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至誠惻怛(しせいそくだつ)=真心と慈愛の精神

縄文時代前半

2008-09-06 | 読書・日本の歴史
 《旧石器社会と明確に区別される縄文社会の特徴
 ①特定の土地に落ち着く計画的意思…縦穴住居。
 ②はっきりと打ち出された生活戦略…食料貯蔵設備。家財道具(石皿、すり石、土器)。
 →生活拠点づくり⇔旧石器時代の遊動。

 《定着度の高い生活
 世界的な気温の上昇期…旧石器時代の終わりから縄文草創期に入る約15,000年前ごろ。
 温暖化→①クリやドングリなどの森が茂る→植物管理。②海流が活性化し、サケやマスの回遊と遡上がうながされる→河川漁撈。

 《縄文草創期の居所
 斜面を掘り込んで屋根をしつらえ、屋根には土をかけ、低い側に入り口を向けたもの→横穴のイメージ。
 岩陰や洞窟の入り口で暮らした跡。

 《ヤンガー・ドリアス期
 世界的な寒の戻りの時期。約13,000年前から11,000年前ごろ。
 グリーンランドの氷床(氷河)に堆積した氷に含まれる酸素を調査し、気候変動を推定。

 《「サト」の出現
 約11,000年前から本格的な暖かさの到来。
 →植物性食料、河川漁撈へ依存。
 →完全な定住…特定の土地と心をつなぐ人びとの出現。「骨を埋める」という意識。
 →世代を超えた定住…人と場所との絆の蓄積。「サト」。

 《定住による物質文化の発展
 約9,500年前
 ①形が誇張された石のナイフ=神子柴型の大型石ヤリと同じように、実用性を失うまでに手の込んだ「凝り」を盛り込み、道具のもつ社会的なメッセージ性だけを取り出して物体化したホモ・サピエンス的な人工物。
 ②土をこねて焼いたフィギュア=土偶の始まり。焼物細工の発明。

 メッセージ性のみを取り出して物体化した人工物…定住の本格化と一致。
 社会的な関係の確認に人工物を介在させる。人と人との関係を者になぞらえるアナロジーの能力と、ものづくりの才能との連携の賜物。
 ホモ・サピエンスの物質文化の神髄=言語とともに人工物をもって行う。
 定住が、物質文化を大きく発展させる起爆剤になった。

 《環状定住集落
 恋ヶ窪南遺跡(国分寺市)…約8,500年前の大型環状定住集落。広場を真ん中にして同心円を描いている。
 …約7,000年前、真ん中の広場に穴を掘り、遺体を埋葬した環状集落の出現。広場に葬られた死者=サトとしての求心力。

 《縄文前期
 約7,000年~6,000年前…気温上昇がピーク。今よりも1~2℃高い。海面も今より3~5m高かっただろう。
 環状集落の林立に結実する定住と人口の増加は、温暖化した気候がもたらした豊かな森の恵み(植物食料)、海の恵みの賜物だった。
 →土偶、奇妙な石製品、壮大な環状集落。社会的コミュニケーションの密度が高まった。

 《縄文時代に得た貯蔵技術
 獲得・加工・貯蔵という3点セットの技術。とくに、貯蔵は旧石器時代にはなかった。
 縄文草創期…ドングリなどを貯えた穴蔵。
 中里貝塚(東京)…7,000年前からの日本最大貝塚。干し貝加工。おもにハマグリとカキ。当時の海岸線にあり、付近に集落跡はない。貝をゆで、中身を干し貝に加工する場所だったと考えられている。保存食料。

 《獲得の技術改良
 石ヤリ主体(旧石器時代)→弓矢主体(縄文時代)
 石鏃(せきぞく)の発達。離れモリ。
 漁具の発達。
 磨製石斧(せきふ)、打製石斧。

 《縄文社会で発達した3点セットの技術
 獲得・加工・貯蔵の技術の発達→定住という生活形態の確立。

 《列島東西の環境相違
 東日本…落葉広葉樹林→遺跡密度が高い。
 西日本…照葉樹林→遺跡密度が低い。

 《縄文時代の西日本
 (土器などから)西日本は、東日本よりも朝鮮半島と共通するところが大きい。

 《派手な飾りをもつ華麗な縄文土器
 岡本太郎は、縄文土器に深い芸術性を見いだした。
 心の科学にのっとった老古学の観点
  ①定住がもたらした暮らしの特化→文化の中味を地域ごとに濃密化。
  ②定住によるコミュニケーションの高まり→機能以外の「凝り」を盛り込み、強いメッセージ性を付与する傾向を増大。
 (定住により)地域ごとの鮮やかな個性が表され、いくつもの様式が競うように立ち並ぶことになった。
 cf.「火炎土器」(馬高式)

