ジャガー Fペイス DC2NA 2017年式 24400キロ

最初の頃は長時間停まった後の一発目だったりと割りと冷えた状態でだけ鳴ってたみたいなんですが、段々と鳴ることが増えてきて気になるということです。

音を確認したところ発生元はリアブレーキでした。

ブレーキパッドの当たりが悪いのかディスクローターの素材が悪いのか、まだ新しいのにディスクローターの外周部分に錆が発生して異音が出てたようです(>ω<)
ブレーキの効きは問題ないレベルですが音が気になってしょうがないということで、どうせならブレーキダストが少ないほうがいいということもあり、社外品に交換となりました〜
この車のリアブレーキは電動パーキングブレーキなので、ブレーキパッドを取り外す前にスキャンツールにて解除作業が必要になります。

スキャンツールを起ち上げる前に安定化電源を繋いで

スキャンツールを起ち上げる前に安定化電源を繋いで

ブレーキ制御を一時的に解除をしてから

キャリパーを外していきます。


ディスクローターも取り外しました〜

ディクセルのタイプPDに取り替えます。

ブレーキパッドもディクセルのタイプMに取り替えです(^^)
これでブレーキダストが気にならなくなりますよー

あまり減ってないとはいえキャリパーのブレーキピストンを戻さないと新しいブレーキパッドが装着出来ないので、特殊工具を使って回して戻そうと頑張りますが戻ってくれません(゜o゜;
テンションを掛けながら回すのは特殊工具を使っても結構な力が必要なことが多々有り、長時間の作業でかなり疲れ果ててしまいましたが、、、完全には戻ってくれません(>ω<)
諦めてまた明日頑張ろうとなった時に「まさか普通に押し戻すタイプだったりして」と思い

工具を替えて押し戻してみると簡単に動きました(;´Д`)
回すタイプちゃうんかい!
回して戻すタイプのブレーキピストンには工具を当てる用の切り欠きが付いてるんですが、付いてたんですよねー(^_^;)

気を取り直し、交換部品を装着して整備完了です!
もちろん異音は無くなりました(^^)/
で、ここで車をお返しして暫く来店すること無いだろうな〜と思っていたら10日後に再び連絡があり
「AdBlueの警告灯が付いたから近くのガソリンスタンドで補充したけど消えないし、メーターにあと◯◯キロしか走れないって表示が出てる」とのこと(^_^;)
最近のディーゼル車に標準装備されているAdBlueって厄介で、無くなると走行出来なくなるため、減ってくるとメーターに目安の走行可能距離が表示されるんですよね。
そしてこの車は以前にAdBlueが減ったとの表示が出たときに10L補充をしてから約3600キロ走行してます。車や状況によって変わりますが、700〜1000キロぐらいで1Lほどの消費が目安なので流石に警告灯が点くのは早いな〜と。
ホントに減ってるとしたら何処かから漏れてる?と思ったり、前に補充した時にはすぐに表示が消えなくて何十キロも走行してから表示が消えたから、もしかしてセンサーやコントロールユニットに何らかの不具合がある?と考えたり。
まぁ考えすぎるよりもまずは現車をってことで預かってみると

DEF(ディーゼルエキゾーストフルード)不良 再始動不能まであと640キロの表示(゜o゜;

DEF(ディーゼルエキゾーストフルード)不良 再始動不能まであと640キロの表示(゜o゜;
AdBlue関係の警告ですがAdBlueが減った時の表示とは違うので、AdBlueが無いわけじゃなさそうです。
そしてあと◯◯キロしか走行出来ませんよーではなく、再始動不能とのこと。
どっちにしても困りますが(^_^;)

スキャンツールで確認するとPCM(パワートレーンコントロールモジュール)にDTC(ダイアグノーシストラブルコード)が入ってます。

P2BAE NOxが上限外
P2BA9 NOx超過 ディーゼルエキゾーストフルードの品質が不十分
NOxは窒素酸化物の総称で一酸化窒素や二酸化窒素のことになります。人間の呼吸器系に悪い影響を与えたり光化学スモッグの原因となるため規制が強化されてまして、現在のディーゼル車にはAdBlueを使ってNOxを減らすという装置が付いてるわけです。
今回のDTCはそのNOx濃度を監視しているセンサーが異常を検知したというわけですね。なのでディーゼルエキゾーストフルード(AdBlue)の品質が悪いのからNOx濃度がおかしいんじゃないの?とイチャモンをつけてきてます(^_^;)
ただスキャンツールで表示されたことが全ての事実ではなく、センサー自体の故障だったり、コントロールモジュールの故障だったり、配線の断線などの問題だったりするわけです。現在の車の修理にはスキャンツールは必須ですが、スキャンツールがあれば修理が誰でも出来るわけではなく、読み解いて点検をする整備士が必要なんですよー
AdBlueに関しては以前に当店で補充しているので粗悪品を補充したことによる品質不良は考えられませんが量を確認してみます。




