ドクターシミズ 感染症に関連する企業に翻弄されないように
「糖質過剰」症候群 1&2」の著者の清水泰行医師が、感染症に関連する企業の問題点と、日本人がそれに翻弄されている実態をまとめておられますから紹介します。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
清水/泰行
1967年愛知県生まれ。北海道大学医学部卒業。医師。新川新道整形外科病院(札幌市北区)副院長。日本麻酔科学会専門医。ペインクリニック(痛み専門の治療)で運動選手の治療にもあたる。
痛みの治療だけでなく、背景にある栄養不足や糖質過剰を指摘し、患者の食事の相談にも積極的に対応している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
https://promea2014.com/blog/?p=18019
感染症に関連する企業に翻弄されないように
2022/1/25
私は20年以上も前に、年末年始に船でグアムやサイパンに行く子供たちに帯同する医師として船に乗りました。相当な数の小学生とグループをまとめる大学生たちがいましたが、行きの道中、ものすごい勢いで高熱を出す子供たち、大学生たちが出てしまいました。冬場なので恐らくインフルエンザだったでしょうし、臨床診断はほとんどがインフルエンザでした。
その時にはまだインフルエンザ検査キットも無く、もちろんタミフルなどの抗インフルエンザ薬もありません。医務室のような場所には具合の悪い子供が行列になっていました。そこで我々は何をしたかというと、もちろん対症療法です。解熱鎮痛剤の座薬をひたすら出すだけです。飲水さえあまりできない子供には点滴もしますが、基本的には熱を下げるだけです。
ゾーニングももちろんありませんでした。そして、インフルエンザに感染した子供を隔離することももちろんありませんでした。具合の悪い子供は部屋で休み、元気な子供はプログラムをこなすという状況でした。そしてインフルエンザの子も元気な子も同じ部屋で寝ますし、レストランは一つなので、同時に元気な子も具合が悪いけど食べられる子も食事をしました。不思議と医療スタッフは誰も感染しませんでした。
そのことが良いと言っているわけではありません。
グアムにつく頃にはほぼ全員が回復し、現地でのプログラムをこなしました。そして、帰りはみんな元気にずっとすごし、医療スタッフの仕事はほとんどありませんでした。逆に私自身は帰りの船で船酔いが激しく、一時期ベッドで横になっていたくらいです。(情けない)
そのようなことが子供たち、そしてその親たちも受け入れていた時代があったのです。しかし、そのころの方が社会の混乱は少なかったように思えます。
感染症、特に風邪などのウイルス感染症に対して人間ができることは今のところほとんどありません。風邪などのウイルス感染症は今回の新型コロナウイルスやインフルエンザのように、人間の都合とは関係なく感染は拡大し、勝手に収束に向かいます。つまり、自然現象です。もちろんある程度の防御は可能かもしれませんが、実際には絶対的な防御法はないでしょう。
ウイルスがやってきたときに、それと戦う自身の免疫力の問題で、症状が出るかどうかや症状の程度が決まると思います。だから一番重要なのは自分の免疫力を低下させないことでしょう。
2000年くらいから段々と、インフルエンザが「風邪」から格上げされ、「インフルエンザウイルス感染症」になってしまい、そのころから日本はおかしくなったような気がします。2000年前後に、インフルエンザの検査キットが開発発売され、タミフルなどの抗インフルエンザ薬が発売されたのです。対症療法、そして寝てれば自然に治る風邪が、いつの間にか迅速に診断して、「特効薬」を早く飲んで、「治す」という病気になったという幻想を多くの人は信じ込まされてしまったのです。
