武器になるのであれば、何でも利用することができる。

「反露」プロジェクトは、本質的に、わが国に対する復讐主義的政策の一環であり、わが国の国境のすぐ近くに、不安定と紛争の温床を作り出そうとするものだ。1930年代の当時も、今も、東方へ攻撃を仕掛け、欧州において、戦争を煽り、他人の手で競争相手を排除しようという、その企みは変わらない。

我々は、ウクライナ国民と戦争しているわけではない。このことは今まで何度も言ってきた。ウクライナの国民は、キエフ政権とその西側の支配者らの人質となった。西側は、事実上、この国を、政治的、軍事的、経済的に占領し、数十年にわたってウクライナの産業を破壊し、その天然資源を略奪した。その論理的帰結が、社会の退廃、貧困と不平等の爆発的な増加だ。そして、そのような状況では、当然ながら、戦闘行為のための材料(兵隊)集めなど容易くできる。人々のことなど誰も考えず、人間を破滅のために準備し、最後は消耗品にしてしまった。痛ましく、語るのも恐ろしいことだが、これは事実である。

ウクライナ紛争を煽り、拡大させ、犠牲者を増やした責任は、全て、西側エリート、そして、もちろん、キエフの現政権にある。この政権(ハザール人)にとっては、ウクライナ国民(スラブ人)は本質的に他人だ。ウクライナの現政権は、自国の国益のためではなく、第三国の利益のために奉仕している。

西側諸国は、ウクライナを、ロシアを攻撃するための破城槌として、射撃場として利用している。

私は、今、戦況を変え、軍事供給を増やそうとする西側諸国の計画について、あれこれ言うつもりはない。だが、次の状況は、万人に理解できるはずだ。西側の長距離戦闘システム(ミサイル兵器)が、ウクライナに供与されればされるほど、我々は、その脅威を、ロシアの国境から遠ざけざるをえなくなる。それは当然だ。

西側のエリートは、自分たちの目標を隠そうともしていない。彼らは、はっきりと「ロシアに戦略的敗北」を与えるのが目標だと言っている。これはどういうことか。我々にとって、それは何を意味するのだろうか。これは、つまり、我々と、さっさと、永遠に決着をつけるということだ。つまり、彼らは、局所的な紛争を世界的な対立の局面に転化させるつもりなのだ。我々は、全てを、まさにこのように理解しており、相応の方法で対処していく。なぜならば、この場合、話は、すでに我々の国の存続に関わるからだ。

だが彼らは、戦場でロシアに勝つことは不可能だと認識しているため、我々に対して、ますます攻撃的に情報攻撃を仕掛けている。彼らの標的は、もちろん、若者たち、若い世代だ。そして、ここでも彼らは、終始嘘をつき、史実を歪曲し、我々の文化、ロシア正教会、我が国に昔からある他の宗教組織への攻撃を止めようとはしない。

彼らが自国の民に何をしたかを見てほしい。家族、文化、国民のアイデンティティの破壊、(性的)倒錯、児童虐待、小児性愛に至るまで、が、ノーマルなことだと宣言され、聖職者、神父は同性婚を祝福するよう強制されている。勝手にやるがいい。ここで何を言いたいか。大人は望むように生きる権利を持っている。ロシアも、このことには同じ態度をとってきたし、これからも常にそうする。誰も私生活に立ち入らないし、我々もそうするつもりはない。

西側世界の何百万人もの人々が、自分たちが正真正銘の精神的破局に導かれていることに気づいている。はっきり言って、エリートたちは気が狂っており、もう手の施しようがないようだ。それでも、前に言ったように、これは彼らの問題であり、我々がすべきことは、子どもたちを退廃と退化から守ることだ。

西側諸国が、これからも、我々の社会を弱体化させ分裂させようとすることは間違いない。彼らは常に国賊をあてにする。こうした者らは、いつの時代でも(私はこれを強調したい)自分の祖国を軽蔑するという変わらぬ毒を持ち、金を払う人たちに、喜んでその毒を売って金を稼ごうとする。これはいつの時代にもあった。

