【30年ほど前、亡父も愉しんだ大規模碁会のいま
~ 願いは「不滅の法灯」「消えずの法灯」にならいて の巻】
100人規模碁会に入会したのは4年前の秋。
定年退職の翌月だった。
「ひしめく」という言葉がぴったりの会場で、
入会のあいさつをさせていただいた。
その頃、平均年齢は「70代半ば」だったと思う。
会員の入会・退会が少ないから、今は「80歳前後」か。
わたしは一番下の「小僧」「丁稚」の地位である。
「全員と対局する」を目標にし、達成度は7割以上。
宴会も一泊旅行も20~30人の参加だったが、
趣向もいろいろあり、これまた楽しかった。
しかし今春の疫病騒ぎで状況は一変した。
会場より街で出会う碁友が多いという有様。
孤独癖が強い一方で、寂しがり屋でもある。
蟄居生活は悪くはないが、何もしなければ疎遠になる。
ああ、今日も来られていないなあ
と、会場で一抹の寂しさ ちらり……。
◇
黒石のごけを引き合うひさしぶり
互いに謙遜して黒石を持とうと、
碁笥(ごけ=石の入れ物)を
引き合うという奥ゆかしい情景。
久しぶりの対局となると
決まって見られる動作である。
碁敵(ごがたき)は憎さも憎しなつかしさ
好敵手の心理は複雑である。
一局打つと相手がおぼろに分かる。
悔しさと懐かしさの混じり合う人間の心理。
あんな奴とはもう打つものか、と思うこともあるが
数日すれば また打ちたくなる。