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バーモントカップ第20回全日本ジュニアフットサル大会島根県大会決勝レポート

2010-11-10 | Futsal

■バーモントカップ第20回全日本ジュニアフットサル大会島根県大会決勝レポート

20回目を迎えた記念大会は、予選リーグで対戦した石見エスプリFC U-12(以下、石見)とボアソルテ美都FCジュニア(以下、美都)の対戦となった。

ちなみに予選での対戦成績は、石見が美都に2-0で勝利した。

しかし、予選で敗戦した美都は準決勝で逆転勝ちするなどし、予選で対戦した美都の姿はなく、勢いも戦い方も異なったチームになっていた。

定刻14:00静まり返った会場に試合開始のフォイッスルの音が鳴り響いた。


お互い今大会2度目となる対戦で、様子見ではなく、初めから仕掛けたのは石見だった。
試合開始の数分後、石見5石川が左サイドをドリブルで駆け上がり、フリーでGKと1対1を落ち着いて決めて先制!
呆気にとられるような先制パンチとなった。


喜びを全身で表現する選手たち、ベンチが立ち上がり、会場全体に喜びの悲鳴にも似た声援がこだました。
この瞬間、石見は俄然有利になった。
心理的にも立場的にも、決勝という舞台での先制点は、予選で勝利している相手だけに有利に働いた。

先制点の興奮が覚めきらない時間帯で、再び石見5石川の左足が貴重な追加点を生んだ。
2-0石見リード!
先制点同様に石見ベンチ、選手が全身で喜びを表現する。


石見の会場全体を自分達のフィールドにしたかの様に喜びを表現する姿は、観客側にも伝わって来た。

このまま、石見の雰囲気で行ってしまうのか?と思われた前半中盤に美都3大橋が得点し、1点を返す。
得点した美都も石見同様に喜びを大きく表現し、観客へハイタッチを求める。


美都の得点は、石見にとって大きなダメージをもたらした。
予選リーグを無失点で切り抜け、決勝トーナメントもPKによる1失点のみの鉄壁のDFを見せていた。
その石見のDFが崩された形での失点・・・試合のキーポイントだった。





ピッチの石見の選手達がどう感じていたかは定かではないが、客観的に見て真理的に落ち込むことは想像できた。
反対に美都は、準決勝を良い形で逆転した経緯もあり、一気に美都のペースへもって行きたいところ。

しかし、客観的な予想は石見の5石川によって意図も簡単に覆された・・・。
決勝で2得点し、決勝のチームの大黒柱として引っ張って来た5石川が再びチャンスを演出する。


石見5石川に出たボールを上手くDFを交わし、逆サイドの15小林にシュートパス。
これを上手く15小林が押し込んで3-1とリードを広げた。
フットサルのお手本のようなゴールだった。

抜群の運動量を誇った石見の両サイドの5石川、15小林のアラ二人は、ピボ8川神から出されるボールに反応し、縦に走り続け、相手のDFに脅威を与え続けていた。





石見の攻撃は非常にシンプルだった。
ピボの8川神にボールが入ると、すぐさま前に振り向きDFを引き付ける。
ドリブルしながら、相手DFの形が崩れたところで、両サイドのアラにパス。
アラがボールを持って駆け上がると、同時に逆サイドのアラも反応し、セグンドにつめる。
シンプルではあるが、豊富な運動量とスピードで相手に脅威を与え続けていたのは間違いない。
おまけにDF時にもすぐさま反応して、攻守の切り替えをきっちりこなすあたりにベンチワーク、選手の意識も高かったのだろう。

対する美都の攻撃は、選手個々の能力は高いものの、チームとして組織として機能していないように見受けられた。


美都は、ピボにボールが収まる回数が少なかったことと、サイドが攻撃の基点となり崩しが多かった点で、石見はDFし易かったのではないだろうか。
美都のDFも少し勿体なかった。
ゴールクリアランスでプレスをかけるも、肝心なピボのケアがしきれてなく、GKから直接、石見8川神にボールが入るシーンが度々あった。
これが、常に受身を強いられていた結果だったかもしれない。

前半は、石見が選手の気迫で美都を上回った結果が出て3-1で終了する。

前半のままでは、美都は間違いなく石見には勝てない。
ハーフタイムの両チームのベンチワークが鍵を握る。




このハーフタイムにどんな指示が出たのだろうか?
決勝の後半は、美都の流れを変える選手起用が見事にはまる。


後半、美都は10宮内を右アラに起用し、挑む。
これが、後半早々に見事にはまった!
右サイドから放たれた美都10宮内のシュートは、ポストとGKの僅かな隙間を通り、ゴールに吸い込まれた。
3-2と美都が追い上げる。
会場は、一転して美都の応援が響きわたる。

ベンチの選手采配、そして、それに応える選手が一気に流れを掴んだ。
後半は、美都のペース。石見が必死に絶える。
美都もチャンスがあるもののフィニッシュが悪く、石見を助ける形となる。
なかなか同点に出来ない・・・。
この時間帯が惜しまれる。

神様はいつまでも待てくれなかった。
石見8川神、15小林が逆風を自身の神風に変えた。




中央をドリブルですり抜けた石見8川神が、右サイドに詰めた15小林に流し、これを落ち着いて決めて4-2!
石見が神風を引き寄せた瞬間だった。

ゴールした石見15小林は、全身で喜びを表現し、他の選手の高揚を呼ぶ。
ピッチもベンチも観客も15小林の喜びで、一つになった。
実は、石見15小林はこの日が誕生日だった。
特別な日に準々決勝、準決勝でも最高のパフォーマンスを見せ、チームに力を与えた彼の姿を見ると何か特別な力でも授かっていたかのようにも感じられた。

結局、試合はこのまま終了した。

石見が2年ぶり4回目となる優勝を決め、全国の切符を手にした。


決勝戦で初めて登場した小さな垂幕。
実は、二年前に全国へ行った先輩達のものだった。

何か実力以上に大きな力を身にまとった石見エスプリが、終始今大会で最高のパフォーマンスを発揮した。
選手が得点の喜びで神風を起こし、チームの変化が成長へと繋がり、大会中で一番進化したチームであったと思う。

優勝した石見の谷尾監督は言う
「多くの方々のおかげで、ここまで来れました。ホントに感謝です」

優勝した石見エスプリFCのみなさん、おめでとうございます!
全国での活躍を期待しています!

 


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