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Mental Blog

2006年からメンタルトレーニングの勉強を始めたMT初心者によるエッセイ。

戦艦大和を作れるか?

2015-01-07 09:09:50 | ゴールセッティング
どのような選手になりたいか。

人はイメージできないことはできない。
ここの記事をずっと読んでいけば、このフレーズは何度も登場する。

少し具体的な例を出してこの話を進めていこう。
たとえば、「世界最大の戦艦『大和』を7月の中旬までに復元しろ!」という命令が出たとする。
何が必要か考えてごらん?
工場・機械・材料・燃料?
以上が与えられれば作ることができるだろうか?
…おそらく答えはNOであろう。

これをクラブ活動に例えてみよう。
工場・機械とはすなわちグランドや道具を指し、材料は諸君そのもの、燃料は食事や練習になってくるであろうか。
今ある環境で、君たちが心技体を鍛えたところで、君たちの将来像は完成しないのだ。
では、「戦艦大和」を作るために欠かせないものは何か?
それが、設計図である。

この設計図こそがゴールセッティングのもっともコアな部分。
中期的・短期的なスパンで自分をどう将来像に近づけていくか。
だから、中期目標・短期目標を立てるべきなのだ。
夏までには大きく二点のターニングポイントがあるであろう。
まずは春の大会、そしてGWの遠征(この遠征後くらいにだいたいベンチ入りメンバーが決まってくるだろう)。
遠征での自分を思い描け。
そしてそこに至るひとつのステップとしての春の大会の自分を思い描け。
更に、それぞれのポイントに至るまでに自分が何をするべきか、こまかい目標設定を行っていく…つまり自分の設計図を作っていくことこそが、「戦艦大和」を完成させる近道になるわけだ。
漠然とやっていたのでは、自分の将来像には近づけない。
納期が決まっている中で、無計画に右往左往していたのでは、完成には間に合わないのだ。

チームを優先するべきであるので、各自をわがままに動かすことはできない。
それでも「チームに資する」とこちらが判断すれば、別メニューを許可することもある。
別メニューを許されなくても、常に「意識」はできるはずである。
ひとつひとつの練習を「ぶつ切り」にするな、と常々言っているよな。

ところで釘を刺しておく必要があると思うが、下級生が夏の「代打出場」を目指すのはまぁ構わない。
が、それに特化した練習はさせないよ。
夏前に上級生に「代打特化」の練習をさせるのは、最後の大会で出番を与えてやりたいからだ。
下級生があと二年も残して代打特化の練習を行っても可能性をつぶすだけである。
しっかりと守備練習にも取り組みなさい。
長期目標になるが、秋のスタメン出場を目指せばいいだけの話だ。

設計図を手に入れなければ、納期までに戦艦大和は作れない。
ゴールセッティングをしなければ、夏までに自分の将来像を完成できないのである。

プラトーとスパート

2014-12-23 09:29:40 | ゴールセッティング
週に一度のフリー打撃を、月に一度の測定を楽しみにする。
そうは言ったものの、しかしながら、そう簡単に成果は上がらない。

かつて書いたと思うが、そもそも人間の体は現状を維持しようとする特性があるという。
ほんの少しの成長を見せても、そこから伸び悩み、逆に退行する時期が来る。
超回復をイメージしてくれるとわかりやすいだろうか。
筋力は確実に超回復してくれるが、技術や身体能力(肩・脚力など)の向上はそうはいかない。
その伸び悩みの時期が「プラトー」と呼ばれる期間である。

プラトーには短期的なものと長期的なものが存在するが、その長期的なプラトーを脱すると成果は一気に上がる(スパート)。
前チームでいえば、チームとしては5月にプラトーを脱した感がある。
あの連休からの特に打力の伸びはすさまじかったな。
個人的にいえばI副将は6月にスパートがかかったし、G一塁手は夏の大会でスパートを迎えた感がある。
3年間やってきて、やっとあのタイミングでスパートが訪れるのだ。
伸び悩んでいても気持ちをきらないこと。
おそらく、たかだか一週間の打撃練習で成果はあがらないし、一ヶ月のトレーニングで身体能力は上がらない。
ただ一つ言えることは、最後まで努力を怠らない人間にしかスパートはこないということだ。

