休むに似ている

「バカの考え」だけに(笑)。

『崖の上のポニョ』

2008年09月24日 | アニメ
公式サイト

ハヤオ・ミヤザキ・イズ・バァーーック!!
(いや、なんとなく)

ようやくポニョ観てきました。
周囲の濃い方々が散々批評されるのを見てきた中、
どれだけ初々しい気持ちで鑑賞できるかと
ちょっと心配してましたが、全くの杞憂でした。
面白いじゃないですかこれ。

いや、面白いというか、凄い凄まじい。
水の動き波の動き魚の動きにポニョの動き。
とにかく奇妙奇天烈複雑玄妙雨霰(あられ)。
宮崎駿といえば「動き」が評価のメインになるのですが、
それがもう、動く動く滑らかに軽やかに朗らかに。
最初のプランクトンやら魚やらのゴッチャゴチャが
それも精密に厳密に計算されて動き回るシーン。
極めつけはCMでもお馴染みの波を渡るポニョ。
アレを計算して設定し、完成させた力量は凄まじい。
「動き」だけで感動したのなんて、ホント久しぶり。
『未来少年コナン』『カリオストロの城』以来かも。
昔のボクらが好きだった宮崎さんが帰ってきたですよ。
ハヤオ・ミヤザキ・イズ・バァーーック!!

こういう動きなど、CGでやれば比較的簡単にできるのに、
(もはや、ウルトラマンシリーズなど特撮においてすら日常化してるわけで)
敢えて手描きに拘ったチャレンジスピリッツも素晴らしい。
てゆーか、こんなの組み立てるの人間業じゃねえ。
この人の頭ン中どうなってるんだ、と改めて思いましたよ。

CG全盛の現在にありまして、動きや風景背景なんぞ、
より滑らかにリアルに精密に高密度になっているのを
(『イノセンス』が、現時点における一つの頂点かと)
これも敢えて手描きにし、リアルよりも暖か味を重視した
絵柄で、しかも全編貫き通したのも評価できましょう。
逆に、こういう方法もあったのか! と膝を叩きました。

そもそも昔においては、通常のアニメといえば、
できるだけ低予算で簡単に作れている現状がありましたし、
(もちろん、現場は最大限の努力をしておりましたし、
 東映動画という良心的な会社もあったのですが)
それに反旗を翻し、リアルな背景と動きを主軸にした
宮崎アニメが伸し上がることになっていったわけでして。
『コナン』『カリオストロ』の動き、『ナウシカ』の背景など、
20年以上経過した現在観ても、全く遜色ないと思うところ。

で、今回ポニョでは、「冷たいリアリティ」にともいうべき
CG化の大波の中、敢えて再び反旗を翻した形になるわけで、
そういう反骨精神・チャレンジスピリッツも込みで、
ハヤオ・ミヤザキ・イズ・バァーーック!!



で、惜しむらくは脚本が・・・。
行き当たりばったり感はありますし、細かな矛盾も。
実際、脚本など作らず絵コンテで積み上げる手法なんで、
ある程度は仕方ないとは思うんですが。でも惜しい。
まぁ『ハウル』ほどではないですが。『千と千尋』くらい。
だいたいあの人、監督・演出・脚本までやってるんで、
外部からでも脚本やらせて、負担も軽減させたらいいのに。
(超完全主義者なので、非常に難しいとは思いますが)
頼みます鈴木P。あと一作でも多く宮崎さんの作品観たいので。

で、もう一つ。
やっぱり宮崎駿あってのジブリが、改めて明確に。
実際、ほのぼのした暖か味のある絵柄(水彩)だけで
やって大失敗した『となりのヤマダくん』の例もありますし。
やっぱりあの絵柄と、それと対極にあるかのような
超人的な動きが実現できてあれだけの作品になったわけで、
それもこれも、宮崎さんのこれも超人的な活動ありきなわけで。
頼むからジブリ、後継者育てて欲しい(息子以外)。
勿体無いこと、この上ない。


とりあえず、もう一回くらいは観るつもり。
あれを大画面で観ないと、それこそ勿体無い。
いやあ、久しぶりですよこんなワクワク感(笑)。


あ、山口智子のお母さん役は良かったですよ。
ガサツで無鉄砲で、しかし暖かくて。

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