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アメージング アマデウス

天才少年ウルフィは成長するにつれ、加速度的に能力を開発させて行きました。死後もなお驚異の進化は続いています。

三つのライブ、トスカ、椿姫、リゴレット

2016-12-07 03:18:25 | クラシック音楽
3つのライヴ・フィルム 《トスカ》《椿姫》《リゴレット》[Blu-ray Disc 3枚組]
クリエーター情報なし
NAXOS


幻の映像、遂に登場! 「その時、その場所で」演じられた3つの名作オペラ映画
1992年、名作オペラを、実際に""物語の舞台となった場所""で映画として撮影するというプロジェクトが行われました。演目は「トスカ」。主演にマルフィターノとドミンゴ、ライモンディを迎え、物語の通り、7月11日の午後からその翌朝6時に起きた出来事を、カヴァラドッシが絵を描いていた聖アンドレア・デラ・ヴァレ教会、スカルピアの公邸であったファルネーゼ宮殿、そして第3幕の舞台となったサンタンジェロ城でそれぞれ撮影、その模様を世界108ヶ国(残念ながら日本は放送されませんでした)で衛星同時生中継するという前代未聞の企画は、世界中のファンを熱狂させるとともに、日本のファンは悔し涙を流すことになりました(その後NHK BSで放送)。

2000年には演目を《椿姫》に変え、主役ヴィオレッタには当時期待の新人グヴァザーヴァ、アルフレード役には人気絶頂を誇ったクーラ、父ジェルモン役にはヴェテラン、パネライを配し、パリとその郊外でロケを行い、世界140ヶ国以上に中継。この時も日本では放映されず、日本のファンはサントラ盤とブックレットに挿入された写真で、情景を思い描くのみでした。

2010年に行われた「リゴレット」は、インターネットによるストリーミング配信、その翌年にはテレビでも放送されました。当時、新進気鋭の若手テノールとして注目を浴びたグリゴーロのマントヴァ公はもちろんのこと、ドミンゴがリゴレット役を歌うということでも期待された上演で、ハイビジョンによる美しい映像は、それまでの2作品を凌駕する素晴らしい出来栄えとなっています。

1.プッチーニ:歌劇《トスカ》-トスカ・イン・ローマ(1992)
フローリア・トスカ…キャサリン・マルフィターノ(ソプラノ)
マリオ・カヴァラドッシ…プラシド・ドミンゴ(テノール)
ローマ・イタリア放送交響楽団&合唱団

2.ヴェルディ:歌劇《椿姫》-ラ・トラヴィアータ・イン・パリ(2000)
ヴィオレッタ・ヴァレリー…エテリ・グヴァザーヴァ(ソプラノ)
アルフレード・ジェルモン…ホセ・クーラ(テノール)
イタリア国営放送交響楽団

3.ヴェルディ:歌劇《リゴレット》-リゴレット・イン・マントゥヴァ(2010)
リゴレット…プラシド・ドミンゴ(テノール)
ジルダ…ユリア・ノヴィコヴァ(ソプラノ)
イタリア国営放送交響楽団

ズービン・メータ(指揮) 注 アマゾンのホームーページより


大変素晴らしいディスクが輸入されました。が、入荷が遅れていたので、具体的ななレビューは控えていましたが、どうやら入手が可能になったので、レビューをお届けします。
 
 まず、プッチーニ:歌劇《トスカ》-トスカ・イン・ローマ(1992)。
 演奏の質としては、後の二作品に及びません。指揮のメータもまだ今ほど円熟して居りません。が、本当の意味でのライブならではの魅力、ローマのロケーションとビットリオ・ストラーロの映像が素晴らしいので星四つという処でしょうか。

ビットリオ・ストラーロ、多分知りませんよね。アカデミー賞を三度(フランシス・フォード・コッポラ監督『地獄の黙示録』、ウォーレン・ベイティ監督『レッズ』、ベルトルッチと組んだ『ラストエンペラー』)も受賞している名撮影監督です。
 ベルトリッチとは殆どの作品でコンビを組んでいます。
 色彩感覚と移動撮影が真骨頂ですので、この三作品での起用は素晴らしい選択でした。
 光と影、重厚な色彩とロケ映像。全てが素晴らしいの一語に尽きます。この三作品の一番の売りだと私は思って居ります。

