栗林写真工業という、現在では存在しないメーカーの、35mmコンパクト
カメラ「Petri M35」~プログラムEE搭載のレンジファインダー機.同社
のPetri 35/F2.8とPetri V6 につづく3機種目の入手である.シャッター
は切れるが他の動作は不明、というジャンク扱いの個体.この秋にオーク
ションで非常に安価に入手.そのボディデザインのかわいさにひと目惚れ.
Petri M35
●レンズ:PETRI 38mm/F2.7 ●シャッター速度:1/30~1/650秒
●ファインダー:採光式ブライトフレーム ●ピント:距離計連動
●フィルム送り:レバー巻き上げ、クランク巻き戻し
●電池:LR44ボタン電池代替可能 ●発売年:1971年
届いた個体は、だが残念なことに,露出計が機能していない.電池室内では
液漏れの痕がひどくて青さびがあふれていた.内部にあるマイナス側の金具
は先端部分が欠損を.これでは電池を入れても通電ができない状況.ファイ
ンダー内部の露出計の指針も不動.オートでの撮影が無理な個体.どうした
ものかと考えてみた,ストロボ撮影用のGN=ガイドナンバーの数値=絞りの
大きさを流用して、シャッター速度はたぶん 1/30秒固定で、なんとか撮影
は可能なはず.レンズまわりには GNのみで絞りの数値が表記されていない
ので,カメラの裏蓋を開けて,その数値を変えながら絞りの開き具合を確か
めてみた.シャッター速度は1/30秒よりも、ややはやい感じではあるが….
GNの表記=絞りの大きさ~開放F2.7から22まで,と考えて、
「m=22/56=16/・=11/28~8/・=5.6/14=4/10=開放F2.7」という推測.
ネットオークションで安くバラ売りしていた,使用期限が数ヶ月前に切れた
少し古い~私の感覚ではまだ充分に使用できる、感度100/24撮りのカラー
ネガフィルムを使用.他の動作には特に不具合はないようすなので,変則的
なマニュアル操作で試写を.だがGN=各種の大きさの絞りは、そのピントの
合う距離がそれそれ決められているらしく,被写体までの距離によって変え
たいピントリングがどうしても動かせないことも数回あった.ストロボの光
が届かないような距離には、ピントがあわせられない作りになっているのだ
ろうと思う.まあ作り手側の理屈ではそれが正解なのかもしれないが.撮影
の操作にかなりの不便さを感じつつも、それでも非常にコンパクトで可愛い
ボディゆえに撮影自体は楽しめた.試写の結果をはやく知りたいので,自宅
近くのDPEショップに現像を依頼することに.かなり不安な思いのままで.
………
試写の前に,電池室内のひどいサビの痕を、私にできるかぎり清掃してみた.
しかしどうしてもきれいにならない.サビが電池室内の金属部品と融合して
しまい、もはや電流が流れない状況に? 修理に出すしかないような.