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Takの秘密の木

誰にもいえない気持ちは、誰もしらない秘密の木の洞に、こっそり語って蓋をするんだって。@2046

雑感いろいろ

2013-08-18 | ドラマ・映画・舞台の感想
ここ最近に観た映画4本について覚書レベルの雑感を。・・・

『スタートレック イントゥ・ダークネス』

私はそもそもスターウォーズ派で、スタートレックと名の付く作品をまともに観たのはたぶんこれが初めてです。
ベネさん出てなきゃ正直、観に行かなかった。
それに監督のJJがやはりスターウォーズ派で、だからこそスタートレックの監督に抜擢されたという経緯もおもしろいな、と思いまして。
スタートレックをリブートするにあたり、いや、リブートというよりここ数年流行りのビギニング系(登場人物の若かりし頃の話や過去の出来事を遡った作品)なのですが、シリーズに新風を吹き込み活力を復活させるために、敢えてトレッキーではなくSWオタのJJ監督が起用されたらしいです。トレッキーが作るとトレッキー好みの域を出られず、新規ファンが取り込めないからだそうで。
そのお蔭かどうなのかわかりませんが、非トレッキーの私でもわりと観易く楽しめました。
想像していたような、いかにもなスタトレ!!って雰囲気のレトロSF風味もそれほど鼻に付かず。
SWに限らず、いろいろなSF系作品で観たようなビジュアルも多くて、既視感も強かった気がしますが。
ベネディクト・カンバーバッチ演じるジョン・ハリソンが戦艦内に拘留されているシーンは、アベンジャーズのヘリキャリアにロキ(トム・ヒドルストン)が拘留されてたシーンとそっくりだな、と思ってしまいました。
拘置用透過カプセルの中、青白い光の下、白皙黒髪碧眼のスノビッシュなイギリス英語のヴィランが人心を操ろうとするというのは、ロキまんまとしか言いようがないというか。・・・
キャラクターのコンセプトのみならず、わざと捉えられて敵の内部に侵入するというスクリプトもほとんど同じな気がします。
これって、ハリウッドにおける英国俳優のタイプキャストと言えばいいのか、CG制作会社やビジュアル・デザイナーが被ってることが多いための類似性なのか・・・。(苦笑)
ロンドンの近未来的な街並みは、スターウォーズのコルサントに似ていますし。
小型の遊撃機はミレニアム・ファルコンにそっくりだし。(笑・でもこれはSWの方が真似たんだっけ)
ストーリーとしては、オーブリー&マチュリン(映画『マスター&コマンダー』の原作)シリーズを宇宙版にしたって感じ。
キャプテン・カークはジャック・オーブリー、副長スポックは船医マチュリン+副長プリングスのような人物造形。
提督、艦長、副長といった階位階級やその関係性、海尉、航海長、掌帆長、掌砲長、海兵隊といった戦艦内の組織立てもまんま流用できてる感じで。
スタトレの乗組員は職分によって違うカラーの制服を着ているので、英国海軍組織に馴染みがある人なら初見でもすっと入れるかも知れません。オーブリー&マチュリン・シリーズを読んでる人なら、展開やエピソードにも結構、既視感が。・・・(笑)
出色とは言えないかも知れませんが、料金分の楽しさは充分得られる作品でした。
ベネさんは綺麗に映ってたと思います。

『ストリートダンス/TOP OF UK』

WOWOWで放送していたものを何となく録画しておいたのですが、まあよくあるダンス青春映画って感じで。普通におもしろかったです。
別に感想を一生懸命書くほどのものでもないと思いますが、ただ一点、主人公の相手役の男性ダンサーがキャプテン・アメリカのクリス・エヴァンスに少し似てる気がして引っかかってしまいました。(笑)
調べてみると、リチャード・ウィンザーという俳優さんで、マシュー・ボーン一座で踊っていたそうです。
ダンサーだからクリエヴァほどマッチョじゃないけど、ナイーブそうな金髪碧眼で、ちょっと気になる雰囲気のあるイケメンさんですね。

『アイアン・フィスト』

ヒップ・ホップ・アーティストで映画音楽制作、俳優も務めるRZAが監督・脚本・音楽・主演したバイオレンス・カンフー映画。タランティーノが全面的にバックアップしたんだとか。
RZAは『デュー・デート』ではRDJと共演(空港で手荷物検査をする職員さん)、『アメリカン・ギャングスター』ではラッセル・クロウと共演しています。
その繋がりでか、イギリス人のジャック・ザ・リッパー役でラッセル・クロウが出演しているので観に行きました。
『キルビル』カンフー版MTV風えろグロ盛りに盛りました作品。バイオレンスが大丈夫でキッチュなものも楽しめるラッセル・ファンならおススメです。
ラッセル出演作で言えば『バーチュオシティ』並みの珍作とも言えますが、『クイック&デッド』のようなガン捌き、『グラディエーター』のような殺陣、あいかわらずえろ過ぎるラブシーン、鼻眼鏡、中国人の扮装、軍服姿の乗馬姿等々が観られます。(笑)
ファンなら観た方がいいでしょうね。

『私が、生きる肌』

相変わらずヘンタイ感全開のアルモドバル作品。うらぎらないなー・・・。
アントニオ・バンデラス演じるロベルの趣味、日本の盆栽が象徴的です。彼の嗜好思想を上手く表現してるといいますか。・・・
アルモドバル作品は鑑賞後、なんともいえない独特の感慨に囚われます。ものすごく翻弄されるというか、心臓の裏をぎゅーー・・・と引っ張られるような、よくわからない心情に襲われる。
決して気持ちの良いものではないんだけど、悪いわけでもなくて。暗いわけでもないし、明るくもない。
これはアルモドバル作品でしか感じられない感情なんですよねー・・・・陳腐な言葉になるけどそれこそが「作家性」というんでしょうかね。それが強烈で、それだからこそおもしろい。
ネタバレしないで観た方が絶対にいい作品なので、前知識なしで観ることをおススメします。

風が立つ

2013-07-22 | ドラマ・映画・舞台の感想
映画「風立ちぬ」を観てきました。

宮崎監督の作品に、ラピュタやトトロや千と千尋のような冒険ファンタジーを求めている向きには、あまりおススメできない作品ですが、宮崎節は未だ健在だと思いました。
70を越えても意気軒昂といいますか、啓蒙的でメッセージ性が強いのは相変わらずで、また、そのメッセージを受け取れるかどうか、それをメッセージとするかどうかも受け取り手次第だと思いますし。・・・
今作品は、他の作品に比べ、今や大流行りと言っていいエコやサステナビリティ(笑)に繋がる部分はむしろ少なめなぐらいかな、と。
でも、渓流や木々、空、田畑、雨風といった自然描写の美しさは、当然のものとしてそこに存在している感じ。
その中で、人間がどういう創造性を発揮して、生産を続けていくか・・・。
生まれて朽ちて、生まれて朽ちて・・・サステナビリティ(持続可能性)というのは、一つのものを永く保つというより、小さくても多くのものを数珠のように繋いでいくことなのかも知れないですね。
カプローニさんのセリフ、「創造性を発揮できるのは10年」?でしたっけ。
すごく印象的でした。
一人の人間が物を産み出せる期間が10年しか持たないのであれば、国籍や時代や生まれは問わず、どんどん誰かが繋いでいくより他にない。
守ることや保つことよりもむしろ、生産性や創造性を絶やしてはいけないのかも。人間は新たに生み出すことで持続してきたのかも知れないですし。・・・・

さて、観念的な感想はここではこのぐらいにして。
観ている間中、やっぱりどうしても、トニー・スタークのことが頭から離れませんでしたすみません。(笑)
私自身が、たぶん「ものをつくる人」が大好きなせいだと思います。
映画「アイアンマン」が好きなのは、やっぱそれが理由なのかなー・・・と。
カプローニさんの「設計はセンスだ。技術は後からついてくる。」というセリフもすごくしっくりきてしまって。
まずはひらめき。そしてそれを裏付けて具現化、実体化させる技術。
完成品はもう頭の中にできていて、シミュレーションも実はほとんど頭の中でできている。風が立つか立たないかは一目でわかってるんですよね。
だけど実体化して初めてわかることもやっぱり出てくる。
創って、造って、作って、実施。その繰り返しをひたすら黙々と夢中になってやってるトニーさんがめっちゃ魅力的なんですよ。(笑)
それは、映画であれ、文章であれ、演技であれ、スポーツであれ、芸術作品であれ工業製品であれ、ものをつくる人に共通というか。
クリエイティビティっていうのはどんな場でも美しくて愉しいものだと思います。

トニーの他には、「アビエイター」のハワード・ヒューズのことも何故か頭に浮かんでました。
彼はものすごい飛行機好きで、巨大な輸送機を作らせたりしてた。(ちなみに、トニー・スタークのお父さんのハワード・スタークのモデルはこのハワード・ヒューズらしいです)
そしてハワード・ヒューズをモデルにしたといわれる「華麗なるギャツビー」。両方、レオナルド・ディカプリオが演じてますね。
「風立ちぬ」と時代が近いから、作品の背景として浮かんでしまったんだと思いますが、私はこの二人にはまったく感銘も受けなかったし思い入れもできなかったんですけどね。(苦笑)
たぶん二人とも「創った人」ではないからなのかも知れません。
二人とも男の夢を体現した人物と言われているようだけど、これにはまったくぴんとこなかった。
ハワードは別に設計士ではないし、ギャツビーはブートレガーで株価不正操作をしてただけ。この不正操作の仕組みですら、ギャツビー本人が作ったわけではないし。
何を作ったかっていうと、お金を作っただけというか。・・・

やっぱ創造する人が一番カッコいいのかも。・・・
ディカプリオさんも、今度役を選ぶ時は、その辺りを一考してみたらいいんじゃないかなー・・・と。
と、まったく関係ないどうでもいいことまでつらつら考えてしまいましたとさ。(苦笑)


さて、スケジュールを少し更新。
アベンジャーズ2の正式なタイトルが決まりました。
「Avengers:Age of Ultron」だそうです。

7/26:TV「るろうに剣心」佐藤健
8/23:映画「スタートレック イントゥ・ダークネス」ベネディクト・カンバーバッチ
8/30:映画「マン・オブ・スティール」ラッセル・クロウ
8/31:映画「劇場版タイムスクープハンター」要、杏
9/04:BD/DVD「アイアンマン3」発売
9/06:映画「サイド・エフェクト」ジュード・ロウ
9/13:イベント「アイアンマン300%」(ホットトイズが主幹?23日まで)
9/28:映画「地獄でなぜ悪い Why don't you play in hell?」堤、國村、星野
秋 :TV「SHERLOCK3」(イギリスでの放送予定)
12月:舞台「マクベス」堤、常盤
12/21:映画「永遠の0」岡田(准)
2014年:ドラマ「軍師官兵衛」岡田(准)
2014年2月:映画「マイティ・ソー ダーク・ワールド」(日本公開)浅野忠信
2014年2月:映画「土竜の唄」堤、仲、大杉
2014年5月:映画「キャプテン・アメリカ ザ・ウィンター・ソルジャー」(日本公開)
2014年5/9:映画「Chef」ロバート・ダウニー・Jr.、スカーレット・ヨハンソン
2014年夏:映画「るろうに剣心 京都大火編」(前編)佐藤健
2014年夏:映画「るろうに剣心 伝説の最期編」(後編)佐藤健
2014年10/10:映画「The Judge」ロバート・ダウニー・Jr./
2014年:映画「蜩ノ記」役所、岡田(准)
2015年5/1:映画「アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン」ロバート・ダウニー・Jr.
201?:映画「アベンジャーズ3」ロバート・ダウニー・Jr.