だからこそ継続することは大事なのであり、更に付け加えると、自分の伸び悩みをプラトーのせいにしてはいけないということ。
「今の俺はプラトーにいる」なんて言い訳を作った時点で、そこからの伸びはこないであろう。

長期オフに入る。
グランド外でできることはたくさんあるだろう。
冬の最優先事項はトレーニングである。
毎日体重計に乗れ。
毎日のスイング数を記録しろ。
毎日のランニング距離を記録しろ。
前日の自分に負けるな。
長期オフ中の自分の記録をチームメイトと比較し合ってもいいだろう。

それがライバルを作るということであり、継続をするということであり、プラトーを脱しスパートを迎えるための絶対条件である。

冬の先を思い描け

2014-12-21 09:04:56 | ゴールセッティング
予告したとおり、実戦形式の練習はしばらくお休みになる。
数をこなす=反復練習という意味では、きちんとシートについた内外野連係よりはドリル形式の方を多くすべき。
投げない外野手の肩が冷えて故障につながるというリスクもある。
フリー打撃も本当は入れなくてもいいくらい。
だが、成果をはかるという意味では週に1度くらいは入れてもいいだろうという判断だ。

単調な反復練習を行わなければならない冬の時期。
モチベーションを保つのが困難だと言われる。

その為にもライバルを作れと言っている。
俺も先月から個人的に肉体改造と銘打って(笑:新チームのシートノックは俺が打たねばなるまい)週に最低2度はジムに通っているのだが、一人のジム通いはなかなかどうして心がくじけそうになる。
この脂肪をなんとかしなきゃいかんのでルームランナーに乗る機会が多いのだが、そんなときには絶対に隣の人より長く走ることにしている。
そんな単純なライバルでいい。
体幹トレーニング中も相手より1秒でも長く。
ランニングでも相手より一歩でも多く。
スイングコンテストでも○○には絶対に負けない。
そんな形でライバルを作れ。

そして、ゴールセッティング。
チームとしては当然春を当面の目標とする。
週に一度のフリー打撃もいいゴールになるだろうし、測定だって月に一度の楽しみになる。
次のフリーでどれだけ打球が速くなっているか。
次の測定でどれだけ自分のスイングが速くなっているか。
春のオープン戦でどんな打撃を見せられるか。
そこを思い描くと楽しくならないか?

常に未来の自分を…強くなっているはずの自分を思い描け。
常に未来のこのチームを…春にシードを獲っているはずのこのチームを思い描け。

冬の練習はつまらん。
つまらんが、ストイックにやればやるほどその先の未来は輝かしいものだ。
つまらない打撃練習の果てに、ケースバッティングが可能になるのと同じように。
実践練習は楽しいが、そんな目先の楽しさにとらわれていてはいかん。
俺たちの目標は何であるのか。
そこを常に念頭に置きたまえ。

練習したことはできる。
練習は嘘をつかない。

過程に目標を立てる ~停滞・退行期を乗り切るために(2)

2013-11-15 11:13:36 | ゴールセッティング
だいぶ時間があいてしまったが、前回の話の続きをしよう。
復習になるが、成長過程においても試合の雰囲気に関しても必ず停滞や退行する場面が訪れる。
そんな停滞したり退行してしまった場合にどう対処すればいいのか。
ひとつはポジティブな姿勢を持つように話したね。
今日はもうひとつ。

当然各自目標は持っていることと思う。
夏の16、夏の一桁、打率3割…。
長期的な目標だ。
ひとつの試合においても、ヒットを打ちたいとか0に抑えたいとか完投したいとか、色々あるだろう。
だが、それらはすべて「結果目標」なんだよね。
つい最近も話したとおり、相手がいる以上結果は自分ではどうしようもできないものなんだ。
だから結果目標を立てるのはいいにせよ、それよりも大事なのはそこに至るまでの過程に目標をもつこと。

例えば、うちのチームの課題とも言える「得点直後の失点」。
失点をしないようにしよう、ではなく、そのためにどうすればいいかを考えるわけ。
相手チームにいい打者がそろっていてボコスカ打たれれば、それはそれで仕方ないのだ。
それよりも、「失点を抑える」という結果目標のためにどういう準備をしたかが大事になってくるし、むしろその準備しか君たちにはできないことを知っておこう。
当然僕は指揮官として、大きなそして抽象的な課題を与える。
その課題をクリアできなければ、それを責めるよ。
「なんで取った後に取られるのさ?しかもそれを繰り返すのさ?」ってね。
でも実はそれは本質的かつ具体的な責めではなく、その裏に「そこに至るまでにどういう工夫をしたのさ?」って意味が存在することをわかってほしい。
守備の入りを普段とどう変えたの?
普段より一歩目をどう意識したの?
どうやって先頭を打ち取る青写真を描いたの?
ピンチを招いたら、どうやってそれを切り抜けるイメージをもったの?

