詩仙堂(京都市左京区一乗寺門口町27)は
名前と人気が先行する古都の名所である。
今回取り上げるのは
その東隣にある八大(はちだい)神社。
いちだん高い山側に位置する。
比叡山麓のうっそうとした樹林のなかにある。
由緒書によれば
祭神はスサノオノミコト
クシイナダヒメノミコト
ハチオウジノミコトとあって
永仁二年(1294年)三月十五日の勧請という。
社殿は応仁の乱で焼失するも
慶長元年(1596年)に再建され、
明治になってから牛頭天王社、八大天王社を合祀した。
由来はともかく
訪れるとすぐにわかるが
神社は「宮本武蔵一色」である。
参道には「武蔵開悟の地」の幟がはためき
映画ポスターやスチール写真が張り出されている。
東映作品の武蔵役は中村錦之助、
佐々木小次郎役は高倉健である。
本堂脇には、若武者時代の武蔵像や
一乗寺下り松の古木が保存展示されている。
武蔵と吉岡一門との果し合いが
史実なのかどうかは異説もある。
だが、そんなことを詮索すまい。
神社脇の杉林にたたずめば分かる。
ともかくムサシはニッポンの英雄なのだ。