会社法雑記帖

会社法業務の末端でもがく一会社員の雑記帖。

会社法案、国会提出

2005年03月22日 | 会社法雑記帖
18日の閣議で決定され、22日に国会提出されると報じられていた
会社法案が、法務省のWebサイトに掲載されています。→こちら。

最終的に、条文数は、附則を除いて979条になったようです。
法律案「要綱」でも、なんと104頁に及んでいるようす。
読むのに骨が折れそうです。

大破局(フィアスコ)

2005年03月21日 | 読書
大破局(フィアスコ)
-デリバティブという「怪物」にカモられる日本

フランク・パートノイ 著
森下賢一 訳
徳間書店 1998年2月

ちょいと古い本になりますが、面白かったです。
日本の銀行等がいいようにカモられる場面では、
米国の投資銀行に対して腹が立つというよりは、
自分の定年まで損失を隠すためだけの、経済的には
無意味な取引で何十億円もむしられてしまう、
日本の銀行のトップ達の姿がただ哀しかったです。

われわれ庶民にとっても、自分の年金や退職金が
知らない間にデリバティブを使った投機に使われ、
どんなリスクにさらされているかわかったものでは
ないわけで、決して他人事ではないんだそうで。
気をつけないといけません。

日本版ポイズン・ピル第一弾

2005年03月14日 | 会社法雑記帖
ニレコという会社が、平時の防衛策として日本で初めてと思われる
ポイズン・ピル(会社発表では「セキュリティ・プラン」)を
導入するとのことです。

ニレコ プレスリリース 企業価値最大化のための「セキュリティ・プラン」について

日経の報道「ニレコ、敵対的な買収防衛へ全株主に新株予約権」

ニッポン放送のような、特定の第三者(フジテレビ)に対してではなく、
今年3月末の株主全員に新株予約権を無償で割り当て。
新株予約権行使時の払込金額は1円。
新株予約権の行使が可能となる「トリガー」は、特定の者が発行済
議決権付株式の20%を取得した場合。
新株予約権には譲渡制限が付され、譲渡承認請求があっても
取締役会は承認しない、と明言されている。
株主割当なので、株主総会決議を経ることなく、取締役会限りで
発行するもの。

果たして他の会社も後に続くことになるでしょうか。
当面、各社の担当者はこの件に関する世論の反応を固唾を呑んで
見守ることになると思われます。

日本人の法意識

2005年03月12日 | 読書
日本人の法意識 岩波新書 青版 630
川島武宜 著
岩波新書 1967年5月

ジュンク堂大阪本店で新書のキャンペーンをやっていて、これが棚にあるのが目に付いたので、買ってみました。
昨今、日本人の法意識がずいぶんと変化してきたことは、大企業同士でも(たとえばメガバンクでさえも)従来なら考えられなかったような法的手段に訴えるようになってきて、それが必ずしも否定的に受け止められていないということにも現れてきていると思う。
日常の仕事においても、今までなら当方が提示した契約書の案に、黙って判をついてくれていた取引先が、権利意識に目覚めたのか、条項の修正を求めてきた、というような例は枚挙に暇がありません。
それでもやはり旧来からの法意識というものが影響してくる場面は多々あるわけで、そういった勉強も必要と思います。

ボロボロになった覇権国家

2005年03月12日 | 読書
ボロボロになった覇権国家(アメリカ)
北野幸伯 著
風雲舎 2005年1月

著者の発行するメールマガジン(ロシア政治経済ジャーナル)も読んでいますが、非常に鋭い分析です。油断していると現実を見誤る、ということを思い知らされます。

日本が戦場になるというのは非常に怖い話です。
その点も良く考えて行動していかないといけないと思います。

合併対価柔軟化、1年先送りへ

2005年03月11日 | 会社法雑記帖
まずは会社法案について。自民党法務部会は、会社法案のうち合併対価の柔軟化の規定の施行期日を1年遅らせる修正を決定したとのこと。
外国企業の日本企業買収を懸念したものだが、そもそも「合併対価の柔軟化」は敵対的な買収には使えないし、今回の修正で日本企業も現金合併や三角合併が使えないことになってしまう。財界からもこれには異論が出てくるのではないか。アメリカも文句を言ってきているらしい。

敵対的買収防衛策については、9日に経産省の「企業価値研究会」が「論点公開骨子」を公表した。
http://www.meti.go.jp/press/20050307004/20050307004.html
かなりの大部で、全部に目を通すのはこの週末を使ってのことになりそうだが、親切なことに一枚もののサマリーをつけてくれているので、それだけをサッと読むと、

1.敵対的企業買収防衛策のあり方の検討の4つの視点:
(1)企業価値向上
(2)グローバルスタンダード
(3)内外無差別
(4)選択肢拡大
企業価値や株主価値の向上につながる合理的な敵対的企業買収防衛策のあり方として、3つの点を提示:
(1)会社法現代化の実現
(2)会社法令などの改正(防衛策に関する開示ルールの整備)
(3)企業価値防衛策指針の策定(その内容は以下の3点)
○事前開示の徹底
○企業価値基準遵守の原則
○企業価値基準を充たすための具体的な方策(以下の工夫を組み合わせ、防衛策の合理性を高める)
・株主の選択権の確保(最低限、委任状合戦の道を確保)
・第三者チェック
・客観的解除要件
・株主総会承認
3月中に論点公開を行い、関係者との意見交換を実施後、5月中をメドに取りまとめる予定。