RDJのアベンジャーズ正式参戦が発表されたので、他のアベメン作品もリストアップしました。
ソー2には1から引き続き浅野忠信さんも出演しているようです。
アベ2の撮影は来年2、3月頃から開始とのこと。
・・・とすると今年の秋冬ぐらいのRDJのスケジュールはどうなってるんだ・・・?
SH3?ピノキオ?それともトムクルとのやつ?

スケジュール追加+俺まだ

2013-06-22 | ドラマ・映画・舞台の感想
7/20:映画「風立ちぬ」宮崎駿
8/23:映画「スタートレック イントゥ・ダークネス」ベネディクト・カンバーバッチ
8/30:映画「マン・オブ・スティール」ラッセル・クロウ
8/31:映画「劇場版タイムスクープハンター」要、杏
9/06:映画「サイド・エフェクト」ジュード・ロウ
9/13:イベント「アイアンマン300%」(ホットトイズが主幹?23日まで)
9/28:映画「地獄でなぜ悪い Why don't you play in hell?」堤、國村、星野
秋 :TV「SHERLOCK3」(イギリスでの放送)
12月:舞台「マクベス」堤、常盤
12/21:映画「永遠の0」岡田(准)
2014年:ドラマ「軍師官兵衛」岡田(准)
2014年2月:映画「土竜の唄」堤、仲、大杉
201?:映画「The Judge」ロバート・ダウニー・Jr.
2014年5/9:映画「Chef」ロバート・ダウニー・Jr.、スカーレット・ヨハンソン
2014年:映画「蜩ノ記」役所、岡田(准)
2015年5/1:映画「アベンジャーズ2」ロバート・ダウニー・Jr.
201?:映画「アベンジャーズ3」ロバート・ダウニー・Jr.

ロバート・ダウニー・Jr.がアベンジャーズの2、3に出演することが確定しました。
以下はマーベル公式サイトの該当ページ。
http://marvel.com/news/story/20786/robert_downey_jr_to_return_as_marvels_iron_man
しかし・・・この記事って、RDJのエージェントがCAA(Creative Artists Agency)で、そこの経営者で副社長のブライアンさんや、ハンセン=ジャコブソン法律事務所のトム・ハンセンさんとスチュワート・ブルックマンさんらもその場に同席してたことが書かれてて・・・いやはや、どんだけデカい契約だったのか、ものすごく匂わせてますよね~・・・・。(苦笑)
ま、なんにしても、トニー・スタークを演じるRDJを後2本は観ることができるということですね。
監督・脚本は、1と同じジョス・ウィードンです。
私はジョン・ファヴロー監督が撮るトニーが、せくしーでカッコよくてかつダメしょーもなくて(笑)一番好きだけど、ジョス監督のトニーも皮肉っぽくてせくしーで大好きです。シェーン監督のトニーはひたすらかわいいね。
ジョス監督は、「HUDとジャーヴィスが大好物」とか「アイアンマンの(リアリティのある)世界観に準じるようにする」とかアベ1のコメンタリーで言っていたので、最先端ITデバイスや技術、メカ系にもかなり思い入れを感じるし、たぶんすごく私と趣味が合う。(笑)
アベ2でもまたHUDの表現に対するこだわりとか存分に見せてほしいです。

それから。
9月13日~23日まで、日本でアイアンマンのイベントが行われる予定のようです。
ホットトイズ(超精巧なフィギュア商品を作ってる会社?)が主幹のようなので、たぶん、歴代パワード・スーツの実物大レプリカ展示とかがメインになるんじゃないかなー・・・と。
それともディズニーランド(アナハイム)のに似た感じになるのかな?
・・・ん?もしかしたら、アイアンマン3のBD&DVDの日本版発売日がその辺りになるのかな?
RDJの出番はそれほどないと思われるけど、甥っ子動員して行ってみようかしらと思っています。


さて、RDJ以外では。・・・
「俺はまだ本気出してないだけ」、観てきました。
正直、チケット買う時はちょっと躊躇しましたけど、鑑賞後の感想としては、観てよかったです!本当におもしろかった。
途中で堤さんだということをすっかり忘れるぐらい物語にハマれました。シズオ以外のキャラクターもとても素晴らしくて、セリフがそこはかとなくリアルで、本気で楽しんじゃいました。
ヘンな話、先日観た「モネ・ゲーム」より洗練されてると思っちゃった。(笑)脚本がとてもいい。
欺瞞に満ち溢れた(笑)漫画編集者や、バイト先のお調子者の性格悪い若造や、ケンカ強くて本当は良い奴な金髪野郎や、うさんくささを絵に描いたような不動産屋、切ない幼馴染宮田氏、わかりにくい子供、けなげなのかクールなのか不思議な娘・・・みんな好きです。
良くできたイギリス映画にある感じ。
誰にでも好かれる善人や分かりやすい正義はないけど、実在感があって愛しい感じ。
堤さん、はまり役だと思いました。(笑)
彼の作品選択眼や、存在感の出し方の匙加減、演技、やっぱ好きだなー・・・としみじみ。

その堤さんですが、12月にシェイクスピア劇を演るようです。
箱はシアターコクーン。題材は「マクベス」です。
演出・脚本は長塚圭史さん。「写楽考」以来になるのかな?
共演は常盤貴子さん。こちらはドラマ「再会」以来かな。
堤さんのシェイクスピア劇、すごく観たかったので嬉しいです~!「幻に心もそぞろ~」もとてもよかったし、蜷川さん演出で観てみたかったけど、長塚さんのもすごく楽しみ。
常盤さん繋がりで「タンゴ冬の終わりに」の放送、やってくれないかなー・・・・。ねえWOWOWさん。

モネ・図書館・社長生誕祭

2013-05-29 | ドラマ・映画・舞台の感想
最近見た映画3本についてざっくり感想。といっても、1本はアイアンマン3だけど。

『モネ・ゲーム』

コリン・ファース、アラン・リックマン、キャメロン・ディアスという顔ぶれ。おまけに大好きなモネ。観るでしょ、そりゃ。
アカデミー賞受賞俳優は反動のようにコメディや思いっきりふざけたものをやりたがるというけれど、まさにこれはその典型ですね。
んー・・・・でも期待していた程は洗練されてなかったかな。(苦笑)
笑いどころのセリフ回しとか、わりと泥臭いっつーか。・・・今時、猛獣ネタとかやるのもどうかと。
なんとなくピンクパンサーっぽいちょっと古いノリ。敢えてなのかどうなのか微妙なところ。
日本人の扱いが酷い・・・と前半は思ったけど、後半ちゃんとフォローされますのでそこは安心してご覧ください。TVコンテンツを必死で売り込む日本人の姿はある意味めっちゃリアルです。
オープンニング・クレジットのアニメーションが独特。このセンスが作品全体を端的に表してる感じ。
それにしても・・・最近のハリウッド・アラフォー女優はなんでよってたかってムキムキになりたがるのでしょうか・・・?鉄板が入ったようなお腹のラインって、美しいのかな?よくわかんない。
おじ様達は逆にぷよーんだらーーん化だし。(笑)でもかわいいよ。

今回生まれて初めて「新宿シネマカリテ」という映画館で観たのですが、2012年12月22日にオープンしたばかりのようです。どうりで知らないと思った。
たぶんここ、以前はおぴんく系の映画館ではなかったかしら・・・?そんな感じのポスターとかが貼ってあったような記憶がうっすらと。・・・
今は綺麗に改装されていて、そんな雰囲気はまったく残っていませんが、すごくキャパが小さくて、試写用のスタジオみたいな規模でした。武蔵野館の系列らしいです。

『図書館戦争』

もう観てからだいぶ経ってしまったので記憶が曖昧ですが、戦闘シーンとアクションがすごかった。
原作知らないので、どうなんでしょうか・・・?戦争映画かって感じの力の入りようでしたけど。・・・監督の趣味?恋愛部分が取ってつけたかのよう。(笑)
私が一番期待していたのは岡田くんのアクションなので、まあ文句はないですが、原作の女性ファンはあれで大丈夫だったのかな?
私の隣に座ってたカップルの男性の方は、私とほぼ同じリアクションをしていたのが笑えた。
正直、もっともっと岡田くんのアクションが観たいぐらいだった。クライマックス・シーンに集中的に出す感じだったので、もっと全編アクションでもいいのに、と。(笑)
岡田くんの動きは完全にプロのそれなので、すごい醍醐味を感じるんですよ。・・・彼主演の「トランスポーター」みたいな作品が観たい!とつくづく思ってしまった。
スピンオフで堂上の特別ミッション編みたいなのを造っちゃえばいいのに。(笑)
橋本じゅんさんも出てらして、驚きました。すごく渋カッコいい役です。(なぜか笑)
あ、手塚(?)役で、今の朝ドラの種市先輩も出ています。

『アイアンマン3』

最近気づいたのですが・・・。
もしかしてジャーヴィスって、トニーの声の命令にしか反応しないシステムになってるのかな?
映画4本中で、トニー以外の誰かがジャーヴィスに命令している姿を観た覚えがない。もちろんジャーヴィスがトニー意外の誰かの命令を実行している場面も。(Dr.ペッパーのCM以外は・笑)
だから、オバディアがリアクターを盗んで行った時も何もしなかったし、ペッパーが42着た時もまったくフォローしなかったのかも。
トニー本人が、声で命令を出さない限りは(スーツ装着時はHUD内の視線追跡システムと生体電位と脳波とかも使えると思うけど)、トニーから下知されない限り実行はしない(できない)というか。
だから3でのあのシーンは驚きだったんですよね。・・・自発的な行動、というのが。
あれはシェーン監督の意図なのかな・・・誰のアイデアなんだろう。・・・