 次がヴェルディ:歌劇《椿姫》-ラ・トラヴィアータ・イン・パリ(2000)。
 これは文句のつけようが無い名演です。
 椿姫はディスク化を前提にしたライブでは、大変難しい作品です。ヒロインビオレッタのキャスティングが大変です。歌、演技、容姿と三拍子揃ってなくては面白く有りません。
 エテリ・グヴァザーヴァ,全く問題の無い起用ですね。彼女はとてもスリムで、憂いを秘めた美しい顔の持ち主です。期待の新星という事でしたが、一体何処に消えてしまったのでしょう。私は一度も彼女を見た記憶が有りません。
 実質的なファーストシーンは移動撮影です。パーティー会場のロングから参加者のグループショットにより、合唱団の合間を縫ってヴィオレッタが登場します。今度は、カメラがアルフレードを付け回します。大きなガラスの向こうにヴィオレッタが居ます。舞台では実現仕様が無い出会いです。ヴィオレッタは微妙微笑みでアルフレードを見詰めます。
見事な出会いで、今後の展開を暗示させています。
 椿姫のライブで、最良の作品の一つに間違い有りません。限りなく五つに近い、星四つ半です。

 最期がヴェルディ:歌劇《リゴレット》-リゴレット・イン・マントゥヴァ(2010)。
リゴレットはキャスティングに注文が付く作品です。リゴレット、ジルダ、マントヴァ、暗殺者とその妹が歌唱力と容姿が重要なポイントになります。このディスクはほぼ理想的です。ラストの四重奏(リゴレット、ジルダ、暗殺者その妹)は当に必聴です。素晴らしい歌唱と演技、ストラーロのカメラが映し出す迫力と緊張感は、とても言葉で表れません。 このリゴレットは、私の知る限り、最高のライブ映像です。

 この三つのライブは、入荷数が少なく、購入に日数を要すと考えられますが。是非ご覧になる事をお勧め致します。三作品とも、NHKが権利を持っているようですから、いつかオンエアーされるかも知れません。
2016年12月8日   Gorou

椿姫

2016-12-01 00:24:10 | クラシック音楽
ヴェルディ:歌劇「椿姫」全曲
ネトレプコ(アンナ),ウィーン国立歌劇場合唱団,シュナイダーマン(ヘレンネ),ヴィリャソン(ロランド),ハンプソン(トーマス),コルデッラ(サルヴァトーレ),ゲイ(ポール),ヴァッレン(ヘルマン)
ユニバーサル ミュージック クラシック

これはCD音源ですが、出来ればDVDかブルーレイで観てほしい作品です。
 ザルツブルグ音楽祭のライブで、ヴィラゾンとネトプレコの絶頂期作品です。
 かなり斬新で簡潔な舞台、楕円形の白い壁と大きな時計(ビオレッタの命の象徴で、クルクル回ったり、逆回転したりします)が下手の壁に立て掛けられています。
 演出の狙いはビオレッタと死に神の対決です。死に神は時には主治医の姿でビオレッタに忍び寄ります。
 ネトプレコは十分にスリムで美しく、歌もなかなか素晴らしい出来映えで、必見の価値あり。いつもの事ですが、ヴィラゾンがオーバーアクションで少し浮き上がっていてたのは、残念ですね。
 椿姫は、非常に合唱団の歌唱力と演技力を必要とするオペラです。その意味でもこれは素晴らしいですね。合唱団でウイーン国立歌劇場に匹敵出来るのはスカラ座位ですかね。オーソドックスな椿姫として、スカラ座のゲオルギュ-のスカラ座ライブ(ショルテイ盤とマーツェル盤)をお勧めします。
  2016年12月1日   Gorou

女から生まれし者は命短し、パーセルとマーラー

2016-11-28 23:51:19 | クラシック音楽
 先日、珍しい試みをした演奏を試聴しました。
[演目]ヘンリー・パーセル:メアリー女王のための葬送音楽は、パーセルが終生仕えたイングランド女王メアリー(1662~1694)の死去の際に作曲されました。女王に対する作曲家の敬愛と哀しみが表現された美しい名曲で、第1曲「行進曲」第2曲「女より生まれし者はその日短し」第3曲「カンツォーナ」第4曲「我ら生命の半ばにても死に臨む」第5曲「カンツォーナ」第6曲「主よ、汝はわが心の秘密を知りたもう」第7曲「行進曲」)、グスタフ・マーラー:交響曲第6番イ短調『悲劇的』(2003年国際マーラー協会版)
[指揮]ダニエル・ハーディング[演奏]バイエルン放送交響楽団及び同合唱団[合唱指揮]ヨルン・ヒンエルク・アンドレセン
[収録]2014年3月21日フィルハーモニー(ガスタイク内、ミュンヘン)
[映像監督]ベアトリクス・コンラッド