直接的な裏切りの道を選び、我々の社会の、安全や国の領土保全に対して、テロなどの犯罪を犯す者たちは法的な責任を負う。だが、我々は、今も昔も、魔女狩りを行うキエフの政権や西側エリートのようには決してならず、脇に逸れ、祖国を拒んだ人たちと白黒つけることもない。そうした者らは、良心が咎めようが、それを背負って生きていけばよい。重要なのは、ロシアの国民が彼らに道徳的評価を与えたということだ。

多民族国家である我々の国民の絶対的多数が、特殊軍事作戦について原則的な(支持の)立場をとり、我々の行動の意味を理解し、ドンバスを守るための行動を支持したことを私は誇りに思う。そして我々全員がそれを誇りに思っていると思う。このような支持に、まず現れたのは真の愛国心だ。この気持ちは我々の国民には歴史的に内在する。

親愛なる友人の皆さん、ロシアの全ての人々の勇気と決意に感謝したい。我々の英雄、陸海軍の兵士と将校、ロシア親衛隊、特務機関、全ての治安維持機関、ドネツクとルガンスクの軍部隊の戦士たち、ボランティアたちにありがとうと言いたい。

ドネツク、ルガンスク両人民共和国、ザポロージエ、ヘルソン両州の住民に特別な言葉を贈りたい。親愛なる友人たち、あなた方自身が、ネオナチの脅威や恐怖にさらされ、間近で戦闘行為が行われていたにもかかわらず、住民投票で自分たちの将来を決め、断固とした選択をされた。ロシアと自分の故郷とともにあるという、あなた方の決意ほど、何にも増して強いものはかつてなかったし、今もない。

我々は、これからの新しいロシア連邦の構成体の、社会経済の復興と発展のための大規模なプログラムを、すでに開始しており、今後も拡大していく。これには、企業と雇用と、再びロシアの内海となったアゾフ海の港湾の復興、そして、クリミアで行ったように、近代的道路の建設も含まれる。クリミアの道路は、今やロシア全土とつながる安心できる陸路となった。我々は共に尽力し、必ずや、これらの計画を全て実行する。

今日、ロシアの各地域は、ドネツクおよびルガンスク両人民共和国、ザポロジエ、ヘルソン両州の市町村を直接的に支援しており、実の兄弟姉妹のように誠実にそれを行っている。今、我々は再び一緒になった。これは、つまり、我々は、さらに強くなり、我々のこの土地に待望の平和を取り戻し、人々の安全を確保するために全てを尽くすということだ。そのために、先祖のために、子どもや孫の未来のために、歴史的正義の回復のために、民族の統一のために、今日も我々の英雄たちは戦っている。

尊敬する皆さん!

ご存知のように、2021年から2025年までの軍の建設および発展に関する計画が、大統領令によって承認された。その実現に関する作業は進んでおり、必要な修正が加えられている。そして、陸海軍の強化に関する今後の取り計らいと、軍の現在および将来の発展は、もちろん、特殊軍事作戦で得られた実際の戦闘経験に基づかなければならないことを強調したい。この経験は我々にとって極めて重要であり、さらに言えば、全くもって値をつけられないほどだ。
特殊軍事作戦で得られた体験は、ロシア軍の発展の基礎になるはずである。これは、きわめて貴重な体験である。

現在、たとえば、ロシアの核抑止力の最新システムの装備レベルは91%以上の91.3%だ。
そして、今一度繰り返すが、我々が得た経験を考慮して、軍のすべての構成要素において同じような質の高いレベルに到達しなければならない。

陸海軍の、まさに質的潜在力の向上を保証する最先端技術を積極的に導入する。そのような装備や武器・兵器の開発のサンプルが、我々には各方向性に関して存在する。それらの多くは、その特性において外国の類似品よりもはるかに優れている。現在、我々の目の前にある課題は、それらの量産を拡大することだ。今日、われわれの工場、設計局、研究チームでは、経験豊かな専門家や、飛躍を目指し勝利のためにあらゆることを行うという、ロシアの兵器製造工の伝統に忠実な才能があって高い技能を持った、さらに多くの若者たちが仕事にはげんでいる。

尊敬する皆さん!

