行きません

退職してから十余年、寂しくなるどころか、益々集団と組織を避けよう、となって来るのは予想と違った速度で上昇する。
何故だろうか、大抵のものは義理か半分仕事か、嫌な奴が必ず居るからか。
そういうものから別の道を、となると暫くは一寸気が咎めたり、家にごろごろしていて家人と衝突したりの度、いっそあれにでも行けば良かった、と思う事もあった。
それが無い方がいいものは無しにして、単独行で映画でも下町の多少いかがわしい演しものでも探索する、という方向を楽しむと俄然自己評価が変化して来るのである。
ごく稀に家人から行き先を尋ねられる事もある、その時の為に行き先の五件や十件は日頃から暗記が肝要、何、家庭平和の頓服と思えば宜しい。
という訳で桜に続いて紅葉もご無沙汰、嫌な奴の顔も嫌いな講釈も我慢せずに済む、因みに一泊以上の誘いには一拍置いて「その辺りに海外へ行く予定が決る、積み立て制なので選択は利かない、迷惑かけるといけないから」という変更不可に力点を置いた断りを入れる。
地域や選挙の義理集会、これは何回でも下らぬ言い訳をして断る、段々来なくなる、それで涼しい顔わしているのが一番。
そんな事していると寂しい状態にならないの、という雑音にはトンチンカンな答えをして、あいつは要領が悪そうだ、と定評つけて貰う。
某作家の名言「義理欠け転ぶな風邪引くな」を常に念頭に、ニコヤカに生き延びましょう。