【出会いと、烏鷺の争いと、別れと】
施設に暮らす母は
来月九十になる
昭和7年生まれで
わたしの二回り上の
申年生まれである
わたしは還暦を機に
囲碁同好会のお世話になり
まもなく6年となる
週一の碁会を楽しみはじめてから
例会参加は累計およそ三百回弱
千局ぐらいは打っただろうか
計八十数人と碁を囲んだ
コロナ直撃2年目の昨春はまだ
会員数が百人規模だった
そのうち「昭和ヒトケタ生まれ」
の先輩方が優にフタケタおられた
五段から級位まで
段級位はさまざまだったが
濃淡があっても
よくしていただいた
なかには
ご自宅に招かれ
奥方様を交えて
親しく談笑したこともある
その〝昭和ヒトケタ〟だが、
昨春に15人だったのに
今春は5人に、と一気に減った
さらに先月、
また、ひとりが退会された
施設の母もこの間
ずいぶんと弱った
要介護4から5になる
もう会話もままならない
時の流れは
容赦ないのである
▲昭和ヒトケタ生まれの出席率は高い。このなかにも何人かおられ、元気に碁を囲まれている。設営撤収当番が今週末から再開となるが、当番班メンバー同士の心配りで、つつがなくこなしてほしい。(さほど若くもないのですが、若いもんがやりますから、ゆっくりしていてください)
▲昨秋に心臓病で入院された先輩は、退院してから、すぐに電動車椅子を購入。「今度は坂道もラクラク快適」と笑顔である。一局か、二局を、ゆっくりと愉しまれ、ゆっくりと帰っていかれる。
▲7月末、もうひとりの先輩から電話があり、ほどなく退会届が届いた。体力低下の近況報告と、これまでの謝辞が、丁重に したためられている。<このほど満九十歳と相成り、心身とも超高齢者の仲間入りとなり、いろいろなことが出来なくなっております>云々のくだりに、胸が締め付けられる。いつまでも碁を楽しめるようにしてあげられなかったこと、力不足を思い知らされる