今日、生きているという奇跡

目が覚めたら肝臓取られちゃってたんです。劇症肝炎から生体肝移植へ。
何気なく生きている今日、それこそが奇跡なんです。

眠り

2007年07月28日 | 肝移植の記録
なんとか薬を飲み終えると、

後からかけつけて来ていた先生に注射を打たれた。



「あれ?なんだか眠くなってきたよ」

目がとろんとしてきた。

落ち着かせるために安定剤を打たれたのかもしれない。



「変ですね?これは眠くならない薬のはずなのに」

と先生が言った。

「でも眠いよ・・・」



それはブスコパンという軽い麻酔のような薬で、

手術前等に緊張しないようにぼんやりさせる薬だった

(というのは後からわかったことだが)。



私は目を閉じるじると、そのまますやすや眠ってしまった。




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すごく大事な薬

2007年07月25日 | 肝移植の記録
私が宇多川さんの涙に驚いた理由はもうひとつあった。



免疫抑制剤―。



今でこそその薬のことをきちんと理解しているが、

当時はそれがどれほど重要なのかよくわかっていなかった。

だから、この薬を飲まないということはそんなに大変なことなのか、

という事実にびっくりしてしまったのだ。



その時にそれが「すごく大事な薬」ということはわかったが、

私の頭の中には「薬を飲まない→拒絶→死」という図式はまだ存在しなかった。

当時の私は、“一度移植したらもう大丈夫”と思い込んでいたからだ。



私が「移植した臓器は拒絶する可能性がある」ということを知ったのは

退院間際のことだった。




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☆臓器売買をなくすために☆

2007年07月23日 | 肝移植の記録
こんな記事を見つけました。(以下、抜粋。YAHOOニュースより)


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<腎臓移植>国際学会が注意文書 比政府検討の謝礼制度で


 腎臓移植を受ける外国人患者がドナー(臓器提供者)へ謝礼を支払う制度を検討中のフィリピンで多くの日本人が移植を受けていることに関し、国際移植学会が「(移植希望の)患者に注意を促すべきだ」と要請する文書を日本移植学会(田中紘一理事長)に送っていたことが22日、分かった。田中理事長は「フィリピン政府が(新制度を)認めれば、国や学会としても正面から対応しなければならない」と話している。

 国際移植学会は要請文書で、検討中の制度を「(ドナーの手術後の健康状態に関する)追跡調査もしていない。貧困層の搾取につながる臓器売買だ」と厳しく批判した。さらに、日本人の同国での移植について、倫理面だけではなく、肝炎やHIVなど感染症の危険性にも言及。ドナーの感染症チェックが不十分で、移植により患者が病気に感染する恐れが高いことを指したとみられる。

 さらに、
移植用臓器は各国内で「自給自足」することを求め、脳死臓器移植が進まないため渡航移植が増えている日本で、日本移植学会が厚生労働省へ働きかける必要性に言及した。

 フィリピンでは臓器売買は違法ではない。粟屋剛・岡山大教授らによる調査によると、86年以降謝礼を支払って腎臓移植を受けた日本人が少なくとも14人おり、謝礼は5万~16万ペソ(約14万~46万円)だった。外国人患者としては中国(27人)、アラブ諸国(24人)に次いで多かった。

 同国政府は、腎臓移植を受ける外国人患者が同国の腎臓財団に寄付し、財団から生体ドナーへの謝礼や別の同国患者の移植費用を支払う制度を計画。同国保健省幹部は「臓器売買には当たらない」と説明している。