 最初に驚いたのが、パーセルを演奏するのにしては、異様に楽団員が多いのです。おそらく必要な人数の五倍位はいたと思います。
ファンファーレに合わせて合唱隊が葬儀参列者の如く入場し、金管アンサンブルと美しい合唱(オルガン伴奏)が交互に演奏されて行きます。
 行進曲のあとは合唱です。
 女から生まれた者は 命の日は ごく短く 悩みに満ちている
 どこかで聞いたような・・・? そうです、マクベスの魔女の予言ですよね。

 シェークスピアもパーセルも聖書から引用しているに違いありません。
マクベスは one of woman borne(女が産んだ者)には倒されないという予言を受け、自らの不敗を確信する。この種の言い回しは新約聖書にも them that are born of women として現れる慣用句で、通常は「あらゆる人間」を意味する。しかし born (borne は古い綴り) には「自然の」という意味もあり、one of woman borne は「女が(自然に)生んだ者」とも解釈できる。

 美しいパーセルが終わると間髪を入れずに始まるマーラー6番目の交響曲『悲劇的』。ハーディングは国際マーラー協会版(第2楽章「アンダンテ」第3楽章「スケルツォ」)を採用。パーセルを前奏曲として考えると、より一層第1楽章の悲劇的サウンドが際立ちます。また、この曲はさまざまな打楽器も見どころで、特に第4楽章で打ち落とされる大きなハンマーは必見です。
激しさと美しさのメリハリ、圧倒的な音楽の推進力、オーケストラ圧巻のアンサンブルを映し出すカメラワーク、そしてパーセルは指先で、マーラーは指揮棒で指揮するハーディングの普段は見ることができない表情など、オーケストラコンサートの醍醐味をさまざまな角度から目と耳で体感できる番組。日本ではクラシカ・ジャパンでのみ、このコンサートの全貌を知ることができる唯一の映像。だそうです(クラシカジャパンホームページ参照)。
 決して誇張のない賛辞ですね、パーセルは哀悼溢れた名曲で素晴らしい演奏でしたし、マーラーの悲劇的も、数々有るこの曲の名演奏に加えるに足るものでした。私はマーラーの六番はもっぱらアバド・ルーツェルン祝祭管弦楽団盤を愛聴していましたが、アバドに劣っているとは思いません。むしろ、こちらの方が好きかも? 打楽器の使い方が斬新なのと、全体的に迫力が有るように気がしました。近いうちにアバドを聞き直して確認したいと思っています。

 メアリー女王について調べてみました。イングランドのこの時期にはメアリーだらけで混乱を極めましたが、矢張り、プロテスタントへの厳しい弾圧で、ブラディメアリーと言われたメアリーで間違いないようです。メアリーの妾腹の妹が、イングランドにゴールデンエージをもたらしたエリザベスです。因みに彼女はプロテスタントでした。プロテスタントで妾腹のエリザベスがメアリーの跡を継げたのは何故でしょう? 私も興味を持っています。参照する文献は多く、オペラ(アンナボレーナ)、映画(ブーリン家の姉妹、エリザベス、エリザベスゴールデンエージ、恋するシェークスピア)も参考にしようと思います。
 メアリーとエリザベスの父親はヘンリー八世で、とんでもない暴君でした、愛妾アン・ブーリンと結婚する為にローマ教会と決別しました。更に、アンへの愛情が冷めると、ジェーン・シーモアを王妃にする為にアンを処刑しました。冤罪と言われています。

