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瑕疵担保責任とは?

2022年10月16日 | 不動産用語解説

不動産を売買する際に「瑕疵担保責任(かしたんぽせきん)」という言葉を見聞きすることがあります。

瑕疵担保責任とは、民法が改正される令和2年より前に規定されていた、売買された目的物に隠れた欠陥があった場合に売主が負う責任です。

瑕疵担保責任をわかりやすく簡単にご説明しましょう。

瑕疵担保責任の前に「民法」を知る

それでは、瑕疵担保責任をわかりやすく簡単にご説明します。

その前に、民法という法律を理解してください。

民法とは、財産や家族に関する取り決めを定めた法律であり、私たちに最も馴染み深い法律です。

民法は明治29年に制定され、その後ほとんど改正されていませんでしたが、さすがに時代にマッチしなくなり、120年の時を経て令和2年に改正されました。

改正される前の民法を「旧民法」や「改正前の民法」などと呼び、改正後の民法を「新民法」や「改正民法」などと呼びます。

以下は、法務省が公開する民法の改正を紹介する漫画であり、主人公に桃太郎が採用され、当時Twitterなどで大いに話題になりました。

法務省の民法改正の漫画

つづいて、瑕疵担保責任をわかりやすく簡単にご説明しましょう。

瑕疵担保責任とは、旧民法によって規定されていた、目的物の売主が負う責任

令和2年に民法が改正されましたが、瑕疵担保責任とは、旧民法の第570条によって規定されていた、売買された目的物に隠れた欠陥があった場合に売主が負う責任です。

旧民法の第570条を極めてわかりやすく簡単にご紹介すると、以下のようになります。

旧民法 第570条(売主の瑕疵担保責任)
売買された目的物に隠れた欠陥があり、その欠陥があることにより、買主が売買契約を結んだ目的が達成できないときは、買主は契約を解除できる。解除できないときは、売主に損害賠償を請求できる。

上記には「目的物」という言葉が含まれますが、目的物とは、ときには不動産であり、ときには業務です。

つまるところ、不動産を売買する状況で見聞きする瑕疵担保責任をわかりやすく簡単にご説明すると、以下のようになります。

売買された不動産に欠陥が隠れていたことにより、買主が売買契約を結びつつその不動産を購入した目的が達成できないときは、契約を解除できる。契約を解除できない場合は、売主に損害賠償を請求できる。

損害賠償を請求された売主は、責任を果たしつつ応じなくてはならない。その果たすべき責任が、売主の瑕疵担保責任である。

たとえば、家を建てるために土地を購入した買主のAさんがいらっしゃったとしましょう。

Aさんが家を建てようと建築会社に工事を依頼し、基礎工事が始まったところ、地中から大量の建築廃棄物が見つかりました。

おそらくそれらは、その土地に以前建てられていた建物を解体した際に出た廃棄物です。

建築廃棄物が埋まっていては、家を建てることができません。

つまり、Aさんは、家を建てるために土地を購入した目的を達成できないというわけです。

この状況においてAさんは、旧民法では契約の解除、または売主に損害賠償を請求できました。

損害賠償を請求された売主は応じる責任があり、その責任が瑕疵担保責任です。

瑕疵担保責任とは、旧民法によって規定されていた、目的物の売主が負う責任を意味します。

瑕疵担保責任とは、旧民法によって規定されていた、売買された目的物の売主が負う責任

瑕疵担保責任は「契約不適合責任」に置き換わる

瑕疵担保責任とは、旧民法によって規定されていた、目的物の売主が負う責任です。

「規定されていた」という言い回しのとおり、民法改正により瑕疵担保責任は「契約不適合責任」に置き換わっています。

具体的には、瑕疵担保責任では、買主は契約の解除と損害賠償の請求のみが可能でしたが、契約不適合責任ではそれらに加え、欠陥の修繕や代金の減額の請求もできるように見直されました。

契約不適合責任の詳細は、私が運営するサイト「誰でもわかる不動産売買」で公開するコンテンツ「契約不適合責任とは?わかりやすく解説」にて詳しくご説明中です。

同コンテンツでは、売主が契約不適合責任を気にせず安心して不動産を売買できる取り決め「契約不適合責任免責」もわかりやすくご説明しています。

不動産の売買を予定される方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧ください。それではまた次回の更新でお会いしましょう。不動産のあいうえおでした。

契約不適合責任とは?わかりやすく解説


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