私が、すでに述べたように、西側は、我々に対して、軍事的および情報的な戦線だけでなく、経済戦線も展開した。しかし、どこにおいても何も達成されなかった。そして(今後も)達成されることはないだろう。さらに、制裁の提唱者たちは自分で自分を罰している。自分たちの国で、物価上昇、雇用喪失、事業閉鎖、エネルギー危機を扇動し、自分たちの市民に、全てロシア人が悪いと言っている。我々は、それを耳にしている。

西側諸国の当局は、対ロシア制裁によって物価の上昇を扇動した。そして(彼らは)国民に、悪いのは全てロシアだと言っている。これは手段にすぎない。目的はロシア国民を苦しめることだ。

この制裁による攻撃で、我々に対して、どのような手段が使われたのか? ロシア企業との経済関係を断ち切ったり、金融システムを通信チャンネルから断絶してロシア経済をめちゃくちゃにしようとしたり、収入を打ちのめすために輸出市場へのアクセスをロシアから奪うことが試みられた。これは、我々の外貨準備を盗む行為であり、別の言い方はない。またルーブルを崩壊させ的な、破壊的なインフレを扇動する試みだ。繰り返すが、対ロシア制裁は手段にすぎない。

目的は、西側の指導者たち自らが宣言しているように、直接の引用だが、ロシアの市民を「苦しめる」ことだ。「苦しめること」そのようなヒューマニストなのだ。彼らは人々を苦しめ、それによってロシアの社会を内側から不安定化しようとしている。

しかし、彼らの見込みは外れた。ロシアの経済と統治システムは、西側が考えていたよりもはるかに強固であることが明らかとなった。

ロシアの経済と行政は、西側諸国の予想を遥かに超えて強固なものだった。

2022年の国内総生産(GDP)は減少した。予想は20~25%減、(あるいは)10%減だった。しかし、2022年の(実際の)GDPは2.1%減だった。これは最新データだ。また言及しておくが、昨年2~3月には、すでに述べたように、ロシアの経済は崩壊すると予想されていた。

ロシアのビジネスは、ロジスティクスを再構築し、責任感がある(行動が)予測可能なパートナーとの関係を強化した。そのようなパートナーはたくさんおり、世界ではそのようなパートナーが多数を占めている。

国際決済に占める我々のロシアルーブルの割合は、2021年12月比で、倍増して3分の1となり、友好国の通貨と合わせると、これはすでに(世界全体の)半分を超えていることを指摘したい。今後も、パートナーと共に、ドルやその他の西側の準備通貨から独立した安定かつ安全な国際決済システムの形成に取り組んでいく。

ドルやその他の西側の準備通貨は、西側のエリートや西側の支配者たちのそのような政策下では、必然的にその普遍的な性質を失うだろう。彼らは、自ら自分たちの手で全てを行っている。ドルまたはその他のいわゆる普遍的な通貨による決済を減らしているのは我々ではない。彼らが自らの手で全てを行っている。

強固な収支バランスのおかげで、ロシアは、外国で借金をしたり、頭を下げたり、お金をねだったり、その後、何を、どのくらい、どのような条件で返すかについて長い間話し合う必要はない。国内銀行は安定かつ着実に営業しており、しっかりとした耐久力の蓄えを持っている。

ロシアの農業生産についてだが、これは、昨年、二桁の成長率を示した。農業生産者の皆さん、どうもありがとう。敬意を表します。ロシアの農家は記録的な収穫をあげた。1億トン以上の小麦を含む1億5000万トン以上の穀物を収穫した。農業年度末、つまり2023年6月30日までに、ロシアは穀物総輸出量を55億6000万トンまで伸ばすことができる。10~15年前、これは、まるでおとぎ話のようで、全くもって実現できそうもない計画だった。

