――「フィギュアスケート女子シングル・フリー」 (解説=八木沼純子、刈屋富士雄アナ) NHK総合 ~14:05 ……キム・ヨナが完璧な演技で金メダル。浅田真央を寄せつけなかった。浅田も健闘したが、キムがうますぎた。
バンクーバー冬季五輪第14日の25日(日本時間26日)、フィギュアスケート女子はフリーを行い、ショートプログラム(SP)2位の浅田真央(中京大)は自己最高の合計205.50点をマークしたが、直前に演技した韓国の金妍児(キム・ヨナ)の228.56点に及ばなかった。浅田は出場24選手中2位で、前回トリノ五輪の荒川静香につづく日本勢の2大会連続金メダルはならなかった。
SP4位の安藤美姫(トヨタ自動車)は188.86点で5位、鈴木明子(邦和スポーツランド)は181.44点で8位入賞を果たした。
【成績】 得 点 S P フリー
①キム・ヨナ(韓国) 228.56 78.50 150.06
②浅田真央(中京大) 205.50 73.78 131.72
③ロシェット(カナダ) 202.64 71.36 131.28
④長洲未来(米国) 190.15 63.76 126.39
⑤安藤美姫(トヨタ自動車) 188.86 64.76 124.10
⑧鈴木明子(邦和スポーツランド) 181.44 61.02 120.42


