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2019年7月25日マスコミ報道追加 金融業界の保険と投資信託の販売について

2019年07月21日 12時10分33秒 | その他

金融業界の保険と投資信託の販売について

この件は、このブログの本来の主旨から外れますが、今大問題となっている郵便局の投資信託と保険の販売の問題に代表されるような金融業界の問題について、私の経験や情報をまとめてみました。

国営放送のNHKのクローズアップ現代が、郵便局と銀行の販売方法の問題点をまとめた報道を行ない、ネットにサイトを開設しています。
まずこれを見ておけば、現状と問題点が把握できます。

http://www.nhk.or.jp/gendai/kiji/092/
NHKクローズアップ現代、郵便局が保険を“押し売り2018年4月25日

http://www.nhk.or.jp/gendai/kiji/061/
NHKクローズアップ現代、金融商品 押し売り(銀行の場合) 2017年11月29日

私がこれを見てしばらくした昨年6月、「かんぽ生命」から私に保険の売り込みの電話がありました。
その売込みの方法は、クローズアップ現代で問題とされていた方法と同じものでした。
私は、やはり国営放送のNHKの報道は本当だったと思い、勧誘を断りました。

また、ある第一地銀の地方銀行から投資信託の勧誘もありましたが、これもNHKの報道と似た方法だったので断りました。

そして、今年になって郵便局JPの投資信託と保険の販売の問題が大問題となり、経営者がおわびの記者会見を開くまでになっています。

私の家は、父母の代から郵便局の多数の簡易保険を購入しており、過去には懇意にしている郵便局員もいました。
しかし、時代は変わってしまい、今や民営化された郵便局JPが、60歳以上の高齢者をだます鬼畜の所業をやっていることは、残念なことです。
今回の大規模な事件を見ている国民も同じ思いだと思います。
小泉改革の郵政民営化がもたらしたものが、こんな代物では、昔の国営のままの方が良かったと思われます。
今からでも遅くはないので、JPは国営に戻した方が良いのではないでしょうか。


私が読んだ投資と保険の本は次の3冊です。関心がおありでしたらご覧になってください。

山崎先生、将来、お金に困らない方法を教えてください!
2017/9/13 山崎 元 (著), 金子 マヲ (イラスト)

投資なんか、おやめなさい (新潮新書)
2017/9/14 荻原 博子 (著)

「保険のプロ」が生命保険に入らないもっともな理由 (青春新書プレイブックス)
2017/9/1 後田 亨 (著)


投資信託の販売に際して、「専門家が運用するから安心です」という言葉を金融業界が使っており、安心=安全である、つまり安全に利益が出るかのように客に説明しています。
私の所に送られてきた銀行の資料にも、この文句が書かれています。
また、会社がやっている401Kを扱う都市銀行のパンフレットにも書かれていました。

しかし、現実は全く違います。
リーマンショックの時に、私が勤務している会社の401Kでは、無事だったのは元本保証・固定金利の定期預金をやっていた社員だけでした(私は定期預金だけにしていましたので無事でした)。
株などをやっていた人は、最大40%の損失が出ました。
これは、社内に広い人脈のある人が集めた情報ですから確かなものです。
暴落局面になると、投資信託を売りたくても誰も買わないので、なす術がなかったとのことです。

これは、国立大学の理系の大学院を修了して博士号を持ち、英語で国際学会で発表して論文を書くほどの能力を持った人たちの事例です。
これ程の能力がある人でも、リーマンショックでは、株の投資信託で40%もの損失を出しています。
ちゃらんぽらんの、いい加減な人たちがやっていたことではないのです。

リーマンショックの時、マスコミで報道されたのは、
『株の下落率が35%なのに、投資信託の下落率の方が40%と5%も大きいのは、納得できない。投資信託を扱う専門家は、無能な役立たずではないか。』
というものでした。

朝日新聞2018年7月5日の
「銀行の投資信託、46%の個人が「損」金融庁問題提起」
という報道では、
「国内29の銀行で投資信託を買った個人客の半分近くが、運用損失を出していることが金融庁の調べでわかった。」
と報道されています。

つまり、株高の時代にもかかわらず、専門家が高い手数料(1%から3%程度)を取ってやっている銀行販売のアクティブ運用型の投資信託は、損害発生率50%の有害な欠陥品だということです。
たとえ話にしてみると、車が故障して事故を起こして大怪我をする発生率が50%もあるような欠陥車は、誰も買わないということです。

これらの事実が示しているのは、金融業界が顧客に向けて言っている「専門家が運用するから安心です」は、真っ赤な嘘だということです。
投資信託を扱う業界は、皆この同じセールストークを使っていますが、こんな嘘を言うのは「景品表示法の優良誤認」にあたるので、法律で表示を規制して禁止すべきです。
しかし、消費者庁や金融庁は黙って見ているだけのようです。
国の方針は、投資信託の拡大ですから、知っていながら見て見ぬふりをしているのだと思います。
この国の方針の結果起きたのが、国営放送のNHKがクローズアップ現代で報道した銀行・郵便局の問題、そして郵貯銀行による投資信託販売の問題です。


投資の専門家が書いた本を何冊か読めば分かりますが、投資信託の専門家が扱う手数料が1~3%のアクティブ運用型よりも、コンピューターが自動取引きする手数料0.1~0.3%のインデックスファンドの方が、利益を上げる成績が良いことが証明されています。
「これは、投資信託では常識だ、不都合な真実だ」と専門家は書いています。

つまり、銀行などの金融機関は、この真実を百も承知の上で、顧客には「専門家が運用するから安心です」と言っているのです。
これは、高い手数料を取ることが目的です。


今、世界の投資信託は、インデックスファンドが支配的になっており、アメリカでは、3つのインデックスファンドの企業に資金が大量に集中し、その資金を使用してアメリカの大手企業のほとんどを所有し支配している実態が、オランダの学者がニューズウィークに発表した論文にまとめられています(下記の記事を参照)。

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/04/post-11964.php?utm_source=newsletter&utm_medium=mailmagazine&utm_campaign=20190413
News Week これが米大企業のほとんどを所有し牛耳るビッグ・スリー
These three firms own corporate America
2019年4月12日 ヤン・フィヒトナー(アムステルダム大学・博士研究員)他

『かつては個人投資家も機関投資家も、フィデリティのようにファンド・マネージャーが高い運用成果を狙って銘柄選びをするアクティブ運用型の投資信託に投資を行っていた。だが2008年の金融危機以降、投資家たちはS&P500のような株価指数(インデックス)に連動するインデックス・ファンドに大きくシフトした。

その変化は驚異的で、2007年から2016年の間に、アクティブ運用型ファンドからは約1兆2000億ドルの資金が流出し、インデックス・ファンドには1兆4000億ドル超の資金が流入した。

2017年の第1四半期にはインデックス・ファンドへの流入額が2000億ドルを上回り、四半期ごとの流入額としては過去最高を記録した。

民主化ならぬ独占化
投資行動におけるこの史上最大規模の変化の大きな理由は、インデックス・ファンドの方が遥かに低コストである点にあった。

アクティブ運用型のファンドは市場の分析を行い、マネージャーたちにはその仕事に対して高額な報酬が支払われる。にもかかわらず、彼らの大多数は株価指数を上回る運用成績をあげることができていない。