5月29日はトニー・スターク(原作)の誕生日だそうです。
おめでとうございます、社長!天才でプレイボーイで慈善家なあなたが大好きです。
それから、IM3は世界興収11億4,758万ドル(5/29時点)で歴代5位となったようです。おめでとうございます。
ちなみにベスト10(BOX OFFICE)は以下の面子。

世界興収 =全米興収 +その他の国の興収の合計
1.アバター 
$2,782.3 =$760.5(27.3%) +$2,021.8(72.7%)
2.タイタニック 
$2,185.4 =$658.7(30.1%) +$1,526.7(69.9%)
3.アベンジャーズ 
$1,511.8 =$623.4(41.2%) +$888.4(58.8%)
4.ハリーポッター 死の秘宝Part2
$1,341.5 =$381.0(28.4%) +$960.5(71.6%)
5.アイアンマン3 
$1,147.6 =$372.8(32.5%) +$774.8(67.5%)

6.トランスフォーマー ダークサイドムーン 
$1,123.7 =$352.4(31.4%) +$771.4(68.6%)
7.ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還 
$1,119.9 =$377.8(33.7%) +$742.1(66.3%)
8.007スカイフォール 
$1,108.6 =$304.4(27.5%) +$804.2(72.5%)
9.ダークナイト ライジング 
$1,084.4 =$448.1(41.3%) +$636.3(58.7%)
10.パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズチェスト 
$1,066.2 =$423.3(39.7%) +$642.9(60.3%)

まだまだ上映中なので更に上乗せされると思いますが、ハリポ超えは難しいかな?
アメコミ原作ものは国内(アメリカ)の割合が高い傾向があると思うけど、IMは比較的海外からの興収が高いですね。
これから公開されるソーやキャプテン・アメリカの新作もがんばってくれると良いのですが・・・。
つい上で、「RDJのアベンジャーズ2出演は確定事項」と言っている日本人の呟きを時々見かけますが、少なくとも私はその情報を見聞きした覚えはありません。まだ未確定だと思います。
たぶん、ソーとキャプアメの結果を見てからっていうのも、あるんじゃないかなー・・・と。
もしこの2作がIM3に続いて良い成績を出せば、スタジオもRDJも、後進が順調に育ったということで心置きなく態度を決められると思うんですよ。
アベンジャーズ1ではRDJの存在に頼っていた若手俳優さん達も、いくらか自信を持って2に臨めるのではないでしょうか。

RDJは「新しいフランチャイズ(シリーズ物)を立ち上げたい」とか「緑の牧草地は他に広がってる」というような発言もしているので、IMもSHも、もしかしたらあまり積極的ではないかも知れませんね。
TVドラマ『ナポレオン・ソロ』の映画版にキャスティングされるのでは?という噂も出ていますが、この辺りが意外とありえる話だったりして。・・・
IMは一応ケリが付いたし、SHは1、2を造った時点では新鮮味のあるコンテンツだったけど、今やBBC版、米国ドラマ版と色々出てきて、「緑の牧草地」ではなくなってしまったのが現状ですから。・・・
ホームズ物って、グラナダ製があまりにも決定版となってしまった為に、しばらくの間手を出しにくい題材となっていた感があるけど、映画版SHはうまくそれにリブートをかけたと思うんですよね。
だけど今や、映画版SH3をやっても後発組となってしまう状況に。鮮度がない。・・・RDJがなかなか首を縦に振らないのも分かる気はする。
『ナポレオン・ソロ』はガイ・リッチー監督だし、どうせだからジュード・ロウを相方にして、3の代わりにSHトリオでやっちゃえばよいのでは?(笑)

今ひとたびの修羅

2013-04-07 | ドラマ・映画・舞台の感想
今ひとたびの修羅
原作:尾崎士郎
脚本:宮本研
演出:いのうえひでのり
出演:飛車角/堤真一、おとよ/宮沢りえ、宮川/岡本健一、瓢吉/小出恵介、お袖/小池栄子 他
新国立劇場 中劇場

観て参りました。
今月いっぱい上演しているので、ネタバレを避ける意味も含め、大したことは書きません(書けません)。
ざっくりとした感慨としては・・・少々期待はずれだったかなー・・・と。いろんな意味で。
一緒に観に行った友人は、原作者の尾崎士郎と宇野千代の関係性をスライドさせつつとても愉しんだようですが、私としては、この作品単体として高いクオリティで成立してたかといえば少々疑問な話でした。
セリフがなんとなく上滑ってる感じがして、心が響いてこない。脚本があんまり・・・?かな?という印象。
りえさん演じるおとよにまったく感情移入ができず、飛車角役の堤さんもよくある定石通りの人物造詣って感じ。
"昭和レトロな任侠物"という舞台設定自体がウリなのかなーと。
誰の"修羅"なのかすら、私はよくわからなかったです。
おとよはただただ業の深い女って感じしかしなかったし。・・・飛車角は、ザ・任侠。まあ、任侠=修羅ってことなんですかね。
小池さんのお袖は、ああ見えて実は内心修羅だったのかも知れませんが、それを匂わすようなシーンは一切ありません。瓢吉はそれほど存在感無いし、唯一それっぽかったのは岡本さんの宮川かなー・・・と。
でも宮川は修羅っていうより、典型的なヤクザの鉄砲玉って感じだけど。
鉄砲玉の悲哀は出ていたと思います。

初日ということもありますし、席位置が舞台に近すぎて、全景を見れなかったというのも大きいと思います。
あまりにも役者さんに近いので、最初の内はまったくセリフが頭に入ってこなかった。(苦笑)
芝居見物はやっぱ、真ん中ぐらいの列がいいですよ、ほんと。映画もそうだけど。
間に障害物無しで、堤さんにこれ以上接近遭遇することはたぶん今後ないと思います。(笑)
しかし、りえさんも堤さんも顔がちっちゃくて細部まで丹精なので、遠近感がよくわからなくなりますね。
舞台端ぎりぎりに立たれても、どのぐらいの距離に居るのかいまいち掴めない感じで。(笑)
でも、小出さんが同じ位置に立った時は、「ああ!やっぱ近いところに居るんだ」と思わせていただきました。・・・ファンの方に怒られちゃうかも知れないけど、彼はほんとすべての規格が普通な人だな、と。・・・

昭和なえろすと殺陣シーンもあって、ぐるぐる回るぼんはいかにもいのうえさん演出という感じでしたが、『吉原御免状』を彷彿とさせてユニークさには欠けたかなー・・・と。
でもお蔭様で、念願だった「着流し堤さんの殺陣をかぶりつきで観る」という夢は叶えていただけましたけど。(笑)

そうだ。私、男性の手首フェチなんですけど、堤さん、やっぱいい手首と腕してたー・・・・。
手の甲、指もすごく綺麗だし。
お腹のラインがちょっと張ってたのが気になったけど。(笑)
着物を着て、前を肌蹴た時に、ドスを差し込んで形になるためには、敢えてあのラインにしたのかもしれないけど・・・。
言ってみれば赤ちゃん体型というか。手足は細いんですけどね。
少なくとも、ソリッドなお腹ではなかった。中年の荒んだ色気は出ると思うけど。
あ!
堤さんの殺陣のシーンで、一度だけ、刀が風を切る生音が聞こえてビクッとしました。
新感線の方々もたくさん出演されていたので、立ち回りの相手方もその辺りの方々が務めてたのかな?相変わらずすごい迫力でした。
後、堤さん、唄われるシーンがあります。(笑・・・っていいのかしら?)
りえさんの三味線の生演奏付きで。
「祭り先輩」伝説とか、『バンデラス~』の時のラストの歌シーンもそうですが、堤さんって基本的には歌わないことで有名だったと思うのですが、風間さん演じる吉良常に所望されて黒田節を唄います。
音も外さず唄い切りましたよ。びっくりしました。(笑)
いのうえさんに強制されたのかしら?

りえさんはやっぱすごく色白で綺麗で、お白粉いらずって感じだったけど、期待してた程は色っぽさを感じなかったな・・・。
小池さんは、テレビで見るより細くて小作りな感じがした。
新感線のインディさんの顔面の迫力は、近くで観ると一層すごいですね。(笑)
あと、シスの鈴木浩介さんが、コメディリリーフ的な役柄で出てて、おいしいとこ持ってってました。
女中(仲居?)役で出てた、体格の良い女性の方、たしか新感線の方だと思ったけど、彼女が歩くとセットが震度3ぐらいな感じで揺れてたのが・・・。(苦笑)
いや・・・席が近いと、見えなくていいものも見えてしまうってのもありますね。


堤さんとは関係ない話ですが。
劇場入り口でいただいたチラシの中に、蜷川さん演出の『盲導犬』が入っていました。
出演は、古田新太、宮沢りえ、小出恵介、小久保寿人、大鶴佐助、金守珍、木場勝己 他、となっています。
2013年7月6日~だそうです。

ワンダー・ボーイズ

2013-03-17 | ドラマ・映画・舞台の感想
2000年公開なので、RDJ的にはアリーの直前ぐらいの撮影かな・・・?
日本公開もされているようですが、私は未見の作品でした。
はっきりは覚えていませんが、マイケル・ダグラスが主演だったので避けたような気がします。・・・
トビー・マグワイアは「サイダー・ハウス・ルール」で知ってて好きだったし、カーティス・ハンソンは「LAコンフィデンシャル」の監督なので、映画館で観ててもおかしくなかったと思うけど、主演がいかんせん、嫌い過ぎて・・・。(苦笑)
彼が演じてきた役柄が嫌いというのも大いにありますが、まず声質が嫌い。顔つきが嫌い。雰囲気も嫌い。そしたら案の定、●●●依存症だという情報が流れて、やっぱりね・・・・的な。生理的にダメなタイプというやつでしょうね。
でも、先日のアカデミー賞で奥様のキャサリン・ゼタ・ジョーンズと並んでるところを久しぶりに見たら、だいぶ枯れが進んでて嫌悪感はなくなりました。
別にそれを機にしたわけではありませんが(笑)、「ワンダー・ボーイズ」、見てみました。

