goo blog サービス終了のお知らせ 
見出し画像

ガレージSMAK

ロードスター ATトラブルからのATF 圧送交換

高岡市のお客様からオートマの調子がすこぶる悪いということで、トルコン太郎で圧送交換をしてくれるお店を探していて当店のブログに辿り着いて、今回の整備依頼となりました。

マツダ ロードスター NA6CE 1991年式 133500キロ

元々は特に不調もなく毎日使われていたですが、他店でATFを交換してから調子が悪くなったそうです。
その経緯は…
ATF交換が終わったので引き取りに行くと全く動かないぐらい調子が悪く、そのお店の人が言うには間違えてマツダ純正ATFではなく日産純正ATFを入れてしまったとのこと。で、乗って帰れるわけもないのでそのまま預けて作業をやり直して貰うことになり、マツダ純正ATFに交換をされたそうです。20L近く使って3回交換した…ということなので、一般的なATFチェンジャーを使った循環交換か下抜きによる交換だと思われますが、この車にはドレンボルトが存在しないためレベルゲージ部からの循環交換ですね。
話を戻すと、マツダ純正ATFに入れ替えが終わり再び引き取りに行き、今度は動いたそうなんですが…加速時にはオートマが滑っているような感じで変速のタイミングもおかしく、右折をしようとすると思った通りに加速せず事故りそうになるぐらい。しかもしばらく走るとATF?かわからないが異臭がするとのことです。
徹底的にキレイにしてATFを入れ替えて欲しいということで、お客様がすでにオイルパンやストレーナーなどを手配済みで、車と一緒に部品も持って来られました。

まずは現状把握をしなければいけないので試乗です。
乗ってすぐに感じたのはお客様の言うとおり加速が悪く、ATの車なんですがCVTのようなある一定の回転数を維持したような加速感と、減速して止まるときに変速がうまくいかず静止してから1速にドンっ!という振動と共にギアが変わるという状態。アイドリングの回転数も低くエンストしそうな感じもあります。そして暖まってくると異臭も出てきましたが、これはATFっぽい臭いですね。

ポイントとしては
・ATFを交換するまで普通に走っていた車が交換後から調子が悪くなった。
・純正ATFではなく日産ATFを入れてから調子が悪くなった。
・交換したお店が言うには日産ATFを入れると滑る(調子が悪くなる)からそのせいだ。
・不調後に交換を3回繰り返して入れ替えたけど、まだ日産ATFが残っているからか完全には良くならない。

って感じですね。
よくある?よく言われる?ATF交換をしたら調子が悪くなった、純正ATFを使わないと調子が悪くなる…というネットにある情報をまさに絵に描いたような状態です。
でも本当にそうなんでしょうか?
新油の洗浄効果や循環交換によるスラッジの巻き上げで、油路に詰まりなどを引き起こしソレノイドが適正に作動できなくなり調子が悪くなることは無いとは言えませんが、ATFのブランド違いによる不具合は起こるのか?

ATFとCVTFを入れ間違えた場合はそれぞれに求められる性能(CVTFのほうが摩擦係数が高いが、そもそも摩擦特性の方向性が違います)が違うので、明らかな不具合が発生します。但し一部のメーカーでは両方の特性を持たせた兼用が出来る物もあります。
今回の様なATFのブランドが違うことで性能がそこまで違うかというと、、、純正ブランドであれば大差ないと思います。
でも一部ですが特殊なフルードは存在していて、ホンダの主にハイブリッドに使用されているDW-1指定車、CVTFでは日産PV35スカイライン、ホンダマルチマチック採用車の中でも発進クラッチ式の車、スバルリニアトロニックの中でもハイトルクCVTF指定車、スズキやダイハツの乾式CVT車、フォルクスワーゲンやアウディのDSG、アルファロメオのセレスピードなどなど。
これらは今のところ汎用フルードでの交換は出来ないとされてます。
ですので、今回のロードスターだと普通の日産ATFを使用して不具合が起こる可能性は低いというか、考えにくいですね。

前置きが長くなりましたが、試乗が終わったので現車の確認に移ります。
まずは油量の確認ですが、試乗で十分温度も上がっているのでエンジンを掛けたままアイドリング状態レベルゲージを抜いてみると