ということだが、ポイントを非常に簡単にいうと
「合理的な防衛策は、商法に違反しない(株主平等原則等)」
「合理性を判断する基準として、指針を示す」
というところと思われる。

5月中に取りまとめるということで、今年の6月総会において防衛策を導入することが意識されていると考えられる。一部報道で「多くの企業が導入を検討中」とされていたが、本当だろうか。現時点でどこまで詰めた議論ができるのか、疑問。ライブドアが行っていた仮処分の申立てで、仮にニッポン放送が勝っていたら、まさに「防衛策なんでもあり」となって、一気に各企業が防衛策導入に走りだしていたかもしれないが、仮処分が認められたことで、やはり企業価値研究会の結論を注意深く見ていかないといけなくなったと思う。

金融庁では、「証券取引法の一部を改正する法律案」を国会に提出。
内容的には
1.上場会社の非公開親会社の情報開示
2.外国会社の英文による継続開示の許容
3.公開買付け(TOB)規制範囲の拡大
となっており、「継続開示に対する課徴金制度の導入」は入っていないようだ。
この点については内閣法制局との調整がつかないと報道されていたが、議員立法でということになるのだろうか。

電子公告制度については、法務省のサイトに解説が載った。
先日NTTデータが電子公告調査機関として登録を受けたこともあり、電子公告制度について、だいぶ情報が出てきている。実務的なことを考えたときに、疑問に思うのは、従来から決算公告を電磁的方法により行っている会社が、次期定時株主総会で定款変更して電子公告を採用した場合に、従来の決算公告の取扱いがどうなるのか、また、その定時株主総会終了後に行うべき決算公告はどのように取り扱うのか、という点である。
この点については、以前に旬刊商事法務に解説が載っていたように思うので、調べておこうと思う。

独禁法の分野では、公取委がドンキホーテに排除勧告を出しているほか、
「大規模小売業者による納入業者との取引における特定の不公正な取引方法(案)」(PDF)を公表、公聴会の開催および意見募集を行うとのこと。
気になる点は、「取引上の地位が大規模小売業者に対して劣っていない」納入業者には適用されないとなっているところ。この点が具体的にどのように運用されるのか、今後の公聴会や意見募集において論点になっていくと思われる。


話は変わるが、今日会社の売店でティッシュペーパーのネピアを買ったら、箱が変わっていてちょっとびっくりした。サイズが若干小さくなり、角がとれている。使おうとしたら、取り出し口のフィルムもなくなっている。少なくなってきたときの底面押し上げや、使い終わった後の箱解体についても変わっている。更に製法の改良により、やわらかさなど質感も高まったとのこと。すごい。

約1ヶ月のブランクでした。。。

2005年03月08日 | 会社法雑記帖
ずいぶんと更新の間隔があいてしまいました。
2月下旬から3月初めにかけて、公私ともにいろいろなこと
がありましたが、ようやく少し落ち着いたところです。
ご心配をおかけした皆様にはお礼とお詫びを申しあげます。

更新していない間にずいぶんいろいろなことが
起こってきています。

さて、会社法の分野では
「西武・コクド」
「ライブドア vs フジテレビ・ニッポン放送」
の問題が非常にヒートアップしておりますが、
少々 旬を過ぎた感はありながらも
「住友信託、UFJに1000億円の賠償請求」
のほうもまだまだ熱いです。

また、敵対的買収防衛策については、経済産業省の
企業価値研究会が指針を発表。
(Yomiuri On-Lineの記事
これが直接的にライブドアが求めている仮処分の
審理に影響するわけではありませんが、
この6月の各社の株主総会において
あるいは防衛策の導入が行われるかも
しれませんね。非常に注目です。


電子公告制度に関しても動きが。
法務省「登録された電子公告調査機関一覧」
には、NTTデータが電子公告調査機関として
登録されたことが公表されています。
そのサイトを見てみると、
公告費用も20万~30万円と、リーズナブル。
3月16日以降、いよいよ電子公告の実例が
出てくることになりそうです。
ところでこの電子公告調査機関の告示は
官報に載っていない気がしますが、
気づかないうちに載っていたのでしょうか?
謎です。

→3月9日の官報に載りました。解決。

証券取引法の改正についても、動きが急になっています。
次期改正の主な内容は次の4点。
1 公開買付け(TOB)規制の範囲を、市場内立会外売買に広げる。
2 公開会社の親会社についての情報開示義務付け
3 英文での情報開示の許容
4 継続開示書類(有価証券報告書等)における虚偽記載に対する課徴金

1はライブドアのニッポン放送株の買付けが東証の時間外取引で
行われたことに対応したものですね。
これは公布から10日後に施行される見込みで、金融庁としては
夏にも規制を導入する意向だそうで。
2は西武鉄道の親会社、コクドの情報が開示されていないことが
問題視されたのですね。この「親会社非公開、子会社公開」の
パターンは、いくつか例があるようです。
4も西武鉄道がらみですね。これは内閣法制局が難色を示して
いるという話も出ていましたが、自民党で了承され、もうすぐ
閣議にかけられて国会に上程する、という話になっていますので
必ずしも内閣法制局の了承は必要ないということでしょうか?
1以外は12月の施行見込みとのこと。

昨年の証取法改正で、課徴金制度の導入と民事賠償責任の
強化が行われたので、今まで「証取法は経理部門の問題」
と思っていた法務部門においても、にわかに意識が高まって
いるようですね。

独禁法の分野では、インテルに公取委が排除勧告(PDF)。
インテルは争うだろうとも言われていますので、
こちらも注目です。