それなのに、アクティブ運用型のファンドには毎年1~2%の手数料を支払わなければならない。インデックス・ファンドなら手数料はその10分の1で済む。手数料が安いほうがいい、という心理がはたらくのは当然だろう。

一部の有識者は、投資家の手数料の大幅に削減したこの変化を「投資の民主化」と称賛する。だがこの変化がもたらしたその他の影響は、民主化とは程遠い。アクティブ運用型ファンド業界とインデックス・ファンド業界の重要な違いの1つは、前者は細分化されており、大小含め何百という資産運用会社から成るということだ。

一方、急成長を遂げてきたインデックス・ファンドのセクターは集中が進んでおり、アメリカの資産運用市場は今や、わずか3社の独占状態になっている。ブラックロック、バンガードとステート・ストリートの「ビッグ・スリー」がそれだ。

インデックス・ファンドの台頭は必然的に、株式保有を通じた企業所有の集中を伴っている。ブラックロック、バンガードとステート・ストリートの3社を合わせた株式運用額は11兆ドル近く。これは全ての政府系ファンドを合わせた額を上回り、世界のヘッジファンド業界の運用額の3倍以上にのぼる。

筆者らが参加しているCORPNET調査プロジェクト(企業支配ネットワークについての研究会)は2017年4月に発表した報告書の中で、ビッグ・スリーの企業所有状況について包括的なマッピングを行った。その結果、3社を総合すると、アメリカの全上場企業の40%で最大の株主になることが分かった。

2015年、これらの企業(1600社にのぼる)の収益は総額9兆1000億ドル。時価総額は合わせて17兆ドルを上回り、2350万人超を雇用していた。

アメリカの大手企業の株価指標であるS&P500を見ると、状況はさらに極端だ。ビッグ・スリーは、S&P500銘柄の90%近くにおいて、最大の株主となっている。S&P500にはアップルやマイクロソフト、エクソンモービル、GE(ゼネラル・エレクトリック)やコカ・コーラなど錚々たる銘柄が含まれており、S&P500は最も買われているインデックスだ。』
(引用終わり)


冒頭に紹介した国営放送のNHKの報道を良くご覧になってください。あれは真実です。
特に60歳以上や一人暮らしの人に狙いを定めて来るそうです。
このブログを読んでおられる方々も、お気をつけになってください。


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2019年7月25日追加

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190725-00573145-shincho-soci&p=1

かんぽ生命を「悪質詐欺集団」へと失墜させた「ノルマ地獄」の実態
2019/7/25(木) 8:01配信 デイリー新潮


かんぽ生命を「悪質詐欺集団」へと失墜させた「ノルマ地獄」の実態
「ノルマ地獄」の実態とは
お役所仕事の「かんぽ生命」をノルマ地獄に変えた「住友イズム」(1/2)
 日本郵政グループは、自薦の言葉によれば「トータル生活サポート企業」なのだそうだ。顧客の一生をトータルで支えるという主旨だが、どう支えていたかと言えば、こうである。

「かんぽ生命の保険の乗り換えの際、元の保険を解約したのに新契約を断られたり、新契約を結んだものの、病歴を告知しなかったとして保険金が支払われなかったり、半年以上保険料を二重に徴収されたり、4~6カ月、無保険になっていたり。こうした例が2014年以降、9万3千件あると判明したのです」

 経済部記者は呆れ顔でそう語るが、記者会見に臨んだ日本郵便の横山邦男社長は、言葉でこそ、

「営業実績を重視するあまり、お客様のライフステージ、資産状況、ニーズを踏まえて、お客様にふさわしい最善の商品をご提案するといった、本来金融事業者として最も重視しなければならない、お客様視点に立った営業活動を徹底できておりませんでした」

 と問題を指摘しながら、終始、憮然とした表情。そのうえ記者から「もっと深い反省があってもいいのでは」と問われても、

「お客様本位がすべてにおいてできていなかったとは、全く思っておりません」

 などと、むしろ逆切れするのだった。ちなみに、会見にはかんぽ生命の植平光彦社長も同席したが、責任を問われるべきは、やはり日本郵便だという。

「かんぽを販売する営業担当は、かんぽ生命の約千人に対し、日本郵便は約1万8千人。郵便事業の不振に悩む日本郵便にとって、かんぽ生命から支払われる年約3600億円の販売委託手数料は、まさに命綱なのです」

 と、再び経済部記者。では、発表されたような不正がなぜ横行したかだが、

「超低金利が続き、主力の貯蓄型保険の魅力が薄れて、新規契約をとるのは難しい。でもノルマがあるから、既存の顧客に保険を乗り換えさせるのですが、6カ月以内に古い契約が解約されると、新規分の手当が半分にしかならない。そこで顧客には黙って古い契約を残し、7カ月経ってから解約させていた。もう一つは、先に既存の契約を解約させる方法。解約後3カ月以内に新規契約を結んでもノルマにカウントされないので、4カ月経ってから契約させていました。結果、無保険期間が生じたり、高齢者が新規の契約を結ぼうとしても、既往症のために契約できなかったり、という事例が続出したのです」(同)

 かんぽ生命の契約者は2700万人近くに上る。実に、日本の人口の5分の1超で、とりわけ高齢者の比率が高い。いわば全国津々浦々の高齢者を狙った、空前の組織的詐欺の様相すら呈していて、社長が憮然としている場合ではないのは明らかである。


過酷なノルマと懲罰
 それにしても、なぜこんな不正が横行したのか。

「過酷なノルマと、達成できなかったときの懲罰に追い立てられていて……」

 と、かんぽの販売に携わる、現役の日本郵便の渉外社員が告発する。

「保険部門は、集配機能がある郵便局がいくつか集まったブロックを束ねる本部長がいて、各局に部長、課長、と管理職がいて、一番下に渉外社員がいます。郵便局長は、あまり保険に関わりません。局ごとに毎年、年間目標額が定められ、私の局は今年、社員1人当たり、月々の掛け金ベースで380万円。ただ、個々のキャリアや成績に応じて割り振られます」

 別に、本部長がブロック一律で課すノルマがあり、

「一昨年は月25万円で、昨年が20万円。今年は15万円ですが、昨年、『クローズアップ現代+』が、かんぽの販売を批判的に取り上げたからでしょう。ノルマを達成できないと、ブロックごとに毎月のように行われる研修に呼ばれます。そこでは、達成できなかった理由をレポートに書かされ、参加者たちの前で“来月は〇〇円達成します”と宣誓させられます。かんぽ生命が上場した15年以降、ノルマも研修の頻度も増え、研修では未達成の社員を立たせ、管理職が“どうして達成できない!”“会社になにか貢献したか!”などと怒鳴りつけるようになりました。できない人間は、みんなの前で叱責して辞めさせた方が目標を達成しやすい。そういう意識が蔓延するようになりましたね」

 別の日本郵便社員は、

「あるブロックの研修では局員に、お客と渉外社員を演じさせます。事前に渡された台本は、すべて暗記していなければダメで、一言でも間違えると許されません。こうした研修が原因でうつになったり休職したりする人は、本当に多い」

