『スタートレック イントゥ・ダークネス』
私はそもそもスターウォーズ派で、スタートレックと名の付く作品をまともに観たのはたぶんこれが初めてです。
ベネさん出てなきゃ正直、観に行かなかった。
それに監督のJJがやはりスターウォーズ派で、だからこそスタートレックの監督に抜擢されたという経緯もおもしろいな、と思いまして。
スタートレックをリブートするにあたり、いや、リブートというよりここ数年流行りのビギニング系(登場人物の若かりし頃の話や過去の出来事を遡った作品)なのですが、シリーズに新風を吹き込み活力を復活させるために、敢えてトレッキーではなくSWオタのJJ監督が起用されたらしいです。トレッキーが作るとトレッキー好みの域を出られず、新規ファンが取り込めないからだそうで。
そのお蔭かどうなのかわかりませんが、非トレッキーの私でもわりと観易く楽しめました。
想像していたような、いかにもなスタトレ!!って雰囲気のレトロSF風味もそれほど鼻に付かず。
SWに限らず、いろいろなSF系作品で観たようなビジュアルも多くて、既視感も強かった気がしますが。
ベネディクト・カンバーバッチ演じるジョン・ハリソンが戦艦内に拘留されているシーンは、アベンジャーズのヘリキャリアにロキ(トム・ヒドルストン)が拘留されてたシーンとそっくりだな、と思ってしまいました。
拘置用透過カプセルの中、青白い光の下、白皙黒髪碧眼のスノビッシュなイギリス英語のヴィランが人心を操ろうとするというのは、ロキまんまとしか言いようがないというか。・・・
キャラクターのコンセプトのみならず、わざと捉えられて敵の内部に侵入するというスクリプトもほとんど同じな気がします。
これって、ハリウッドにおける英国俳優のタイプキャストと言えばいいのか、CG制作会社やビジュアル・デザイナーが被ってることが多いための類似性なのか・・・。(苦笑)
ロンドンの近未来的な街並みは、スターウォーズのコルサントに似ていますし。
小型の遊撃機はミレニアム・ファルコンにそっくりだし。(笑・でもこれはSWの方が真似たんだっけ)
ストーリーとしては、オーブリー&マチュリン(映画『マスター&コマンダー』の原作)シリーズを宇宙版にしたって感じ。
キャプテン・カークはジャック・オーブリー、副長スポックは船医マチュリン+副長プリングスのような人物造形。
提督、艦長、副長といった階位階級やその関係性、海尉、航海長、掌帆長、掌砲長、海兵隊といった戦艦内の組織立てもまんま流用できてる感じで。
スタトレの乗組員は職分によって違うカラーの制服を着ているので、英国海軍組織に馴染みがある人なら初見でもすっと入れるかも知れません。オーブリー&マチュリン・シリーズを読んでる人なら、展開やエピソードにも結構、既視感が。・・・(笑)
出色とは言えないかも知れませんが、料金分の楽しさは充分得られる作品でした。
ベネさんは綺麗に映ってたと思います。
『ストリートダンス/TOP OF UK』
WOWOWで放送していたものを何となく録画しておいたのですが、まあよくあるダンス青春映画って感じで。普通におもしろかったです。
別に感想を一生懸命書くほどのものでもないと思いますが、ただ一点、主人公の相手役の男性ダンサーがキャプテン・アメリカのクリス・エヴァンスに少し似てる気がして引っかかってしまいました。(笑)
調べてみると、リチャード・ウィンザーという俳優さんで、マシュー・ボーン一座で踊っていたそうです。
ダンサーだからクリエヴァほどマッチョじゃないけど、ナイーブそうな金髪碧眼で、ちょっと気になる雰囲気のあるイケメンさんですね。
『アイアン・フィスト』
ヒップ・ホップ・アーティストで映画音楽制作、俳優も務めるRZAが監督・脚本・音楽・主演したバイオレンス・カンフー映画。タランティーノが全面的にバックアップしたんだとか。
RZAは『デュー・デート』ではRDJと共演(空港で手荷物検査をする職員さん)、『アメリカン・ギャングスター』ではラッセル・クロウと共演しています。
その繋がりでか、イギリス人のジャック・ザ・リッパー役でラッセル・クロウが出演しているので観に行きました。
『キルビル』カンフー版MTV風えろグロ盛りに盛りました作品。バイオレンスが大丈夫でキッチュなものも楽しめるラッセル・ファンならおススメです。
ラッセル出演作で言えば『バーチュオシティ』並みの珍作とも言えますが、『クイック&デッド』のようなガン捌き、『グラディエーター』のような殺陣、あいかわらずえろ過ぎるラブシーン、鼻眼鏡、中国人の扮装、軍服姿の乗馬姿等々が観られます。(笑)
ファンなら観た方がいいでしょうね。
『私が、生きる肌』
相変わらずヘンタイ感全開のアルモドバル作品。うらぎらないなー・・・。
アントニオ・バンデラス演じるロベルの趣味、日本の盆栽が象徴的です。彼の嗜好思想を上手く表現してるといいますか。・・・
アルモドバル作品は鑑賞後、なんともいえない独特の感慨に囚われます。ものすごく翻弄されるというか、心臓の裏をぎゅーー・・・と引っ張られるような、よくわからない心情に襲われる。
決して気持ちの良いものではないんだけど、悪いわけでもなくて。暗いわけでもないし、明るくもない。
これはアルモドバル作品でしか感じられない感情なんですよねー・・・・陳腐な言葉になるけどそれこそが「作家性」というんでしょうかね。それが強烈で、それだからこそおもしろい。
ネタバレしないで観た方が絶対にいい作品なので、前知識なしで観ることをおススメします。