 《縄文土器と環状集落
 東日本の土器=派手。
 西日本の土器=控えめ。

 ※東日本の環状集落と派手な土器…共通の社会的条件。すむ場所の形、使う道具といった物質文化に高いメッセージ性を盛り込んだ。

 《物質流通のネットワーク
 人が動かなくなるほうが、かえって物はよく動く。定住によって、「人は動かず、物を動かす」ネットワークの仕組みができあがった。
 →密度の高いコミュニケーション。
 →文化の中味の明確化。

 《文字のない社会
 視覚や聴覚を通して、他者の感情や認知に直接訴えるやり方。先史社会の込み入った儀礼、凝った衣装、芸術的な表現。
 縄文時代前期から中期にかけて(7,000~4,500年前)は、土器を飾り立て、集落を環状に演出。→定住と人口増によって、個人どうしの関係と、物資流通ネットワークに連なる集団間の関係とがもっとも複雑化した関東・甲信越や東北南部において、いちばん典型的に進んだ。

 《複雑華麗な縄文土器の文様
 具体的な意味は、永遠の謎。
 連帯感を高める相互間のメッセージ。

 《スキーマ
 知識や概念の連鎖。→人工物を研究するうえでの重要なキーワード。
 文化=社会の人びとに共有された知が、目にみえる形になったもの。

 《基層や表層
 複雑な脳の現象である文化というものに、科学的な意味での基層や表層があるということそのものが、そもそも疑問だ。
 個別な要素にすぎない。

 《環状集落の構成
 ①ひとつの環状集落がひとつの出自集団の居所。
 ②ひとつの環状集落が複数の出自集団の居所。

 《環状集落の墓
 中央広場につくられた。
 その中心に何基かの墓が独立してつくられた。

 《環状集落最盛期の縄文社会
 環状集落…格差を包み隠す位置関係。メンバーは互いに対等とするメッセージ⇔墓域における個人どうしの社会的な差異。
 →ある局面では互いの対等を尊重し、別の局面では差異を認め合う社会的状況。
 環状集落の円環形には平等のメッセージが、中心部の墓の位置や副葬品の違いには現実の序列が示されている。平等原理と序列原理のせめぎあい。

 《縄文社会は平等だったか
 個体どうしが競争することは、生物の本質だ。競争があるからこそ、そのときどきの環境のなかで有利な形質をもった個体が生き残る。それが進化だ。進化するからこそ、種は世代を超えて生きながらえることができる。個体間の競争がなかったら、ヒトという種は現れなかっただろうし、今日の私たちのような姿に進化したはずもない。
 暴力死の回避→序列のシステム…個体間の強弱や優劣が前もって定められているために、食物や異性をめぐる競争が暴力として爆発してしまう機会は、最小限に抑えられる。
 厳しい序列のある複雑な社会環境のなかで進化→ヒトの大脳の発達…生きるための競争や不平等に満ちた社会をゆりかごとして進化。
 ホモ・サピエンスの社会は、根本的には、時代を問わず不平等。

 《平等はつくられた観念
 序列の原理…ヒト社会に基本的にある不平等がまねく個体間関係のゆがみを調整する手段として、その不平等を是認して合理化する。⇔平等の原理。
 友愛や思いやりに基づく平等主義…ヒト社会の進化段階で生みだされた。
 序列原理と平等原理が複雑にからみあって、個人間の関係、すなわち社会がつくられる。
 太古から現代までのいかなるホモ・サピエンス社会においても、序列と平等の二つの原理は互いに重なり合い、せめぎあい、局面を変えながら、つねに同時に存在する。
 不平等を覆い隠すための、あたかも平等主義にみえるイデオロギー。
 心理学でいう「合理化」。

   松本武彦「列島創世記」(小学館「日本の歴史」第1巻)

旧石器時代

2008-09-06 | 読書・日本の歴史
 *バイオマス=生物の身体とそれがつくりだしたものの総容量。

 《5万年前の旧石器社会
 機能とは関係のない実用外の象徴的な表現(彫像、洞窟壁画、幾何学文様など)を盛り込んだ人工物。
 架空の存在→神
 形や模様への魅惑→美
 表現→芸術
 ヒトの「ビッグバン」

 《最近の進化論
 身体の特徴と同じように、脳の働き方の特徴もまた、生存のために有利なものが生き残っていくと考える。心の特徴もまた進化の産物。

 《ホモ・サピエンス
 架空の存在、美の感覚、芸術的表現。生命の維持とは無関係にみえるこのような脳の働きを、自然はなぜ、進化の過程でヒトに植えつけるに至ったのだろうか。生きるためには一見無駄なことを考えるようプログラムされた人びとがより多く生き残り、今日の私たちにつながったのはなぜだろうか。
 架空を信じ、美をめでるという脳の性向。