16Lで満タンの表示。
品質や量については問題ないと思います。
DTCを消去してみますが

P2BAEは消えず残ったまま(^_^;)

P2BAEは消えず残ったまま(^_^;)
アイドリング回転が安定していて正常な燃焼をしていると思われる状況でNOx濃度が高くなることは考えにくいので、センサー不良などその他の理由が考えられます。
稀にAdBlueの噴射装置であるDPFインジェクターが詰まって正常に噴射されないことがあるので点検してみます。




アンダーカバーの後ろ側にありました(^^)
外してみると

インジェクター側はこんなもんかなと思いますが

インジェクター側はこんなもんかなと思いますが

マフラー側は詰まってますね(^_^;)


綺麗にして

元に戻します。
で、エンジンを掛けて様子を見てみるも〜変わらず(>ω<)
どうしたものかと暫くデータモニターを確認していると

エキゾーストガス温度でセンサー2だけ異常値というか変化してないようなので点検してみます。

一旦冷やしてからエンジンを掛けると最初はセンサー3とセンサー4も異常値を出してますが、徐々に温度が上がっていき正常値になり、センサー2だけが40℃で固定(^_^;)
分解図でセンサーを確認してみましたがどう見てもセンサーが3つしか無く、現車で確認してみます。





分解図でセンサーを確認してみましたがどう見てもセンサーが3つしか無く、現車で確認してみます。





順番にセンサーを抜いてどれがセンサー2なのかを確認してみましたが

やはり車にもセンサーは3つしか付いてないですし、どうやらセンサー2は存在しないようです(^_^;)
この様にスキャンツールに項目があるからといって必ずしも部品が付いてるとも限りませんし、そのシステムが入ってるとも限りません(;´Д`)
他にも色々と点検した結果、NOxセンサーの不良かなと思うんですが、、、高いんですよね〜(^_^;)
調べてみると〜やはり10万円(>ω<)
しかもNOxセンサーのトラブルは日本はもちろんのこと世界的にも多発していて、メーカー(本国)欠品している状況なので納期は未定。
本国在庫があった場合でも船便で入ってくることを考えると1〜2ヶ月は最低掛かるので、欠品となると更に、、、いつになるのやら(;´Д`)
社外品も存在するんですが、NOxセンサーに関してはどのメーカーも品質がイマイチなんですよね〜
純正品でさえ交換しても1年ほどで再び故障して警告灯が点くパターンが多発しているそうです(;´Д`)
毎年10万円の支出って酷すぎますし(>ω<)
どのみち在庫が無いから修理をしたくても出来ないんですけどね〜
さて、困りました。
こうなったら最後の手段しかないかな〜
ということで、仲良くさせてもらってる同業者に相談をして出来るかどうかを確認。
たぶん大丈夫との回答を貰ったので、次はお客様に相談。
その内容は〜ECUを書き換えてAdBlue機能の撤廃です。これをすることでNOxセンサーやAdBlue関係のエラーは出なくなるので、今回発生しているあと◯◯キロしか走れないという症状も無くなり、この先も安心して乗ることが出来るようになります。
お客様にオッケーを頂いたのでECUを取り外します(^^)/



この奥に取り付けられているので

ワイパーアームやカウルトップを取り外して



取り外し完了。
書き換えに関しては当店では出来ないので(^_^;)
同業者へ書き換え依頼ですm(_ _)m

数日後、プログラムを書き換えられて無事に戻ってきました!


車に戻します(^^)
そしてエンジンを掛けると


メーターに表示されてた警告と始動不能のカウントダウンはバッチリ無くなってます(≧∇≦)b

もちろんDTCは記録されてません(^^)

念の為、高速道路や市街地を合わせて70キロほどテストドライブさせて頂き

問題がないことを確認して作業完了となりました。
現在のディーゼル車は排気ガス規制によりAdBlueを使用した尿素SCRシステムを搭載しているわけですが、当初の設計では付いてなかった車(エンジン)に後付で付けてることも多く、トラブルが多発しています。幸いにも?富山県はディーゼル車が少ないせいかあまり聞きませんが(^_^;)
ちなみにですが、車によってはNOxセンサーが2つ4つ付いてる車もあります。その場合、同時交換推奨です。部品代だけで40万(゜o゜;
しかも新車から数年で使えなくなるって、、、ねぇ(;´Д`)
今回の作業は修理ではなく一時的な処置に近いと思います。毎日、通勤に使っている車が部品が入荷しないことで何ヶ月も修理出来ず乗れないって、車社会である地方では死活問題です。そもそも数年前までの車にはそんな装置が付いてなかったわけですし、今走ってる全てのディーゼル車に付いてるわけでもないんですよね。
皆様からの整備のご依頼をお待ちしています。