 と語り、こう続ける。

「みな研修に出たくないから、是が非でもノルマを達成しようとするのです」

 むろん、営業成績を上げれば手当がつく。

「同い年でも成績不振者は年収が300万円、優秀者は1千万円超というほど差がある。手当ほしさにひどい販売をしている人はたくさんいます」(同)


不正のお手本を見せる
 売り方はインストラクターの指導を仰ぐという。先の渉外社員の話に戻る。

「営業成績のいい渉外社員がインストラクターになります。各ブロックに2人いて各局を回り、社員と一緒に営業に出向いて手本を見せるのです。保険を乗り換えさせただけでは、新規契約の半分の成績にしかなりませんが、解約させて3~4カ月置けば新規契約として認められる。インストラクターがそういう“お手本”を社員に見せ、社員は局に帰って“こんなやり方をしていた”と、ほかの社員に伝える。乗り換えでは局の成績が上がらないので、部長が“上手いことできないのか”と、声を飛ばしているのも現実です」

 先の別の社員も、

「インストラクターが二重払いなどのやり方をレクチャーし、“こうすれば成績が伸びる”と教える。逆にそうしないと伸びないわけで、マジメにやると“なんで成績が悪いんだ!”と上司に怒鳴られるんです」

 と同様に告発する。会社の上層部がそれを知らないはずもない。郵政産業労働者ユニオン中央執行副委員長の家門和宏氏によれば、

「私たちは、懲罰的な研修や人格否定はしないように、会社側に伝えてきましたが、ずっと繰り返されているのです。“営業目標は適正です”“いじめやパワハラではなく本人への指導”“法令に従っています”というのが会社側の返答です」

 さらには、高齢者が被害に遭う仕組みについて、再び渉外社員氏が語るには、

「金蔓の高齢者を回るのは、ブロックでトップクラスの成績を上げている言葉巧みな社員。部長はその社員が動きやすいように、下に手足になる社員を4、5人つけ、班を作らせます。ですから、詐欺のような手口が嫌でも、各社員は業務命令に従って班として動くしかなく、やむなく“詐欺”に加担してしまう。もちろん部長は、トップクラスの社員の手口を知っていますが、局の目標を達成するために黙認しています」

(2)へつづく

「週刊新潮」2019年7月25日号 掲載

お役所仕事の「かんぽ生命」をノルマ地獄に変えた「住友イズム」(2/2)

 保険に入って得られたはずの安心が、営業担当のノルマ達成のために言葉巧みに切り崩された――。かんぽ生命の不正営業の実態は集団詐欺そのもの。しかも、郵便局の信用を笠に着てのことだから悪質である。背景には、民営化後に導入された住友イズムがあった。

 

 ***

 

 顧客が保険を乗り換えるにあたり、古い契約を残し、7カ月経ってから解約させる二重徴収。あるいは、既存の契約を解約させたのち、4カ月経ってから契約させ、無保険期間を生じさせる……。このたび明らかになったかんぽ生命の不正の手口である。

 

 現役の日本郵便の渉外社員の告発によれば、

 

「金蔓の高齢者を回るのは、ブロックでトップクラスの成績を上げている言葉巧みな社員。部長はその社員が動きやすいように、下に手足になる社員を4、5人つけ、班を作らせます」

 

 こうした“デキる”社員が高齢者を勧誘する際には、

 

「相続を糸口に、あれこれ契約させる場合が多い」(同)

 

 実際、被害に遭った近畿圏在住の50代の男性が言う。

 

「昨年、82歳の母から“郵便局員さんが来ているので家に来て”と言われて行くと、営業社員と上司がいました。“お母様が亡くなられると通帳が凍結されて下ろせない。生前贈与として息子さんの口座にお金を移して養老保険に入りませんか”と言われ、年払いで85万6千円だという。途中解約できるというので契約すると、今度は父が“郵便局が来て口座から70万円下ろされた”と言ってきた。怪しいと思って確認すると、母の口座から85万6千円が私の口座に送金されてはいたものの、そのお金で私が生命保険に入ったことになっていて、しかも保険金の受取人は母。姉も生保に入れられ、受取人は父でした。親にもしものことがあったときにお金をすぐに使えるように、と言いながら本末転倒で、しかも解約すると20万円損するという。郵便局の人だから、と信用してしまったのが落ち度でした……」

 

 内勤で保険を売る、さる郵便局員が補足する。

 

「4、5年前、高齢者の契約には親族の同席が必要になりました。ところが現実には、申込みの前に親族に電話確認するだけで契約が可能になっています」

 

 また上の例のように、同席した親族に嘘八百を並べるケースもある。これらを、郵便局の信用を笠に着た集団的かつ悪質な詐欺と呼ばずに、なんと呼ぶか。かんぽ生命の契約者の方は、ご自身の保険の契約内容を確認することと、郵便局員の甘言に警戒心をもつことをお勧めしたい。

 

 

氷山の一角

 前出とはまた別の日本郵便の社員は、

 

「民営化前から働いている人は“お客様に損をさせてはいけない”と教えられていますが、民営化後は“ここは営業をする会社だ”と教え込まれています」

 

 と語るが、“民間並み”になったのではない。大手生命保険会社の社員に尋ねると、むしろ、かんぽ生命の特殊性が浮かび上がる。

 

「かんぽの問題は、第一に“転換制度”がないこと。これは、既存の契約にくらべて新商品の保障内容が良ければ、既存の保障内容を生かしたまま新商品に移行できるシステム。民間では、今回のかんぽのようなモラルハザードを防ぐべく、20~30年前に導入されました。保険の営業では顧客の新規獲得はハードルが高いので、営業マンの目は既存の顧客に向かいがちですが、転換制度があるので、既存客に乗り換えを勧めにくい。かんぽにはそのうえ、乗り換えの場合の“手当半分制度”があった。顧客に安易に乗り換えさせないための制度が、悪用されたのです」

 

 経済評論家の豊島逸夫氏が予測するには、

 

「現段階で明らかになっているのは氷山の一角。巨大組織だから、今後多くのケースが出てくる可能性が高く、野球でいえばまだ1回裏くらいの感覚です」

 

住友イズム

 ところで、過大なノルマを課すことで知られた金融機関といえば、民営化と同時に日本郵政の初代社長になった西川善文氏や、その懐刀として専務執行役を務めた、日本郵便の横山邦男現社長の古巣、住友銀行が思い出されないだろうか。

 

「住友イズムとは1970~80年代、磯田一郎氏の指揮下で確立した収益至上主義。その苛烈な営業方針のもと、住銀は関西系都銀ながら利益トップの座を不動のものとしました。一方、かつての郵便局は地域と密着し、競争とは無縁でしたが、民営化を機にバリバリの住友イズムを背負ったトップが君臨し、“売れ売れ”と号令をかけるようになった。結果、よくわからないままノルマに突っ走った先の悲劇ではないでしょうか」

 

 こう話すのは、金融業界に詳しい元日経新聞記者の大塚将司氏である。それを象徴すると思しきが、

 

「08年にできた営業力養成センター。現場に配属される前に入れられ、インストラクターから、不正すれすれの営業方法を教わるのです」(前出の内勤局員)

 