ストーリーとしては、腰の据わらない男がのらりくらりと避けてきたことが、50歳を境に一気にのっぴきならない状況になり、避けようのない選択を前に、それでも臍が固まらずに尻込みする話。(笑)
なんだろう・・・・日本だったら堤さんが演じたらピッタリかもしれないですね。今度の「俺はまだ本気出してないだけ」もそんな感じの話かしら?(笑)
特典映像のインタビューによれば、マイケル・ダグラス的には新境地の役柄で、芯のないだらしない男をコミカルに演じるのが楽しかったそうです。
カーティス・ハンソン監督も、シビアな作品ばかり撮ってたので息抜きをしたかったからこの脚本に飛びついたとのこと。
監督・主演ともに、新しい作風に挑戦してみたって側面が強い感じでしょうか。
まあ・・・やっぱり得意技ではない手詰まり感が、そこかしこで覗いてるような気がしないでもなかったです。
たとえば、トビー演じるジェームズとマイケル・ダグラス演じるグラディが夜の庭で出くわすシーンが怖すぎたりとか。(苦笑)ジェームズの両親とあの部屋も何か不気味でコワいし、あの、グラディの車おっかけてる小さい人もヘンにコワい。
笑えない。怖いです。
ジェームズもちょっとヤバすぎる人に見えるし。
監督は洒脱でコミカルに撮ったつもりかもしれませんが、画面がそこはかとなく怖いんです。だから裏がありそうだと思ってしまって、そこの辺りの説明が詳しくないのがとても違和感を覚えてしまって、逆に脚本がスカスカなんじゃないかと・・・。
コミカルさで抜けをカバーしきれてない感じ。
この手の作品は、ロブ・ライナーあたりがやっぱうまいんじゃないかなー・・・と。

ま、それでも、このグラディ役のマイケル・ダグラスは嫌いではありません。
一発屋の作家で二作目が書けない、うだつのあがらない文学教授で、鼻眼鏡に女物のガウンが家着のずるずるな中年男性を、かわいらしく魅力的に演じようと努力してるのはわかりますし、いくらかは成功していると思います。(って、ものすごい上から目線・苦笑)
どうしようもないところまで追いつめられて、ようやっと決意する情けない男の話は、共感も呼びやすいだろうし、おもしろい話だと思いますし。


さて、ロバート・ダウニー・Jrの役柄は。
グラディの一発目の大ヒット本の担当編集者で名前はテリー・クラブツリー。グラディと同じく、そのヒット以来は鳴かず飛ばずで落ち目な男。グラディの新作を7年も待ってるけど、いつまでたっても書き上がらず、他にはヒット本は出ず、いい加減やけっぱちで人生放棄気味なゲイ。
見た目は、やっぱアリーのラリー・ポールっぽい雰囲気ですね。眼鏡は掛けていませんが(かけてるシーンもありますが)。
ジェームズ(トビー・マグワイア)はグラディの生徒の一人で作家志望(?)の変わり者大学生。
テリー(RDJ)は、ジェームズの才能と外見に目を付けて、グラディの原稿催促も兼ねて周辺をうろうろします。
遂にはベッドインも果たした模様。(笑)
トビー・マグワイアとRDJといえば、スパイダーマンとアイアンマンですが、ゲイカップル役で2度共演しています。
最初はこの「ワンダー・ボーイズ」。2度目は「トロピック・サンダー」です。
正確には「Satan's Alley」でですけど・・・。(笑)
「Satan's Alley」というのはいわゆる劇中劇です。「トロピック・サンダー」は、映画製作の舞台裏のすったもんだを描いたフィクションで、RDJはカーク・ラザラスという俳優役を演じているわけですが、このカークの最新出演作のトレーラーとして劇中で流されるのが「Satan's Alley」なのです。
で、「Satan's Alley」の中で共演しているのがトビー・マグワイア。トビーはこのトレーラー以外の出演シーンはありません。

テリーの出番はそう多くはないかな・・・。
RDJはゲイ役をやってもそんなねっちりした感じがなくて、なんか普通に受け入れちゃう感じなんですよね。
良くも悪くも禁忌感が漂わないっつーか・・・通常営業って感じで。(笑)
マイケル・ダグラスとの共演はなんとなく嬉しそうにも見えました。お父さんに感じが似てるからかな?
もしかしたら、グラディとも以前ちょっとそんなコトもあったのかなー・・・て雰囲気にも見えておもしろいです。
みんなそれぞれ人生の選択をして、失うものもあるけど得るものもある、という感じのハッピーエンドです。
傑作ではないけど、まあそこそこ楽しく見れる作品でした。

特典映像にRDJは出てこないけど、監督、マイケル・ダグラス、トビー・マグワイアからちょっとずつ言及がありました。
監督は「光を当てられたダイヤモンドのように、本物だけが持つ輝きを自然と放つ」、マイケル・ダグラス「同年代の俳優の中でも幅の広い演技で光っている」、トビー「彼ほど自由を知る人はいない。何でも楽しんでやろうという姿勢がある」等々。
この頃は、RDJは真っ逆さまに堕ちてゆく真っ只中で、どうにかして助けたいと手を伸ばしていた人も大勢いたのに、彼は誰の手も取らなかった(取れなかった?)んですよね。・・・
よくぞここまで立ち直ってくれましたよ、本当に。
演技してないと死んじゃう(とまでは言ってなかったか・・・?)らしいんで、過労死しない程度にどんどん映画に出演してほしいです。
次回作はThe Judgeで決まりかな?
これはかなりシリアスな内容らしいので、社長とはまったく違った人物像になりそうですね。
私はすごく楽しみですが、ジャック船長でジョニデのファンになった人が「ネバーランド」や「リバティーン」を観た時のような反応が来そうで、杞憂ですが正直少しだけ憂鬱でもあります。(苦笑)
日本公開は絶対にしますよね!?!
館数は少なくてもいいんで、劇場公開はしてください!
そこんとこよろしくお願いします!

路上のソリスト

2013-02-11 | ドラマ・映画・舞台の感想
映画館で一度観たきりでしたが、先日久しぶりにDVDで見返しました。

実話を基にしたストーリー。しかも、LAタイムズのコラムが原作となるので、ハリウッド映画には珍しいぐらいにシビアな作品です。
それを知らずに観に行ったので、想像以上に重く厳しい内容で少しショックを受けてしまい、ロバート・ダウニー・Jr.出演映画にも関わらずDVD/BDを買うこともなく今日まで来てしまいました。
公開当時は、いわゆる「音楽映画」流行りの頃で、レイ・チャールズを題材にした映画(レイ役はジェイミー・フォックス)もビヨンド・ザ・シーも、オペラ座の怪人もドリーム・ガールズも、わずか2,3年の間にたて続けでやっていたような印象があります。
この『路上のソリスト』に関しても、いわゆるステレオタイプな「音楽の天才の栄光と挫折と周囲の凡人の苦悩」という内容を観にいったつもりだった私は、予想外の辛い展開と知らなかった現実の苦さで、鑑賞後はだいぶ堪えました。
この頃のRDJの出演作はシビアな社会派作品が多いような気がします。

メイキングで製作者が語っていましたが、終り方もあえてリアルにしたらしいので、要するに、すっきり爽快、切りよく満足とはならないのです。
現実の人生は、そうそう都合よくはいかないもので。・・・
いわゆるクオリティペーパーの記者が書いた記事の映像化ですから、リアリティが最優先されるのは当然ともいえるかも知れません。
真実は、知れば知るほど世知辛くなるものです。

ジュリアードで学んでいた才能あるチェロ奏者が、なぜ路上生活者となったのか。
LAタイムズの記者がその半生を追い、そして、一流の音楽家としての花道に戻そうと奮闘するストーリー。
路上のチェロ奏者を演じるのがジェイミー・フォックス。記者の役を演じるのがロバート・ダウニー・Jr.です。
レイ役でジェイミー・フォックスがすばらしいのは分かっていましたし、題材はチェリスト、RDJと共演ともなれば、私としては観ないわけにはいかない作品。
メイキングでRDJも絶賛していましたが、このチェリスト ナサニエル・エアーズ役は、一歩間違えると俳優人生を終わらせかねないタイプの非常に難しい役柄だったと思います。
ジェイミー・フォックスは、誠実で繊細で絶妙でリアルな、完璧ともいえる演技で表現しきっています。
彼はレイでオスカーを獲りましたが、あれはいわゆる「賞取り演技」で括れる類だと思いましたが、このナサニエル役で自分が本物であることを証明したような気がします。
しかし・・・チェロという楽器には、なにか独特の力があるのかしら・・・?
ジャクリーヌ・デュ・プレの伝記を読んだときにも似たような感覚を覚えました。
それとも音楽の力なのか。・・・

意図的なのか無意識なのかわかりませんが、RDJが演じたスティーブ・ロペスという記者は、エリート意識がたまに鼻に付く、好感を抱きやすい男とはいえない人です。
「可哀そうな人や恵まれない人を援けたい」という傲慢な発想、LAに居ながらLAの一部にしか目がいっていない視野の狭さ、病気に対する認識の薄さ、甘さ、結局は自分が救われたいだけという利己的な面が、そこかしこでちらちらとするのです。
だけど、新聞(メディア)の力、ペンの力、ジャーナリストの存在意義、人の役に立つ人間になりたい、といった気持ちを真摯に胸に抱いて、若い頃には燃えるような大志を持って、LAタイムズの記者という地位にたどり着いたんだろうな・・・ということも伺わせます。
人は、それもいい歳をした人間は、複雑怪奇で内側には長年ため込んだ澱もあり、全能ではないから抜け落ちているものだってたくさんある。
ある時は良い人で、ある時は鼻持ちならない。
ナサニエルとスティーブの関係も、いつも良い友達とはいかないけど、掛け替えのない繋がりが存在していることも事実。
絵に描いた餅のようにはいかないけれど、泥の中の砂金のように煌めくものも確かにあるのが、現実の世界というやつかなー・・・と。

あ、坊主ごま塩頭のロペス・ルックのRDJもとても素敵です。
ネルシャツにジーンズ、ちょっとオシャレな帽子が普段着で、生活感があってせくしーです。
スケッチしたいけど、紙がないーーーー。おまけに時間がない。
ペンタブとか洒落たものは持ってないので、私の画材は100均の画用紙とシャーペンと10年以上前に買ったカラーペンです。
チラ裏でも別にいいんだけど、ウチ、新聞取ってない。・・・ロペスさんごめんなさい。

五右衛門ロックIII

2013-02-03 | ドラマ・映画・舞台の感想
「ZIPANG PUNK 五右衛門ロックIII」
シアターオーブ
作/中島かずき、演出/いのうえひでのり
石川五右衛門/古田新太、猫の目お銀/蒼井優、明智心九郎/三浦春馬 他