ロシアは労働市場を没落させなかった。その反対に、現代の状況で失業率の低下を成し遂げた。今日、あらゆる面で、このような困難な状況に置かれている中で、ロシアの労働市場は、以前よりも快適になった。パンデミック前のロシアの失業率は4.7%だったが、現在は3.7%と歴史的な低水準にある。

他に何が重要か? 昨年は第2四半期にのみ景気後退が確認され、すでに第3四半期および第4四半期には成長と発展が見られた。

ロシアは、事実上、経済成長の新たなサイクルに入った。専門家たちによると、そのモデルと構造は質的に異なる性質を得ている。

アジア太平洋地域を含む新しくて有望な世界市場や、外国への原料供給ではなく、付加価値の高いモノづくりといったロシア自身の国内市場、科学、テクノロジー、人材の基盤が最優先になっている。これは、あらゆる領域や分野におけるロシアの巨大なポテンシャルを解き放つことを可能としている。すでに今年、内需の堅調な伸びが予想されている。ロシアの企業が、この機会を利用して生産を増やし、最も需要の高い製品を生産し、西側企業の撤退後にできた、またはできつつあるニッチを占めると確信している。

我々の仕事の意味は現状に適応することではない。このことを強調しておきたい。戦略的な目標は、私たちの経済を新たな最前線へと導くことだ。今は、全てが変化しており、しかも変化の速度は非常に速い。今という時は、挑戦を挑まれているだけではない。可能性の時でもある。今日、これは本当にそうなのだ。そして、これを、どのように実行するかに、我々の将来の生活がかかっている。

では、どのような分野に、国、地域、国内企業のパートナーシップの重点を置くべきか?

将来有望な対外経済関係を拡大し、新たな物流回廊を構築していく。すでに、モスクワとカザンを結ぶ高速道路を、エカテリンブルク、チェリャビンスク、チュメニまで延長することが決まった。将来、これはイルクーツク、ウラジオストクまで延ばされ、カザフスタン、モンゴル、中国にアクセスすることが決定しており、東南アジア市場との経済関係も大幅に拡大する。

黒海とアゾフ海の港湾開発を行う。

北と南を結ぶ国際回廊には特に注意を払う。すでに、今年、喫水4.5メートル以上の船舶が、ヴォルガとカスピ海を結ぶ水路を通過できるようになる。これは、インド、イラン、パキスタン、中東諸国とのビジネス協力のための新しいルートを開く。我々は今後もこの回廊を発展させていく。

私たちの計画には、鉄道の東方面、シベリア鉄道とバイカル・アムール幹線の近代化の加速と北極海航路の可能性の拡大が入っている。これは単に貨物輸送を補足的に増やすだけでなく、シベリア、北極圏、極東を開発するという社会全体の課題を解決するための基礎となる。

親愛なる同僚の皆さん!

ロシアは、開かれた国であると同時に、独自の文明を持つ国だ。これには排他性や優位性を主張するものはないが、この文明が我々のものであるということが大事なのだ。この文明は、我々が祖先から受け継いできたものであり、我々は、それを子孫のために保存し、さらに継承していかねばならない。

我々は、友人たち、共に作業を行う構えのある人たち全員と協力を拡大し、最高のものを引き継いでいくが、それでも、まず頼りにするのは、我々自身の潜在性、ロシア社会の創造的エネルギー、我々自身の伝統と価値観である。

そして、ここで、ロシア国民の性格についてお話したい。彼らは、いつだって誰よりも寛大で心が広く、慈悲深さと思いやりの深さで際立っていた。そして、ロシアという国は、こうした資質を余すことなく反映している。我々は仲良くし、約束を守り、誰も騙すことなどなく、どんな時でも、困難な状況にある人を支援し、困っている人がいれば、ためらうことなく助けに行く。