 住友イズムの風を吹かせてきた横山社長は、責任をとらないのか。郵政産業労働者ユニオン中央執行副委員長の家門和宏氏が指摘する。

 

「横山氏は、現場が大反対だったゆうパックとペリカン便の統合を強引に推し進め、1千億円近い赤字を作った。その際の検証委員会が“下の声が上に伝わっていなかった。風通しが悪い職場は変えなければいけない”と警鐘を鳴らしたのに、今回も横山氏は、社内で行われていた不正な営業について、本当に知らなかったと思われます。だれも上にモノを言えないのが組織の現状なのです」

 

 補えば、横山氏は09年に三井住友銀に戻ったが、16年に“営業力”を買われて復帰した。その横山社長は、

 

「大変重く受け止めています。営業実績を重視するあまり、お客様本位の営業が実践できていなかった」

 

 としたうえで、

 

「抜本的な改革を図り、真のお客様本位を貫くことを徹底し、地域と共生できる郵便局であり続けられるように、全職員一丸となって信頼回復に取り組みます」

 

 と語ったが、どこか他人事で、自身の責任にはまったく触れず仕舞い。集団詐欺の温床を作りながら、責任を現場に押しつけて済む話ではない。会見でのご自身の表情の何倍も憮然とした顔が、おそらく何百万人分も、貴殿に向けられているのである。

 

「週刊新潮」2019年7月25日号 掲載




一連のマスコミ報道 2019年7月21日追加





NHK
https://www3.nhk.or.jp/news/special/sakusakukeizai/articles/20190711.html?utm_int=news_contents_special_001

2019/7/11
かんぽ生命の不適切販売 背景に何が?
かんぽ生命は、保険料の二重払いといった不適切な保険の販売が相次いで明らかになり、10日、経営トップが陳謝しました。いったい何が不適切だったのか。そして、背景には何があるのでしょうか。


かんぽ生命は、郵政民営化で生まれた日本郵政グループの生命保険会社ですよね?

そう。ことし3月末の総資産は73兆円あって、業界最大手の日本生命に匹敵する大きな保険会社。保険の販売は主に全国に2万余りある郵便局の窓口や、1万5000人いる営業担当の郵便局員が担っている。

かんぽ生命が、同じグループの日本郵便に手数料を支払って販売委託をしている構図なの。

不適切な事例って、どういうものだったんでしょう。

古い契約から新しい契約への「乗り換え」をめぐって、顧客が不利になるような販売が相次いで見つかったの。

① 旧契約の解約後、健康状態の悪化などで新契約が結べない事例。(1万5800件/ことし3月までの5年間)
② 新契約を結ぶ際の健康状態の告知に不備があり、保険金が支払われない事例。(3100件/同上)
③ 乗り換えず、旧契約の特約を切り替えたほうがよかった事例。(5000件/おととし10月以降)

郵便局員には、かんぽ生命の保険販売の営業目標、いわゆるノルマがあって、新規契約を取ったり、乗り換えの契約を取ったりすれば、手当が得られる。

10日の記者会見で、保険の販売を担う日本郵便の社長は、「超低金利の長期化で貯蓄性の商品の魅力が低下しているにもかかわらず、旧態依然の営業を続け、営業成績を重視するあまりお客様本位とはいえない契約を増加させてしまった」と釈明した。

ノルマの達成を優先しすぎた結果、顧客にとって不利な乗り換えが多数生まれてしまっていたということ。

ほかにも不適切な事例はあったんですよね。

そう。

④ 新旧の保険料を6か月間、二重払い(2万2000件 2016年4月~2018年12月)

⑤ 旧保険の解約から新保険の契約まで、4~6か月間、無保険の状態(4万7000件 期間同じ)

郵便局員の手当には、新契約から6か月以内に旧契約を解約した場合と、反対に、旧契約を解約してから3か月以内に新契約をした場合、「新規契約の獲得」ではなく、「契約の乗り換え」とみなされ、手当が半分に減る仕組みがある。

会社は④や⑤の件数すべてが不適切な事例とは見ていないんだけど、手当が減るのを避けるために、旧契約の解約や新契約への加入の時期を遅らせて、顧客に二重払いなどの負担をかけていた可能性があるの。

顧客の立場からするとショックですね。会社はどうしていくんですか?

まず顧客対応の面では、かんぽ生命の本社に専門の組織をつくって、不利益を受けた可能性のある顧客に連絡を取っていくとのこと。

顧客の意向を確認したうえで、たとえば①のように無保険状態になってしまった人には元の契約に戻すとか、④のように二重払いになっていた人には払いすぎた保険料を返すとか、個別に対応していく方針。

そして、再発防止策として、7月から「乗り換え」を顧客に勧めないようにすることや、ノルマの見直し、それに、今の契約を解約しなくても新たな契約に移れる「転換」と呼ばれる制度の導入などを進めていくとしている。

ただ、今の時点でかんぽ生命は、不適切な販売が全体としてどのくらいあったのかについて、「調査中」という立場。この問題を調べる第三者委員会も立ち上げる方針なんだけど、再発防止や信頼回復を進めるには、何よりも全容や原因を徹底して調べる必要があると思う。




かんぽ契約2年後に解約続発 局員の手当金返納逃れ?
2019/7/12 6:00
西日本新聞

かんぽ生命保険で、契約から2年経過直後の解約が多発していることを示す内部資料

 かんぽ生命保険の不正販売問題で、保険契約から2年後に解約する事例が相次いでいることが、西日本新聞が入手した同社の内部資料で判明した。2年が経過すれば、契約した郵便局員が受け取った手当金を返す必要がなくなるという仕組みがあり、複数の関係者は「一部の局員がこの時期を狙って、乗り換え契約を繰り返している」と証言する。
 同社の内部規定では、6カ月未満で解約された場合は100%▽1年3カ月未満は50%▽2年未満は25%‐の手当金を返納することになっており、2年以上たてば返す必要がない。
 内部資料には保険の解約時期を示す折れ線グラフがあり「24カ月経過直後に最も解約が発生しており、2年の返納期間の影響と推測」と指摘。改善策として「返納期間を3年に延長し、不自然な解約件数を解消させる必要」と記していた。

 複数の局員によると、例えば10年満期の保険契約を結んだ場合、2年後に解約されても、契約を取った局員は10年分の手当金を返納する必要がなく、営業実績も修正されない。このため2年後に新しい保険に乗り換えさせる悪質な契約が横行しているという。
 相次ぐ不適切な契約を受け、同社は4月以降、手当金の返納期間を「3年未満」に延長した。だが、幹部の1人は「3年後に乗り換えるケースが増えるだけではないか」と懸念する。
 一方、ノルマを達成するため、退職した局員が担当していた顧客宅を現役局員が訪問し、新しい保険に乗り換えさせる手口も横行。解約時期が2年未満だった場合、退職した局員が手当金を返すことになるという。
 1年前に退職した九州の元局員は「毎月のように手当金返納の請求書が届くが、どの顧客が、どういった理由で解約したかも記されていない。納得できないが、支払っている」と憤る。
 かんぽ生命は6月27日、乗り換え契約で顧客が不利益を被ったと疑われる件数が2万3900件あったと発表。同社の植平光彦社長は10日の会見で、今後は乗り換え契約を勧奨しないと表明した。