ゲキ×シネやDVDは見たことがありますが、生の舞台で新感線を観るのは今回が初めてです。
新感線ファンクラブに入ってる会社の友人にチケットを取っていただけたので、観に行くことができました。
お蔭様ですごく良い席で、すぐ前の列は関係者席だったらしく、いろいろな珍しい方々もお見受けしました。
残念ながら堤さんはいらっしゃいませんでしたが、あんな方やこんな方。(笑)もしかしたら今後の新感線の舞台に出演されるかも知れませんね。

シアターオーブは渋谷ヒカリエの中に出来たばかりの劇場で、音響・ライティング等の機材も最新鋭のものが備わっています。
客席は3階席まであるため天井が高く、舞台は奥行と縦に抜けるスケール感があり、演劇向きの良い劇場なんじゃないかなー・・・と思いました。
昔の芝居小屋(シェイクスピア劇場?)とかの、多層的で天井桟敷がある、丸筒型の外観の建物を想起させる、ストレートプレイのためにこそある舞台という感じ。
横幅はそれほどないけど、でもこじんまりした印象ではなく、視界に収まるほどよいスケール感で。
サイドからもスポットライトを当てられるし上からのライトも奥行が持てるし、演出のいのうえさんは新しいおもちゃを得てさぞかし大喜びだったでしょうね。(笑)
光りで一枚幕を作ったようなライティングをする場面があったりして、趣向を凝らした演出はそれだけでもおもしろかったです。
高機能なツールは使いこなされてこそ意味があると思うので、私はそういうの、嫌いじゃありません。
ただ、客席にライトを向ける演出はあんまり・・・・・。まぶしいのが苦手な私にはちょっとストレスでした。いちいち目の上に手をかざさなくてはならないのが面倒だし。・・・
でもなにしろ「ロック」ですからね。(笑)
ぎらぎらギンギン、ガンガンどんどこやってこそロック。
タイトルの通り、内容はロック・オペラ(ロック・ミュージカル)です。
歌舞伎の演目、白波五人男をベースに、常磐津ならぬロックで語る痛快冒険娯楽ストーリー。
歌って踊って殺陣やって・・・外連味だけを並べて連ねたような新感線らしいナンセンスともいえる吹っ切った内容。
ふと、先日亡くなってしまった勘三郎さんも、たぶんこういうのも目指していたんじゃないかなー・・・・と。

若い三浦春馬さんが八面六臂の大活躍で。(笑)
五右衛門役の古田さんのセリフでも、「長いセリフは若い人にまかせた」とありましたが、この舞台は客演の春馬さんのためにこそ作られたという感じもしました。
しかしあれだけの歌・踊り・殺陣・セリフ量を毎回こなすのは、若くなきゃ無理でしょうね・・・。(苦笑)私としては、もっと古田さんの活躍が観たかったな、という物足りなさも多少ありました。
蒼井優さんも、まあ最初から最後まで歌って踊って・・・いのうえさんって役者さんの限界まで搾り取る演出だよなー・・・と。だからこそ、新感線の舞台に出たがる人たちが後を絶たないんだと思いますが。
一度しか観てないのでわかりませんが、蒼井さんは最初の内、歌の調子がイマイチだったかなー・・・と。声量も音程も少し不安定な感じがして、演技や身体表現はスケール感があってすごく上手だけど、歌はもう一つなのかな、という印象でした。。
春馬さんは逆に、すべてにおいて百点満点なんだけど、スケール感がもう一つという感じ。
でも、不思議なことに、蒼井さんの歌は後半盛り返すんですよね。
春馬さんとのデュエットのシーンではとても綺麗なハーモニーになって上手だなと思えました。
シャルル役の浦井健治さんは今回初めて拝見した方なんですが、いいですね、彼は。(笑)
大好きです。聞くところによると、新感線ファンからも大人気だとか?
それも納得のすばらしい才能ある役者さんですね。立ち姿も綺麗だし、歌は当然上手。演技も抜群にセンスがあると思いました。
豊臣秀吉役の麿さんの存在感と演技は言うまでもなく、蜂ケ屋役の村井國夫さんがとても素敵でした。
やっぱりおっさん好きの私の血はいかんともしがたいらしく・・・とにかく声がいいんですよ、村井さんは!
艶のある朗々とした色気のあるいい声です。洋画好きの私からするとハリソン・フォードが歌っているような気がしてならなかったけど。(笑)
舞台はやはり立ち姿と声かなー・・・・と。

3時間近い長丁場ですが、最初から最後まで飽きさせない、エンターテイメントをこれでもかと詰め込んだ新感線らしい舞台でした。
次に続きそうな終わり方だったので、五右衛門ロック4もありそうかしら?これは。
機会があれば、次もぜひ観に行きたいなー・・・と思いました。

あ、そうだ。
外国商船の皆さんの中に、ジャック船長がいらっしゃいました。(笑)
細部まできっちり造りこんだ衣装や小道具も、見どころの一つかも知れませんね。

SHERLOCK地上波初放送のご案内

2013-01-20 | ドラマ・映画・舞台の感想
ついった上では再三呟いていたんですが、ブログではまだだったので取りあえずお知らせします。
・・・ですが、すみません。エピソード1は既に放送済みです。

SHERLOCK/シャーロック シーズン1(全3回)
NHK総合 午前0時25分~1時55分(火曜深夜)
エピソード1 1月16日
エピソード2 1月23日
エピソード3 1月30日

制作はイギリス国営放送BBC。シーズン1、2共にNHKのBSで何度か放送し、その後、CSのミステリーチャンネルなどでも何度か放送されていますが、地上波はこれが初だと思います。
今のところシーズン1のみの放送予定かな?
「ええぇっ!ここで終わるの・・!?」みたなじらしプ●イが酷いので、お覚悟めされい。(苦笑)
シーズン1、2ともに最初の放送でまともに見てる人は、2回それをやられてます。阿鼻叫喚。
ちなみにシーズン3は今年1月頃から撮影開始予定で、来年1月の放送(イギリスで)と言われてましたが、どうなんでしょうかね・・・。
マイクロフト役を務め、制作脚本にも関わっているマーク・ゲイティスさんのアカウント(https://twitter.com/Markgatiss)をフォローしていますが、S3についての言及はいまのところないようです。

内容としては、シャーロック・ホームズの現代翻案です。
ホームズが21世紀に生きていたら?という設定。内容はかなり原作に忠実で、いわゆる聖典を読んでいる人が見ると「あれをああしたのかなるほど!」「そこはそういう風にするわけね(笑)」というように、おもしろさが倍増します。
ワトソンのアフガニスタン従軍経験やマイクロフトが「英国政府そのもの」であるという設定が、現代版でもそのまま生かせる(むしろより意味が深くなる)という部分に感慨深さを覚える人も多いようですね。
また、読んでいない人でも充分楽しめる洗練された作りになっています
世界中にいるシャーロッキアン達が納得するクオリティの高さで、世界中で大ヒットしています。
おかげで、主演の二人(ベネディクト・カンバーバッチとマーティン・フリーマン)は超の付く売れっ子俳優となってしまい、シーズン3ですらスケジュール調整が大変困難になっているようです。

とにかく放送されるたびに、その国のついったが沸騰するので、それを見るのもとても興味深いものがあると思います。
シーズン2エピソード3が放送された時のTogetterや、RTされまくってたライヘンバッハ検証動画、レゴ完全再現版とかも最高におもしろいのですが、いくならんでもネタバレ過ぎだし、リンクをここに載せていいのかわからないので割愛しますが、鑑賞後は探してご覧になってみるといいかも知れません。

以下はBBCが出しているものなので問題ないでしょう。
Sherlock in five languages
https://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=jNzeuzYPiLc
5か国語吹き替えのサンプル映像。冒頭に「26以上の国際的な賞を受賞。フランス、ドイツで高視聴率獲得」と書いてありますね。
あ、ベネさんは今年のゴールデングローブ賞のTVシリーズの主演男優賞にもノミネートされていましたね。受賞は逃してしまったようですが。

髑髏城の七人

2013-01-19 | ドラマ・映画・舞台の感想
髑髏城の七人」をゲキ×シネで観てきました~。

キャストがすごいので生で観たかったんですが、新感線ということもありチケットが獲れるはずもなく。・・・
ゲキ×シネ化されるのを待っていた作品だったので、かなり期待して観に行ったのですが、裏切らないクオリティの高さで、むしろ感心すらしてしまいました。・・・
いやいやいやいや・・・現在日本最高峰のエンターテイメントはここにあるんじゃないかと思いました。
衣装も演出も演技も殺陣もすばらしいです。
印象を一言でいえば、日本版アベンジャーズみたい。(笑)
・・・あ、誤解しないでください。髑髏城は再演を繰り返している演目だということは知っていますし、どっちかがパクってるとか言う気はさらさらありませんので。
個性的な面々が結束して、不協和音を奏でつつも共闘するところとか、悪役のキャラクターの設定が近いということで、そういう印象を持っただけです。
それも、言うなればヒーロー物エンターテイメントの基本的な骨子を踏襲しているというだけの話なので、別にどっちがどうとかいう問題でもないのです。

それに若いキャスト、キャストの若さが存分に生かされた、爽快感のあるとても気持ちのいい作品でもありました。
私はおっさん好きだけど、いいおっさんに育ちそうな若手はもちろんチェックします。(苦笑)
これまでの経験上、いいおっさんになる人は、やっぱ若い頃からどこか魅力的なんですよね。
栴檀は双葉より芳しというやつで。
いのうえさんは役者さんの良さを引き出すのがとても上手で、それぞれの個性を生かし切る演出には舌を巻きますね。
小栗さんの無頼っぽさ、早乙女さんの妖艶さ、森山さんの狂気、勝地さんの身軽さ、小池さんの気風の良さ、仲さんの天真爛漫ないい加減さ。・・・
早乙女太一さんの殺陣の上手さには唸るしかない。さすがというかもう完全にベテランの領域のプロです。堤さんとかの、いかにもぶった切れそうなリアルな系統ではなく、魅せるタイプの殺陣ですね。
太刀筋と身ごなしが早過ぎて、華麗で妖しくて。あの速さでは受ける方も生半可ではできないでしょう。そのあたり、劇団新感線だからこそ、という厚みと懐の深さを感じました。
森山未来さんもダンス要素が盛り込まれた、舞のような殺陣。
しかしあのエキセントリックな演技の堂々たる存在感は、森山さんの若さでは驚きですね。
入り込み型という感じ。・・・・誰?この人ってぐらい、テレビで受ける印象とはまったく違う人物に見えました。意外と声が太くて低いのが相乗効果をもたらしてる感じ。
小栗旬さんの殺陣はどちらかというと堤さんタイプだけど、早乙女・森山と比べるとやはりまだまだこれからといったところでしょうか。
翻って、堤さんや古田さんの殺陣がなぜリアルかというと、まず、間合いの取り方と詰め方。振りかぶって振り下ろす時の重心の取り方。断ち切るのと薙ぎ払うのとでは肉体の動き方が基本的に違うんですよね。
これもどちらが良い悪いということではなく、殺陣にもいろいろ個性があっておもしろいものですね。
台本の中島さん節の「俺たちは仲間だろ!」みたいなのは、私は毎回あんまり・・・(苦笑)となるんですが、小池栄子さん演じる極楽太夫と早乙女さんの蘭兵衛の関係性にはちょっとうるっと来てしまいました。
小池さんは打てば響く感性の持ち主と方々から絶賛される人ですが、納得せざるを得ない才能溢れる女優さんですね。
「隠し拳銃って・・・あんたは女版キスバンのペリーか!?」(RDJファンにしか通じない感想・苦笑)ってシーンもありーの、笑いどころの小ネタも過不足なく演じ切り、本当に頭のいい人だなー・・・と感心至極でした。

