大会三日目第三試合は昨年選抜優勝校の京都・龍谷大平安高と一昨年選抜優勝校の埼玉・浦和学院高の対戦となりました。
龍谷大平安高校は春39回、夏32回の計71回という全国最多の甲子園出場の記録を持っています。
そして、今大会は甲子園連覇という記録と期待もかかっている一戦でした。
この試合は浦和学院高の江口奨理選手と龍谷大平安高の高橋奎二選手の両エースの投げ合いとなり、得点を与えず、0対0で今大会初の延長戦となりました。
延長11回表。浦和学院高は2アウト二塁から、U-18にも選ばれていて、チャンスに強い7番の荒木裕也選手が龍谷大平安高・高橋選手からタイムリーヒットを打って均衡を破りました。荒木選手は前の打席のチャンスで打ち取られていただけに、このチャンスで打てて一矢報いたところでしょう。
そして、さらに1点を追加し、2対0で浦和学院高が龍谷大平安高を破り、二回戦に進みました。
実はこの試合の龍谷大平安高のスタメンで「おやっ」と思ったことがありました。背番号が2ケタ台の選手が2人スタメンで出場していたのです。
他の試合でも見られたのですが、「ここへ来てスタメン選手よりも調子がいいから」とか「相手ピッチャーに合いそうだから」とかかなと思っていたのですが、どうやら事情は違ったようです。
後日、新聞で目にしたのですが、試合当日の朝に寝坊した部員がいたというのです。
それによって、原田監督が「試合当日に寝坊が何人も出るようじゃ…。生活の乱れは野球につながる」と先発メンバーから外したというのです。
甲子園での大一番。しかも連覇が期待される大会での大事な初戦。
外された選手がスタメンから外れたことに、チーム戦力の低下とチーム内の動揺は否めません。
「寝坊して迷惑かけたのだから、試合で発奮しろ」という起用の仕方も選択としてはあったかもしれません。でも、そういう温情的な起用はしませんでした。
高校野球は教育。
創部106年を誇る高校野球界きっての名門を率いて22年。巣立った教え子は約300人。
教員ではないが、高校野球の指導者という立場を考えれば教育者の一人。「自立して卒業させる」ことが自身の務めと言う。
原田監督の考え方に、高校野球の原点を見たような気がします。
「ある程度のレベルまでは監督の力で引き上げられるが、それ以上伸びるかは自分で考えて行動できるかどうか。その土台を高校で築かないといけない。子育てに近い感覚ですね」
夏にどんなチームとなって、甲子園へ帰って来るか。
非常に楽しみです。