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至誠惻怛(しせいそくだつ)=真心と慈愛の精神

映画「彼のオートバイ 彼女の島」

2010-02-26 | 日記
 ――映画「彼のオートバイ 彼女の島」 (原田貴和子、渡辺典子、竹内力、高柳良一、三浦友和、監督=大林宣彦・1986) DVD
 
 初夏の信州で知り合った男女が、オートバイを通して結ばれていくまでを描く。片岡義男原作の同名小説の映画化で、脚本は「姉妹坂」の関本郁夫、監督は同作の大林宣彦、撮影は「さびしんぼう」の阪本善尚。主題歌は、原田貴和子。
 
 
 
 橋本巧(竹内力)は、音楽大学に通うかたわら、プレスライダーのアルバイトをしている。ある日、巧は先輩ライダーの沢田秀政(三浦友和)から、妹・冬美(渡辺典子)とのただならぬ仲の「責任をとれ」と詰め寄られた。心の整理をつけるため、巧はオートバイで信州にひとり旅に出た。
 冬美との出来事を回想する彼の前に、不思議な透明感を漂わせた女性か現われた。彼女は、巧のオートバイに興味を示した。その女性、ミーヨこと白石美代子(原田貴和子)と巧は、ひなびた温泉で再会した。東京にもどった巧は、沢田から決闘を申し込まれ、勝負に勝った。だが、数日後、冬美に別れを告げた。従順で泣いてばかりいる、人形のような彼女に、巧は物足りなさを覚えていたのだった。巧はミーヨと文通をつづけ、巧の心の中にミーヨが入ってきた。
 夏が訪れ、巧はミーヨの故郷・瀬戸内の島へ出かけた。ふたりの絆は、より確かなものになっていった。秋になり、ミーヨが東京に出てきた。巧はミーヨと連れだって、行きつけのスナック「道草」へ行った。そこで、久しぶりに冬美と会った。「道草」の専属歌手としてステージで歌っている彼女は、別人のように明るく、今では巧の友人・小川敬一(高柳良一)の恋人になっていた。
 ミーヨは巧のバイクに乗りはじめ、バイクの虜になっていった。そして、「早く大型バイクの免許を取りたい」と巧にせがんだ。しかし巧は、ミーヨのライディングを見た沢田の「バイクに乗ることにかけては天才だが、あのまま乗っていると彼女は死ぬ」といった言葉に躊躇した。
 ある雨の日、ミーヨは無断で巧の750CCに乗った。そのため、ふたりは喧嘩になった。数日後、ミーヨが巧のバイクとともに姿を消した。彼の知らない間に、ミーヨは大型免許を取ったらしい。やがて、冬美が小川の子供を身ごもった。それを知ったミーヨは、冬美に産着を届けた。「俺のバイクで、彼女の島に行け」という小川。巧はバイクに飛び乗った。そして、ミーヨの島で、仲良くツーリングするふたりの姿があった。
  ◇
 他に出演は、峰岸徹(小野里)、尾崎紀世彦(村田)、田村高廣(白石康一郎)、小林稔侍(新聞記者)、岸部一徳(新聞記者)、望月真実(小川の女友達)、泉谷しげる(トラック野郎)、根岸季衣(道草のママ)。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ……「悪」の権化とでもいうべき役柄が多い、こわもての竹内力が何と青春映画のヒーローになっていた。若いときの竹内力は、マスクも甘い好青年。「尾道三部作」など地方色が豊かな大林宣彦作品には、いつ見ても惹かれる。原田知世の姉、原田貴和子が素朴で初々しい。一服の清涼剤になった。彼女はこの映画で、第12回大阪映画祭・主演女優賞、第8回ヨコハマ映画祭・最優秀新人賞を受けている。
 カラーとモノクロが混在した映画は、昭和の一時期を思いださせる。そういえば、「大蔵映画」なんてのも街の映画館ではやっていた。

 映画の「彼女の島」は瀬戸内海にあり、原作は岡山県笠岡市の白石島だが、映画では広島県の岩子島(いわしじま)でロケを行っている。
 
 【岩子島】
 面積=2.45平方km、周囲=7.5km、人口=約750人。向島と向島大橋で結ばれており、尾道大橋から車で約15分。
 向島の一部のように見えるが、100~200mほどの三幸瀬戸を挟んで向島と離れている。昭和43年に向島大橋が開通し、向島と結ばれた。映画「男たちの大和」など、たびたび映画のロケ地になっている。
 阿弥陀寺の場所に高さ16mのビャクシンがあり、県の天然記念物になっている。島の西側に西岩岳があり、頂上付近に「ゆるぎ岩」がある。不安定な形だが乗っても揺るがないので「ゆるぎ岩」と名づけられている。

 
 
 
 映画の前半に出てくる混浴風呂は法師温泉の長寿館で、現在もロケ当時の浴室が残っている。
 
 【法師温泉】
 群馬県利根郡みなかみ町にあり、三国峠に近い標高800mの高所に一軒宿の「長寿館」がある。混浴大浴場が有名で、国鉄のフルムーン・ポスターに上原謙と高峰三枝子が入浴している写真が使われた。
 与謝野鉄幹、与謝野晶子、若山牧水、川端康成をはじめ、多くの文人が訪れている。

 
  雪の法師温泉「長寿館」

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