【1位=キム・ヨナ】
金メダルを右手にとってじっと見つめた。涙をにじませ、金妍児(キム・ヨナ)は胸に手を当て、敬礼の姿勢でで国歌にじっと聞き入った。「五輪でチャンピオンになるのが夢だった。信じられない」。夢見た表彰台の頂点に立って、万感が胸に押し寄せた。
一糸乱れぬ美しい滑りだった。冒頭の連続3回転ジャンプをきれいに決めて波に乗った。ノーミスで終えると感極まって両手を天に突き上げた。「得点を見て泣いてしまいました」。歴代最高得点の150.06点と驚異的な数字を獲得した。
指先まで神経が行き届いていた。3つのスピンはすべて最高評価のレベル4。スパイラルでも美しい弧を銀盤に描いてレベル4を獲得した。速く正確に美しく技を決めていく滑りに観衆はうっとり。余韻を楽しむように大きな拍手を送った。
フリーの採点 基礎点 出来栄え 得 点
技術点①3Lz+3T …………… 10.00 2.00 12.00
②3F ………………… 5.50 1.80 7.30
③2A+2T+2Lo ……… 6.30 1.40 7.70
④スピン(4) ………… 3.00 0.80 3.80
⑤S・S(4) …………… 3.40 2.00 5.40
⑥2A+3T …………… 7.50 2.00 9.50
⑦3S ………………… 4.95 1.40 6.35
⑧3LZ ………………… 6.60 2.00 8.60
⑨SL・ステップ・S(3) 3.30 1.00 4.30
⑩2A ………………… 3.85 1.40 5.25
⑪スピン(4) ………… 3.00 0.60 3.60
⑫スピン(4) ………… 3.50 1.00 4.50
小計 60.90 17.40 78.30
演技点 振り付け …………………………………… 8.95
要素のつなぎ ……………………………… 8.60
音楽の解釈 ………………………………… 9.10
演技の表現力 ……………………………… 9.15
スケーティングの技術 …………………… 9.05
小計 44.85×1.6=71.76
減点 …………………………………………………… 0.00
フリー合計 ………………………………………… 150.06
5歳でスケート靴を履き、7歳で本格的に競技を始めた。家は決して裕福ではなかった。金がスケートに没頭するため、姉はスケートや一切の習い事を辞めて費用を作った。家族、コーチ、さらには韓国の期待を力に変えての勝利だった。
負けず嫌いだった。スケート教室では最も年下だった。走力では当然上級生に劣る。それでも金は必死を彼らの背中を追い越そうとした。ジュニア時代から競う同年齢のライバル、浅田を追い越した気力の源流は、幼少時代に備わっていた。
4年後は五輪連覇がかかる。「まだ終わったばかり。次の世界選手権が終わったらゆっくり考えます」と受け流した。プロになる情報もある。どんな選択をするにせよ、大舞台で見せた完璧な滑りは、ずぶとい気持ちがなければ生まれなかった。
フリーでしなやかに演技するキム・ヨナ
【2位=浅田真央】
ショートプログラム(SP)を終えてキム・ヨナ(韓国)を4.72点差で追う2位の浅田真央(中京大)は、キム・ヨナの直後、22番目に登場。浅田は2回のトリプルアクセル(3回転半)には成功したものの、途中、着氷が乱れるわずかなミス。フリーで131.72点をマーク。SPとの合計で205.50点となり、キム・ヨナに及ばず、銀メダルとなった。
キム・ヨナが世界最高得点の演技の余韻が残るリンクに、赤と黒の衣装で登場した浅田。鍵となる冒頭のトリプルアクセル、トリプルアクセル-ダブルトウループ(2回転)の連続ジャンプに成功。その後、重厚なラフマニノフの前奏曲「鐘」の調べに乗り、荘厳なスケーティングを披露。トリプルフリップからダブルトウループへの連続ジャンプも決めた。完璧な演技を続けていた浅田だが、中盤でジャンプの回転不足からバランスを崩すわずかなミス。最後は腰に手を当てて天を仰いだ。
フリーの採点 基礎点 出来栄え 得 点 対キム
技術点①3A ………………… 8.20 0.80 9.00
②3A+2T …………… 9.50 0.20 9.70
③3F+2Lo …………… 7.00 0.60 7.60
④スピン(4) ………… 3.00 0.80 3.80 △
⑤S・S(4) …………… 3.40 2.60 6.00 ○
⑥3Lo ………………… 5.50 0.60 6.10
⑦3F<+2Lo+2Lo …… 5.17 -0.48 4.69
⑧1T ………………… 0.44 0.00 0.44
⑨2A ………………… 3.85 1.00 4.85 ×
⑩スピン(4) ………… 3.00 0.80 3.80 ○
⑪SL・ステップ・S(3) 3.30 1.10 4.40 ○
⑫スピン(4) ………… 3.50 0.80 4.30 ×
小計 55.86 8.82 64.68
演技点 振り付け …………………………………… 8.45 ×
要素のつなぎ ……………………………… 7.85 ×
音楽の解釈 ………………………………… 8.55 ×
演技の表現力 ……………………………… 8.50 ×
スケーティングの技術 …………………… 8.55 ×
小計 41.90×1.6=67.04
減点 …………………………………………………… 0.00
フリー合計 ………………………………………… 131.72
浅田真央の涙が止まらなかった。大舞台で完璧に滑りきれなかった自分が許せなかった。「悔しいです」。目を真っ赤にして声がかすれた。
浅田真央のフリー演技
【3位=ロシェット】
悲劇のヒロイン、ショートプログラムの2日前に最愛の母をバンクーバーで亡くしたロシェット(カナダ)は、情感をこめたフリーの演技で131.86点を加え、合計202.64点で銅メダルを獲得した。「母とともに目指してきた人生の計画をやり遂げられた」と充実感を浮かべていた。
演技を終え、天に向かって手を合わせるロシェット
【4位=長洲未来】
最終滑走者の米国代表、長洲未来は、ほぼノーミスの演技をまとめると、右手を突き上げた。両親が日本人の16歳は、週2日のバレエのレッスンを生かし、大人っぽいカルメンを披露。伸び伸びと演技した。自己最高を大幅に更新する190.15点で4位に食い込むと、両手をたたいて喜んだ。
高得点に大喜びの長洲未来
バンクーバー冬季五輪第14日の25日(日本時間26日)、フィギュアスケート女子はフリーを行い、ショートプログラム(SP)2位の浅田真央(中京大)は自己最高の合計205.50点をマークしたが、直前に演技した韓国の金妍児(キム・ヨナ)の228.56点に及ばなかった。浅田は出場24選手中2位で、前回トリノ五輪の荒川静香につづく日本勢の2大会連続金メダルはならなかった。
SP4位の安藤美姫(トヨタ自動車)は188.86点で5位、鈴木明子(邦和スポーツランド)は181.44点で8位入賞を果たした。
【成績】 得 点 S P フリー
①キム・ヨナ(韓国) 228.56 78.50 150.06
②浅田真央(中京大) 205.50 73.78 131.72
③ロシェット(カナダ) 202.64 71.36 131.28
④長洲未来(米国) 190.15 63.76 126.39
⑤安藤美姫(トヨタ自動車) 188.86 64.76 124.10
⑧鈴木明子(邦和スポーツランド) 181.44 61.02 120.42



