会社法雑記帖

会社法業務の末端でもがく一会社員の雑記帖。

インターネットでの株主総会の動画配信など

2004年06月27日 | 会社法雑記帖
各社が株主総会の模様を動画でオンデマンド配信している。
「開かれた総会」への取り組みをアピールする狙いがあるものと思われる。
ただ、質疑応答の場面については、株主のプライバシー保護や肖像権との関係もあって、各社とも公開していない模様。

特徴的なのは、野村ホールディングスの取り組み。「ライブ」(実際には数十分遅れ?)で「静止画と文字」で実況し、さらに終了後にオンデマンドで「音声とスライド」を配信。ユーザーにとってみれば、一刻も早く、できればリアルタイムで情報を入手したいであろうから、それにある程度応える試みとして評価されるべきではなかろうか。

ソニーは、株主総会及び株主懇談会での質疑応答について、(担当役員による答弁のみを)動画で公開している。これも、他社にはない、独自の取り組みといえる。

また、英語での情報公開での取り組みでも、先進的といえるソニー、野村ホールディングスが抜きん出ている。ソニーは株主懇談会のオンデマンド動画を英語版も公開している。野村ホールディングスは、静止画と文字の「ライブ」を英語版でも公開している。
この「英語での情報公開」の取り組みについては、株主総会以外の決算発表やアナリスト説明会については各社とも充実してきている。国内金融機関や事業法人との持ち合い構造が崩壊し外国人投資家のプレゼンスが高まっている昨今、当然であろう。一方、株主総会については、日本の商法に基づいて運営される株主総会を外国人が理解できるのか、という疑問が発行会社サイドにはあるものと想像できる。ただ、持株比率の点でも外国人の比重が高まってきている状況からすると、株主総会についても、英語での情報公開を充実していく方向に圧力が高まっていくのは間違いないのではないか。折りしも東証の機関投資家向け議決権行使プラットフォームの稼動も近づいており、近々その機運は一気に高まることになるかもしれない。


[インターネットで株主総会の動画配信などを行っている主な会社]

■東京証券取引所 ・ブロードバンド、ナローバンド

■ローソン ・Windows Media Player、Real Player

■シャープ ・質疑応答内容をHTML(動画ではなく、テキスト)で掲載

■三菱重工業

■ソニー ・Real Player ・株主総会、株主懇談会 ・ブロードバンド、ナローバンド ・株主懇談会は日本語、英語 ・質問に対する答弁を動画で公開

■大和証券グループ本社 ・Windows Media Player、Real Player ・スライドはユーザーが縦にスクロール?

■野村ホールディングス ・ライブ(静止画と文字) ・オンデマンド(音声とスライド)[Windows Media Player、Real Player] ・ライブは日本語、英語

■日興コーディアルグループ ・Windows Media Player、Real Player

■NEC ・Windows Media Player、Real Player ・ブロードバンド、ナローバンド

■三菱商事 ・ブロードバンド、ナローバンド