現実離れのノルマなお かんぽ不正販売 発覚後も現場に圧力
2019/7/11 6:00
西日本新聞 社会面

8日に大阪府内の郵便局幹部に上司から送られたメール。局員にノルマ達成の圧力をかけるよう指示していた(写真の一部を加工しています)


 かんぽ生命保険を巡る一連の不正販売問題は10日、日本郵便とかんぽ生命の両社長が謝罪に追い込まれる事態に発展した。両社は記者会見で、再発防止策を打ち出したが、保険料の二重支払いなどの問題発覚後も厳しいノルマが課され続けている。現場からは「本当に改善するのか」と疑問視する声が相次ぐ。長年にわたって地域に親しまれてきた郵便局は、顧客の信頼を取り戻すことができるのか。

 「保険料の二重払いはずいぶん前から経営陣も把握したはずで、初めて判明したかのような説明に違和感があった」。社長2人の謝罪会見をインターネットで見た、福岡県の男性局員は深いため息をついた。

 「あと2件アポ取れるまでは社員にも負荷をかけてください」。保険料の二重払い問題発覚後の8日、大阪府の郵便局幹部にメールが届いた。日本郵便四国支社の幹部が、保険営業担当局員に出した文書にも「お客さまから『(報道に負けずに)がんばって』等、励ましのお声もいただいています」と記載していた。

 一連の不正販売の背景には現場に課される現実離れしたノルマがある。社長が謝罪に追い込まれるきっかけとなった二重払いも、旧保険の解約時期を意図的にずらすことで新規契約を装い、営業実績を満額得るためだったとみられる。

 なぜ、顧客は二重払いに気付かなかったのか。数カ月前に退職した九州の元局員は「気付かれないよう工夫していた」と証言する。その一つが乗り換え契約時、顧客に旧保険の解約を遅らせることを告げず、新規契約は1年分の保険料を一括で支払うよう促す手口だ。「月払いだと、通帳をみれば二重払いが発覚してしまう」からだ。

 新しい保険の契約から7カ月後に旧保険を解約する「後7」が社内で問題視されるようになると、解約時期を1年半後に延ばす手口が横行。関西の局員は「7カ月後の解約なら不正と疑われるが、二重払いの期間を1年半後に延ばせば『優良契約』になる。より悪質な販売をした方が評価される会社だ」と自嘲気味に話す。

 10日の記者会見で、日本郵便の横山邦男社長はノルマ見直しを含む再発防止策を発表した。だが現場では「相続税対策」と虚偽説明するなどして販売する“巧妙な話法”がいくつも存在しており、局員らは実効性に懐疑的だ。

 関東地方の局員は「不正販売をしないよう指示があるたびに、新たな抜け道が生み出されてきた。今回も、いたちごっこになるだけではないか」と懸念。日本郵便幹部も「民営化後、収益一辺倒になって顧客本位の姿勢を忘れてしまった。果たしてやり直せるだろうか」と嘆く。

 熊本学園大の坂本正シニア客員教授(金融制度論)は「再発防止策を打ち出しても、局員を不正営業に追い込む体質が変わらなければ意味がない。経営陣には、地域に寄り添う郵便局のビジネスモデルを壊してしまった重い責任がある」と批判した。




金融庁、処分へ=顧客軽視の営業、厳しく追及
時事通信7/11(木) 7:06配信

 かんぽ生命保険と日本郵便は、顧客に不利益となる保険契約の存在を認め、両社の社長が謝罪した。金融庁は業務改善命令など行政処分の検討に入る。顧客を軽視した販売実態の詳細を調べた上で、厳しく追及する方針だ。

 かんぽ生命の植平光彦社長は会見で、不利益販売の全容解明に関し「顧客一人ひとりの意向を丁寧に確認していく大変時間のかかる調査になる」と述べ、実態解明や顧客対応に相当な時間がかかるとの考えを示した。親会社の日本郵政とかんぽ生命、日本郵便の3社合同で、独立した第三者委員会を早急に設置する方針だが、肝心の調査範囲や期限については全て「未定」(植平社長)と答えるのみ。当事者意識を欠いており、自浄作用は到底望めない状況だ。

 保険業法は、契約者に虚偽の内容を伝えたり、不利益となる事実を告げずに既存の契約を解約させて新たな契約を勧めたりすることを禁じており、今回発覚した営業行為は該当する恐れがある。金融庁幹部は「かんぽがまだ調査中で詳細を把握できていない状況だ」と明かしたが、顧客を軽視した一連の営業姿勢を問題視している。麻生太郎金融相は9日の会見で「実態を把握し問題が認められた場合は必要な改善を促す」との考えを表明した。

 金融庁は、第三者委による調査の進展を見極めながら、厳格に処分するとみられる。親会社の日本郵政の監督責任も問う構えだ。 




かんぽ生命 ノルマ偏重を見直しへ 植平社長が謝罪
金融機関
日経新聞2019/7/10 20:30

かんぽ生命保険と日本郵便は10日、不適切な保険販売が相次いで発覚した問題を受けて、改善策を発表した。郵便局員への過剰なノルマが不正につながったとみて、新契約をとった販売員に対する評価体系や目標設定を見直す。二重に徴収していた保険料の返還も進める。だが顧客に不利益が生じた契約は少なくとも約10万件に上る。高齢者を中心に支持されてきた「郵便ブランド」の信頼回復に向けた道のりは険しい。

記者会見で頭を下げるかんぽ生命保険の植平光彦社長(右)と日本郵便の横山邦男社長(10日、東京都千代田区)
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記者会見で頭を下げるかんぽ生命保険の植平光彦社長(右)と日本郵便の横山邦男社長(10日、東京都千代田区)

「多数のお客さまに不利益を生じさせ、信頼を損ねた点について深くおわび申し上げる」。10日、東京都内で開いた会見でかんぽ生命の植平光彦社長と日本郵便の横山邦男社長は頭を下げた。

6月の問題発覚以降、かんぽ生命は一貫して「不適切な販売にはあたらない」と説明してきたが、10日は一転して「不適切な販売」だったと認めた。顧客の不安や反発の広がりなどを受けて謝罪を迫られた。今後の調査で販売職員の法令違反などが判明すれば「厳正に対処する」とした。

当面の改善策として顧客に契約の乗り換えを勧めないことや、営業ノルマ・手当の見直し、保険販売時に顧客の意向を確認するシステムの強化などを打ち出した。20年以降には顧客が契約を乗り換える際に健康状態によって新契約が結べず「無保険状態」になることを防ぐ制度も導入する。

乗り換えた後に保険料が上がるなどの不利益を受けたすべての契約を対象に、顧客の意向を踏まえて旧契約に戻すといった対策や二重に受け取っていた保険料の返還も進める。かんぽ生命に専門部署を立ち上げるなど「全社体制で真摯に対応する」(植平社長)。

かんぽ生命では6月、乗り換える際の無保険状態のほか、新契約を締結後に契約前の病気を理由に保険金が出ないなどの事例が約2万4千件あったことが発覚した。

さらに7月8日には顧客と新たな契約を結んだ際に古い契約を解約せず、保険料を二重に受け取っていた事例も約2万2千件見つかった。

販売職員が新規の契約を獲得した際に受け取れる手当を増やすため、故意に旧契約を引き延ばした疑いも出ている。日本郵便の横山社長は不正の原因について、超低金利など販売環境が変化しているにもかかわらず「営業推進体制が旧態依然のままだった」と述べた。

