会社法雑記帖

会社法業務の末端でもがく一会社員の雑記帖。

合併対価柔軟化、1年先送りへ

2005年03月11日 | 会社法雑記帖
まずは会社法案について。自民党法務部会は、会社法案のうち合併対価の柔軟化の規定の施行期日を1年遅らせる修正を決定したとのこと。
外国企業の日本企業買収を懸念したものだが、そもそも「合併対価の柔軟化」は敵対的な買収には使えないし、今回の修正で日本企業も現金合併や三角合併が使えないことになってしまう。財界からもこれには異論が出てくるのではないか。アメリカも文句を言ってきているらしい。

敵対的買収防衛策については、9日に経産省の「企業価値研究会」が「論点公開骨子」を公表した。
http://www.meti.go.jp/press/20050307004/20050307004.html
かなりの大部で、全部に目を通すのはこの週末を使ってのことになりそうだが、親切なことに一枚もののサマリーをつけてくれているので、それだけをサッと読むと、

1.敵対的企業買収防衛策のあり方の検討の4つの視点:
(1)企業価値向上
(2)グローバルスタンダード
(3)内外無差別
(4)選択肢拡大
企業価値や株主価値の向上につながる合理的な敵対的企業買収防衛策のあり方として、3つの点を提示:
(1)会社法現代化の実現
(2)会社法令などの改正(防衛策に関する開示ルールの整備)
(3)企業価値防衛策指針の策定(その内容は以下の3点)
○事前開示の徹底
○企業価値基準遵守の原則
○企業価値基準を充たすための具体的な方策(以下の工夫を組み合わせ、防衛策の合理性を高める)
・株主の選択権の確保(最低限、委任状合戦の道を確保)
・第三者チェック
・客観的解除要件
・株主総会承認
3月中に論点公開を行い、関係者との意見交換を実施後、5月中をメドに取りまとめる予定。

ということだが、ポイントを非常に簡単にいうと
「合理的な防衛策は、商法に違反しない(株主平等原則等)」
「合理性を判断する基準として、指針を示す」
というところと思われる。

5月中に取りまとめるということで、今年の6月総会において防衛策を導入することが意識されていると考えられる。一部報道で「多くの企業が導入を検討中」とされていたが、本当だろうか。現時点でどこまで詰めた議論ができるのか、疑問。ライブドアが行っていた仮処分の申立てで、仮にニッポン放送が勝っていたら、まさに「防衛策なんでもあり」となって、一気に各企業が防衛策導入に走りだしていたかもしれないが、仮処分が認められたことで、やはり企業価値研究会の結論を注意深く見ていかないといけなくなったと思う。

金融庁では、「証券取引法の一部を改正する法律案」を国会に提出。
内容的には
1.上場会社の非公開親会社の情報開示
2.外国会社の英文による継続開示の許容
3.公開買付け(TOB)規制範囲の拡大
となっており、「継続開示に対する課徴金制度の導入」は入っていないようだ。
この点については内閣法制局との調整がつかないと報道されていたが、議員立法でということになるのだろうか。

電子公告制度については、法務省のサイトに解説が載った。
先日NTTデータが電子公告調査機関として登録を受けたこともあり、電子公告制度について、だいぶ情報が出てきている。実務的なことを考えたときに、疑問に思うのは、従来から決算公告を電磁的方法により行っている会社が、次期定時株主総会で定款変更して電子公告を採用した場合に、従来の決算公告の取扱いがどうなるのか、また、その定時株主総会終了後に行うべき決算公告はどのように取り扱うのか、という点である。
この点については、以前に旬刊商事法務に解説が載っていたように思うので、調べておこうと思う。

独禁法の分野では、公取委がドンキホーテに排除勧告を出しているほか、
「大規模小売業者による納入業者との取引における特定の不公正な取引方法(案)」(PDF)を公表、公聴会の開催および意見募集を行うとのこと。
気になる点は、「取引上の地位が大規模小売業者に対して劣っていない」納入業者には適用されないとなっているところ。この点が具体的にどのように運用されるのか、今後の公聴会や意見募集において論点になっていくと思われる。


話は変わるが、今日会社の売店でティッシュペーパーのネピアを買ったら、箱が変わっていてちょっとびっくりした。サイズが若干小さくなり、角がとれている。使おうとしたら、取り出し口のフィルムもなくなっている。少なくなってきたときの底面押し上げや、使い終わった後の箱解体についても変わっている。更に製法の改良により、やわらかさなど質感も高まったとのこと。すごい。