ネコとして生まれたからには、
長いビニール袋を発見したら、とりあえず顔を突っ込んでみるのも悪くない。
ましてや、中でガサガサ音がしたら、気が置けない仲間を呼びつけて、
正体を暴いてみるのは、正当派“ネコ心”というものだ。
いい塩梅にフェレットでも入っていようものなら、
チョッとくらいの、ちょっかいを出すくらいなら、オバちゃんに叱られることもなかろう!
いつの間にか夜も更けてきた。
袋をガサガサしているフェレットとネコを見て、
オバちゃんは、慈悲深き心に満ちている自分に満足し、穏やかな眠りについた。
2時間後。。。。。
フェレとして生まれたからには、
薄い布団を発見したら、とりあえず顔を突っ込んでみるのも悪くない。
ましてや、中からちょうどよい大きさの虫のような足指がモソモソ出ていようものなら、
思いっきり齧ってみるのは、正当派“フェレ心”というものだ。
「痛ってぇぇぇ!」
指の先を肉食動物に齧りつかれたことがあるか!?
よほど泥酔でもしていない限り、自動的に覚醒するに至る。
ところが、
ドアの角にぶつけたり、間違って傘の先で突かれた時と違い、
即治療というレベルではない(半分眠いのも神経を鈍らせているに違いない)。
よって、全身を薄い布団でくるみ直し、
再び、眠りにつくことも可能なのである。
しかし、いったん火がついてしまったフェレ心は高揚するばかりである。
クンクンと楽しそうに、出ている部分=アタマをバリバリ・・・
ついに、オバちゃんは起こされ、
日の出前、スペシャルモーニングを給仕することになる。
友人が、道路の脇をヨチヨチ歩いているところを拾ったそうだ。
まだ一人でご飯を食べたり、トイレをしたりすることもできない。
拾った友人は、ヒト相手には見せたことも聞かせたこともない優しい態度と言葉を吐きながら、
乳母をしている。
彼女は、一般社会では男気満載の、切符のよい、しゃがれた声が特徴の“働くオンナ”である。
ワタシがチビネコなら、あのしゃがれた声で、身震いするような甘い言葉をかけられようものなら、
半日でネコとして生まれてきたことを後悔し、具合の一つも悪くなろうものであるが、
幸い、ワタシの心配を他所に、ネコはスクスクと成長している。
もしからしたら、耳が聞こえないのかもしれない・・・
ウチの盆暗たちも、みんなホコリみたいなモンだったんだ。
こんな上品な女性に面倒を見てもらっているにもかかわらず、
全く、いつから「悪気のある悪巧み」とか「ワザとらしい反省」とか「見ていないところでシッコ」などを思いつくようになるのか。
ネコ心もフェレ心も、まだまだ奥深い。