若いキャストのアンサンブルが相乗効果になっているのがひしひしと感じられて、千葉さんや粟根さん、聖子さんらのベテランさんが下支えしフォローしかつアクセントとなり、尚のこと自由さを得て輝いていました。
渋くてえろいおじさまが大好きだけど(千葉哲也さん超カッコよかった・笑)、若さの良さにも改めて気付かせていただきました。
盛りだくさんで完成度の高いアクション・エンターテイメント。日本を代表するといってもいいんじゃないでしょうか。観て損はないと思います。

あけましておめでとうございます

2013-01-05 | ドラマ・映画・舞台の感想
あけましておめでとうございます。

今年の初鑑賞作品は「007スカイフォール」でした。
前評判通り、とてもおもしろかったです。
ハビエル・バルデムがそれはそれは楽しそーーーーに、悪役を演じてました。(笑)

アベンジャーズもそうだけど、最近のアクション大作はバランスのとり方が絶妙なラインを突いてきますね。
007は毎回、オープニングクレジットが凝ってることでも有名ですが、今回のも素晴らしいクオリティです。あの冒頭部分だけでももう一回観たいような気がしてくる独特の魅力がありますね。
オープニングに限らず、全体的に60年代風の007らしさをうまく取り入れ散りばめていて、かつ、わくわくするような新しさも感じる作り。まさに、リブートされているというか。
内容としては、世代交代や新旧交代がテーマになっている部分もあるんですけどね。
今の時代って、分かりやすい悪や仮想敵国が存在しないし、バイオレンス・シーンに関する規制も厳しいので、ストーリーテリングは本当に大変だと思います。
アベンジャーズも、戦う相手の表現にはだいぶ苦心したらしく、最近の流行り、敵が無機質で電気じかけっぽい形態になっていることが多いのは、有機的な表現だと体液が飛び散ったり身体の一部がもげたりする残虐シーンを描かなければならなくなるので、子供の視聴に耐えないと判断されるからだと聞いています。
一時期は中東あたりを仮想敵国にするストーリーが多かったですが、それも今の時代にはそぐわないですからね・・・。
そして中国は、いよいよ世界第2位の興行収入を生み出す国となりつつあるようです。
映画製作会社としては、そういう国でこそヒットさせて稼いで何ぼの世界なので、下手に敵には回せない。(苦笑)
このスカイフォールも上海やマカオのシーンがだいぶ含まれていますが、中国が敵方というわけではありません。
"エキゾチックなスパイもの"という古典的な常套句を表現する上で、雰囲気満点の効果的な舞台として登場するのです。
そして、一部は日本の軍艦島をロケ地に使っていたようですね。設定は中国ですが・・・。(笑)
ちょっと思ったのは、以前はハリウッド映画で"近未来チックで先鋭的な電脳都市"というイメージを描きたいときに使われるのは東京であったのだけど、今は、上海やクアラルンプールにそのポジションを取って代わられてるんだなー・・・ということ。
それは意外と現実の世界情勢を如実に反映させていて、今の日本の電気製品や関連会社の凋落は、そういうところでは少し前から歴然と表出してきていたかもしれませんね。
日本ブランドは、いつから近未来を体現するようなワクワクさせる製品でなくなってしまったんでしょうか・・・。
最新鋭・最先端・未来のイメージを、日本は国内のみならず失いつつあるかも知れないけど、実力はまだあるはずなんで、クリエイター達(どんな業界においても)はがんばってほしいですね。・・・というか、がんばりたいです。

さて、007の内容はといえば、「敵は内部の人間であったり、どこにでもいる人であったりする。」という現実を、ちゃんと認識しているのを伺わせる大人な脚本と言っていいかも知れませんね。従来の単純な勧善懲悪とは行かない感じで。
"正義の味方"の正義は、誰の中にも存在していて、それぞれ違うものだったりする。・・・そもそもはイギリスが舞台ですから、イギリスっぽい成熟感が増したともいえるのかな。
実際、活躍するのも成熟したおじさんばっかりですけどね。(笑)
ダニエル・クレイグもハビエル・バルデムもレイフ・ファインズも、みんな結構いい御歳。
レイフ・ファインズは、最近になくかなりおいしい役だったかも。(笑)
高齢化社会・・・というのもそうだし、若い世代が線が細いというのもあるでしょうか。
大人で、巧妙で、洗練されているという点では、とてもクオリティが高い作品ですが、逆に綺麗にちゃんとまとまり過ぎてる気がしないでもないでもない・・・かも。
映画界は、もっとはっちゃけてトンデモなく突き抜けてる感のある作品がもっとあってもいいかな・・・とも。
しかし期待を裏切らない作品ではありますね。


さてさて、アベンジャーズを絡めて感想を書いたのには意味がありまして。・・・
この007の本編上映前の予告には、アイアンマン3も交じっておりまして、冒頭はアベンジャーズのワンシーンから始まるのです。
「IM3のトレーラーがそろそろ映画館で流れ出している」という噂は聞いていたので、予測はしていましたが、ここで来るとは。(レミゼでもトワイライトでも流れなかったので)
や、もう、その冒頭部分だけですぐに目をつぶり、耳をふさぎましたよ。ぜんぜん丸聞こえでしたけどね。(苦笑)
トニーことRDJの声が聞こえると、顔が観たくて観たくてほんと興奮を抑えるのがたいへんでしたが、それでもなんとか観ずにやり過ごしましたよ。(笑)
私は映像記憶がすごく強く残る性質で、一度観ると画が脳裏に焼き付いて、必要もない画像分析を自動的にしてしまうヘンな癖があるんです。
特に人の身体的な様子、動作、表情、それに付随する周囲の状況とか、そこから勝手にいろいろ解析とシミュレーションをしてしまって、役にも立たない情報補完をしてしまう。・・・・
映画は新鮮な気持ちで観た方が絶対におもしろいので、今の時点でいろいろ情報を知ってしまったところで、私にとっては何の益もないのです!(笑)
ただ単に最初の衝撃が薄まるだけです。
だから、IM3の予告は観ない。観ないと決めたのです。
・・・でもたまに、予告でしか流れない映像とかあったりするから怖いんですけどね。(苦笑)

あ、そうだ。
TBSで深夜にやっていた「インクレディブル・ハルク」を見ました。
アベンジャーズで唯一単体作品を観ていなかったヒーローです。
キャストが凄いんですよねー・・・・。ブルース・バナー(ハルク)役がエドワード・ノートン、その彼女役がリブ・タイラー、ウィリアム・ハート、ティム・ロスですよ・・・。
アイアンマンのメイキングの中で、「トニー・スターク役にRDJが決まったら、次々と参加を希望する俳優が集まった。普段はこういうった作品に出ないような俳優までも。RDJは俳優仲間からも敬愛されてるからね。」と制作者が言っていたけど、マーベル作品のキャスティングにはいつも驚かされますね。
マイティ・ソーにしたって、アンソニー・ホプキンスにナタリー・ポートマンですもん。・・・
グィネス・パルトロウもスカーレット・ヨハンソンも、RDJと共演するのが夢だったからアイアンマン出演を決めたそうです。
クリス・ヘムズワースが、「RDJはアベンジャーズのゴッドファーザーだ」というのもわからないでもないです。
結局、エドワード・ノートンは、アベンジャーズは降板してしまいましたけどね。・・・
でもインクレディブル・ハルクを見て、ようやく、アベンジャーズでなぜトニーとバナー(ハルク)がああいう関係になったのかがわかりました。
アベンジャーズのコメンタリーで、ウィードン監督が「トニーはハルクを怖れていない。むしろ内なるハルクを受け入れろといってる。それが作品を救い、最終的にはトニー自身も救われる。それはトニーがバナーにそう仕向けたからだ。」と言っていますが、そういう展開やセリフにはRDJの提案もあったそうです。(ちなみに脚本もウィードン監督が手掛けています)
インクレ~のラストでトニー(RDJ)がワンシーンのみ登場するのですが、要するに、トニーはハルクのやってきたことを一通りすべて見て来ているんですよね。・・・
ハルクは愛している人のことは傷つけない。ちゃんと認識はできているんです。
だからトニーはハルクを怖れていない。
いやいやいやいや・・・・RDJらしい提案ですよ。(笑)だって、トニーは絶対にハルクに気に入られると確信してるからこそだもん。
愛される自信があるんですよ、彼は。というか、どんな生き物でも手懐けられる自信かな?(笑)
ハルクは絶対に自分を傷つけない、だから平気でイライラ棒でつついてみたりするんです。(笑)
まさにRDJならではというか、RDJだからこその発想だなー・・・と。
自信満々で鼻持ちならない、でも、やっぱり愛さずにはいられない。・・・心底おそろしい人ですね。(笑)

TOPDOG/UNDERDOG

2012-12-31 | ドラマ・映画・舞台の感想
http://www.siscompany.com/topdog/movie.html
12/27 世田谷パブリックシアター(シアタートラム)
脚本・演出:小川絵梨子 原作:スーザン・ロリ・パークス
出演:リンカーン/千葉哲也、ブース/堤真一

これから大阪、福岡、長崎と上演されるので、感想はネタバレにならない範囲で・・・。
シスのサイトによると、初演は2001年オフ・ブロードウェイで、弟のブース役を演じたのはドン・チードルだそうです。
ドン・チードルは、アイアンマン2の2代目(笑)ローディを演じている俳優さんです。

