最近、撮影した、彼女の写真で、いちばん気に入って
いるのが、この一枚。オークションで超安値で買った、
動作が未確認だった、キャノンのEOS-650という一眼
レフカメラで撮ったもの。フィルムを街のカメラ店で
現像してもらったら、こんなによく撮れていた。感激
した私である。精悍な、犬らしい表情。美しくもある。
ただ、夏にしては、かなり毛が伸びすぎている…。
なにかが視野の中で動いていた。寝転がる愛犬だった。
この夏は、まともに毛をカットしてやらなかったので、
かわいそうなながめに。見るに耐えないその姿。伸び
すぎた毛が、彼女の美貌をそこなっている。キャルと、
愛犬の名前を呼んだら、なによこの人は、またカメラ、
嫌だわ。などと私を見て、いうわけもないが…。
ある朝のこと。人知れず、孤独にもだえる?人と犬が。
着古して、愛犬の玩具になった、私のモスグリーンの
ジャージが、ちょっと暑苦しい。扇風機は、この夏で、
使うのは最後にしたい。調子が良くないのだ。壊れる
寸前なのだ。モーターが異様に熱を帯びるのは怖い…。
そんな朝。その撮影から一か月分の毛が伸びた愛犬は、
私の仕事部屋で、私の足もとで、いつものように横に
なっていた。まだ暑くて退屈で嫌になる。どちらも…。
この夏のこと。