 この辺りの話は別の機会に展開するつもりです。
2016年11月28日   Gorou

ベルリンフィル 帝王カラヤンからアバド~アバドからラトルへ

2016-11-28 19:48:31 | クラシック音楽

 帝王カラヤンからアバド~アバドからラトルへ。

 魔王カラヤンの呪いをアバドが拭い、ラトルが過去半世紀で最高のベルリンフィルを築いた。
誰もが世界最高と讃えるベルリンフィルにも弱点が有りました。時として、二軍・三軍をツアーに送り込む、とか、……伝統に胡座をかいている、とか……管楽器に比べて弦が弱い、とか……
何れもいわれなき中傷でしか有りませんでしたが、二十一世紀に入ると、ベルリンフィルは自ら進んで改革に乗り出しました。若くて優秀なソリストを募集し、若返りを図りました。その時加わったのが清水直子でビオラの主席に座っています。ラトルの任命も、変わろうとするベルリンフィルの堅い決意をあらわしています。
 今井信子に師事した清水直子は、師・今井信子ゆずりの暖かく豊かな音色と真摯な演奏で楽団員とサイモン・ラトルに絶賛されています。ラトルはインタビューで彼女はベルリンフィルの至宝であると語っています。みなさんも是非、全盛と伝えられる二十世紀後半のベルリンフィルと直子の加わった新生ベルリンフィルを聞き比べて下さい。とにかくしなやかでやさしく、特に弱音が美しいんです。ともすれば力でねじふせるような圧迫感を与えた旧ベリンフィルから完全に脱却しています。

 1955年4月5日、カラヤンがベルリンフィルの常任指揮者となりました。奇しくもカラヤン47才の誕生日であったという。カラヤンは楽団員の国際化を進めるほか、精力的に録音活動を行った。ベルリン・フィルの組合せでの録音は、膨大な数に登りました。帝王と呼ばれた(もしかして呼ばせた?)カラヤンは終身指揮者・芸術監督となり、ベルリンフィルを使って世界制覇を成し遂げた。
 私も、若い頃はさんざんカラヤンの演奏を聴かされました。ラジオから流れてくるのは、カラヤン、カラヤン、カラヤン。カラヤンだったら何でも推薦版になりました。もしかして、音楽界ではカラヤンを褒めなければ生き残れなかったのかも知れません。私はカラヤンの演奏に一度も感動を覚えませんでした。私自身の音楽に対する感性が欠如しているとしか思えませんね。音楽に耳を傾ける前に、カラヤンの指揮ぶりとヒットラーの演説が重なって見えてしまうのです。
 終身指揮者のカラヤンでしたが、ザビーネ・マイヤーというクラリネット奏者をベルリンフィルに迎えた事で団員との溝が深まり、 1989年4月に辞任しました。ザビーネ・マイヤーは退団し、カラヤンもその年の夏、死去しました。
 当選確実と噂されたロリーン・マツェールを破ってクラウディオ・アバドが常任指揮者に就任しました。楽団員の投票だったそうです。スカラ座でイタリアオペラを振っていたアバドがベルリンフィルの常任指揮者に任命されるなど、誰が想像したでしょうか! 一番ショックを受けたのは敗れたロリーン・マツェールでした。その後9年間、マツェールはベルリンフィルと決別しました。
 任期全般でレパートリーを広げることに尽力したアバドではあったが、自身の健康面の問題で一時代を築けず2002年のシーズン限りで辞任した。後任の最大有力候補はサイモン・ラトルとダニエル・バレンボイムだったが、楽団員による投票によりラトルが常任指揮者に選ばれた。ラトルは、ベルリン・フィルを政府から完全に独立させ、また一風変わったレパートリーを取り入れて、ベルリン・フィルに新風を吹き込みつつあります。(ウィキペディアを参照させていただきました)
 カラヤン、アバド、ラトルの聞き比べとして、私はブラームスのドイツレクイエムをお奨めします。違いをご自分の耳で確かめて下さい。

カラヤンのドイツレクイエム。
凄いですね、ベルリンフィルも随分鳴っていますね、ロマンティックですね、でもプロテスタントのブラームスがこんな具合に演奏される事を望んでいたでしょうか?

アバドのドイツレクイエム。
 アバドが病に倒れる前のライブで、生きる喜びを謳歌しているような演奏です。少し力が入りすぎているかも? ソプラノはバーバラ・ボニーですが、CD盤の方ではシェリル・ステューダが歌っています。そういえば、アバドはステューダが好きですね、随分観たような気がします。ドミンゴ、ステューダを起用したローエングリン、面白いですよ、オケはウイーンフィルですけどね。

ラトルのドイツレクイエム。
CD盤。良いのか悪いのか? 全く違う曲に聞こえてしまいます。
 私はこれが一番好きです。
2016年11月28日  Gorou and Sakon