さて・・・感想としては・・・・一言で言うと、やるせない、です。
やるせなくてやるせなくて、悲しい。
ブラックムービーを観ると、これはいつも感じることですが、人はやはり基本的な道徳、教育・教養は受けるべきです。受ける権利がある!としたいです。
先日放送されたNHKの「追跡者 ザ・プロファイラー」のキュリー夫人の回の中でも取り上げられていましたが、教育(=知識・知性・知恵)がどれだけ人間にとって大きな武器となるか。・・・
ロシア・ドイツの支配下に置かれたポーランドが一番力を入れたのは、軍備ではなく教育だったそうです。
武器というと語感が強いですが、最大の防御ともなるのが知性だと思います。
知性・知識がないと、視野が広がらず、今いる場所がどんなに狭い範囲であったとしても、それがその人の世界のすべてになってしまうんですよね。・・・
TOPDOG/UNDERDOGという言葉の表す通り、所詮、野良犬の縄張りの範囲なんですよ。
兄のリンカーンがどんなに羽振り良く見え、弟にとっての憧れの存在であったとしても、野良犬たちの中ではトップに居る、というだけに過ぎないんです。
公式サイトには「ディーラー」というカッコよさげな言葉で表現されていますが、ストリートで観光客や酔っ払いをひっかけ、ビール箱に布をかけたような屋台ともいえないテーブルの上でいかさまマジックの賭けをやり、お金を巻き上げる人のことを指します。
今でも、アメリカのちょっとダウンタウンの方に行けば、やっている人はたくさんいると思います。トランプでなくても、カップ&ボールとか違う形で。
高等教育を受け、定職に就き、ある程度の暮らしをしている人間から見たら、そんな稼業でどんなに稼げたとしても、まったく誇れるようなものではないと感じてしまうでしょう。
でも、その周辺に住む人たちや、そのエリアを縄張りにしている人々にとっては、羽振りのいい詐欺師の彼は大スターでヒーローなんですよね。
ブースにとっても、「兄のような天才ディーラーとなり、大金を持つ」ことが究極の夢だったりします。
そんな狭い世界で生きているからこそなのか、バカ扱いされること、蔑まれること、弱者とされることに酷く敏感で、それに対抗できるのは腕力・暴力しかないと思い込んでる。
まさに犬の順位付けですよね。・・・・まあ、特に男性社会にはどんなところでも少なからずあることだと思いますが。
だからなんだかんだ言って、銃を持ってるやつが強いんですよ。
たとえ知恵や腕力がなくても、己の力を誇示できる。簡単に一瞬で気に食わない相手を消すことができる。自分の実力以上の力を持てる。
知性というクッションがあれば、回避できる激情や衝動も引き金を引けばその場で片が付いてしまう。
無情、というのとも違うんですよね。
レ・ミゼラブルも格差社会や貧困による不幸を扱っていますが、現代社会はもっと状況が複雑化しています。
誰かの無情や、もっと高いところに居て人間の運命を操る存在の無情を受け入れるか受け入れないか、とかいう話でもなくて、むしろ人の情があるからこそ、やるせない。
人間ならば人間同士、もっとできることがあったのではないかと。・・・
やるせないんです。

RDJの「シティ・オブ・ドッグス」は、原題は「A GUIDE TO RECOGNIZING YOUR SAINT」と言います。
邦題のセンスもなかなか悪くないと思いますが、この原題は、そんな人間も神も存在しない野良犬の世界の、よすがを示しているのかも知れないなー・・・と。
ブースにとってのSAINTはリンカーンであったんだけど、SAINTはそもそも人間。神ならぬ存在なんですよね。・・・

ああ、無情。

2012-12-29 | ドラマ・映画・舞台の感想
レ・ミゼラブル

観終わった第一声は、友人共に「・・・・疲れた・・・・」でした。(苦笑)
とにかくバストアップ映像が多くて、役者さんの毛穴まで見えそうなほど。
その上、フリーハンドで撮影したらしく手振れが酷くて、凝視してると酔いそうでした。
ラッセル・クロウの大ファンだけど、そこまで寄った映像をみたいかといえば特にそういうこともないので、正直、「自分の裁量で引きの画が見れるんだったら引きたいよ!!」と何度も思わずにはいられず、もぞもぞと首の角度を変え続ける始末。
トム・フーパーってこんな映像センスの監督だっけ?・・・あんまし好きじゃないかも。・・・と思ってしまいました。
多分想像するに、ですが、スコアは全部ミュージカルのものそのままなので、せっかく映像で撮るんなら映像の利点をフルに生かそうと試みたんではないかなー・・・と。
要するに、引きの画や全体像を観たいのであれば、舞台で観ればいいじゃん、と。
せっかく有名映画俳優使って生歌で撮影してるんだから、本当に本人が生で歌ってるのが分かるようにしたい、咽喉が揺れる様子や、声と感情がきちんと連動しているところをまざまざと見せたい、それに映画館に来る客は、お気に入り俳優の顔が観たくて来てるんだろう?と。・・・
日本のテレビドラマ並みの顔どアップ映像の連続でしかも尺が長いので、友人は「いくらなんでもくどい」と。(苦笑)
それに、その場にいるような臨場感を出したかったのか、目線の高さで人の間に入り込んでの映像だったりするので、まるでラッシュの通勤電車に乗ってて身動きができない時のような心地。
映像作家の人はたまに、フリーハンド映像にしさえすれば臨場感が出る、リアリティが出ると勘違いしている人がいるような気がするのですが、観客にしてみれば、自分の視線や動きに合わせて映像が動いたりブレたりするわけではないので、映像の方で一方的に手振れにされても、違和感と不快感を覚えるだけでちっとも臨場感なんて出ないんですよね。(中には出る人もいるのかも知れないですが・・・)
むしろ少し引き気味の映像で、遠景もボカさずにきっちり撮ってくれた方が、観客は自分の観たいところにはちゃんとピントを合わせて観ることができるので、よっぽどリアリティを覚えるんですよね。(黒澤監督はこの手法だった)
それにセットも衣装もかなりお金がかかってて、ちゃんと造り込んであるんだから、俳優の顔芸でごまかす必要性もないのに。
トム・フーパーって、安易なアップや手振れを使うような監督じゃないと思ってたんだけどなー・・・・と。
小さな子供の悲惨なシーンでデスマスク大写しにしたりするのもなんとなく品がない感じ。
宿屋の夫婦も、下衆な役回りだから下衆な表現をしてもまあ、いいとは思いますが、それにしてもなんだか・・・・なんか、監督自身のセンスが疑われる感じと言うか。・・・
私的には、映像に少しがっかりしました。
ラッセルのジャベールはかなり好きです。
彼の歌声って初めて聞きましたが、意外と優しくて甘い声で想像してたのとまったく違いました。(笑)
それに、語尾に、なんとなくそこはかとない脆さが漂うんですよねー・・・・・。
あのラッセルのことだから、ジャベールという人物像を描き出す上でわざとそういう表現にしてみたのかも知れませんが。
一見、タフで厳格で荒々しく見えるけど、実はナイーブな危うさ、脆さを抱えているジャベール。・・・・
まあ、ラッセルの真骨頂な役どころでもあるかも知れませんね。

しかし、レミゼってこんな話だったっけ・・・・と思うこと多数。
子供の頃から何度かいろいろな形でこのストーリーって見聞きしたことがあったと思いましたが、「あれ・・・?そうだったっけ・・・?えーーー?」みたいな。
生まれて初めて、邦題の「ああ、無情」がしっくりしみじみと来ました。
こんな手加減なしの悲惨な話だったんですね。(苦笑)
や、・・・・悲惨というのはやっぱりちょっとニュアンスが違いますかね。
まさに、無情、というのが一番しっくりするというか・・・。
さすがにリアリティに容赦のないおフランス物というか。・・・
まあ、今の年齢になったからこそ感じるもの、というのもあると思います。

シティ・オブ・ドッグス(追記)

2012-12-09 | ドラマ・映画・舞台の感想
A GUIDE TO RECOGNIZING YOUR SAINTS"City Of Dogs", Dito as Robert Downey Jr.
ロバート・ダウニー・Jr.持ち込み企画で製作にも関わっている映画「シティ・オブ・ドッグス」。ディート役(子供時代はシャイア・ラブーフが演じてる)のRDJ。
日本未公開で最近のRDJファンにはいまいち受けが良くないようですが、私は結構好きな作品です。
RDJって外向的でマシンガントークな賑やかしい役も多いけど、一方ですごくナイーブで寡黙で内向的な役も結構やってますね。
このディートは、自分を表現するのがあまり得意ではなく、ろくに人の目を見て話せないような感じの人。作家になることで、ようやくペンに心を語らせることができたというか・・・。
チャーリーやラリー、トニーも、一見かなり人当りはいいですが本心はなかなか人に見せないところがある感じですが、私はどっちかというとそういう役を演じている時のRDJが好きなようです。


ニューヨーク、クィーンズの移民街、低所得者層が多く住む地区が舞台の話。
RDJは確かブルックリン出身で両親は業界人、それほど貧しい環境で育ったわけではないと思いますが、友達に悪仲間は多かったかも知れませんね。
原作にかなり思い入れがあってどうしても映画化したかったらしく、スティングに協力を仰ぎ共同制作となっています。

内容は、ブラックムービーですごくよく観るタイプ。
以前観た『RIZE』というドキュメンタリー映画にこういうセリフが出てきます。
「牢屋に入るか、ギャングになるか、撃ち殺されるか」の3択しか選択肢の無い生活環境。それは一部の家庭だけの話ではなく、その地区一帯がそうなんですよね。
登校中や買い物中に子供が撃ち殺されるのも、そんなにめずらしいことではないような荒んだ世界。
両親が殺されてしまったり牢屋に入ってしまったり、薬物中毒で育児ができない人もたくさんいて、だから満足に食事もできず学校に通えない子供達がストリートをうろうろしている。
学歴も保護者もないから、まともな就職もままならない。何かをやりたい気持ちがあってもやらせてもらうことすらできず、教育を受けてないから実際やれることもない。
地区外に出ても、何もやらせてもらえないのは変わらない(むしろもっと酷い)から、結局育った街から抜け出すこともできない。
「ゲットーの人間がやれることは、フットボールかバスケをやるか、音楽をやるしかない。でも俺達はダンスをやってる。他にやることがないから。」
と、『RIZE』の中の若者たちは言っています。
私は一時期ブラック・ミュージックとダンスに夢中になっていて、ストリートから生まれてくるカルチャーのすごさにしばしば圧倒されることがあり、それがあってブラックムービーをよく観るようになりました。
スラム出身のアフロアメリカンのサクセスストーリーの裏には、大抵、この『RIZE』のような格差社会のシビアな現実があります。
「人殺しだけにはなるな。薬はやるな。」と誰もが口先では言うけど、若者から「じゃあ俺達は一体何をすればいいんだよ?」と聞き返された時に、答えられる大人もいない。
殺されるか、より陰惨であることや極悪であることを競って殺す方に回るのか。・・・
ブラックムービーは、そんな環境に生まれついた人達が、何とか自分の尊厳と情熱と良心を保って生き抜こうと泥沼を這い回る話が多いです。そして現実は、必ずしも、サクセスにもハッピーエンドにもなりません。