不適切な契約の合計はすでに約10万件に達しているが、いまだ全容は明らかになっていない。両社は早期に第三者委員会を設置し、社内の調査結果について年内に経過を報告するとした。今後問題のある契約の件数がさらに膨らむ可能性もある。

金融庁はかんぽ生命の不適切な販売手法を問題視している。2017年に「顧客本位の業務運営に関する原則」を公表し、金融機関に対し顧客が真に必要とする商品やサービスを提供するよう求めてきたからだ。

かんぽ生命もこれを踏まえて同年に基本方針を策定し、顧客の意向にもとづく適切な商品提案を実施することなどを盛り込んでいた。今回の問題はこうした方針に反しており、植平社長は「顧客本位を徹底できていなかった」と認めた。

保険業法では販売時に虚偽の内容を伝えたり、不利益となる事実を告げずに乗り換えを勧めたりする行為を禁止している。金融庁はかんぽ生命や郵便局の募集人の行為が保険業法に抵触しないかも慎重に判断し、業務改善命令など行政処分の是非を含めて改善策を求める構えだ。



かんぽ生命、止まらぬ不正 保険業法抵触の恐れも
2019/7/10 1:31
日本経済新聞 電子版
日本郵政グループで不正販売の広がりが止まらない。かんぽ生命保険では社員が故意に保険料を二重徴収した疑いまで発覚した。高齢者ら住民が郵便局に抱く安心感を逆手にとったとも受け取られかねない事態だ。日本郵便とかんぽ生命の両社長は10日にも記者会見で状況を説明するが、一連の不正は法令に抵触する恐れがあるとの指摘も出ている。

「保険の募集業務の適切性が問題だと認められたら改善対応策を促す」。麻生太郎金融相は9日の閣議後の記者会見でかんぽ生命の問題についてこう答えた。
8日に発覚したのは、かんぽ生命が契約者から保険料を二重に徴収していた問題だ。新たな契約を結んだ際に古い契約を解約せず、この結果、2つの保険料を受け取っていた。職員は旧契約を引き延ばせば、新契約を取ったときにもらえる手当が満額になる。職員が故意におこなった疑いがあり、契約者の出費も増えるため悪質性が高い。期間は半年以上にわたり、この件数は2万2000件にのぼる。
かんぽ生命ではこれ以前にも、契約者が保険を乗り換えられないといった問題が発覚している。同社はこれまで不適切販売にはあたらないと主張してきた。だが今回の二重徴収の件はより深刻で、かんぽ生命の社員も「ここまで問題が広がるとは」と自社の失態に動揺する。
一連の問題は保険業法に抵触する恐れがある。同法は販売時に契約者に虚偽の内容を伝えたり、不利益となる事実を告げずに乗り換えを勧めたりする行為を禁止している。
もし担当者が顧客に対し「一定期間は旧契約を解除できない」といった虚偽の説明をしていれば法令に抵触し、そうでなくても「不利益となる事実を告げずに乗り換えを勧める」ことに該当する可能性がある。ライバルとなる生命保険会社すら「保険事業者としての意識が欠けている」と見識を疑う。
金融庁がかんぽ生命に対し、業務改善命令などの行政処分に動くかが次の焦点だ。
政府は秋にも日本郵政株の追加売り出しを控えている。収益を依存する金融2社が顧客の信頼を失えば、売り出しに響くことは避けられない。だが顧客の3割弱は70歳以上が占め、高齢者も安心して利用できるのが郵政グループの強みだった。金融庁はかんぽ生命の販売実態の全容を調査した上で、消費者の保護につながる対応を探っていく方針だ。
かんぽ生命の植平光彦社長と日本郵便の横山邦男社長は10日にも記者会見を開く予定だ。両社長は一連の問題について謝罪する見通しだが、それにとどまらず十分な説明責任を果たせるかが問われることになる。



かんぽ生命の植平社長、契約乗り換え時の不適切販売「解消に向け全社体制で対応」
経済・政治ビジネス
日経新聞2019/7/10 16:28

かんぽ生命(7181)と日本郵便は10日、都内で記者会見を開いた。新契約への乗り換えの際などで、契約者に不利益が生じていた問題について、かんぽ生命の植平光彦社長は「お客様の信頼を損ねた点について深くおわびする」と述べた。今後の対応について「不利益の解消に向けて全社体制で対応する」と語った。契約乗り換えによって予定利率が下がるなど、旧契約を復元するなどの対応をとる件数に関しては現在調査中とした。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕



かんぽ生命と日本郵便、保険の不適切販売「不利益解消に全社体制で対応」
経済・政治
日経新聞2019/7/10 16:55

かんぽ生命(7181)の植平光彦社長と日本郵便の横山邦男社長は10日、都内で記者会見を開いた。保険商品の新契約に乗り換える際に契約者に不利益が生じるような販売が横行していた問題について、かんぽ生命の植平光彦社長は「顧客の信頼を損ねた点について深くおわびする」と謝罪した。今後の対応については「不利益の解消に向けて全社体制で対応する」と語った。

かんぽ生命は6月末に保険契約の乗り換え時に契約者の健康状態を理由に新契約が拒否されるなどの問題が発覚している。今回、新契約を結んでから6カ月が経過するまでの乗り換えの判定期間終了後に、既存の契約を解約する事例などが新たに発覚した。旧契約を復元するなど対応をとる対象件数に関しては調査中とし、確定次第公表するとした。

日本郵政の横山社長は不適切販売が生じた背景について「低金利環境が長引くなか、これまでの営業目標の達成が困難になっているにも関わらず、水準の見直しをしなかったことが顧客本位でない営業につながった」と説明した。

かんぽ生命は今後日本郵便と連携し、営業目標の見直しや契約乗り換えの勧奨をしないなどの改善策を講じるとした。また日本郵政(6178)グループ3社による第三者機関の設立も検討する。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕



かんぽ生命、2万2千件で保険料の二重払い
日経新聞2019/7/9 0:32
保険料の二重払いの事例は約2万2千件にのぼった
かんぽ生命保険が顧客に不利益となる保険の乗り換え契約をしていた問題で、顧客に半年以上にわたって新旧契約の保険料を二重払いさせていた事例が約2万2千件あることが8日分かった。2016年4月~18年12月の契約分でこうした二重払いを確認した。
かんぽ生命では新契約を結んで6カ月以内に旧契約を解約すれば乗り換えとみなし、郵便局員に支払われる手当や営業成績が新契約の半分となる。このため、一部の局員が手当の満額受給などを狙い、6カ月が経過した後に解約させる不正販売をしていたという。顧客は解約まで新旧両方の契約の保険料を負担する。
顧客が旧契約の解約から3カ月以内に新契約を結んだ場合も乗り換えとして扱うので、局員は手当てや営業成績が減る。このため解約からの期間が3カ月を超えてから新たな契約を結ぶ事例も多かった。新契約までの間、顧客は保険に入っていない状態になる。契約前の4~6カ月間に無保険だったケースが16年4月~18年12月の契約分で約4万7千件あった。
かんぽ生命は6月、乗り換え販売時に健康状態の悪化などを理由に再契約できなかった不利益販売の事例が5年間で約1万8900件あったと発表した。今回発覚したのはまた別の問題で、影響が広がりそうだ。
金融庁はかんぽ生命のずさんな販売体制を問題視している。同社の報告次第では、金融庁は販売体制の改善を求める可能性がある。



