グローカル雑記帳

異文化理解や国際交流、中国のこと、日本の地方創生などについて。
また、日々の思ったことなど。自戒も込めた記録です。

満洲族からモンゴル族への手紙 ~その翻訳と所感~1/3

2019年03月13日 | 中国や大連のこと
 「モンゴル圏」という中国の媒体に、「満洲族の女性からモンゴル族への手紙」という記事が配信されていました。「モンゴル圏」は、中国のモンゴル族を主な読者対象としていると思います。
 その手紙の内容を、翻訳してみましたので、以下に記します。

<以下は訳文>-----
 こんにちは。私は、満洲族の女性です。この手紙は、全てのモンゴル族の皆さんへ書くものです。
 私は、モンゴル族の地区で育ちましたので、学んだのもモンゴル文化です。民族は、大小や人数にかかわりなく、全て平等です。
 私は、自らの民族「満洲」をとても愛しています。私たち満洲族は、強大であった時代を経て没落し、自らの言葉と文字も失われようとしています。
 私が最も怖いのは、誰かから自分の民族を尋ねられることです。私は、自分が満洲族であると言う勇気がありません。なぜなら、満州族であると答えれば、「満洲語はできる?」「満洲文字は書ける?」と次の質問が来るだろうからです。この様な質問を受ける時、私はビクビクと目に涙をためて、何も答えることができないのです。
 また、別の人はこうも言うのです。満州族の文化や習慣はほとんど消えてしまって、満洲族はだんだんと別の民族になってしまうだろう・・・
 この様な思いを、モンゴル族の皆さんは理解できるでしょうか?
 私は、満州族たちが自らの努力で、祖先から続く満州族の言葉や文字、全ての文化や習慣を守り、発展させていくことを強く望みます。ですが、私たちの言葉や文字がどこにあるのか、私には分かりません。どこで、勉強できるのでしょうか。
 私たち満洲族は、かつて強盛を誇った民族ですが、後代の人たちは努力せず、先祖の功績の上に安住し、進んで学ぶこともなく、先祖の良き伝統も引き継ぎませんでした。自民族の伝統文化を好まず、また重視せず、私たち満州族自身の民族の伝統や習慣、言葉、文字を衰退させ、今日、それらは風前の灯火となっています。
 私はモンゴル族の皆さんに、自分たちの言葉や文字を守り、発展させていってほしいと訴えたいと思います。
 しかし、モンゴル族の中にも、遊ぶことに熱中し、自民族の伝統文化をしっかり継承しようとしない人がいます。甚だしくは、他の言語を学び、他の言語を自慢とする人までいるのです。このような状況は、自文化の継承と発展という観点から見れば、不利益となる要素です。
 私は、モンゴル族の皆さんに、しっかりと自民族の伝統文化を守り、次の世代へ伝え、世代を重ねるごとに、それを発展させていってほしいと願っています。さもなければ、いつかモンゴル文化も、今の満洲文化の様な状況になってしまうでしょう。
 私は満洲を愛しています。また、私が学んでいるモンゴル文化も愛しています。モンゴルの方々には、必ず自らの文化を次の代へ伝えてほしいと思いますし、悪い習慣に毒されて、漠然と人生を送ってほしくはありません。自民族の伝統文化をしっかりと守り、伝え、発展させることができなければ、モンゴル族の文化もいつの日か現在の満洲文化の様な結果を迎えてしまいます!
<訳文はここまで>-----

 次回、この手紙に関する私の所感を書きたいと思います。
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