感染を防ぐことが不可能なワクチンを接種することが重症化を防ぐと言われていますが、本当のところはわかりません。(「インフルエンザワクチンを毎年接種することの暗黒面」など参照)子供の脳症はほとんどが解熱鎮痛薬の不適切な使用によるものでしょう。タミフルは症状を1日程度早く抑えますが、人間の本来の免疫が上手く働かないのか、せっかく感染したのにインフルエンザウイルスに対しての免疫が十分にできません。(「前年にインフルエンザワクチンを接種していた人の方が多く新型インフルエンザを発症していた」「インフルエンザワクチンはインフルエンザウイルスの排出量を増加させる」など参照)そのため次の年もインフルエンザ感染を起こしやすくなるのです。抗インフルエンザ薬は特効薬ではありません。これも対症療法に過ぎませんし、免疫力にも影響する薬なのです。そして、やはりその副作用である異常行動を引き起こすリスクは大きな問題でしょう。(「タミフル、インフルエンザの薬による異常行動」、「抗インフルエンザ薬でまた転落死!本当に必要だろうか?」など参照)その異常行動を自分自身で目にした親は二度と抗インフルエンザ薬は使わないでしょう。医師も自分で見たら、怖くて処方できないと思います。
この2000年前後から始まった感染症に対する恐怖や不安は日本全体に波及し、企業や教育現場も過敏に反応するようになってしまいました。(「インフルエンザでパニックになる日本国民」参照)冬場に風邪をひくとインフルエンザかどうかが問題になり、検査で陰性ならば熱があって具合が悪くても出社しなければならなかったり、陰性証明を提出しなければならないという、アホな状況が様々な場所で見られるようになったのです。インフルエンザでさえ「怖い怖い」と恐れる国民に育て上げられてしまいました。
そのような土壌があるために、現在の新型コロナウイルス感染への恐怖心や不安感がなかなか社会から消えていかないのでしょう。感染症に関連する企業、医療、マスコミの勝利とも言えます。
ワクチン製造販売会社、検査キット製造販売企業、抗インフルエンザ薬製造販売製薬会社、そしてインフルエンザを診療するクリニックはwin-winでしょう。今回もワクチン、PCR検査、医療機関、煽るマスコミなども同様の構図です。しかし、それに翻弄される一般の人たちだけがwinにはなれません。
現在の医療を取り巻く環境はいびつです。インフルエンザ診療がワクチンや検査キット、製薬会社と一体になっているように、スタチンとコレステロール、抗うつ薬のSSRIやSNRIとうつ病、PPIと逆流性食道炎、リリカと神経障害性疼痛など、薬の販売とそれに対応する病気のクローズアップ、マスコミの報道や宣伝が強くなりすぎています。
エビデンスは作られ、効果が過大評価され、それをその道の権威と言われている人が、一般の医師に宣伝し、確固たる地位を築きます。それらの薬は特効薬ではなく、対症療法薬であったり、数値を改善するだけで根本原因を改善しない薬であるのに、あたかもそれを飲めば治る、またはそれを飲まなければ良くなる方法はないかのように一般の人は思わされてしまいます。
今回の新型コロナウイルスのワクチンでも生データは隠されています。ファイザーのワクチンでは、2025年5月まで試験データは公開されません。製薬会社はスタチンの副作用に関する「生データ」を隠しています。(「スタチンのダークサイド 秘密は隠されている…」)タミフルも同様です。(こことここなど参照)
後ろめたいことが無ければすぐにデータを公開できるはずですが、どうやら後ろめたいようです。
製薬会社の力が強くなりすぎてしまい、その製薬会社が作り上げたエビデンスに基づいたガイドラインを無批判に正しいと思い込んだ医師は、その薬を使った治療以外に考えが浮かばず、自分で考える力を失ってしまったように思えます。
ガイドラインに沿った治療さえしていれば、たとえ患者が良くならなくても批判はされません。無謀なことは慎むべきでしょうが、何か良くなる方法はないか、常にもっといい治療を探っていくのが医師だと思います。
話がかなり脱線してしまいました。風邪などの感染症は常に身の回りにあります。風邪をひくのは嫌ですが、仕方がないことです。感染症に関連する企業に翻弄されて、日常生活が制限されたり、社会活動が停止するなんて実におかしなことです。自由に生きるために風邪は許容されるべきです。
「Covid-19 vaccines and treatments: we must have raw data, now」
「Covid-19ワクチンと治療法:今、生データが必要だ」(原文はここ)