囲碁漂流の記

週末にリアル対局を愉しむアマ有段者が、さまざまな話題を提供します。初二段・上級向け即効上達法あり、懐古趣味の諸事雑観あり

ニッポンのシキタリ

2021年03月21日 | 雑観の森/芸術・スポーツ

▲タクシーの場合
右側通行の国では、1位が先に乗って
2位、3位はグルっと回って乗る

▲マイカーの場合
運転する人を「お雇い運転手」に見せないよう
「乗せていただく側の代表」が、まず助手席へ

        (車の乗車位置のシキタリ)

 

 

 

 


シキタリがわかる便利雑学事典」より

 ~ 日常的観点における、囲碁とはどういうものか

 たとえば「軽口や冗談はご法度」という常識などなど の巻】

 

 

 


この種の事典には珍しく、

「日常のシキタリ――身辺」の章に

「囲碁」の項目がある。

著者が碁を嗜んだかどうかは不明だが、

雑学としての囲碁、を興味深く読んだ。

歴史、ルール、所作、礼儀――。

知っているようで、知らなかったこともあり

どこまでが「常識」なのか分からなくなる。

 

このひとときは

碁の約束事のもと

「非日常を愉しむ」

と考えるべきなのだろう。

 

 


         ◇

 

 

祭具から遊戯に転化した盤上遊戯の発生は

文明の草創期に求められる。

その種類はさまざまで、

競争、配列、戦争、包囲、マンカラ等のゲームに大別できる。

 

 

囲碁は包囲ゲームの一種で、最も複雑な発展をした。

祖型は判然としないが、

紀元前数世紀の中国で一般に広まっていたという。

 

 

囲碁は単に「碁」ともいう。

かつては「棊」という字もあてられた。

対局は「手合せ」ともいう。

 

 

対局するのは二人。

黒が先番で打ちはじめ、一手ずつ交互に打つ。

実力が互角のときは互先(たがいせん)とする。

 

 

白、黒はニギリで決める。

どちらか一方が石をいくつか握り、

相手が奇数、偶数を言う。

当たったら、言い当てた側が黒を持つ。

手合い違いのときは置碁をする。

この場合は上位者が白を持つ。

 

 

石を打つのは線と線の交点。

一度打った石は他に動かせない。

囲み戦わせ、広い地歩を占めた方が勝ちとなる。

 

 

礼節を重んじるゲームである。

上位者、もしくは目上の人が上座を占める。

 

 

対等の者同士の場合はニギリで白・黒石を決めるが、

客人、目上の人、上位者には白をすすめるのが礼儀である。

室町以前は中国風にならい、黒石を相手にすすめたという。

黒色が北の方位に相応し、北方は正位とされていたからである。

ただし、夜間は燈火の関係もあって白石をすすめた。

 

 

その他にいくつか、対局に関する礼儀を挙げる。

 

対局中、助言をしてはいけない。

待ったをしてもいけない。

碁笥(ごけ)に手を入れ、

石をもてあそぶ人がいるが、

これはマナーとしてよくない。

 

何度も席を立ったり、

軽口、冗談を飛ばしてはいけない。

 

礼儀とは違うが、

碁客へのていねいなもてなしは不要

とされている。

 

 


加太こうじ(かた・こうじ、1918~98年) 評論家、庶民文化研究家、紙芝居作家。「シキタリがわかる便利雑学事典」(日本実業出版社、1985年初版)

 

 

▲石をつまみ、盤に置く

この一連の所作一つで

「おぬし、できるな」と思うか

「そうたいしたことはない」と思うか

おおよそは分かろうという

棋力と品格、とはよく言ったものだ

 



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