今月はじめに,孫娘はウイルス性の感染症から回復したが,その後、
今度は私が一週間ほども寝込んでしまうことに.彼女から病原菌を
移されたのだと思うのだ.私の自宅での彼女の看病の日々において.
かなり重症な嘔吐や下痢が頻繁につづくことに.発症の最初の深夜.
1時間おきにトイレに駆け込む.これまで経験したことのないほど
のひどい下痢.液状の.苦痛に身をよじる.嘔吐はその回数自体は
多くはなかったが,胃の中のものすべてを吐き出してしまうまでは
治まらないような気分の悪さ.なんともすべのない不安や心細さも.
苦しんだあげくようやく夜が明ける.何日かたっていくらか具合は
良くなってきたような.下痢の回数も減ってきた.ふいに腹痛など
に襲われることもなくなり、下痢の症状をコントロール管理できる
くらいにまで回復.早朝.ベランダに出て新鮮な空気を感じていた.
団地の隣の棟の屋上の集合アンテナに,鳥のシルエットが.室内に
戻ってデジタルカメラを手に.自分でも不思議と感じるほどの奇妙
な好奇心で撮影を試みた.その鳥はカラスのようだった.フィルム
の感度を高感度に設定し直してからシャッターを切る.鳥はふいに
飛び立つ.私の微妙に妖しい気配を感じてしまったのかもしれない.
その瞬間を激写とはいかずに,わずかに片方の翼がどうにかかろう
じてフレームの中におさまった.陽が昇りはじめたころのまだ早い
朝のなんともいえずけだるくもあったささいな出来事.病いに疲労
してしまった、私というだれも知らない老いた存在の心細さも.