あの子の考えることは変。

2009-10-29 15:03:36 | 小説だお(^ω^ )
本谷ちゃんの新作「あの子の考えることは変」を読了。


前半は、巡谷(めぐりや)が、ルームシェアをしている21で眼鏡っ子で処女の日田(にった)が如何に変な子かということを語りながら進んでいく。
気になったのが、日田の変さというのが、作られた不思議ちゃんという感じで、少しあざとく思えた。
恐らく作者の本谷自体が少し変人なので、意識して変な人を書くと、くどくなってしまったり、不自然な変さになってしまったのだと思う。
ただ、日田の出番が少なくなり、巡谷の日常が舞台にシフトしていくと,
心理描写が多くなり、いつもの本谷作品の良さが出てくる。
本谷は、「自分が変だとうすうす感じている人」を書かせると秀逸なんだよなー。
後半には日田もまた登場してくるのだけれど、そのときの日田は、抑え気味に書いていて、その日田と巡谷のやり取りは面白くなってくる。
だからこそ、前半が少しもったいない。

前半の駄目なところとして、台詞がいまいちというのもある。
劇団をやっている本谷だからか、会話は戯曲と同じように書いていて、それが少し台詞以外の部分とミスマッチのように思えた。小説内の台詞と、戯曲の台詞とは異なるものだと思うので、もっと台詞を削っても大丈夫だし、そのほうが良いと思った。

あと、今までと違って、フルモンティや、マコーレカルキン、安野モヨコ等の固有名詞を多用していたけれど、あんまり機能していなかった。

全体的には、過去の作品より、「お!」と思う表現は増えていたし、面白くなっていたけどね。
後半で二人は救われるのだけれど、読んでいて自分まで救われた気持ちになったのは、感情移入していたのだろう。




本谷は、ドラマの脚本の話とか来ないのだろうか。劇団が忙しいとはいえ、まったく話が来てないとしたら、ちょっとドラマ業界の考えることは変だと思う。





テレビ雑記

2009-10-28 15:57:00 | 日記だお(^ω^ )
個人的に思う「中学時代いけてなかった芸人の凄いところ」

(1)エピソードがギリギリのところを責めている

たまに観客がリアルに引くという、チキンレースが行われているのが見所。
特にオリラジ中田が、そのチキンレースでよく失敗している。

(2)いけてなかった人ほど、番組でいけるという下克上が起こる

この番組での大吉の活躍、ポインターの役割が凄い。

(3)女性ゲストを入れる

優香やスザンヌ、YOUという明らかに中学時代から周りで友達や、恋人がいて、絵笑顔が耐えなかった女性タレントを入れることで、女性タレント達がエピソードで引きながら、自分たちの学生生活の裏をしるという、擬似的な学園生活の構図が素晴らしい。


(4)性についてのエピソードがある

セックスをしたとかじゃなくて、基本的には、「あ、ここで性癖が作られたんだ」という瞬間を感じさせるエピソード、特に女性との距離を感じさせるエピソードは好き。
前回の秋山が「父親のエロ本を見て、熟女好きになった」という第二次性の目覚めのエピソードは大好き。

映画「キサラギ」は小栗旬祭り。

2009-10-28 14:47:18 | 映画だお(^ω^ )
最近どうにも夜が寝られなくて、秋の夜長になってしまう。
そういう時は、大体ラジオが終わると、本を読むか映画を見るかして、眠れるようになるのを待つ。
昨日も眠れなかったので、映画「キサラギ」を見た。

■あらすじ

某ビルのペントハウスに、互いに面識のない五人の男たち(ハンドルネーム:家元、オダ・ユージ、スネーク、安男、いちご娘)が集まった。彼らはD級マイナーアイドル・如月ミキのファンサイトを通じて知り合い、如月ミキの一周忌の為に集まったのだった。

一年前にマネージャーの留守番電話に遺言メッセージを残し、自宅マンションに油を撒いて焼身自殺した彼女を悼むのが会合の趣旨だったが、オダ・ユージが彼女の死因は自殺ではなく「他殺だ」と言い出したことで状況は一変する。

徐々に明らかになる当時の状況、次々と明かされる五人の男達の正体。如月ミキの死の真相に迫ろうとする男たちが繰り広げる紆余曲折を経て、彼らはある真実へと辿り着く。



■感想


なんといっても、小栗旬祭り。いろんな小栗旬が見れる。
さほどドラマを見ない男にとって、バラエティに出ている素の(自己プロデュースしているかもしれない、作られた素なのかもしれないけど)小栗旬しか目にする機会がない。
そういう人にとって、まさに小栗旬入門映画にして、小栗旬祭りとなっていた。さまざまな表情をした小栗旬の喜怒哀楽が見れる小栗旬カタログ!小栗旬のデパート!小栗旬の宝石箱やー!って映画。基本的に、小栗旬?なんぼのもんじゃいと思っている人は、これだけでも見る価値はある。

世の女性が、「じゅんじゅわー!!」となっている理由がそこにあるはずだ!

