第101回全国高等学校野球選手権長野大会は予備日でお休み。そこで、注目の最速163km/h佐々木選手を擁する大船渡高と遠野緑峰高が対戦。
大船渡高は1回表、1アウト一・二塁から佐々木選手のタイムリー3ベースヒットで2点を先取し、さらに犠牲フライなどで3点を先行。1回裏の注目の佐々木選手の初球は142km/hの直球。3人のバッターに対して、ショートゴロ、ピッチャーフライ、空振り三振。
2回表の大船渡高はノーアウト満塁から相手ピッチャーのワイルドピッチ、熊谷選手の2点タイムリーヒット、木下選手のタイムリー3ベースヒットなどで7点を追加。佐々木選手の第2打席は三ゴロエラーで出塁でした。2回裏の遠野緑峰高の攻撃はセカンドゴロ、空振り三振、ライトファールフライで、この回も三者凡退。
3回表、大船渡高の攻撃で1アウト一・三塁で佐々木選手は代打を送られベンチに下がる。この回、大船渡高は無得点。その裏、大船渡高は2人目の大和田選手が登板し、遠野緑峰高を三者凡退に抑える。
4回、5回と大船渡高は追加点を挙げ、遠野緑峰高は5回裏に先頭バッターがフォアボールで、この試合初めてランナーを出したがダブルプレー、三振で無安打に抑えられ、5回コールドで試合終了。
佐々木選手の投球成績は2回ノーヒット、無失点、2奪三振。最速は147km/hでした。
大船渡 37031|14
遠野緑峰00000|0 (5回コールド)
大船渡高の対戦相手の遠野緑峰高。高校のある遠野市は、河童や座敷童子などが登場する古い言い伝えがたくさん残り、「民話の里」とも呼ばれる町です。それらの伝説を民俗学者の柳田國男さんがまとめ、今から100年以上も前に刊行したのが「遠野物語」です。
遠野緑峰野球部は20人中10人が高校からの野球初心者だそうです。昨夏は初戦を勝利しましたが、現チームはここまで公式戦4戦4敗。しかも、得点すら奪ったことのないチームでした。
寺長根一真監督は昨春から「脱・丸刈り」にし、口説き文句は「有給休暇あるよ」で選手を集めたそうです。実際に週1回の練習オフと、月3回くらいは自由に部活を休んでもいいというシステムだそうです。「そんなことをしないと野球部に人は来ない」ということだそうです。
「大船渡のおかげで、うちの名前は多分たくさん出る。でも惑わされるな。強くたくましくプレーして、お客さんを味方につけろ」と選手には話していました。
大注目の佐々木選手との対戦については、「必殺技はあるので」とのこと。打順については、「一番と四番は菊池。何人か菊池が並ぶことはあるかも。あとはヒミツ」ということでした。
そして、この日のスターティングメンバーは次のとおりでした。
一番 ショート 菊池魁
二番 レフト 菊池虎
三番 セカンド 佐々木康
四番 キャッチャー 菊池将
五番 ピッチャー 菊池優
六番 サード 菊池庸
七番 センター 菅沼
八番 ファースト 菊池浩
九番 ライト 佐々木眞
実は、遠野緑峰高の野球部メンバー20人中9人が菊池選手なんだそうです。それもそのはずで、遠野市民の約22%が菊池姓とのことです。ちなみに、佐々木姓も多いそうです。なお、大船渡高の佐々木選手は陸前高田市の生まれです。
遠野緑峰高は大量失点しながらも最後まであきらめず、なんとか得点を、ヒットをと、大船渡高の佐々木選手の直球を恐れることなく、バッターボックスに立ちました。2回で奪われた三振は2つだけでした。
結果的にフォアボールのランナー一人だけで、最後の夏も完封負けでした。それでも「強くたくましくプレー」した結果でしょう。試合後にはほぼ満員となった球場から、遠野緑峰高にも大きな拍手が送られました。
「令和・遠野物語」を楽しみにしています。