アフロアメリカンに限った話ではなく、移民系の貧困層は似たような状況は多いようです。
この『シティ・オブ・ドッグス』はイタリア系かな?
日本のRDJファンにこの作品の評判がよくないのは、ご都合主義に解決することが何一つないからでしょう。・・・しかも、「"家族や地域の絆"は、果たして本当に美しいのか?」というアンチテーゼも含まれているように思えますし。

こういう作品を観るといつも感じることですが、"成功しよう"とがつがつすること、泥沼から何とか自分だけでも抜け出そうと必死になることは、ちっとも自己中心的ではないし、恥ずかしいことではないということです。
だって、そんな向上心や改善心や、野望や野心を保ててるだけましなんですよ。それは、「ギャングにもジャンキーにもならない!」という意志の表れでもあるからです。
すぐそこに転がっている銃や薬に手を出して、誰かのいいなりになり、自分を混沌と堕落に埋没させる方が実はよっぽど楽なんですよね。
親や近所の善意や助けなんてない環境ですし、第一、親自身が同じ境遇にあるのですから。終わりのない負の連鎖。
ディートは街を出て作家として成功しますが、両親や幼馴染たちからは「自分たちを捨てた」と言って咎められます。
だけどディートがもしその"絆"に捕らわれ、街を出なかったら、たぶんナーフのような大人になっていたことでしょう。
久しぶりに街に帰り、車で迎えに来てくれたナーフの自堕落で荒みきった様子。そんなナーフと話すディートの表情を見ると、なにか胸を掻き毟られるような思いがします。
そして、自分から離れることを許さず、街を出ることを許さず、ディートに執着し続けた父親。・・・それは絆なのか呪縛なのか?・・・というところですよね。
だからディートは父親に、「俺を愛してたことがあったか?!」と訊かずにいられなかったんでしょうね。
ただ自分の傍から離したくない、という思いだけで息子を泥沼の環境に雁字搦めにすることは、はたして愛なんだろうか?・・・と。
ディートも成功したからこそ、心臓の悪い父親をちゃんとした病院に入れることができるわけで。・・・
父親の言いつけどおりに街に居続けていたら、ナーフのようになり、賢いとはいえないアントニオの手下になって悪さをするのが関の山。目に見えていた。
愚かなアントニオはディートの復讐と称して人を殺して牢獄に入っている。だけど、殺さずに済む方法は他にいくらでもあったのです。彼はただ、あまりにも短絡的で暴力的であるがゆえにやり過ぎただけ。なのに父親は、そのアントニオの言うことを聞けとディートに言うんですよね。・・・
それらが分かってしまっている頭があるだけに、ディートは街を出ずにはいられなかった。
幼馴染の元カノの言うとおり、「血の跡を残しながら家を出た」というのは事実でしょう。絆を引き剥がそうとすれば当然、血は出る。
だけどそれは、残された方だけではなく、立ち去る方だって血を流しているんですよね。
最後に、監獄のアントニオに面会に行くディートの表情は見ものです。
アントニオとろくに目を合わせられず、ほとんど笑わず、故郷の仲間に会ってもやはり心は開いていないディート。・・・

たぶん今の日本の状況では尚更のこと、感動的な和解や、幼馴染の絆が蘇り歓談するシーンや、街を捨てたことを痛悔するディートの姿を見ることを期待した人が多いことでしょう。・・・でもそうはならないし、ディートが心を寛げるシーンすらないんですよね。
唯一、今はシングルマザーとなってる元カノの、元気な顔を久しぶりに見た瞬間と、母親に会ったシーンのみが、ディートが嬉しそうな表情を浮かべたところかな。
でもすぐに、その二人ともから責められて、結局、故郷で彼を本当に理解している人は誰もいないことに。・・・
わかりやすいエンディングも付けられていないので、どう考えても一般受けはしない作品だと思います。・・・が、それでもどうしてもこれをやりたいと思ったRDJの心境は、いろいろと考えさせられますね。

心を閉ざし、口が重く、周囲になじめない男を演じるRDJの演技はすばらしいです。
少年期を演じたシャイアを見てからRDJが演じたのか、RDJを見てシャイアが演じたのか知りませんが、顔は似ていない二人ですがすごく繋がりを感じて違和感はありません。
決して楽しい作品ではないし、分かりやすい感動ももらえませんが、リアルで興味深い作品でした。
『路上のソリスト』も似たテイストがあるかな?
RDJのネガティブ面も好きな向きにはおススメです。

(追記)
アイアンマン(無印)のローディことテレンス・ハワードの『ハッスル&フロウ』も、かなりへヴィなブラック・ムービーです。興味深いという意味で、すごくおもしろかった。
 『追跡者』に出てたウェズリー・スナイプスの『ジャングル・フィーバー』という作品も、かなり刺激的でした。白人の女性と黒人の男性のカップルの話。この映画でウェズリーは名を挙げた感があるので、『追跡者』でも彼女役は白人になったんでしょうね。


ボストン(デトロイト?)の弁護士さん 最終回

2012-11-24 | ドラマ・映画・舞台の感想
アリー・my・ラブ シーズン4、ざっくり紹介の最終回。

エピソード21ではロバート・ダウニー・Jrの登場シーンはワンシーンのみ。
E23には出てきません。このE23がS4の最終回となります。
E22は、アリーにプロポーズをしようとするラリーがいろいろ下手こいてメタメタになるストーリー。(笑)


Ally McBeal Season4 Episode22, Robert Downey Jr. as Larry Paul
元奥さんのヘレナ(ジェイミーではなくボストンに住んでる結婚した方)に相談しようとランチに呼び出して、二人でアイスクリーム屋に入り、クリームを顔に付けたりしていちゃいちゃ(第三者から見たらどう見てもいちゃいちゃ・苦笑)してるところをアリーに見つかり、二人分の山盛りアイスとチョコレート・ファッジとホイップクリームを頭から大量に浴びせかけられるシーンは爆笑ものです。これ、たぶん代役さんではなくRDJ本人がやってます。
チャコールグレーのスーツに水色と茶色のギンガムチェックのシャツ、ドットの入ったクリーム色のネクタイ、ターコイズブルーの縁の眼鏡のコーディネイトは、S4で私が一番好きなラリーの衣装です。・・・でもこれ、RDJの最後の衣装。・・・


TVドラマは順撮り(ストーリーの流れ通りにシーンを撮影する)のことはほとんどないようですが、RDJは拘留どころか今度は収監されてしまったので、クランクアップ前に撮影続行が不可能となりました。
実際にどういうストーリーの変更や改編がなされたのか知りませんが、オンエア当時は、私はその事実はまだ知りませんでした。
だから、E22でアリーとラリーが結局別れ、ラリーはデトロイトに帰ってしまうのですが、その展開にそれほど違和感は覚えなかったんですよね。・・・
そういうタイプのストーリーなんだ、と。(苦笑)アリーがキツい失恋を重ねていく、というパターンを毎回取るタイプの物語なんだと、それなりの納得をしていたんです。
でも、アリーの本気さは今までにないぐらいのものだったので、もしかしたらシーズン5にラリーは再登場するのかな、ぐらいに軽く思ってました。
S5オンエアの途中ぐらいで、RDJが逮捕されたことをようやく私は知ったんだっけかな・・・。
ちなみに、S5のアリーの相手役はジョン・ボン・ジョヴィです。
さすがにE・ケリー。これ以上はないような絶妙な配役ですよね。
アリーと同じ弁護士とかのエリート系の男性像は、言ってみればRDJが極めてしまった感があるので、次はその対極になるタイプ、ワイルドせくしー系で学歴はないけど心は優しくてピュアな人にする。で、RDJにも引けを取らない大物感とサプライズがある人、といえば彼しかいないでしょう。アリーの世代的にも演技経験からしても。
でも、配管工ヴィクター(ボン・ジョヴィ)とは確かうまく行かなかったんじゃなかったっけかな。・・・
アリーが「まだラリーを愛してるの・・・!」と悲鳴のように言うシーンが何度かあったような。・・・
・・・そりゃそうだよねーー・・・と思って見てました。視聴者みんながそうだったんじゃないかな。
あまりに、ラリーを愛してしまったというか。・・・

E22には、ラリーが「アリーと別れて来た」とヘレナに言うシーンが入っているので、本当はその後に再度ラリーのプロポーズ・シーンが入って、で、最後は結婚式で大団円となるはずだったのかも知れませんね。しかし、そのセリフまでは収録してあったことが功を奏してか(苦笑)、そのまま本当に別れる流れにしたんでしょうかね。・・・
ラリーは、ジェイミー、そしてヘレナ、と実質結婚に2回失敗してて、しかも失敗の原因が何なのか分からないと感じている。3回目の失敗がないとは言い切れない、とアリーに素直に打ち明けます。
それに、ジェイミーやヘレナとの繋がりを絶つ気は一切ないから、アリーがそれにイチイチ激怒するようではやっていけないと思ってる。
一方アリーは、ヘレナやジェイミーと仲良くしてるラリーを見るとどうしても平静ではいられない。
耐えられそうにもないと感じたアリーが、自分からラリーに別れを切り出した、という形に本編はなっています。
ジェイミーともヘレナとも、憎しみ合って別れたわけじゃないラリーにとっては、気心の知れた女性だし甘えさせてくれるし楽しく過ごしたい、というのはわかりますけどね。・・・でも楽しそう過ぎたかも。(苦笑)
放し飼いにしてるネコみたいなつもりでいないと、一緒には生きられない人でしょうね。

どうでもいいけど、RDJってビートたけしさんに似てるな、と。(苦笑)
「軍団の連中は野良猫みたいなもんだから。いろんな家に上り込んでいろんなことしちゃうけど、最後は家に帰ってくるから。だからそれ分かってる奥さんばっかり。」みたいなと言ってたのを思い出す。(笑)
天才肌の破滅型で前科者ってところもたけしさんとRDJは似てる。
たけしさんの映画にRDJが出る、なんてことがあったら楽しいなー・・・・。
北野ファンのジュードが熱く語ってくれないかしら?RDJに。
そうしたら、日本嫌いも少しは治るかも。