2007年3月のブログ記事一覧-今日、生きているという奇跡

起き上がるということ

2007年03月30日 | 肝移植の記録

この少し後くらいだったろうか。

やっと起き上がる許可が出て、

私は上体を起こす練習を始めた。

前にもちょっと書いたが、

初めて体を起こすのは楽ではなかった。

病気になるまでは普通にやっていた行為が、

なんでこんなに大変なんだろう、

と思った。

普通に起き上がっていたことが不思議なくらいだった。

初めて体を起こした時、

ぐったりして凹んでしまったが、

それも初めだけだろう、

と思っていた。

しかし、２度目も３度目も同じだった。

頭がぐらぐらしてぼわーっとして、

少しベッドを起こしては頭が落ち着くのを待ち、

また少し上げては待ち、

一回起き上がるのに毎回３０分はかかっていた。

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元気を運ぶ鶴

2007年03月29日 | 肝移植の記録

後で先生達もやってきて

「お！鶴がいるね。何羽いるの？」

と聞いてきた。

「さあ？１２、３羽くらいじゃない？」

そう答えると、２、３人の先生が鶴を数えだした。

（こんなに何回も聞かれるなら吊るす前に数えておけばよかったな・・・）

そう思ったが、

なぜみんながそんなに鶴の数を気にするのかも不思議だった。

（今思えば、その日の血液データがあまりよくなかったので、

鶴の話をしてごまかしていたのかもしれない・・・）

鶴の数は私にとってはどうでもよかった。

それよりも、

上を見ると鶴が見える、

それだけで元気になれるような気がした。

千羽鶴ってどんな意味があるのかよくわからなかったが、

少なくともその１０羽鶴は、

私に元気を運んできてくれた。

10何羽？

2007年03月27日 | 肝移植の記録

糸井さんが帰って看護師さんがやってくると、

私はお見舞いにもらった１０羽鶴を見せた。

「どこか飾るとこないかなぁ？」

「あら！かわいいね～」

看護師さんは、

天井に点滴を吊るすフックがあるのを見つけると、

そこに１０羽鶴をかけてくれた。

それはちょうどベッドの真上だったので、

寝たままでも１０羽鶴がよく見えた。

「何羽いるかな？」

看護師さんにそう聞かれて、

改めて数を数えてみたが、

下から見上げると重なって見えて

「７、８・・・」くらいまで数えると

よくわからなくなった。

看護師さんも数えてみて、

「１２、３羽くらいかな？」と言っていた。

みんなからの手紙

2007年03月24日 | 肝移植の記録

それから封筒に入った手紙を渡された。

中には私が所属していた部署の

みんなからのメッセージが書いてあった。

「ふうこさんの元気な笑顔が見れないのは寂しいです」

「早く元気になって戻ってきてね」

部署のおじさんも同期の友達も、

みんながひとことずつ書いてくれていた。

千羽鶴ならぬ１０羽鶴とその手紙を見て、私は、

その場で不覚にも涙が出てきてしまった。

いつも会社では笑顔でいたのに、

その時は糸井さんがいたにも関わらず涙を押さえ切れなかった

みんなが待ってくれている・・・。

そんな気持ちが伝わって、

ひねくれかけていた私の心に、再び

「頑張ろう」という気持ちが湧き上がってきた。

頑張ろう。頑張って早く戻らなければ・・・。

お見舞いの品

2007年03月23日 | 肝移植の記録

お父さんが名古屋に帰ってしまった上に、

そんな気持ちも加わって、

心弱くなっていた私は、

入院が長引くにつれて凹みがちになっていた

そんなとき、

女上司の糸井さんがお見舞いに来てくれた。

糸井さんは会社の同僚からのお見舞いの品を持って来ていた。

まずは千羽鶴、

といっても１０羽くらいしかいなかったが、

それは１０羽くらいが１列に連なったものだった。

「とりあえず同期のみんなで折ってみたよ。

千羽鶴は今折ってるからもうちょっと待ってね」

同じ部署の同期からの伝言つきだった。

焦る気持ち

2007年03月22日 | 肝移植の記録

来客はまだそんなに多くなかった。

寮母さんや女上司の糸井さんは

ＩＣＵにいた頃から会わせてもらっていたが、

友達や同僚にはまだ会えない、

と伝えてもらっていた。

まだ感染に敏感な時期で、

多くの人に会うことはそれだけ感染の率が高くなるし、

それ以外にも、

私自身、この哀れな姿を友達に見られたくなかった。

それでも、

日増しにみんなと会えないことが寂しくなり、

みんなが自分のことを忘れてしまうんじゃないかという、

何か置いてかれるような、

焦る気持ちも出てきていた

もっと食べたかったのに～

2007年03月21日 | 肝移植の記録

今村くんが帰ったあと、

私はそのかわいらしい和菓子を

「食べたい、食べたい」

と言ったのだが、

心配性のお母さんは

「生菓子だからちょっとにしときなさい」

と、一個の半分しか食べさせてくれなかった。

生は生でも、

肉や魚の生とは違うのでいいんじゃないかと思ったが、

お母さんは自分がそうだと言ったら聞く耳持たないのでダメだった。

日が経つとますますだめだというので、

結局私はその和菓子を、

１個か２個しか味わうことができなかった。

かわいい和菓子

2007年03月20日 | 肝移植の記録

今村くんは、

お見舞いにかわいい和菓子を買って来てくれていた。

病院に来る途中に和菓子屋さんがあったのだという。

病院周辺の地理はまったくわからなかったので

「へ～、そうなんだ」

としか言うことができなかったが、

わざわざ買って来てくれたことは素直にうれしかった。

正直、当時は和菓子はあまり好きではなかったが、

うさぎの形をしたものや、

色とりどりのかわいらしい和菓子が４個入っていて、

とってもかわいらしくて見ているだけでうれしかった。

両親もいたので、

その日は他愛もない話しかしなかったが、

「お見舞いに来てくれた」

という事実が単純にうれしくて、

少し元気になれた気がした。

運命

2007年03月18日 | 肝移植の記録

それにしても、

彼が付き合った相手が、

一度ならず二度までも死にかけたことに関しては

何か偶然ではない気がした。

しかし、何の因果か、私は死ななかった。

それだけは事実だった。

彼女の最後の言葉

2007年03月16日 | 肝移植の記録

ホリエモン、実刑２年６ヶ月でしたね。

これを重いと受け止めるか、軽いと受け止めるか…。

私はこういう事件にしては重いと思いました。

それに比べて、飲酒運転による事故はなんと軽いことか…。

お金より人の命の方が何倍も重いと思うんですけどね

（さて、昨日の続きに戻ります。。。）

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今村くんは、彼女に最後にこう言われた、

と教えてくれた。

「今度付き合うときは、その子のことちゃんと好きになってあげてね」

と。

それについて今村くんは特に何も言わなかったが、

彼女は、

今村くんが本当は自分のことを好きではなかったと

気づいていたのかな、と思った。

そんな気持ちのまま亡くなった彼女をかわいそうだと思った。

今村くん自身も、

彼女に言われたその意味をよく理解できず、

何か答えを見つけようとして私に話したのかもしれない。

そしてその時の私も、

彼女の言った本当の意味を、

よく理解できないでいた。

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