かんぽ生命と日本郵便の社長が謝罪「営業実績よりお客様を」記者会見の一問一答
産経新聞2019.7.10 19:40経済金融・財政


【かんぽ生命が不適切販売で会見】会見する(左から)日本郵便の横山邦男社長、かんぽ生命の植平光彦社長=10日午後、東京・大手町(古厩正樹撮影)

 かんぽ生命保険が顧客に不利益になる保険の乗り換え契約を繰り返していた問題で、同社の植平光彦社長と販売の大半を受託していた日本郵便の横山邦男社長が10日、記者会見した。報道陣との一問一答は次の通り。



 --契約乗り換え以外で顧客が不利益を生じた案件についての対応は

 植平氏「調査を進める中で契約の乗り換え以外でもお客さまが不利益を生じる事案が判明すれば、それらも含めて対応していく」

 --顧客本位の営業姿勢にどのように転換を図るか

 横山氏「お客さまとの対話に基づくコンサルティングビジネスを根付かせ、若年層に丁寧に説明するビジネススタイルに変えていく。営業実績よりもお客さまを優先することを徹底し、お客さまの要望がトップに伝わるような仕組みも作る」

 --一連の問題に対する経営陣の責任や処分は

 植平氏「現時点では諸課題について私が陣頭指揮を執ることで責任を果たしたいと考えている」

 横山氏「今進めていることを中途半端に投げ捨てることはかえって無責任になる。やり遂げることが私の責任だ。まずはお客さまと接触し、調査を進めることが先決だと考えている」

 --不適切な営業に関わった従業員の処分は

 植平氏「調査の中で従業員の法令違反が判明した場合には厳正に対処する」




かんぽ生命の不適切販売問題 業界の自浄努力急務…外貨建て保険苦情急増
産経新聞2019.7.10 19:40経済金融・財政

かんぽ生命保険の販売マニュアルの一部

 日本郵政傘下のかんぽ生命保険が保険商品の不適切販売を繰り返した問題は顧客を軽視する経営体質を浮き彫りにした。生保業界の関係者からは「元国営という顧客の信頼を悪用した」と厳しい声が上がる。ただ、外貨建て保険への苦情が急増するなど他の生保各社への消費者の視線も厳しくなっており、業界全体の“自浄努力”が急務だ。

 同じ種類の保険を一度解約してから再契約して実績を稼ぐという今回のやり方は、生保業界では昭和時代に問題になった古典的手法だ。各社はこうした不適切な販売を抑制するため乗り換えでの新契約は営業職員の成績に計上されないといった予防策を採用。ベテランの業界関係者は「多くの生保は対応済み。周回遅れの不祥事だ」と指摘する。

 しかし、程度の差はあれ不適切な販売姿勢が批判の対象となったのはかんぽ生命だけではない。元本割れリスクの説明が不十分なまま販売を広げた結果、高齢者らからの苦情が急増している外貨建て保険は今も問題がくすぶる。

 保険料を経費扱いにできるとして節税効果の過度な喧伝(けんでん)が問題視された経営者向け保険をめぐっては今年2月に開かれた金融庁と業界の意見交換の場で同庁の遠藤俊英長官に「経営の在り方としてはあまり美しくない」と苦言を呈され、国税庁により課税ルールが見直される事態となった。

 各社は金融庁など関係当局にこうした不適切販売を指摘されてきたが、今回のかんぽ生命の不適切販売は極めて悪質。別の生保関係者は「“お上”の意識が抜け切れていない」と冷ややかだ。

 とはいえ、生保業界のさらなるイメージ悪化は必至で、各社には今回の事例を「他山の石」とし、自らを省みる姿勢が求められそうだ。(林修太郎)




かんぽ生命 顧客本位の意識欠き、信頼回復の道険し 
産経新聞2019.7.10 19:32経済金融・財政

 かんぽ生命保険が、不適切販売を繰り返していた問題で、不利益を受けた顧客への対応や再発防止策などを発表した。問題の温床となった営業社員への過大なノルマを改めるなど顧客本位の業務改善を進めるが、企業風土や社員の意識改革は容易ではない。日本郵政グループとしてのガバナンス(企業統治)不全も深刻で、信頼回復に向けた道のりは険しそうだ。(万福博之)
 「顧客に不利益が生じており、不適切な販売だった」。かんぽ生命の植平光彦社長は10日の記者会見で陳謝し、これまでの姿勢を一転させた。
 問題が発覚した後の6月24日の会見では「不適切な販売ではない」と主張していた。だが、新たな事案が相次ぎ露呈して顧客に不安や不満が広がり、認めざるを得なくなった形だ。後手に回る対応から問題に対する認識の甘さがにじむ。
 そもそも、かんぽ生命は平成29年10月に入院時の保険金を上乗せする医療特約の新商品などを発売した後に乗り換え契約がそれ以前の2倍に急増したことを把握。苦情も複数寄せられ、調査していた。金融庁も問題が表面化する前から対応などを求めていたようだ。だが、ここまで抜本的な手を打ってこなかった。
 19年の郵政民営化との関係を指摘する声もある。政府が間接出資するかんぽ生命は民業を圧迫しないよう新商品の発売に政府の認可が必要な「上乗せ規制」が課された。商品の競争力で大手生保に比べて足かせがある状態で、販売を担う郵便局員らには過度なノルマが課され、無理な販売が常態化したとみられる。顧客の3割弱を占める70歳以上への売り込みが強引だったとの指摘もあり、営業現場の状況を放置してきた経営陣の責任も重い。
 日本郵政グループの企業構造も無関係ではなそうだ。かんぽ生命とゆうちょ銀行の金融2社が収益の大半を稼ぎ、日本郵便の郵便局の維持コストを支えている。ゆうちょ銀でも先月、高齢者向けの投資信託販売で社内ルール違反が発覚するなど、親会社の日本郵政が金融2社にガバナンスを十分効かせられなかった恐れもある。
 政府は今秋にも57%保有する日本郵政株を追加売却する予定だが、不祥事が相次ぎ、株価は低迷。10日の東京株式市場では、かんぽ生命の株価が27年11月の上場以来の最安値を更新した。郵政グループの民営化プロセスにも大きな狂いが生じそうだ。





かんぽ生命、過剰保険料返却へ ノルマ重視も見直し
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朝日新聞
新宅あゆみ、山口博敬 2019年7月10日21時28分

記者会見の冒頭、頭を下げるかんぽ生命保険の植平光彦社長(右)と日本郵便の横山邦男社長=2019年7月10日午後4時1分、東京都千代田区、西畑志朗撮影

 保険の不適切販売が見つかったかんぽ生命保険の植平光彦社長は10日、日本郵便の横山邦男社長とともに東京都内で会見を開き、「多数のお客様に不利益を生じさせ、保険募集の信頼を損ねた点を深くおわびする」と陳謝した。不利益を与えた顧客には元の契約復元などの対応をとる。一方で、金融庁は、不適切販売が常態化していたとみて、業務改善命令の検討に入った。