モーツァルトの不思議なオペラ、魔笛

2016-11-27 04:21:19 | クラシック音楽

 魔笛はモーツアルトの最高傑作と称されながら名演奏・名舞台の少ない
オペラです。その謎に迫ってみます。
 魔笛の謎といえば、誰もが三つの試練、三人の侍女、三人の童子、など
にかかわるフりーメンソーの事だとお思いでしようが、日本人の私に分かり
ませんし、語る資格も有りません。ここで言う謎というのは、冒頭で指摘した
ように、最高傑作で有りながら、極端に名演奏が少ないんです。オペラの重要な
要素は、指揮者、オーケストラ、合唱団、歌手、演出(美術・衣装も含めた)ですが、二つ位の要素が90点だったとしても、必ず50点以下の部分が出てしまいます。それだけモーツアルトが偉大で、魔笛の上演は難しいという事なんでしようね。
 私が観たり聞いたりした数少ない魔笛(それでも十数個にはなります)では殆ど
演出で躓いていました。
 私が最初に感動した魔笛は、イングマール・ベルイマンの映画でした。
 序曲が始まりました。わたしはそこで初めて、こみの序曲が名曲だと言うことに気付かされました。すでにベルイマンの魔術が始まっていたのです。カメラは序曲の間中観客のアップを追い続け、たびたび可愛らしい少女の顔を映し出します。
希望に胸をときめかせて目を輝かせる少女。私はその顔を未だにはっきりと覚えています。死ぬまで忘れないでしょう。
 以来、私は魔笛を観ると、どうしてもベルイマンと比べてしまい、満足した事
が有りません。大蛇が気に入らなかったり、魔笛に併せて縫いぐるみが踊るのが馬鹿馬鹿しくなったり、ザラストロが崇高過ぎたり、夜の女王の悲鳴に悩まされたりしました。
 次に感動したのは、、ケネス・ブラナーの魔笛です。不思議な事にこれも映画ですよね。この作品でもまたまた序曲、奇跡の和音とともに映像がフェードインし、空と雲と蝶、渡り鳥や兎、そこへ戦争の不安が忍び寄ってきます。驚いた事に、序曲の間中ワンカットの移動撮影で通してしまいました。このプロローグだけで十分です。後は観ないでもいいとさえ、その時は思いました。
 観る前、私はどうせ期待はずれだろうがとりあえず観てみようか、という軽
い気持ちでしたが、本当に期待を外されてしまいました。ザラストロの慈愛に
満ちた目、悲しみを秘めた夜の女王、パパパパパパパ、パ、パパパパパパパ、パ、とにかく楽しませてもらいました。ケネス・ブラナーの演出が良かったです。
 この魔笛を観て気がつきました。魔笛は演出主体で創られるべき作品だと。
 どうしてもオペラは指揮者と歌手に重点が置かれてしまうのです。魔笛の上演を成功させるには、優秀な演出家を起用するべきです。
 
 一つ分からないシーンがあったのですが、どなたか教えて居たた゜けませんか?
 無数の墓標を前にしてザラストロが歌います。墓標に刻まれた若者の名前、三分の一が日本人だったのです。第一次世界大戦でこんなに日本の若者が戦死した筈が有りません。もしかしたら、神風か回天なのでしょうか? 結局未だに分かりません。
 ブレゲンツ音楽祭2013で魔笛が上演されました。湖畔の幻想的な舞台設定で、少し日本を意識したような演出でした。これは面白かったですね。
 もし、モーツァルトが東アジアの神秘に包まれたジパングを知っていたとしたら? 面白いですよね。誰かモーツァルトに聞いてくれませんか。

ベルイマンのお薦め映画。
 処女の泉。第七の封印。野いちご。ファニーとアレキサンドル。
 鮮烈だつたのは処女の泉、はまったのは第七の封印、結局この二作品は未だに理解しているとは言えません。いま考えてみると、野いちごが一番良かったのかも知れません

ブラナーのお薦め映画。
ヘンリー五世。ハムレット。愛と死の間。フランケンシュタイン。
 ブラナーはやはりシークスピアです。ハムレットは四時間を超える大作で少々疲れてしまいますが、ヘンリー五世はシェークスピアとブラナーが好きなら是非観て下さい。DVDは廃盤に成っているようです。変わったところで出演作(主演では有りません)のスウィングキッズ、ジャズ好きなら必見です。
 最近のブラナー、余り感心出来るとは言いがたいですね!? アメコミの実写化やシンデレラ等々です。
2016年11月27日 Gorou and Sakon