ゲージの先端に微かに付く程度。ん?つい先日交換したんですよね?
もしかしてと思い、エンジンを止めて確認すると

ゲージの範囲内に付きますね(^^;)

臭いもありましたので漏れが無いか確認するためリフトアップ。





しばらく停めていたせいか床には何かが垂れた痕が。



全体的にオイル汚れがあるのでいつからの漏れなのかの判断が出来ないので一旦キレイにしてみます。


キレイにした後はATF不足を解消した時に不具合がどうなるか?を検証する為、規定量まで補充します。

いつもはワコーズのプレミアムSを使用していますが、今回はお客様の希望でマツダ純正ATF M-Ⅲ。
不具合の検証をするためにも敢えて現在のミッション内のATFの大部分を占めているだろうATFと同じ物を使います。

様子を見ながら少しずつ充填していくと結局1.3L追加でレベルゲージの上限に届きました。これで再び試乗してみます。

ん~さっきまでと違いしっかりと加速して変速もぎこちなさが無くなり、アイドリングの回転数も上がってATF臭もしないです。普通の車になりました(^^;)
次に再びリフトアップして漏れがないか確認しましたが、短期間で1.3LものATFが無くなるような明らかな漏れは見当たらないです。

つまり今回の不具合の原因は、、、ATF交換をした際のATF充填不足ですね。
ただATFの漏れが無いのに臭いがしてたということは、量不足によって必要以上に温度が上がりATFが焼けたために発生したと思われるので、間違いなく劣化してますので交換は必須です。

ここでお客様に連絡をして、ここまでの経緯を説明させて頂きました。
凄く驚いておられましたが(当然ですよね)オイルパン脱着や圧送交換は予定通りして欲しいということなので、部品は揃っていますのですぐに取り掛かります。


オイルパンにドレンボルトがないのでレベルゲージのパイプから抜けるだけ抜いておきます。

画像ではわかりにくいですが、かなり気泡が入り込んでました。

オイルパン取り外し。

ストレーナーも取り外し。

バルブボディ周辺は割りとキレイでした。

取り外したオイルパンはさすがに汚れてます。



ストレーナーも汚れてますが、それ以上に気になったのはスラッジですね。フィルターに引っ掛かってるのがいくつも見えます。


新品はこんな感じ。当たり前ですがキレイですね。

バルブボディは出来る限りキレイにしておきます。



ストレーナー取り付け。

オイルパン、ガスケットも新品です。

トルクレンチで締めていきます。
復元完了。


トルコン太郎との接続はオイルクーラーホースを利用します。

規定量が6.7Lなので7.0Lに設定して1回目の圧送交換スタート。

左から、これからミッションに充填されるATF、オイルパン脱着時に回収したATF、現在のミッション内にあるATF、圧送交換で排出されているATF

最近20L以上を使って交換されただけあって、排出されるATFもすでに透明度があります。




1回目の圧送交換が終わり、クリーニングモード突入。
見た目は十分キレイなんですが、クリーニングモードでミッション内の汚れを回収してきたはずなので、仕上げにもう1回圧送交換です。
2回目の圧送交換スタート。






2回目の圧送交換終了直後。

新油とほぼ一緒の色・透明度です。

クリーニングモード終了。
比べると最初に採取したATFは若干濁りがありますが十分キレイに見えますが…

トルコン太郎の接続を外すときに垂れてくるATFを同じ瓶に入れて比べてみると、明らかな差がありました。同じように見えてましたが、最初と最後では全然透明度が違いますね!これが循環交換と圧送交換の差だと思います。

作業完了後に試乗をして問題が無いことを確認。試乗後に油量を確認すると若干足りなかったので0.3Lほど継ぎ足して油量調整も完了。

試乗して感じたのは過去の圧送交換後の試乗と比べて、作業前後の走りの違いが少なかったかなと。ATFがすでに交換されてて割りとキレイだったことと、純正ATFとワコーズATFの性能差でしょうか。

今回の事の発端となった他店のATF 交換。どうしてフルード量が足りなかったのか?確認方法を知らなかったのか?最初の全く動かないぐらいの状況の真の原因は?などなど疑問が一杯ですが、面識のないお店なので直接聞くことが出来ません(^^;) 認証も持っててチューニングなんかもしてるところなんですが…


皆様からの整備のご依頼をお待ちしています。





名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「ATF/CVTF/DCTF交換」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事