これら「過程目標」(とでも言おうか)のひとつのヒントが、チームルーティンやケース確認やプランニングや「1・2」だったりするわけ。
はっきり言ってしまう。
集中力は力である以上、そのパワーは尽きるときがくる。
試合にも流れがあって、最初から最後まで全力で、というのはきれいごとに過ぎない。
もちろんそれを目指してほしいけどね。
要所要所でいかに集中力を充電できるか。
そしてその要所とはどこなのか。
そういった試合の流れの中で、おさえるべきポイントをつかんでいかないといけないな。
例えばひとつの試合の中では初回とか、得点後、失点後、無得点が続いた後、最終回…などなど。
小さく言えば、ボールカウントごとにだってそのポイントは生まれてくるよな。
それらのポイントをおさえて(感じて)、そこで過程に重きをおいた目標を立てる。
そうすれば、停滞や退行は避けられると僕は信じるし、それが避けられれば「結果的に」勝利につながっていく。
勝ち負け自体も結果であり、われわれだけではコントロールできないんだよ。

過程に重きをおこう。

回答 ~弛緩時の課題の設定

2013-05-02 14:05:34 | ゴールセッティング
久々に質問が出たな。

緩んでいるときには課題を設けるとありますが、具体的にどのような課題を設けるべきですか? また、サイキングアップは大きな声を出す以外の方法で出来ますか?

まず今日は前半部分、「課題の設定」について述べておく。
試合中においては点差が離れたりすると、練習時には長い練習になると緩むのは自然のできごとだ。
「緩む」とは「集中力の欠如」を表すことをまずおさえておこう。
その上で話をすすめるが、集中力とは「力」である以上、そのパワーは必ず尽きることがある。
よく「集中を切らすな!」という声が聞かれるが、それはそもそも無理な話。
体力が尽きた場合は休憩をとるなどしてその回復をはかるように、集中力も切れた=緩んだ時点でその回復をはからなければならない。

そのためのスキルはここにたくさん眠っているが、FPなどのスキルを行っても回復は一時的なものになる。
点差の開いた試合、長時間の練習、といった長期的に集中力を回復し「持続(=充填の繰り返しになる)」しなければならない場合、そのもっとも効果的な回復方法は、課題=目標の設定である。

といって、「あと何点取る」などといった自分たちだけでは取り組めない目標を設定しても、これはあまり意味がない。
各自が打撃や守備や投球など、しっかりと自分と向き合っていく(=集中に入り込む)課題を設けたり、あるいはベンチワークなどの目標…誰がどこをどうケアしてどういう声を飛ばすべきかなど…を設定すると集中力は充填できる。
緩んでいる時間帯は、必ずあらかじめ設定した目標への意識すらもおろそかになっているので、その再確認をするだけでもだいぶ違うだろう。
練習時に言及すると、もっとも緩みやすいのがフリー打撃の守備である。
後ろの人間が一歩目を切るというのも課題のひとつだし、取る位置にこだわったりするのもそのひとつ。
かつては声を出し続けることで緩慢な雰囲気を振り払うよう命じていたが、それだけではなかなか難しいことを僕も学んだ。
ルーティンは一時的な集中へのスイッチにすぎないからである。
一方で、課題の設定は、技術的な課題については自分が動くごとに・ベンチワークなどでは局面が変わるごとに、常に意識しなければならないものなので、比較的長期的な効果が期待できるのだ。

こうして、緩んだ空気は「課題の設定」という集中力の再充填により払拭することができる。
答えになっただろうか。
2つ目の話:サイキングアップに行く前に、この話をもっと膨らませてもかまわない。
どんどん投稿しなさい。