コロナウイルスが世界的に大流行し、イタリアをはじめとする欧州の国々が最も困難な状況にあった時に、事実上、真っ先に助けに行ったのが我々だったことは皆が覚えている。また、シリアやトルコの地震の時だって同じように支援に駆け付けたではないか。

まさに、ロシアの民こそ、この国の主権の基礎であり、権力の源泉である。我が国民の権利と自由は不変だ。それらは憲法で保証されており、外からの挑戦や脅威があろうとも我々はこれを渡さない。

私は、あなた方の、このような責任感のある、毅然とした姿勢に感謝するとともに、愛国者で政治家だったピョートル・アルカディエヴィチ・ストルイピンの言葉を思いおこしたい。その言葉とは、100年以上も前にストルイピンが国会(ドゥーマ)で語ったものだが、今の時代に、まさにぴったり即している。ストルイピンはこう言った。

「ロシアを守るためには、我々は、歴史的な最高の権利を守るために、皆が力を合わせ、自らの尽力、自らの義務、自らの権利とを調整しなければならない。その権利とは、すなわち、ロシアが強国である権利である」
ここで我々の周辺で起きていることについて、少し述べたい。

尊敬する同僚の皆さん、さらに別のテーマに触れたい。

今年の2月の初め、NATOからロシアに対し、いわば戦略攻撃兵器削減条約の遵守に立ち戻り、核の国防施設の査察を認めるよう事実上の要請が入った。もう、これは何と呼べばいいのかさえ分からない。不条理劇場のようなものだ。

キエフ政権が行った、ロシアの戦略的航空基地への攻撃に、西側諸国が直接的に関与していたことは分かっている。この目的のために使用されたドローンは、NATOの専門家の協力を受けて装備され、アップグレードされた。そして今度は、彼らは、我々の国防施設も検査しようとしているのか?今日の対立の現状では、これは、まったくナンセンスに響く。

しかも、これは強調しておきたいが、この協定では、我々は完全な査察を行うことができない。我々は現場を視察したいと何度も申し入れたが、返事がなかったり、形式的な理由で拒否されたりして、相手側をまったく確認することができない。

強調したいのは、米国とNATOは、ロシアに戦略的敗北を与えることが自分らの目標だと明言していることだ。そんなことを言った後で、向こうは、何事もなかったかのように、最新鋭のものを含む我々の国防施設の周りを走り回るつもりなのだろうか?例えば、私は、1週間前、新たな地上型戦略複合施設を戦闘任務に就かせるという大統領令に署名したのだが、向こうは、そこにも鼻を突っ込むつもりなのだろうか?そして、彼らは、我々が彼らをあっさり受け入れるとでも思っているのだろうか?

集団的な声明を出すことで、NATOは、事実上、戦略兵器削減条約の締約国になると宣言したも同様だ。それでは、こちらもそれに同意しよう。しかも、こういう状況は、ずいぶん前に機が熟していたと言える。なぜなら、NATOの核保有国は1国ではない。米国、英国、フランスも核兵器を持ち、改良と開発を続けており、それらは、我々、ロシアに対して向けられているからだ。これらの国の指導者らの最新の声明は、これを裏付けるものでしかない。 聞いてほしい。

最初の戦略兵器削減条約は、もともと、ソ連と米国が1991年に締結したもので、緊張が少なく相互信頼があり、根本的に異なる状況にあったことを無視することはできないし、特に、今日においては、無視してはならない。その後、露米関係は、もはや、お互いを敵とはみなしていないと宣言するレベルにまで達した。素晴らしい。全てが非常に良好だった。

2010年に発効した条約には、安全保障の不可分性、戦略的攻撃兵器と防御兵器の直接的な関連性についての重要な条項が含まれている。これら全ては、とうの昔に忘れ去られている。米国は、弾道弾迎撃ミサイル制限条約を脱退しており、ご存じのように全て過去のことになっている。非常に重要なことだが、我々の関係が悪化したのは完全に米国の「功績」だ。