【1位=キム・ヨナ】
金メダルを右手にとってじっと見つめた。涙をにじませ、金妍児(キム・ヨナ)は胸に手を当て、敬礼の姿勢でで国歌にじっと聞き入った。「五輪でチャンピオンになるのが夢だった。信じられない」。夢見た表彰台の頂点に立って、万感が胸に押し寄せた。
一糸乱れぬ美しい滑りだった。冒頭の連続3回転ジャンプをきれいに決めて波に乗った。ノーミスで終えると感極まって両手を天に突き上げた。「得点を見て泣いてしまいました」。歴代最高得点の150.06点と驚異的な数字を獲得した。
指先まで神経が行き届いていた。3つのスピンはすべて最高評価のレベル4。スパイラルでも美しい弧を銀盤に描いてレベル4を獲得した。速く正確に美しく技を決めていく滑りに観衆はうっとり。余韻を楽しむように大きな拍手を送った。
フリーの採点 基礎点 出来栄え 得 点
技術点①3Lz+3T …………… 10.00 2.00 12.00
②3F ………………… 5.50 1.80 7.30
③2A+2T+2Lo ……… 6.30 1.40 7.70
④スピン(4) ………… 3.00 0.80 3.80
⑤S・S(4) …………… 3.40 2.00 5.40
⑥2A+3T …………… 7.50 2.00 9.50
⑦3S ………………… 4.95 1.40 6.35
⑧3LZ ………………… 6.60 2.00 8.60
⑨SL・ステップ・S(3) 3.30 1.00 4.30
⑩2A ………………… 3.85 1.40 5.25
⑪スピン(4) ………… 3.00 0.60 3.60
⑫スピン(4) ………… 3.50 1.00 4.50
小計 60.90 17.40 78.30
演技点 振り付け …………………………………… 8.95
要素のつなぎ ……………………………… 8.60
音楽の解釈 ………………………………… 9.10
演技の表現力 ……………………………… 9.15
スケーティングの技術 …………………… 9.05
小計 44.85×1.6=71.76
減点 …………………………………………………… 0.00
フリー合計 ………………………………………… 150.06
5歳でスケート靴を履き、7歳で本格的に競技を始めた。家は決して裕福ではなかった。金がスケートに没頭するため、姉はスケートや一切の習い事を辞めて費用を作った。家族、コーチ、さらには韓国の期待を力に変えての勝利だった。
負けず嫌いだった。スケート教室では最も年下だった。走力では当然上級生に劣る。それでも金は必死を彼らの背中を追い越そうとした。ジュニア時代から競う同年齢のライバル、浅田を追い越した気力の源流は、幼少時代に備わっていた。
4年後は五輪連覇がかかる。「まだ終わったばかり。次の世界選手権が終わったらゆっくり考えます」と受け流した。プロになる情報もある。どんな選択をするにせよ、大舞台で見せた完璧な滑りは、ずぶとい気持ちがなければ生まれなかった。

【2位=浅田真央】
ショートプログラム(SP)を終えてキム・ヨナ(韓国)を4.72点差で追う2位の浅田真央(中京大)は、キム・ヨナの直後、22番目に登場。浅田は2回のトリプルアクセル(3回転半)には成功したものの、途中、着氷が乱れるわずかなミス。フリーで131.72点をマーク。SPとの合計で205.50点となり、キム・ヨナに及ばず、銀メダルとなった。
キム・ヨナが世界最高得点の演技の余韻が残るリンクに、赤と黒の衣装で登場した浅田。鍵となる冒頭のトリプルアクセル、トリプルアクセル-ダブルトウループ(2回転)の連続ジャンプに成功。その後、重厚なラフマニノフの前奏曲「鐘」の調べに乗り、荘厳なスケーティングを披露。トリプルフリップからダブルトウループへの連続ジャンプも決めた。完璧な演技を続けていた浅田だが、中盤でジャンプの回転不足からバランスを崩すわずかなミス。最後は腰に手を当てて天を仰いだ。
フリーの採点 基礎点 出来栄え 得 点 対キム
技術点①3A ………………… 8.20 0.80 9.00
②3A+2T …………… 9.50 0.20 9.70
③3F+2Lo …………… 7.00 0.60 7.60
④スピン(4) ………… 3.00 0.80 3.80 △
⑤S・S(4) …………… 3.40 2.60 6.00 ○
⑥3Lo ………………… 5.50 0.60 6.10
⑦3F<+2Lo+2Lo …… 5.17 -0.48 4.69
⑧1T ………………… 0.44 0.00 0.44
⑨2A ………………… 3.85 1.00 4.85 ×
⑩スピン(4) ………… 3.00 0.80 3.80 ○
⑪SL・ステップ・S(3) 3.30 1.10 4.40 ○
⑫スピン(4) ………… 3.50 0.80 4.30 ×
小計 55.86 8.82 64.68
演技点 振り付け …………………………………… 8.45 ×
要素のつなぎ ……………………………… 7.85 ×
音楽の解釈 ………………………………… 8.55 ×
演技の表現力 ……………………………… 8.50 ×
スケーティングの技術 …………………… 8.55 ×
小計 41.90×1.6=67.04
減点 …………………………………………………… 0.00
フリー合計 ………………………………………… 131.72
浅田真央の涙が止まらなかった。大舞台で完璧に滑りきれなかった自分が許せなかった。「悔しいです」。目を真っ赤にして声がかすれた。

【3位=ロシェット】
悲劇のヒロイン、ショートプログラムの2日前に最愛の母をバンクーバーで亡くしたロシェット(カナダ)は、情感をこめたフリーの演技で131.86点を加え、合計202.64点で銅メダルを獲得した。「母とともに目指してきた人生の計画をやり遂げられた」と充実感を浮かべていた。

【4位=長洲未来】
最終滑走者の米国代表、長洲未来は、ほぼノーミスの演技をまとめると、右手を突き上げた。両親が日本人の16歳は、週2日のバレエのレッスンを生かし、大人っぽいカルメンを披露。伸び伸びと演技した。自己最高を大幅に更新する190.15点で4位に食い込むと、両手をたたいて喜んだ。