 かんぽでは、保険の乗り換え時に顧客が不利益を被った事例が今年3月までの5年間で2万3900件見つかっている。旧契約後にかかった病気で新契約を結べず無保険となるなど、顧客に不利益が生じた。このほか、顧客が保険料の二重払いを強いられた契約が2016年4月~18年12月に約2万2千件あるなど、不適切な販売が相次いだ。

 植平氏は自らをトップとする顧客対応の本部を設け、440人態勢で顧客と連絡を取り、契約実態を調べる。少なくとも約10万件の契約について顧客の意向を確認したうえで、不利益があった場合は元の契約に戻すなどの対応をとる。

 無保険となった人などに対し、旧契約だと保険金を受け取れる入院や手術があった場合は保険金を払う。また、不適切販売で二重に保険料を受け取っていた場合、過剰な分を顧客へ返す方針。実態調査の対象となる契約者数や終了の時期などは明らかにしなかった。

 植平氏は経営責任について「不…




パートでためたお金「郵便局信じた母はだまし取られた」
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朝日新聞
長崎潤一郎、新宅あゆみ 柴田秀並 澄川卓也、井上亮 2019年7月10日22時03分

新潟市の男性が郵便局員から受け取った資料。「高額な保険はいらないのに、勧誘してくるのはおかしな話」と憤った=6月28日、新潟市

 かんぽ生命と日本郵便の両トップが10日、保険の不適切な販売を初めて謝罪した。国の信頼をバックに、人口の2割約2700万人の顧客を抱えるかんぽで、なぜ不正が広がったのか。契約者から不安と怒りの声があがるとともに、かんぽの株価は上場来安値を更新して株式市場からも不信を突きつけられている。

 保険を売る郵便局員に契約者は不信の声をあげる。

 「母は郵便局を信頼し、言われるままに契約した。パートで苦労してためたお金をだまし取るような行為だ」。北海道内の50代男性は、近くに住む80代の母がかんぽの保険の乗り換えで不利益を受けたと訴える。

 男性によると、2013年12…




かんぽ生命社長、不適切販売で謝罪 「お客様に不利益」
有料記事
朝日新聞2019年7月10日16時30分
写真・図版
会見の冒頭で謝罪し頭を下げる(左から)、日本郵便常務執行役員の佐野公紀氏、同社社長の横山邦男氏、かんぽ生命保険社長の植平光彦氏、同社専務執行役の堀家吉人氏=2019年7月10日午後4時1分、東京都千代田区、恵原弘太郎撮影

 かんぽ生命保険と日本郵便は10日、保険の乗り換えなどの不適切な保険販売問題を受け、不利益を受けた契約者への対応策などを発表した。乗り換えに際して病気の告知書類を正確に記さなかったなどで、新契約を断られた人らに対し、契約を元に戻す措置などを取る。

 かんぽ生命の植平光彦社長と日本郵便の横山邦男社長らが東京都内で記者会見。植平社長は「契約の乗り換えに対し多数のお客様に不利益を生じさせたこと、その結果、保険募集に関し、お客様の信頼を損ねた点に関して深くおわびを申し上げます」と謝罪。「不利益の解消に向けてお客様の意向をしっかり踏まえ、全社体制で真摯(しんし)に対応していく」と述べた。

 かんぽ生命をめぐっては、顧客が保険を乗り換える際に不利益を被った事例が、14年4月~19年3月の5年間で少なくとも2万3900件あることが明らかになっている。旧契約後にかかった病気のために新契約を結べなかったり、新契約後に病気の告知の不備がわかって保険金をもらえなかったりしたとされる。

 かんぽ生命は、これらの不利益を被った契約者に7月から連絡を取り始め、顧客の意向確認のために訪問する。そのうえで旧契約が解約された後、旧保険の契約で保険金支払い対象になる入院や手術などに対して保険金を払うなどの措置をとる。

 ログイン前の続き迅速に対応するため、植平社長をトップとする「お客さま本位の募集体制推進本部」を設置。本社で約40人、全国で約400人の調査スタッフや支店職員などの体制で取り組む。年内に顧客対応の進み具合について報告するという。

 また、不適切な乗り換えを防ぐために営業体制も見直す。再発防止策として、19年7月からは契約者に対して、契約の乗り換えを勧めないことを決めた。営業目標の見直しや保険の募集時の事前のチェック機能強化などにも順次取り組むという。(寺西和男)







「不正を黙認」かんぽ不適切営業、失望する現場 乗り換え隠し契約が横行
2019/7/7 6:00 (2019/7/8 16:53 更新)
西日本新聞 社会面

「乗り換え潜脱」が多発している郵便局や局員をリストアップした内部資料。新契約から7カ月後に旧契約を解約させる行為を「乗換契約(後7)」と記している(写真の一部を加工しています)


 かんぽ生命保険の不適切な販売問題を巡り、一部の郵便局員が保険契約時に支給される手当金や営業実績を増やす目的で「乗り換え潜脱(せんだつ)」と呼ばれる不正行為を繰り返している実態が明らかになった。顧客は、保険料の二重払いや無保険状態になるなど甚大な不利益を被っており、同社のコンプライアンスが問われるのは必至だ。現場には「販売ノルマが最優先され、不正が黙認されている。自浄能力が完全に失われている」と失望感が広がる。

 通常、保険の乗り換えは、新しい保険の契約時に旧保険を解約するのが一般的。同社の内部文書にも、局員の都合で解約時期をずらす行為は「不当な乗り換え」に当たると明記している。顧客に対し「解約は新契約申し込みの6カ月後にしましょう」と持ちかけた不正事例を紹介し「お客さまの不利益になるため絶対に行ってはいけない」と注意喚起していた。

 乗り換え潜脱の手口には、新規契約の7カ月後に旧保険を解約させる「乗換(後7)」と、新規契約の4カ月以上前に旧保険を解約させる「同(前4)」がある。いずれも契約を結んだ局員は、満額の手当金を受け取ることができる。


本紙が入手した内部資料には、「後7」と「前4」の件数が多い順に50の郵便局と局員がリストアップされている。2018年9月~19年2月に全国最多だった西東京郵便局(東京)の局員は34件だった。

 ある郵便局幹部によると、「後7」が問題視されるようになってからは、旧保険の解約時期を8カ月後に遅らせる新たな手口が増えているという。この幹部は「問題の局員を注意しても『ノルマをこなすためには仕方がない』と反論される。会社も実態を把握しているが、厳しい処分もせず、形だけの注意喚起しかしない」と嘆く。

 保険の乗り換えは月々の保険料が上がるなど顧客に不利益が生じることが多い。かんぽ生命には新旧契約の比較表を用いて、丁寧に説明する取り決めがある。ただ、乗り換え潜脱は社内規定上、乗り換えに当たらないため、こうした説明は不要という。

 金融庁は「法的には、解約する前提で新契約を結ぶ行為はすべて乗り換えに当たる。社内のルールで必要な説明を省くことは問題だ」と指摘した。

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