 《石器の登場
 肉(タンパク質)の摂取量の増加→脳の進化(タンパク質は脳の維持に不可欠)

 《文字以前の複雑社会への扉
 脳の進化による道具の発達→多くの食物を得て人口増加→社会関係の複雑化→機能以上の意味(実用を超えた凝り)を道具に盛り込む=人びとの社会的な関係を物質的に表現(認知的誘引性を物質に表現)。美の感覚の根源。人間関係づくり。

 《ヒトの「ビッグバン」
 半人半獣像の出現→神や宗教を生みだす素地。
 精製石槍にみられる美の表現志向。
 神・宗教・美→物質文化のビッグバン。

 《社会関係の進化
 ビッグバンと評されるような複雑で精緻な人工物も、ホモ・サピエンスの進化した脳と身体から生じてはいるが、直接にはそれを必要とする複雑な社会関係が導き出したものと考えなければならない。

 《列島上陸
 アフリカに生まれたヒトがおよそ700万年かけて日本列島にたどり着くまでの進化の歩み。日本列島に最初に現れた人びとの身体と脳の中にこそ、列島文化の基本設計と前史がある。

 《ピープリング
 ピープリング(ヒトの居住開始)が日本列島にまで届いた最初の確実な証=約4万年前の石器。

 《円形原理
 3万年前の住居跡…環を描いて並んでいる。
  →親密なコミュニケーション(cf.円卓会議)。親しみと対等性を醸し出す、自然な位置関係。共同意識の高い社会。ホモサピエンスの脳が生みだす社会認識と物質表現との結びつき。
 環の形(円形原理の物質世界)→親密で対等な社会関係を強めるような日常行為や儀礼を生みだす。

 《ナイフ形石器と内輪意識
 複雑な工程と技術を要する。レベル的には、現代の工芸品と同じ。長年にわたる技の習得と伝授が欠かせない。
 東北~中部北部、関東、近畿~瀬戸内、九州で、ナイフ形石器の形が細部で異なっている。→地方のまとまり。背後に
言葉の共有。
 文化とは、共有された知が目に見える形になったもの。→自分たちは同じ集団だという意識を人びとにもたせる役割。
 最終的には国家や民族のアイデンティティへとつくりかえられていく内輪意識のうっすらとした最初の現れを、約29,000年前以降の後期旧石器時代後半のナイフ形石器に見てとれる。

 《旧石器時代後半の温暖化
 海面の上昇→広くなった対馬海峡から日本海に暖流が流れ込む。太平洋側を北上する黒潮も力を増す。四国と九州の間にも海水が入り込んで瀬戸内海ができた。
 →後期旧石器時代の人びとの生活跡の多くが海底に。旧石器時代の研究は、当時の高地に住んでいたひと握りの人びとの遺跡だけを相手にせざるをえないという限界がある。

 《旧石器から縄文へ
 旧石器時代末期の温暖化
  ①フットワークを追求(細石刃集団)
  ②ネットワークを強化(神子柴型集団)…生活の定着と人工物の凝り→縄文時代へ。

   松本武彦「列島創世記」(小学館「日本の歴史」第1巻)

列島創世記

2008-09-06 | 読書・日本の歴史
 巨大古墳の築造が頂点に達した5世紀まで。文字記録や信憑性が十分でなく、物資資料に多くをl頼らなければならない時期。前文字社会。

 《前文字社会のヒトと道具
 猿人(道具)→原人(石器)→旧人(周到な石器製作技術や墓)→新人(複雑な道具や住まい)

 《社会主義国家体制の不成功
 史的唯物論を支えるべき人間自体の科学的探求(ヒューマン・サイエンス)が長足の進歩を遂げたにもかかわらず、史的唯物論はその成果を取り入れて止揚されることなく教条化し、科学としての力を弱めてしまった。ヒトが、感情と欲望に左右され、神や迷信からなかなか逃れられない存在である事実を軽んじたことが、史的唯物論によって立つ社会体制が不成功に終わった一因ではないだろうか。

 《認知考古学の発展
 人工物や行動や社会の本質を心の科学(認知科学=ヒトの心の普遍的特質の理解をもとにヒトの行動を説明しようとする学問)によって見きわめ、その変化のメカニズムを分析する認知考古学の発展がめざましい。

   松本武彦「列島創世記」(小学館「日本の歴史」第1巻)