 国際移植学会は今年12月、生体移植に関する具体的なルールをまとめる国際会議を開く予定。要請文書は会議に向け臓器売買への厳格な姿勢を示したものとみられる。

【大場あい、永山悦子】7月23日3時5分配信 毎日新聞

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臓器売買はだめだ、だめだと言うけれど、

フィリピンでの移植を選んだ人はやむなくそうするしかなかったんだと思います。

それくらい、透析って大変なものなんだと思います。

臓器売買が存在する背景にあるものにもっと目を向けるべきなんじゃないでしょうか。




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とうとう…

2007年07月19日 | 肝移植の記録
宇田川さんの涙に自分が泣くのも忘れ、

私は薬を飲もうという気になっていた。

しかし、ここまでだだをこねて引っ張ってしまった手前、

素直に「飲む」とは言えなかった。



「飲めばいいんでしょ!飲めば」



ぶっきらぼうにそういうと、

「紅茶で飲む」と言って

冷蔵庫に入っていた紅茶花伝のミルクティー(その時はこれがお気に入りだった)を

お母さんに持ってこさせた。



宇田川さんの言う「すごく大事な薬」というのは免疫抑制剤のことだった。

「今日はもうこれだけでいいでしょ!」

他にも処方されている薬はたくさんあったが、

その日はもう免疫抑制剤だけで勘弁してもらった。

後からかけつけた先生も、

「まあ、1回くらいは大丈夫でしょう」

とおおめに見てくれた。



「今日は寝たままでいいよね」

とお母さんが言った。

いつもは起き上がって飲んでいたが、

この日ばかりは以前のようにストローで寝たまま飲ませてもらった。




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感情を表に出すということ

2007年07月17日 | 肝移植の記録
それを見た私はちょっとびっくりしてしまった。

ただの病院のスタッフである看護師が、

ここまで私のことを考えてくれてるなんて・・・。



看護師は感情を表に出してはいけない、

というのをどこかで聞いたことがある。

看護師が感情を表に出すことによって患者が同様するのを防ぐためだろうか。



しかし、私はそれが悪いことだとは思わない。

むしろ私は、感情を表に出してくれて「うれしい」と思った。

スタッフが患者と一緒になって喜んだり、悲しんだりしてくれるのは、

それだけ自分のことに一生懸命になってくれているとわかるからだ。



業務的には優秀でも、

ロボットみたいなスタッフでは心が余計すさんでいってしまう。

ただでさえ精神的にまいっている入院生活、

患者はみんな心の交流を求めているのだと思う。




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ナースの涙

2007年07月12日 | 肝移植の記録
「そんなこと言わないでよ・・・」



お母さんも、お父さんも、

呼ばれて来ていたプライマリー看護師の宇田川さんも、

みんな困ったような悲しそうな顔をしていた。

みんなを困らせていることはよくわかっていた。

悲しむであろうことも予想はできていた。

でもぶちまけずにはいられなかった。



看護師の宇田川さんがベッドの脇にしゃがんでそんな私に話しかけてきた。

「つらいよね。いきなりこんなことになっちゃったんだもんね」

そう言って私の手を握り締めてきた。

「でもこのお薬だけは飲もうよ。すごく大事なお薬だから。お願い・・・」



そう言う宇田川さんの目には、

うっすら涙が浮かんでいた。




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大泣き

2007年07月10日 | 肝移植の記録
あまりにも無反応な私に、

どこか頭でもおかしくなってしまったんじゃないかと

心配そうにのぞき込むお父さんに、

「別に頭がおかしくなったわけではないんだよ」

ということは伝えなければいけないようなプレッシャーに押され、

私はとうとう口を開いた。



「もうやだよ…あのまま死んでればよかったのに・・・」



そう言うと、

溜まっていたものが一気にあふれ出して、

私は うわーん と大声で泣いた。



あんなに大声で泣くのは小さいとき以来初めてだった。

隣の部屋や廊下にも聞こえていただろうが、

そんなことはお構いなしだった。



なんで移植なんてしたの?

私は同意なんてしてないのに…。

なんで私ばっかりこんなにつらい思いをしなくちゃいけないの?




そんなことばかりが頭の中をぐるぐる回っていた。




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だんまりの私

2007年07月05日 | 肝移植の記録
その日、

ちょうど上京して診察に来ていたお父さんも呼ばれて部屋に戻ってきて、

「ふうこ、どうしたんだ?」

と聞いてきた。



二人がとても心配しているのがよくわかった。

訳が解らず戸惑う二人の様子に、

申し訳ない気はしたが、

私はかたくなに返事をするのを拒んだ。



「・・・。」

「ふうこ!」



お父さんがますます困惑した面持ちで大きな声で呼びかけてきた。



「ふうこ!?」




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もう飲みたくない…

2007年07月03日 | 肝移植の記録
飲まなければならないからしぶしぶ飲んでいた薬も、

もう飲みたくなくなってしまった。

起き上がるのも嫌だった。



私はその日の夜の薬を飲むのを拒否した。



「もう飲まなくていい。

移植したくてしたんじゃない。

あのまま死んでいてもよかったんだ。」




そんな気持ちだった。



お母さんはいつも通り、

「薬飲もうか」と言ってきたが、

私は黙っていた。

薬を飲むために「ベッド上げる?」と聞かれたが、

それでも黙って無表情のままただ一点を見つめていた。

お母さんはそんな私の異変に気づき、

「どうしたの?どっか調子悪いの?」

と心配そうに聞いてきた。



私はそれでも黙っていた。




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