他の出演者も素晴らしい!香川照之は、相変わらず「ゆれる」の時同様に気持ち悪い演技をさせたら秀逸だし、ユースケの声は、通っているんだけれど、妙に緊張感を演出する。
ドランクのつかっちゃんは、カンフル剤となって、小出恵介は、橋渡しとなる。
役者やっていて、こういう映画に出られることは嬉しいことなのじゃなかろうか。
わざとなのか全員の演技が大味な気がするけど、これも舞台ぽさが出て素晴らしい。

脚本もしっかりしていてワンシチュエーションものが好きなので、満足。
ギャグとシリアスのバランスも良かった。難を言えば、ニヤニヤはあったのだけれど、「爆笑」がなかったのが残念。
ワンシチュエーションものだと、回想シーンや、他の場面のシーンが入れられていると、説明くさくなって冷めてしまうのだけれど、キサラギはそれがぎりぎりまで排除されていて、謎解きの邪魔にならずスムーズに進行していた。会話劇のテンポを殺していなかった。


個人的に俳優にとって、顔なんて二の次、三の次で大事なものはオーラというと陳腐だけれど、雰囲気が一番だと思う。
顔面偏差値と視聴率が比例するのならば、「ソムリエ」はあんなにこけなかったはずだ!
小栗旬はなんともいえない雰囲気をもっている。瑛太とかもそういう雰囲気はあるけど、若手俳優の中で、その雰囲気、言葉に出来ない魅力が一番なのは、小栗旬であることを確認した。

ワンシチュエーションコメディは、お寿司みたいなもんで、コンビニのお寿司がそこそこ美味いように、あんまり外れがない。ただ、ネタと職人がばっちりはまった瞬間、恐ろしいほど美味しくなる。
これを映画じゃないとか、舞台で十分とか言い切れる人は、あ、この人は「刺身アレルギー」か「手で握るという行為が嫌な潔癖症なんだな」と思ってしまう。


結末はアイドルが好きだった人なら、じんわりせずにはいられない!




■他の人の感想(肯定編)


ダイノジ大谷


「キサラギ」という映画を観た。
大変面白かった。これはまいった。密室会話劇の上質なコメディだ。

演出もスピード感があって、脚本の魅力を最大限にひきだしとるし、なにより役者がめちゃくちゃ素晴らしい。小栗旬という人の芝居は初めて観たのだが、むちゃくちゃ良かった。

全員はが小劇場(それも非常に脂がのりきっているときの)の劇団員のように肉体性をもった芝居をする。

それがすごく画面に観てるものをひきつける。これは嫉妬する役者も多いと思う。現に私は観ていて嫉妬した。これに出演してないなんて。
監督は実に丁寧な仕事をしとる。
アイデアでいくらでも映画は面白くなる。

最後いろいろドンデンが待っているが、それが無理なく受けいれらるのは、アイドル=如月ミキというキャラの描き方がうまいから。

ちょっと事件だなぁっと思うくらいの出来事だ。
大推薦したい。



■他の人の感想(否定編)

ライムスター 宇多丸

要点

1「全部セリフで説明してるし、伏線の回収の仕方も安易かつご都合的。こんな脚本、少なくとも『映画の脚本』としてうまいとは言えない!」

※そこはコメディだからご愛嬌。とまでは言わないまでも、やっぱりそこはパズルがはまっていくカタルシスはある。またそこで「客が出演者よりも先に答えを予想できてしまう」というのはある。ただ、それは必ずしも悪いことじゃなくて、出演者が気づくまでの間、にやにやできるという効果もある。

2「パズルの果てに辿り着く結論が最悪。『ファンの幻想を守るためならアイドルは自分の命さえも犠牲にすべし』って正気?」

※そこはあんまり問題じゃなくて、アイドルオタクは身勝手な解釈をするものだし、それを考えるとだとうな結論ではある。こっちに関しては同意しないでもない。

3「主役が小栗旬ってのもまた噴飯モノ。かつてモー娘。の矢口真里と彼が付き合ってると報道されたとき、ファンを二分する大論争が起こった。自分は、『アイドルとは言え自分の実人生があるのだから、その幸せを選択した彼女を否定する権利はない』という立場だった。そうして擁護した身からすると、その当事者である小栗旬が真逆の主張を持つ映画に主演しているなんて信じられない」


※モーヲタの私怨じゃん!!!




この映画は、個人的にはバナナマンの設楽にとってほしい映画ではあった。
そういう意味ではとても、コント的であり、芸人向けではある。
だから大谷が絶賛してるのだろうしね。