ソ連崩壊後、第二次世界大戦の結果を修正し、わずか1人しか主が存在しない米国型の世界を築こうとしたのは、まさに彼らである。そのために、第二次世界大戦後に作られた世界秩序の土台を、全て、あからさまに破壊し始めた。ヤルタとポツダムの遺産を否定するために、既成の世界秩序を徐々に修正し始め、安全保障と軍備管理のシステムを解体し、世界中で、一連の戦争を計画し、実行に移したのだ。

この全てが、同じ目的で行われてきた。それは第二次世界大戦後に構築された国際関係の構造を壊すことだ。これは修辞技法ではない。ソ連崩壊後、彼らは、新生ロシアや他の国々の利益を考慮せず、自分たちの世界支配を、永遠に固定化しようとしている。

もちろん、世界の状況は、1945年以降、変化している。発展と影響力の新たな中心が形成され、急速に発展しつつある。これは自然で客観的なプロセスであり、無視することはできない。しかし、米国が、自国の自己中心的な利益のためだけに、世界秩序を、自分たちの都合の良いように作り変え始めたことは、受け入れがたいことだ。

今、彼らは、NATOの代表らを通じてシグナルを送っている。事実上、我々に、最後通牒を突きつけているのだ。お前たちロシアは、START条約をはじめ、合意したことを無条件に実行せよ。我々のほうは、好きなように行動する。STARTの問題と、例えば、ウクライナ紛争など、わが国に対する欧米の敵対行為とは関係がない、と言わんばかりだ。戦略的敗北を与えたいという発言も響かない。これは、偽善と皮肉の極みというか、愚かさの極みというか。だが、彼らを白痴とは呼べない。彼らは、結局は馬鹿な人間ではない。

彼らは、我々に、戦略的敗北を喫させようとしており、我々の核施設に立ち入ろうとしている。これに関して、今日、私は、ロシアは戦略兵器削減条約への参加を停止すると言わざるを得なくなった。繰り返すが、ロシアは、条約から脱退するのではない。参加を停止するのだ。しかし、この問題の議論に戻る前に、英仏のようなNATO加盟国が、何を要求しているのか、彼らの戦略兵器、つまり、NATO全体の攻撃ポテンシャルを、我々はどう考慮するのか、これを我々自身で理解する必要がある。

彼らは、今、自分らの声明で、要するに、このプロセスへの参加を申請したのだ。めでたい。我々も反対しない。ただし、平和とデタントの覇者の役割を気取って、再び、皆に嘘をつこうとしないでほしい。我々は、全ての背景を知っている。米国の核弾頭は、種類によっては、戦闘行為で使える保証期限が切れていることも知っている。このため、ワシントンの一部の人々は、本当に核兵器の発射実験を行う可能性を検討中だという情報を、ロシアはつかんでいる。しかも、米国が、新しいタイプの核弾頭を開発しているという事実をふまえている。

こうした状況の中で、ロシア国防省とロスアトムは、ロシアの核兵器実験の準備を確実にしなければならない。もちろん、これは、我々が最初に行うのではない。米国が実験を行うのであれば、我々も行う。世界の戦略的均衡が破壊されるような危険な幻想は、誰も抱いてはならない。

親愛なる同僚の皆さん!親愛なるロシア国民の皆さん!

今日、私たちは、複雑で容易ではない道を共に進み、あらゆる困難を共に乗り越えている。それ以外は、ありえない。なぜなら、我々は、偉大な先祖を手本に育てられ、代々受け継がれてきた彼らの誓約にふさわしい存在でなければならないからだ。我々は、祖国への献身、意志、そして、団結のおかげで前進するのみだ。この真摯な支援、団結、相互扶助に感謝します。これは誇張ではない。

ロシアは、どんな困難にも立ち向かう。なぜなら、我々は、皆、ひとつの国、ひとつの、偉大な、団結した国民だからだ。我々は、自分たちに自信があり、自分たちの力を信じている。真実は我々のものだ。

ありがとうございました。

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